超超超超耳袋 捌 ――俺以外が参加していた、2―Aワイワイ♪LINEグループ。担任の岩長先生まで参加してたwちょw聞いてないwww(震え声)
及川さんは、翌週から登校した。
桜井さんが休み時間に西野くんの前で号泣したことは、俺が入っていないグループLINEで皆が共有していると、その時、クラスメイトが話していたのを聞いて知った。
――グループLINE、皆やってたんだ……。へぇ……。知ったところで、俺には関係ないけどな。……考えても仕方ない。忘れよーっと♪
俺はノートにアーシュのことを考えて書き始めた。
でも、今日は少し寂しい――。帰ろうかな? でも、給食食べてからにしよ。今日は、俺の好きな揚げパン。ノーマルときな粉の二種類だし。
ここは一つ冷えた牛乳で、一杯やりたい気分だ。
ノートに揚げパンとアーシュを描いた。
クラスのことは、どうでもよくなった。
俺は、思いきって、アーシュに言ってみた。
「俺、クラスのグループLINEに誰からも誘われてないんだ……」
「え? それって、何か困るの?」
「全然困ってない……」
「誠司は、俺だけの誠司でいて?」
「他の人とLINEしてるの、イヤ?」
「うん。イヤ……♡」
楽しく妄想しながら、揚げパンとハートを描いていると、突然机が動いて揚げパンの線がブレた――。
――え? なに?
俺は流石にムッとして、顔を上げると、及川さん、桜井さんがなんだかゴチャゴチャ話していた。
「インフルで休んだだけなのに、呪いって、なに? マジ止めて? ユッコはさ、たまに大げさなこと言うよね? 水谷くん可哀想じゃん?」
――えー。可哀想って思うなら、俺の机の前で喧嘩すんの、止めて?
及川さんが領域侵犯するのは、慣れた。
でも、喧嘩を止めて。二人を止めて。
LINEグループに誘われないのは実害ない。しかし、ノートの文字が歪むのは耐えられない。
ていうか、ユッコって、誰? 桜井有希子だから、桜井さんのことかな? 知らんけど。
「LINEグループで皆の前で呪いとか言われたら、水谷くんが可哀想。水谷くんは、呪いなんかしないよ」
――ちょ、待てよ。一軍同士の争いに、ダイレクトに俺を引き込む及川さんも、止めて?(震え声)
「ごめん――おいっちが居なくて……なんか、寂しかったぁ……」
――いつもの教室でぇ、桜井さんがぁ、西野くんの背に隠れながらぁ、泣いたぁ。(ウルルン滞在記)
「え? どういう状況?」
俺は、うっかり、声に出した――。
が、誰も俺の話は聞いてなかった!
「桜井さんさ、なんか、泣けば良いと思ってない? ごめん。そーゆーの、俺は無理」
西野くんが、及川さんの方に立った。
――地獄過ぎんだけど……? 頼むから、他所でやって……(震え声)
西野くんが、女子二人を焚き付けている――。一軍モテ男の無自覚な正義感に、俺は西野カナみたいに、震えるしかなかった。――西野だけにね!(震え声)
――リア充の三角関係を俺の机周りで、展開しないでくれ……。せめて廊下に出てくれよ……。
「ユッコ。水谷くんへ、謝りなよ!」
「へっ!?」
桜井さんは、一瞬、俺を睨み付けた。(震え声)
「俺、別に……謝ってほしいとか、ないよ……?(震え声)」
――桜井さんが、怖すぎて泣きそうになった。
「西野くん、おいっち、水谷くん、ごぉめぇん~」
桜井さん、泣き崩れたぁ――!!!(震え声)
「ええ? 気にしてないし……」
俺は苦笑いしながら、桜井さんを見つめた。
――が、無視された。桜井さんが話しかけてほしいのは、西野くんだ。……頼むから、西野くん……桜井さんを慰めて、どっか保健室にでも連れてってくれよぉ。
「宝愛瑠、行こ?」
西野が、桜井を置いて、及川と一緒に教室から出て行った。桜井は、俺の目の前で、更に泣いた――。
俺は、教科書とノートをリュックサックにしまって、早退した。
揚げパンよりも、心を守りたい――\(^o^)/
俺とアーシュは
~ TRUE LOVE 4EVER~だから――――!!!
次回
「超超超超耳袋 玖」




