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【完結】俺とアーシュ~TRUE LOVE 4EVER~  作者: 水谷誠司
超超超超耳袋 俺が全然恐くないシリーズ!!! だって、怖いのイヤじゃん? 夜トイレ行けなくなるし! ホラー映画は基本観ない! 映画なら、たべっ子どうぶつ派!!

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71/90

超超超超耳袋 壱 ――わりと守られた夜

 俺とアーシュは、駅へ向かう途中だった。


 五分くらいショートカットできる裏道がある。住宅街の外れの、古い神社を通るルートだ。


「ここ通れば早いし」


 俺はちょっと得意げに言った。地元感を出したかった。


 鳥居は色褪せていて、石灯籠も欠けている。

 夜になると、ちょっと(あくまで!)雰囲気が出るタイプのやつだ。


「別に怖くないけどな~☆彡」


 誰も何も言っていないのに、俺は言った。

 境内に入ったとき、社の脇に子供が立っているのが見えた。

 十歳くらい。みすぼらしい着物。裸足。

 じっと、こっちを見ている。

 俺は一瞬止まった。

 でも、ビビってると思われたくない。


「こっ……こんばんは」


 声がちょっと裏返った。

 子供は何も言わない。

 視線だけが動かない。


「え、無視? 俺、無視された?」


 小声でアーシュに言う。

 アーシュはポケットをごそごそして、あんパンを取り出した。


「パン食べる?」


 子供は答えないが、パンは受け取った。

 俺はなぜか軽く会釈した。


「お邪魔しました」


 なんで自分が神社に謝ってるのか、よく分かんない。

 二人は境内を抜けず、来た道を引き返した。


「いや、別に怖いとかじゃなくてさ。なんか、あの子、パン好きそうだったし」


 言い訳が雑だった。

 大通りに出た瞬間。


 キィィィィィィン!!!


 強烈なブレーキ音。

 大型トラックが信号無視で交差点に突っ込む。衝突音。ガラスの割れる音。


「えっ!? ヤバ!!」


 俺は固まった。


 もし境内をそのまま抜けていたら、ちょうどあの交差点を渡るタイミングだった。

 俺は腕時計を見る。


「……五分」


 五分、ずれている。


「……いや、たまたまだろ」


 声が小さい。

 アーシュが神社の方を振り返る。

 鳥居の奥。


 灯籠の上に、白い影がぴょん♪と跳ねた気がした。


「今さ、なんかいたよね?」

「いや? 俺は全然見てないけど?」


 何も見てないことにした。


 後日、その神社が稲荷を祀っていると知る。

 使いは狐。

 土地によっては子供の姿をとることもあるらしい。


「……あんパンで助かった説ある?」

「あるね」


 軽い。

 でもそれ以降、二人はその神社の前を通るたびに、

 なんとなく、

 軽く、

 ぺこっと頭を下げるようになった。


 俺は毎回こう言う。


「いや別に信じてるわけじゃないけどな?」


 毎回言う。


 俺とアーシュは

 ~ TRUE LOVE 4EVER ~



次回

「超超超超耳袋 弐」

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