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【完結】俺とアーシュ~TRUE LOVE 4EVER~  作者: 水谷誠司
超超超超耳袋 俺が全然恐くないシリーズ!!! だって、怖いのイヤじゃん? 夜トイレ行けなくなるし! ホラー映画は基本観ない! 映画なら、たべっ子どうぶつ派!!

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74/90

超超超超耳袋 肆 ――ニケルの声真似をした話

 ニケルの担当声優である、杉村信樹(すぎむらしんじゅ)の声真似をする俺。


 ニケルは『ディグオンの伝説』のチュートリアルキャラであり、プレイヤーであるアーシュに新しい技や連続技を教え、最初にアーシュが倒す激弱キャラでもある。


 序盤に出てくるモブofモブ。


 だが、人外デザインが多い『ディグオンの伝説』で、唯一の人型男性のイケメンキャラクターだ。


 杉村信樹のゲームデビュー作品でもあり、毎回ニケルを担当している。

 彼は今や人気声優ランキングで常に上位。声優事務所も構える程の大御所役者だ。


 ゲーム好きの陰キャを自称しているところも、俺はかなり好きだし、好感度が高い。

 流石に芸能界に入る勇気はないが、俺は杉村信樹のハイトーンなお兄声に憧れていた。



 なので、つい、うっかり――母親が買い物に行っている、留守の間を見計らい、スマホに向かって、ニケルの声真似を自宅のリビングにて本気で興じてしまった。


「良いぜ、アーシュ! そこで、スマッシュ!」

「Aボタン長押しで、力を溜められるぜ」

「エクセレント!」


 スマホで録音して、それを聞き返した。


――喉痛いけど、結構良い感じじゃね?


 俺はニヤニヤしながら、自分の才能に酔ってしまった。


 スマホを再生する。


 鼻にかかった感じ、杉村信樹ぽくね? いいねいいね。


 俺はアーシュのSDぬいぐるみを掴んだ。


 完全にニケル。


 いや、ニケルを超えた俺は、ぬいぐるみに向かって壁ドンした。


「動くな、アーシュ……」


 甘く、低く、囁く。


「お前のHP、もう半分だろ?」


 ぬいぐるみに顎クイした。


「回復アイテムは――俺だ」


 自分で言って痺れた。続ける。


「ポーションなんていらねぇ……俺がアーシュのエリクサーだ――」


 もう止まらない。


「MP切れか? だったら、俺がチャージしてやる」

 

「お前は、俺の装備欄に唯一セットできるレジェンド級アクセサリーだ」


 自分の知識で精一杯の甘い言葉を考えて、ノリノリで即興の演技を続けた。


「他の奴が触れたら、即バッドステータス付与だからな。お前は――俺専用だ」


 ぬいぐるみをぎゅっと抱き寄せる。


「お前が毒状態でも、俺が治す……麻痺でも、凍結でも、石化でも、全部、俺が解除する」


 ちょっと息が荒くなってきた。


「HPゼロになっても――俺がコンティニューしてやる」


 ぬいぐるみの頬を優しく撫でながら、


「アーシュ……お前は俺のセーブデータだ」


 言った瞬間――。



「誠司~。忙しいところ悪いけど、ちょっとスーパーで卵と、トマト買ってきてくれない?」



 買い物で居ないと思っていた母親が、台所から顔を出した。




 俺とアーシュは

 ~ TRUE LOVE 4EVER~だから――――


 俺とアーシュは

 ~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――

時価

「超超超超耳袋 伍」

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