地獄転生!? 俺とアーシュが出会うまで
俺はトラックに轢かれて死んでしまった!!!
いやマジで。
目の前にゲームショップの『ディグオンの伝説』新作ポスターがあって、ちょっとだけ視線を逸らした瞬間――ドン。
次に目を開けたら、空が赤かった。
真っ赤。
雲じゃない。霧だ。地面はひび割れていて、ところどころから炎が吹き上がっている。
「……ここ、異世界?」
ワクワクゼロ。
女神もいない。 ステータス画面も出ない。
代わりに、遠くから断末魔が聞こえる。
「え?」
足元を見ると、俺は裸足だった。
スマホ無し。 リュック無し。 俺とアーシュ~ TRUE LOVE 4EVER~ノート無し。
致命傷。
「いやいやいや、転生特典は?」
答えは返ってこない。
代わりに、背後から低い声。
「新入りですか?」
振り向くと、角の生えた男が立っていた。鬼。
「ここは地獄です。転生待機所じゃありません」
「は?」
「生前の未練が強い者は、すぐには転生できませんよ?」
未練。
脳裏に浮かぶのは一つ。
アーシュ。
でも、いない。
声も聞こえない。
いつも隣にいたはずなのに。
胸の奥が、ひどく冷える。
「じゃあ、どうすれば……?」
「さあ。ここを彷徨いながら、答えを導きだすしかないですね」
鬼はそれだけ言って笑った。
周囲には、呻き声を上げながら歩く人影がいくつもある。
皆、どこへ行けばいいのか分からない顔をしている。
俺も同じだ。
異世界チートも、 ハーレムも、 女神もいない。
ただ、赤い空と深い霧の廃墟。
俺はひび割れた地面を一歩踏み出す。
「……アーシュ」
返事はない。
でも、探すしかない。
ここが地獄でも。
たとえ、転生できなくても。
俺とアーシュ~ TRUE LOVE 4EVER~で終わる未来を、
俺は、まだ諦めていない――。
次回
「炎鎖の魔術師登場!」




