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【完結】俺とアーシュ~TRUE LOVE 4EVER~  作者: 水谷誠司
超超超超耳袋 俺が全然恐くないシリーズ!!! だって、怖いのイヤじゃん? 夜トイレ行けなくなるし! ホラー映画は基本観ない! 映画なら、たべっ子どうぶつ派!!

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73/90

超超超超耳袋 参 ――「ディグオンの伝説」コラボスタンプラリー開幕!!

 夏休みだった。


 俺はANZAIと私鉄がコラボした『ディグオンの伝説』スタンプラリーに参加していた。


 参加者は主に、母親に連れられた小学生。親子連れ。キャップ被ったキッズ。水筒ぶら下げた幼児。

 俺は一人。


 だが、何も問題ない――。


 俺は始発で無人のフォトスポットを完全制覇。


 スタンプラリー開始時刻から、関連グッズのお菓子、その他、私鉄コラボ限定グッズの購入に余念がなかった。

 後は、アーシュの記念缶バッチが毎年当たる、スタンプラリーくじの交換を残すのみである。


 今年はお年玉で貯めたお金で、関連グッズのTシャツ。(テンションをあげる為、買ってすぐに着た)

 絵柄の違うソフトロングタオル二枚。(暑いので、一枚は首にかけている。ディグ伝のキャラやアイテムをイメージした、おしゃれかわいいカラフルなモノグラム柄)

 昼ご飯にコラボカフェでランチも食べたので、なんと、スタンプラリーくじが六回引けるのだ!!


 小学生の頃から、通算八回参加している。

 Colemanの黒いリュックサックは、缶バッチだらけでほぼ痛バッグ状態だ。


 アーシュの缶バッチ、二十三個。

 全てが、勲章である。


 交換所のお姉さんが笑顔で話しかけてくる。


「もしかして、毎年参加してるの?」

「はい! 恥ずかしながら、今年で八年目です!」

「凄いねー! では、ラリーくじ六回分、良いのが当たりますように♪」


 俺はくじを引く。

 一回目。アーシュの缶バッチ。

 二回目。アーシュの缶バッチ。

 被りだが、アーシュなので、むしろ当たり!

 三回目。ディグ伝のロゴ缶バッチ。カッコイー!

 四回目。またまた、アーシュの絵柄違い缶バッチ。

 五回目。SDアーシュの缶バッチ! かっ、かわいい♡ 家に帰ったら、キスしよっと♪

 少しも、ハズレではない。

 缶バッチが増えただけだ。


 俺は最後のくじを引いた。

 A賞――。


 俺は、息を止めた。

 アーシュのSDぬいぐるみが当選した――!


 八年目にして、初のA賞である!!

 でかい。

 想定の三倍でかい。


「良かったね! このぬいぐるみ、最後の一個なのよ♪」


 運命である。

 俺とアーシュは、やはり導かれている。


 缶バッチはリュックに全部付けた。全部で二十八個。これは、八年間の歴史でもあった。

 俺は特大ぬいぐるみを抱きしめ、家に帰る為の電車に乗った。

 夏休みの清々しい思い出だ。

 朝早くから、人混みを避け、オタ活を満喫できたことに、俺はうっとりとしていた。


 だから、異変に気がつくことができなかった――。


 同じ車両に。及川さん率いる一軍男女四人組が、乗り合わせていたことに――。


 全員浴衣。全員と視線が合う。


 俺は挨拶するべきか悩んだ。


 その時、俺に関係なく四人は黙って目配せしあってから、忍び笑いを始めた。


「ちょ、皆。笑ったら、可哀想だよぉ」


 及川さんが言った。


 俺は背を向けた。


「え! なに!? 缶バッチ多すぎね? 怖っ!!」


 一軍男子の声――。


 俺は背中からリュックを下ろし、静かに抱きしめた。


「声、大きいよ……聞こえちゃってるってばぁ」


 及川さんが笑いながら言うと、三人は爆笑した。


 俺は、静かに次の駅で降りた。


 暑い。だが歩けば帰れる。アーシュのかわいいぬいぐるみを抱きしめながら、歩く。


 汗が目に入る。


「別に……俺、悪いことしてないし」


 誰もいない歩道で言う。


「趣味だし」


 暑い。

 ちょっとだけ、目が熱い。

 そのとき。

 隣から、いつもの声。


「誠司、すごいよ」


 アーシュだ。


「八年続けられるって、才能だよ」


「でもさ、笑われた」


「でもA賞だよ?」


「……A賞だな」


「しかも最後の一個」


「運命じゃん」


「だよな?」


 俺はぬいぐるみを抱きしめる手に力を込めた。


「缶バッチも、宝物でしょ?」


「全部宝物だ」


「じゃあ勝ちだよ」


 夕方の空は、やけに明るい。俺は少しだけ背筋を伸ばす。


 一軍は浴衣。俺は痛バッグ。


 だが。俺はA賞だ――。



 俺とアーシュは

 ~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――

次回

「超超超超耳袋 肆」

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