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第一話『1-Bのお姫様』

一話、桐佳とリースの出会い。

 時は遡ること一ヶ月前。





「如月 桐佳です。皆さんとは年齢は違いますがよろしくお願いします」


 深々とお辞儀をして自分の席に座る。


 はぁ、緊張した~。


 周囲からは歳上? とか男の子? とか小声で囁かれてるけど気にしない気にしない。


 今日は始業式。学校が始まって初めての日で新しい人生のスタート地点。みんなシワがない綺麗な制服を着こなして早く楽しい学校生活を過ごしたいと言わんばかりの顔を浮かべている。ピカピカの一年生だね。



 …まぁ、僕はドロドロなんだけどね…。自己紹介で言ったように僕はみんなより一つ歳上、二年生なの。実際は…ね。


 別に自ら一年に来たわけじゃなく、自ら残ったわけじゃない、ただの赤点での留年です。勉学ではなく戦闘学で…。


 戦闘学と言ってもわからない人が大多数だと思うから遠回りでこの世界についてやこの学園についてを説明します。




 まず、この世界について。この世界は分けて三つの世界があります。


 僕みたいな人間が住む『人界』


 人間より優れた能力をもつ魔界人が住む『魔界』


 頭に大きな耳やお尻に尻尾を生やしている獣人や竜人が住む『獣界』の三つ。


 これらの世界をまとめて『三界』と呼ばれています。


 三界は一度戦争をした仲ですが今では互いに助け合うほどの良好関係を保っています。


 けれど一度は戦争をした関係、いつまた戦争を起こすかわからない状態を世界中の種族たちは毎日不安を抱えていた、そんな中人界の政府は一つの案を思い浮かびました。


『戦争を起こさせないほどの強い人材を作り世界の抑止力にしよう』


 政府はすぐに世界に召集をかけ案を発表しました。結果は全員賛成、すぐさま作業に取りかかりました。


 世界の科学者たちが日本に集まり発案者が三界の中心に次元の裂け目があることを見つけだして、そこに新しい世界『虚界』を創り虚界のなかで後にエリート育成学校と呼ばれる『翠碧学園』を創立した。


 あ、先に言っておきますが僕たち種族は皆『魔術』を使えることができます。


 はい、魔力を使って炎とか飛ばすあの魔術です。魔法じゃないですよ、あくまで魔術です。


 っと、話をもどします。


 翠碧学園は各世界の優秀な教員を雇うことや最高級の施設がたくさんあり、生徒たちの成長を助けるサポート、保険があり、翠碧学園を卒業をしていった生徒たちは素晴らしい人材となり世界を助けるヒーローになっていると聞いています。…まぁでも、卒業するまでに相当の生徒が学校をやめていくんだけどね。


 理由は大きく分けて二つ。翠碧学園って二つの学問があるの。勉学に戦闘学でね。


 普通の学校と変わらない勉学、翠碧学園は単位制でもちろん一単位でも落としたら即退学。


 戦闘学は武器や拳、魔術を使って勝敗を争って弱い人や成績が悪い人から退学させられる。正直凡人は一年ももたずに捨てられちゃうんだよね。


 うん、エリート中のエリートだから仕方ない。伊達に世界中の貴族様たちが入学してくるわけじゃないね。



 …ではなぜ平民、凡人、貧乏、凡夫、最弱の僕がこんな別世界のエリート学校に入ってたり留年した理由を説明します。なんだかすみません、説明しっぱなしで。あと少しなので軽く三点倒立していてください、気が楽になりますよ。


 まず、入学理由なんですが、実はうちのお父さん(実家は東京のアパート)が翠碧学園の学園長とお酒仲間で僕がお金がなく行ける学校がないところを


『行くとこないんだろう? ならうちに来るかい?』


『本当に? 感謝するよ~』


 てな適当なノリで承諾して無理やりここに入れたんです。僕の意志は? とか思ってたときは遅かったですね、もう入学式でした。…はぁ、慣れてますけどお父さんがここまでやってくれるとは思いも寄りませんでしたよ。


 人界の勉強しかできず戦闘などは無知な僕が入った当初、それはもう大変でしたよ。


 各世界の歴史を調べ学習し魔術についても頭に詰めて、決まりやマナーを毎日登校しながら復唱したりノートに書き写したりして、お金がないからバイトを掛け持ちして生活費を稼いだり新聞のクロスワードで食べ物当てたり、……はぁ、よく生きてたね僕、自分で自分を褒め称えるよ。


 そんなおかげか、死に物狂いで生きていた僕を心配してくれる人が現れたんだ。それが咲耶。咲耶は僕の最高の友達として支えてくれた恩人でもあるんだ。


 でもその反面、男子にも人気が出ちゃったことは話したくないので次。



 徐々に慣れてきた生活、楽しくなってきた生活だったけど一つ圧倒的欠点があった。それはやっぱり『戦闘学』。


 いくら戦っても勝てない、いくら戦ってもすべて負ける、僕の最大の難関で越えられない壁。結局一年が終わるまで一回も勝てなかった。


 さっきも言ったけど翠碧学園は戦闘が弱い生徒は赤点、即退学。 一年生の一学期が終わるときに僕は退学を予想していた。一回も勝てないんじゃあいる資格がないんだろうと思ってた。


 けれど学園長はこう言った。


『君は勉学でトップだから退学じゃなくて留年させてあげる』


 留年というシステムは元々翠碧学園にはなかったのに、僕は疑問を問いました。すると


『だってそっちのほうが面白いだろう? それに、来年の卵の面倒を見てほしいんだ。この役は君にしかできない、頼んだよ』



 僕は学園長の人形ですか!? …とか思った……のはなぜか次の日でした。なぜかと言うと留年より退学免除のほうにしか脳が行ってなかったからです。


 考えてもみてください。今僕が退学などという絶望を味わったら絶対人界のホームレスになるに決まっています…。学校も行かず無職でお金もなく野垂れ死ぬ運命、社会のゴミのまま誰からも気づかれずに死んでいく、まるでダメなクズになってしまう。だからむしろ僕的には留年は喜ばしいんです。


 咲耶や去年の友達には悪いけど生活がかかってる、僕はもう一年頑張ってみるよ。



 はい、長い説明を終わりにしたいと思います。


 気がついたときにはLHRも終わり、授業が終わっていたのでとりあえず机に突っ伏し欠伸を一つ。昨日もバイトで疲れてるんだ、…ちょっと寝ようかな。


「…寝るんだったら家かな」


 目的変更、家に帰ろう。


 そうと決まれば僕はカバンを持ち大勢いる教室を出た。





―――――



 寄り道も…いいよね、うん。目的変更、放って置けない娘を見つけた。見た目は幼くて可愛らしい…あれは『竜人』の娘か。


 見た感じ新入生、ていうかあの娘僕と同じクラスだった娘じゃないかな。おどおどした感じで同じ場所を行ったり来たりしてるけど、迷子かな。


 ちなみにここは翠碧学園で一番迷いやすい分かれ廊下、僕が一週間かけて覚えた今となっては良い思い出の場所。


 最初は誰でも迷子になるよ。迷子にならない新入生は化物レベルとして認識するって。


「君、大丈夫? っと、リース・マロンさん?」


 ということで走りより声をかける。


「…へ?」


 若干泣きそうな表情で顔を上げながら不思議そうに僕を見てくる女の子、確かリース・マロンさんだったよね。


「あなたは…如月先輩?」


「桐佳でいいよ。それより君、迷子だったでしょ」


「へ!? ど、どうしてわかったんですか!?」

 顔を真っ赤にしながら慌てだすリースの肩を掴み動きを止める。


「落ち着いて落ち着いて。ここは迷子になるのが当然の場所だからね。現に僕も去年そうだったし…」


「そうなんですか? よかったぁ」


 胸を撫で下ろし安堵の息を吐く。


「結構なれるまで時間が必要になるからね、ここはその中でもトップレベルで迷うから新入生は辛いんだよ」


 ごもっともですと言わんばかりに肩を落として表現するリースを見て微笑ましく笑う。


「それでどこに行こうとしてたの?」


「えっと…、学園長室です。学園長に用があって向かおうとしてたんですが見つからなくて…」


 あぁ、なるほどね。初日の僕と丸っきり一緒だ。


 僕はリースの目の高さまで姿勢を低くしにっこり笑う。


「そっか。じゃ、僕が案内するよ」


 その言葉に一気に表情が明るくなるリース。


「いいんですか! ありがとうございます、桐佳先輩!」


「先輩はやめてほしいかな…。うん、困ったときはお互い様だよ。さ、行こ」


 僕たちは肩を並べ廊下を歩き始めた。




―――――




「お、お姫様ぁ!?」


 はいと頷くリース。えっと…簡単に説明するとリースは獣界のお姫様らしい。お姫様ってかなりの権力者で貴族のトップのあのプリンセス?


 だとすると僕は別次元の女の子と肩を並べて学園長室まで案内させてるってこと…。



「……………」


 開いた口が塞がらず小刻みに頭が震えフクロウのように首が右に70度回る。


「あ、あの桐佳さん。そこまで強張らなくても大丈夫ですよ。むしろ私としては普通に接してもらったほうが嬉しいです」


「…うん」


 首をもとにもどし大きく深呼吸を一つ、気持ちを入れ換えた僕は右手をリースの頭の上に置きゆっくり撫でる。


 リースは僕を不思議そうに見上げてくるけど気持ち良さそうに耳をピクピク上下に動かしてる。


「これは友達としての挨拶代わりだよ。嫌だった?」


 頬を赤くして首を横に振るリースの表情は、懐かしいなにかを感じたような優しい微笑みだった。


「いえ、凄く嬉しかったです。頭を撫でてもらえるなんて母様以外いなかったから。えへへ…」


 照れくさそうに笑うリースの笑顔に僕も釣られて笑顔になる。不思議だね、彼女が笑うと自然とこっちも嬉しくなって笑顔になっちゃう。


「でもよかったよ。一年生の一番最初の友達がリースで」


 撫でるのを止め再び廊下を歩き始める僕たち。


「私も桐佳さんと一番最初にお友達になれてよかったです」


 はは、なんだか照れくさいな。


「…実は私、あまり友達を作るのが上手なほうじゃなくてお友達も少ないんですよ」


「へぇ、意外だね」


 リースの場合、ファンの生徒たちは友達だと思ってないんだね。


 うんうん、本当の友達は互いに理解し合わなきゃ築けない絆があるもんね。


 僕は困っているリースに声をかけたという行為によってすぐに関係が縮まり友達になれた。



 そうだな…と顎に手を当て考えだし三秒後、パッとひらめく。


「なら勇気を振り絞ってアタックだよ! 最初は挨拶だけでもいいけど徐々に理解し合って関係を縮めていけばいいんだ」


 僕はずっとそうしてきて勿論これからもそうするつもり。


 …まぁ、そのせいで変な男子に好かれちゃったんだけどね。はは…。


「アタック…ですか」


「心配しなくてもリースなら大丈夫だよ。なんてったってリースには人を幸せにさせる幸せな笑顔があるんだから、友達なんてすぐに作れちゃうさ」


 結構恥ずかしいことを言った気がするけどリースが嬉しそうに笑ってくれたからよかった。



「でも桐佳さんの笑顔もとっても素敵ですよ!」


 と思ったら衝撃発言。


 臓器から沸き上がってくるなにか、なにかが逆流し食道を通りそのまま口から吹き出た。


「ぶっ!! ぐぶっ!」


 びちゃびちゃとベタついた血液がカーペットに染み込み広がる。ちなみにリースは口を開け硬直。


 数秒の沈黙のあと僕はポケットに入っているハンカチを取り出し口元についている血を拭いハンカチをしまう。


「…ふぅ、じゃ、行こ」


「ちょ、ちょっと待ってください! 今口から出てきたのって血ですよね!? どうして何もなかったかのように平然としてられるんですか!? 」


「いいんだ、リースは悪くないよ。悪いのは警戒心を怠っていた僕の所為だよ」


「警戒心を怠ると吐血してしまうんですか!?」


 おかしいな。可愛いって言われるのには耐性がついたはずなのにな、リースは耐性を遥かに越える破壊力の持ち主なんだね。明日からは輸血パックを常備してなきゃ厳しいかな。


 ってあらら、リースがさらに慌てふためいてる。暴走しそうだな~。


 そりゃそうだ。いきなり隣の人が吐血するんだもの。驚かないほうが恐いか。


「どうどう。学園長室の前で暴れないで、怒られちゃうよ」


「桐佳さんの所為じゃないですか…って、へ? 学園長室?」


 体を180度回転。教室札を見たら『学園長室』と達筆で書かれていた。


 今まで激しい慌てぶりを見せていたリースが一瞬で静止する。


 その様子は強大な存在に直面し恐怖して動けなくなる、まるで百獣の王、ライオンに牙を向けられた草食動物のウサギのよう。この様子だとリースは学園長を知っている。


 心の中で苦笑いをし僕はリースの肩を掴み前に押す。


「仕方ない、僕も行くよ」


「うぅぅ、申し訳ありません。心強いです」


 心強いだなんて、僕が加勢したところでなにも変わらないと思うよ。相手は化物なんだし。


 右手の甲で扉を軽くノックしドアノブに手をかけ回し中に入る。



 学園長室は学校の職員室ほどの広さで綺麗。高価そうなソファーに数百冊の本が詰まっている本棚、ソファーの近くには麻雀卓が置かれており国士無双の役が作られていた。


 シンプルな部屋だけれど逆に広さを引き立たせる感じがある。



「お、来たね」


 部屋の窓に近い場所に置かれている机の前に出されている黒いイスに頬杖をつきながら座っている女性を見る。


 腰までかかる赤い髪に真紅の瞳、凛とした風格で黒いスーツを着用している。見た目は二十代の女性だね。


 名前は『不知火 風音』(しらぬい かざね)さん、翠碧学園の学園長で僕のお父さんの飲み友達で僕を学園に入れてくれた人。


「その言い方だと僕が来るのも分かってたんですね」


「君の性格上、リースちゃんを連れてくることは必然的だからね。ご苦労様」


「どうも」


 相変わらず冴えてる。


「おはようございます風音さん」


「うん、おはようリースちゃん。今日も可愛いね。結婚してくれないかな?」



「断ります」と即却下。はぁ…、本当にナンパ癖が酷い人だ。僕も彼女に何百回ナンパされたことか。


「リースちゃんはノリが悪いねぇ、もっと押してきても構わないんだぞ。というか押してこい」


「両手を広げて待ち構えても無駄ですよ」


「ならばリースちゃんが来るまで待ち続けよう!」


 かっこいいんだけど変態行為だと台無しですよ。


 イスに再び座り僕たちをイスに招く。失礼しますと言い座る。


「いきなりですみませんがリースと風音さんはどういう関係なんですか?」


「恋人だ」


「真面目に答えてください」


「夫婦だ!」


「ランクアップした!?」


 冗談だと軽く笑いながら答える風音さん。リースが困ってるのにこの人はフリーダムだね。


「リースちゃんは王族、私は学園長、これだけ言えば察しはつくだろう?」


 なるほどと頷く。


「風音さんには昔から世話になっていたんですよ」


「物心がついた頃から世話をしていたな」


「そりゃまた随分と長い付き合いですね」


 メイドかなにかだったのだろうか。ていうかリースが物心ついたときってまだ学園長って歳じゃ。


 この人のことだ、奇想天外な人生を送ってきたのだろう、多分。


「風音さん、今日はどのようなご用件で?」


 いつも笑顔のリースが初めてみせる真面目な顔。風音さんはそんなリースを見て頬杖をつき苦笑する。


「ふふ、そう堅くならずともいい。…そうだな、とりあえず入学おめでとう、そして学生として一界の姫としてこれから頑張ってほしい」


 意外とそのとき、風音さん普通。まともなことも言うんだね。



「さて、なら本題に移させてもらおうか」


「本題?」


 僕とリースが首を傾げてると、扉からノックがかかる。


「入れ」


 〝キィ〟と扉がゆっくり開き中から一人の少女が入ってきた。


 腰までかかる長く綺麗な黒い髪に黒い瞳を宿していて風音さんとはまた違った凛とした雰囲気を漂わせている女の子。


 確か、『アクア・ディード』さんだっけ。魔界のお姫様で僕やリースと同じ1-Bの生徒。…あれ、今年お姫様多くない?


 どんな娘だかはわからないけど、見た感じ人を寄せ付けないタイプ、関わりを持ちたくないような雰囲気。


 リースは…この娘を知らない、恐らく初対面だ。



 扉を閉め壁に背凭れで寄りかかり首を右に傾け気だるそうに僕たちを見てくる。


 敵視はされていない、けど警戒はされてる。


「彼女はアクア・ディードちゃん。君たちが知っての通りの魔界の若き姫だ。あんな態度をとっているが根は可愛い、仲良くしてやってくれ」


 果たして今の説明に可愛いは必要あったのだろうか?


 と、考えていたらリースが席を立ちディードさんまで歩み寄り深くお辞儀をする。


「初めましてアクアさん! 私はリース・マロウと申します!! お会いできてうれちっ!?」



 …あ、あはは。思いきり舌噛んで、痛そうに。


 目尻から涙を垂らし口を押さえるもなんとか踏ん張って押さえていないもう片方の手を前に出した。


「どぅか、おほぉもだちになってくらはい!!」


 必死だなぁ、可愛いけど。


 さて、どう対応する?。


「ええ、よろしく」


 目は変わらないけど小さく笑ってくれて挨拶を交わしてくれた。


 リース、嬉しそう。


 よかったね、僕の教訓が役に立ったのかな?


「早速仲良くなったか、良いことだ良いことだ。二界の姫君が並ぶことなんて滅多に見られん光景、僥倖だとは思わんかね? 桐佳ちゃん。」


「僥倖と言えばそうかもしれませんね」


 でもこれからは毎日見れるんだよね。なんだか夢みたいだ。


「が、仲良くなったところで悪いが君たちには明日、模擬戦をしてもらう」


「へ?」


 数秒の沈黙、そして


「えぇっ!?」


 リースだけ驚く。



 あー、予想通りの展開だ、ほら、ディードさんも元から分かりきっていたような顔してる。


 唯一、大きな目をぱちくりさせてるリースは驚きを隠せていない。


「時間は三限目の授業のときに特別にアリーナを使わせてもらう。成績には反映せず観客も1-Bだけだ、心配事はないだろう。いいな?」


 静かに頷くディードさんに対し未だ状況を把握しきれていなく石像のように固まるリース。






 さてさて、これは他人事でも凄いことになってきたよ、いや、ここにいる時点でもう他人事じゃないか。



 魔界のお姫様に獣界のお姫様の一騎討ち。怪我だけはしてもらいたくはないな。




 とか思っていた僕はこのときにはまだ知らなかったんだ。


 明日行う模擬戦がどれほど大きな出来事だったかを…。



桐「最近バトルスピリッツを買い始めたよ。」


咲「へぇ、何色の?。」


桐「初めてのバトルセット VSハイランカーの赤青デッキをアレンジして使ってるよ。」


咲「どれどれ、えっと、リペアリング・セーラスでコアブーストをしてオリンスピア競技場で攻撃を阻止して大型の上級スピリットを出すって戦法だね。」


桐「お金がないからカードが買えないけど、ヤマタノヒドラが欲しいなぁ。」


咲「強襲8…ゴクリ。」


桐「強襲デッキか粉砕デッキ、どっちにしようかなぁー。」

咲「とにかく人界に帰ってバトスピタワーでもやりに行こっ!。」


桐「あ、待ってよー。」


アクア「次回、『姫君の力』。よろしく。」

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