最強能力開眼!!!―堕天使覚醒―
炎と水がぶつかった瞬間。
俺の中で、何かが割れた。
胸の奥で、黒い衝動が脈打つ。
――ドクン。
赤い空が、一瞬だけ暗転した。
「……何だ、この感覚」
背中が熱い。
いや、冷たい。
いや、両方だ。
炎鎖と水律が同時に息を呑む。
「……まさか」
「その反応は――」
空間に文字が浮かぶ。
【称号獲得】
堕天使
地面が揺れた。
俺の背中から、漆黒の翼が二枚、ゆっくりと開く。
羽根は黒い。
光を吸い込むみたいに、深い闇色。
「は……?」
俺は自分の手を見る。
指先に、黒い光が集まっている。
「どうして俺が……」
答えはすぐに分かった。
未練だ。
アーシュへの執着。
天を望みながら、地に堕ちた存在。
それが、俺。
「なるほどな……天に背いた未練か」
炎鎖が低く呟く。
「完全な天使でも、悪魔でもない」
水律の声は静かだ。
「その狭間に立つ存在――堕天使」
地獄の鬼が唸る。
俺の視界に、新たな文字が浮かぶ。
【固有能力解放】
漆黒神秘
心臓が高鳴る。
「……必殺技、きた」
俺は右手を掲げる。
黒い光が渦を巻く。
炎も水も飲み込み、空気を歪ませる。
「漆黒神秘――!!」
放たれた闇は、赤い空を裂いた。
一瞬だけ、地獄の色が消える。
すべてが、黒に塗り潰される。
そして――静寂。
炎鎖が目を細める。
「……威力は異常だ」
水律が静かに言う。
「だが、制御不能ですね」
俺は膝をついた。
息が荒い。
力が抜ける。
でも、笑っていた。
「アーシュ……待ってろ」
堕ちたっていい。
闇でもいい。
それでも俺は――
お前のところへ行く。
黒い翼が、ゆっくりと揺れた。
地獄の空が、ほんのわずかに震えていた。
次回
「天界への進撃」




