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第十九話『追う者』


 今さらなんですが見て下さっている方々、本当にありがとうございます。


 さて、今回は二試合目!




 ~欅側待機席~



「ハイン、なんで眼使わなかったのよ~」


「ゲホッ、…いやぁ、チートだろ。マジで」



「ハインが勝たなきゃお兄ちゃんと戦えないじゃないかー!」


 回復しつつあるハインを揺さぶる。


 本当に止めてと青ざめた表情で言ってくるので仕方なく揺さぶるのを止める。


 戦ってるときとは違く目を回してぐったりしてる。かーいーなー。


 張り手で起こす。


「…とことん悪魔だな君は」


「悪魔でいいよ?。にしてもリース様、容赦ない一撃、とっても素敵だったぁ」


「食らってみるか?、記憶もすっ飛ぶ殺人パンチだぞ。神速重ね掛けで」


「んー、リース様に殴られるんなら寧ろ光栄じゃない?。竜姫のパンチはサインの証!」


「Mなのか…?」


「違うわっ!!」


 リース様やアクア様に殴られるのならそりゃあ記念としてとっておきたいけど。…あれ、これM発言?、…M発言じゃん!?


 …なに一人でボケてツッコんでるんだろ、馬鹿みたいだ。


 首を捻って結論を出す。


 もうMでいいわ。


(…こいつ、認めたな)




「んぁ?、オレはMだぞ?」



 …なんか割ってきた。変態が割ってきたよ。


 ベンチで横になって寝ていた男が突然起き上がる。


 『トーマ・ディード』。黒と赤が混ざった髪に黒の瞳、170後半の身長でいつも眠そうな顔をしている馬鹿。


 認めたくはないけど一応アクア様の弟。本人曰く一般人扱いだとのことらしい。


「トーマはアクア様だけのMでしょうが」


「否定はせん、姉貴は強く厳しいからな。…ん?」


 今まで寝ていたためハインの傷付いた体を見て驚く。


「ちょ、マイケル、負けたのかよっ!?。オレじゃあ姉貴に勝てないことわかってんだろ!?」


「だれがマイケルだ、このジョンが。…いざとなれば命乞いでもすればいいじゃないか」


「……………。だなっ!」


「だなっ!じゃないよ!!。勝たなきゃお兄ちゃんと戦えないんだって」


 ジョ…トーマの頭を叩く。


「えぇ、別にいいじゃねぇか。ブラコンってのはよくわかったから股がらないで下さグブッ…!」


 追撃としてお腹にエルボー、一瞬白目になるトーマ。


 全くこいつはなにを言い出すと思えばブラコンだとは。


 お兄ちゃんは好きだけど異性としては見ていない、どちらかと言えば頼りがいがある方。そもそもあたしたち兄妹だし、現実的に好意が沸かないよ。うん。


「…うん、あのね欅ちゃん、股がるの止めようか、スカートの意味成してないかララァッ!?」


 目元にチョップ、グニャと鈍い音と共にトーマの断末魔が響いた。…しまった、反射的に物理いれちゃった!?


 トーマの目元を擦って謝る。


「ごめんトーマ!、あたしが悪かったのについ殴っちゃって。痛くなかった…?」


 ベンチから降りてトーマの様子を窺う。両手で擦りながらも頑張って笑う。


「…こういうときは素直で優しいんだな。出来れば物理をいれてこなければいいんだが…」


「ごめん~」


 悪い癖って中々とれないんだよ~




『そこのイチャついている少年少女のチーム!、早く選手を出してこないかっ!!』


 風音さんの怒号が会場内を響かせ現状を理解する。


 そういえば二回戦の前だった。


 トーマがいけね、とベンチから跳ね起きフィールドに走る。


「トーマ!、頑張ってね!!」


 急停止し振り返り右手を上に挙げて親指を上に突き立てた。




「見てろよ、オレの真骨頂!!」





(……真骨頂…?)





◆◆◆◆◆





『全く、今時隠れてうっかりパンチラなど、…けしからん、全くもってけしからんっ!!。不健全だっ!!』


((あんたが言うか……))


『私なら堂々と正面からスカートをたくし上げるぞっ!!』


((確かに………))




 はぁ…、手に負えないわ変態って。どうしようもなくて対応に困る。


 髪を掻き上げ溜め息を一つ吐いて、後ろに振り返り右手を前に出し飛んでくるあるモノを掴み握り潰す。


 上は固くて下は柔らかい、握る力を強めればオモチャのようにうめき声で応えてくれる。面白くて永遠と握り潰したくなるわねぇ~



「イダダダダダ、アネギイダイ…!!」


「面白いわねー、この顔面玩具」


「オモチャの表現が卑劣そうな表現になった!?じゃなくて真面目に痛いっす!!、頭割れるっす!」


 掴んだのは我が弟、トーマの頭。相変わらず握り潰しやすい顔の形をしてるわね。長年やり続けたからかしら。


 手を離すと力なくその場に崩れるトーマ。頭ではなく背部を擦ってるのは謎だ。


「…ったく、容赦ねぇな、姉貴は」


「あら、私は飛んできた玩具がんぐを握り潰しただけよ。自業自得じゃないかしら?」


「弟を玩具呼ばわりするかい…、悪くはねぇけどな」


「…あんた、調教(拷問)されたいのかしら?、今なら尋問する暇もなく殺せる気がするわ」


「最早調教の域を明らかに越えてるぞ!?」


「そう、じゃあ早速やらせてもらうわ」


「話訊けよ!?、試合前にミンチになるだろうが」


「…………」


 命拾いしたわねー、本来なら消し飛んでいたけど。


(…姉貴が言うと嘘に聞こえなくなるのが恐ろしい)



 仕方なくトーマに手を差し伸べ立ち上がらせ指定地につく。


 私を見てにやにやしているトーマが癪に触り生成した竹の槍をあいつの鼻に刺す。先は丸いので鼻を折るイメージ。


 折られても尚にやにやしてる、気持ち悪い。


「倒した張本人が無言で手を差し伸べて立たせる姉貴は可愛いなぁって。きーちゃんにもそんな態度とってんのか?」


「残念ながらこの態度はあんただけにしか見せないわよ。最愛の弟だから」


「…へ、嬉しいこと言ってくれるな。オレも最高に愛してるゴッ!?」


 槍を軽く押して空間に納める。あんたも充分嬉しいこと言ってくれるじゃない。姉弟愛が深まった気がするわ。




 目を瞑り一息つき魔力を体内に流し込み無詠唱で展開、服装が一瞬にして変わる。


 黒と赤のドレスで鎖や魔道具が幾つも提げられている。


 肘辺りから長い手袋をつけ両手に指輪の魔道具をはめていて大まかな装備の説明終了。いかにも魔王らしい服装だ。


 会場に数秒の沈黙が漂うが私が髪をなびかせ終えた瞬間に大歓声が会場に響き渡る。…うわぁ、五月蝿いわぁ、今すぐにも一般人という位まで降格したい。王女なんていいことないわよ。



『う、うおぉぉ!!、アクア様が決勝戦で初めてキャストオンしたぞっ!』


『だめだ、堪えられブッ!!』


『園長、私ももう持ちブッ!?』


((アナウンスルームが血の海と化した…))




「あ、姉貴…お前…結婚すんのか?」


「血の海になりたいかしら?」


「姉貴の幸せの為なら惜しくもない!!」


 誰よ、この子をこんなイケメンにしたのは。私の所為だけど。



 両手を叩き空間から紫色の大剣を引き抜き構える、と同時に刃の部分についている刃が下に下にと高速で回り始めた。


 それは木を切り落とす際に最も使われるあの『チェーンソー』のように。


 当然会場の空気が凍り張り詰め、トーマの血の気が完全に引いていた。


「…え、ちょ、なんすかそれ?」


大百足おおむかで。なんでも昔に使われていた武器らしく暇潰しに作ってみたのよ。良いデキだとは思わないかしら?。…あ、因みにこれが初見だから腕一本は覚悟してちょうだいな」


 刃の速さとか元の大百足より倍近く速いし、触れただけでも綺麗にすっぱんよ。


「いやいやいや、非殺傷設定はどこにいったんだよ、百パーセント一振りで両断じゃん!?」


 汗をダラダラと流すトーマに私はこう言う。


「一応非殺傷設定にはしてあるわよ。それに事前に言ったでしょ、腕一本は覚悟してちょうだいなって」


「ついさっきだしそういう意味だったのかよ!?」


 うん、多分大丈夫。斬る場所さえ間違えなければすっぱんはまずないわよ、出血多量確定だけど。


「つかあんたMなんでしょ?。これくらいの愛はどうってことないと思うわよ」


「Mだが嫌だ!。本人が確信持ててない時点で危ねぇじゃねぇか」


 …否定はしない。



 回る刃を止め背中に掛ける。




「じゃあ私たちで始めちゃいましょうか」


 アナウンス二人はしばらく寝ているから私たちが始めるしかない。


 理解したトーマは笑みを浮かべ空間を思いきり右手の甲で砕く。そして中から銀の斧『グレートアクス』を振り回しながら引き抜き両手で握ったところで地を蹴り接近してきた。



「なら試合開始だ…ぜっ!!」



 ふぅん、良い根性してるじゃない。ルール無視は嫌いじゃないわ。


 大百足を上で構え横薙ぎで振るってくる斧の中心目掛けて


「はぁっ!!」


 袈裟懸けで振るい受け止めた。



 ――否、刃を回し削る音と火花が斧から飛び散り鉄を切り落とした。


「んなのありかよぉ!?、うわぁっ!?」


 急いで斧を手離し後ろに下がることで大百足の一撃を回避する。



 …予想以上の切れ味。自分が言うのもなんだけど鉄を切るとはねぇ、たまげたわぁ。流石にもう少し回転速度を遅くしてもいいかしら。


 両手を胸の前に出して小刻みに震えながら最終的に自分を抱くトーマ。


「ぉぉぉおおお!!!!、もう勝てるわけねぇだろ!?、命に関わる大問題だぞ!!」


 正直恐ろしいのは当たり前、振るった自分ですら恐怖を感じた。


「まぁ、良いデータが手に入ったからよしと。よっと」


 大百足に雷属性の魔術を付加し身を沈め一気にトーマとの間合いを詰める。



 目の前まで跳び踏み込み袈裟懸けを右腕目掛けて振るう。


 両手を挙げ叫び絶体絶命のトーマには悪いけど、勝たせてもらうわ。





「なぁぁぁぁぁ!?――んてな」


「!?」


 が、〝ガィンッ!!〟と私の大百足がトーマが持つ大剣によって止められる。しかも刃まで。


 大剣を確認するとようやく状況を理解する。


 大百足を引き距離をとる。ドレスの埃を叩き溜め息を一つ。



「…どんだけ偽造物創るの早くなってんのよ、一振りしかしてないのに物質まで読み取るとは」


「なんつったって天才だかんな」


「ふふ、そうだったわね」


 私が言った『偽造物』とはトーマが創ったモノ。要はトレースしたのよ。


 あいつが握っているのは大百足の色、大きさ、重さが同じ大剣。唯一違うのは刃の回転が逆回転ということ。先に大百足の刃が止まった原因は逆回転した刃の所為だったのだ。


 そもそもトレースとは普通でも上級者でも不可能、常人を越える超人、俗に言う天才だけにしか使用することが出来ないスキル。


 縦横奥行きの立体的図を完璧に理解し構図や重さを調べその物を成り立たせている物質を理解し構成していく。


 術式というのは便利なもので物質まで創れてしまうのよ。但し術者しか干渉出来ない、売り儲けが出来ないデメリットがあるけど。


 天才ならではのスキル。天才でも特別な発想力を有する者しか使えない。


 …昔から暇潰しで勉学を学び続けたこの子からしては偽造物を創ることなんて楽なんでしょうね。勉学が好きなだけで一瞬で生成することが出来るなんて…異端よ。正統な目的でトレーススキルを手に入れた術者が不憫極まりないじゃない。



 トーマの斬撃を軽やかな足取りで躱しながら大百足を光に納めて新たに空間から銀の二丁拳銃を取り出す。


 距離を徐々に開けつつ左の銃を人差し指で回し右の銃で装填した魔力弾を全弾(12発)を高速で撃ち込む。


 当然偽百足を盾にして防ぐ。


「refract shot」


 その隙を突き術式を組んでいた左の銃を握りトーマへ全弾放つ。


 偽百足で私の二波は見えない形、しかも偽百足を構える動作をした瞬間に死角へ反射し



「……は?」


 トーマへ降り注いだ。



 爆発し爆風が飛ぶ、その中から破けた制服を着たトーマが転がってきた。


 …あれを着弾する前に数発落として直撃を避けたのね。


「ゲホッ、死角からの攻撃なんて聞いてないぞっ」


「あんたが頭だけの魔界人で助かったわ。技術まで異常だったら手に負えないものね」



 銃を空間に納め次に紅槍を引き抜き肩に掛ける。


「悪かったな、技術は姉貴に全部持ってかれちまったからどうしようも出来ないんだよ」


「そうとは言えないわ。現に今だって高速で偽百足を還元させて金槍を展開、銃弾を落とし被弾を避けたじゃない。充分よ」


「火事場の馬鹿力ってやつだ。馬鹿だってやるときゃやるんだよ」


 火事場の馬鹿力…ね。



 私は目を閉じ適当に紅槍を振り回す。舞うかのように。


 すると次々に金属が弾かれた音が紅槍から鳴り遠くで小さく爆発する。


 爆発が終わると同時に紅槍を地に突き刺す。


「まぁ、本音言えばコレ(紅槍)のスキル遺伝のおかげなんでしょうけど」


「その通り。つかきもっ、透明の弾を目瞑って弾くなんて人間かよ」


「魔界人よ」


 説明してなかったがこの紅槍、魔弾処理の性能が高くて半径50センチメートル離れた魔弾なら触れなくても原子レベルで破壊可能な武器なのよ。


 それをトレースしたためトーマの金槍にも反映したって話。トレースをされる側だとこの上なく厄介だ。


「ホント雑魚で助かったわ」


「ぐさっと来るなぁ。だがよ、普通の生徒にしては戦える方だと思わねぇか?」


「元々ここは戦う者しかいないから戦えるのは普通、只あんたが経験が多少あるだけ。殺しに関してなら藤四郎よ。仮にも魔王の血が流れてるんだから」


「長い長い!、説教なら聞き飽きた」


 その場に跳ね起きるトーマは金槍を納める。


 失礼ね、あんたの為を思って言ってるのよ?


「第一姉貴は16っつう若さでここまで強くなりすぎたんだよ。次期王だかなんだか知らねぇが一人で背負いすぎ、人生長いんだぜ?」


「…はぁ、私だってゆっくりしたいわよ。でもそうは言ってる暇もないの、政治や国を築く者の運命ってやつかしら。暇ならあんたも手貸してよね?、今は猫の手も借りたい状態なんだから」


「政治関連ならいいぜ、楽しそうだし」


 こんな奴に国の政治を任せて良いのだろうか。きっと皆思っただろう。


(いっその事こいつに魔王の地位を譲渡して楽になろうかしら)



 流石に止めておこう、築いてきた国が一瞬にして崩壊する地獄絵図が思い浮かんだ。


「助かるわ、ありがとう」


「いやぁ、姉貴に礼もらっちゃっぜ~。照れるなもー!!」


 純粋にきもいわー。純粋にきもちわるいわー


 赤くなって照れ隠しなのか、くねくねと身を自在に絡ませている。


 …初級回復魔法をするスライムを連想したのは私だけだろうか、いや、マニアもだろう。





「こらー!!。ちゃんと戦わんかぁぁぁぁ!!!!」



 と、相手側の待機席から如月妹が怒号を放ってきた。魔術での声量強化だから脳にまで響く。


 ぶれた焦点を合わせながら頭を左右に振る。…死ぬかと思った。


「うるせぇ!、オレは姉貴とイチャイチャしてるんだよっ!!」


「「そこで逆ギレ!?」」



 後ろの大将からも同じツッコミが飛んできたがスルー。



 …とは言うもののまともに戦えばまずトーマの首が飛ぶのよねぇ。普段ハンデ戦として戦ってるけどこいつにハンデを与える程甘やかすつもりはないし、撲殺してはい優勝ーだと今後の展開としては美味しくない。


 実を言うとリースは負ける前提で試合を見ていたんだけど賭けに負けたわよ。負けなさいよ。


 腕を組み効率がいい考えを絞り出す。


 如月妹とトーマが言い争っている中で一番効率の良い考えが浮かんだ。


「トーマ、上裸ブリッジしながら『オレはホモです、許して下さい』と三回言いなさい。したらあんたの勝ちにしてあげるから」


「ホモになんの関連性があるんだよっ!?、お断りだ!!」


 オーバーリアクションでの交渉決裂、会場のむさい男たちが歓喜の声をあげる。


「何故?、それさえ言えば無条件で勝てるのよ?」


 美味しすぎる条件だとは思えないのかしら。おかしいわね。


「いくら姉貴の交渉でも限度ってもんがあるじゃねぇか。男のプライドズタボロよ」


「プライド…ねぇ。端からないでしょ、負けるのわかってて戦ってる人なんかに。自覚してるんなら現状を見てから事を言いなさい。負けたら後ろの野獣に食い殺されるんじゃない?」



 紅槍を納め鼻で笑い後ろに振り返り歩く。



 …首が痛いわね、と首を左に捻る。



 すると元の場所に刀が走った。


 『飛燕』、私が昔愛用してた偽物、懐かしいわね。


 刀が引かれることを確認して上半身だけをトーマに向ける。


 さて、覚悟でも決めたかしら。




「…っ頭に来た、上等だ、オレの財産を全てぶつけて証明してやるぜっ!!、覚悟しやがれ!」



 ……ん…?。んぅ~…ん?。


 おかしい、逆に熱くなってないかしら、それこそサレンダーしない程。


 私挑発した覚えないわよ?、言ったの全部正論だし。間違った発言してないわよ。如月なら受け止めてくれる筈の教訓内容。


 …考えられる結論は挑発と勘違いした馬鹿、か。もう馬鹿死になさいよ、落馬で死になさいよ。



「…あんた、後悔するわよ?」


「その言葉、そっくり返してやるよ。姉貴こそオレの武器の多さに度肝抜くんじゃねぇよ!」



 もう吹っ切れたわ、悪いわね如月兄妹、私ダメみたい。



 溜め息を一つ吐き大百足を抜き構え、大きく跳躍した。





―――――





「オレはホモです、許して下さい!。オレはホモです、許して下さい!。オレはホモです、許して下さい!」




 ホモは嘘つき、よくわかるわね。



 トーマは上裸どころか下半身も裸の状態でブリッジで会場内の者たちに高らかに告白した。下半身はまずいので術式モザイクで隠したがなんかこう…汚いわね。どっかで見たことある絵だけど。女子から歓喜の叫びが上がるのが頭痛いわね…


 限界を向かえその場に仰向けに倒れるトーマの表情はどこかげっそりしていた。あと汚い。



「正直でいいわね、手間とらせたのが気に入らなかったけど」


「いやですね、現実みたら無理と感じたんですよ。でもわざわざ裸にしなくてもよかったんじゃねぇですかねぇ…」


「手間とらせた罰と捉えてちょうだい」


「すいません」


 武装を解き元の制服に戻し髪を掻き上げる。


「まぁ、あんたが言うように武器の量だけは気持ち悪かったわね。空間から飛ばす技術は面白かったわ、今後の参考にさせてもらうわ」


 十数年間私の武器を見続けていただけのことはある、しっかり創りきっている。ここだけは敬意を表しましょう。


 あとは使う自身の技術ね。


 現段階では動きに無駄が多いけど改善していけば、いつか化けるわよ。成長が楽しみってとこか。


 私はトーマまで歩み寄り手を貸さず私がトーマを起こした。


「とりあえずお疲れ様。こうして姉弟で戦う場が無かったから中々楽しめたわ。次は対等の力で殺り合えるのを楽しみにしてるわ、期待してるわよ、トーマ」



 それだけ言い私は観客に挨拶をしながら待機席に戻った。





◆◆◆◆◆





 拳を合わせあう桐佳たちとは反対の待機席では一匹の獣が人間を襲いかねない表情で立っていた。



「ウヘヘ、超デレた姉貴可愛すぎるんだけど」


「プライド無し変態魔界人は死ねぇぇぇぇ!!!!」


「グブゥ!、モザイクを蹴るなっ!?」


「寄るな寄るな寄ーるーなー!!。馬鹿っ!、変態っ!、ホモォ!!」


 欅の連続蹴りが次々にトーマのモザイクに打ち込まれ顔を青くするトーマ。


「ホモォ……」


「それ以上は止しとけ、子どもが産めなくなるぞ」


 割って入ってくるハインケルにより正気に戻りトーマのモザイクを擦ろうとするのもハインケルに止められる。それはあかんよ。


 泡を吹きながら失神するトーマをベンチ寝かせる。どうやらハインケルは回復したらい。


 腑に落ちなさそうな表情で俯く欅を見て微笑し頭の上に手を置くハインケル。


「こんな勝ち方、納得いかないよ」


「勝ちは勝ちだ。内容がどうであれ結果としてあいつは勝ったんだよ。酷い格好してプライドを捨ててまであいつはお前に繋げたかったんだろう。その意味を分かってやれ」


「………アクア様の言い分は正しいよね。すっごく頭に来たのに一切反論出来なかった」


「王たる威厳か、欅が割り込める頭を持ち合わせていなかったか」


「なんだとー!!」


 はははと笑うハインケルに赤くなり見上げる欅。




「けやき~…がん…ばれ~」


「………」


「頑張る理由が出来たな」



「……うん…!」




リ「瞬殺でしたね~」


桐「というかアクアに弟がいたなんてね~」


サ「トーマ様は自らを一般人扱いしているので名が知られていないんですよ」


桐「創造…かぁ、お爺ちゃんが得意だったっけ」


リ「博学な方なんですか?」


桐「テストで平均を少し上回った程らしい」


リ「………」


桐「今、自分にでも出来るって思ったでしょ?」


リ「い、いえ、そんなことないデスヨー(震え声)。…ナイデスヨ~」


サ「リース様、気を確かに!!」



次回『VS狂戦士』

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