82/90
炎鎖の魔術師登場!
赤い霧の向こうで、鎖の擦れる音がした。
――ジャリ、ジャリ……。
「誰だ?」
俺が振り向いた瞬間、炎が弧を描いた。
燃え盛る鎖が空を裂き、俺の足元に突き刺さる。
「不用意に歩くな。地獄はお前みたいな未熟者を歓迎しない」
現れたのは、金髪に傷のある男。片手には燃える鎖。
「炎鎖の魔術師――そう呼ばれてる」
鎖は意思を持つように蠢き、周囲の亡者を縛り上げた。触れた瞬間、炎が罪を炙り出す。
「転生したいんだろ?」
俺は息を呑んだ。
「だったら、まずは地獄に適応しろ。生き延びる術を覚えろ」
炎鎖が俺の腕に巻きつく。
熱い。だが、焼けない。
「素質はあるな。未練が強すぎる。悪くない」
「アーシュに会うためだ」
男は鼻で笑った。
「その執着、力に変えられるなら――面倒を見てやる」
炎が揺らめく。
「地獄で生きる術を教えてやる。だが甘えるな」
鎖が地面を打ち、赤い霧が割れた。
「来い、水谷誠司。ここからが本当の“地獄”だ」
俺は拳を握る。
転生できなくてもいい。
地獄を突破してやる。
炎鎖の魔術師と共に――。
次回
「水律の魔術師登場!!」




