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【完結】俺とアーシュ~TRUE LOVE 4EVER~  作者: 水谷誠司
超耳袋 拾篇

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69/90

超耳袋 玖――ホテル探しならコトリバゴ

 古い町に泊まる予定だった。


 水谷誠司とアーシュは、観光地から少し外れた商店街を歩いていた。予約していた宿が急に休業になり、別の宿を探しているところだった。

 

 夕方、閉まりかけた古道具屋の軒先に、小さな木箱が置かれていた。


 手のひらより少し大きい。


 黒ずんでいる。

 

「これ、何だろう」

 

 誠司が持ち上げる。

 意外と重い。

 

 そのとき。

 

 かすかな音がした。

 

 最初、猫の鳴き声だと思ったのに、

 赤ん坊の泣き声のようにも聞こえる。


 遠い――。


 箱の中からというより、空気の奥から滲むような音。

 

 誠司は動きを止めた。

 

「開けないで」

 

 アーシュが言う。

 

 理由はない。

 ただ、そうしたほうがいい気がした。

 

 誠司は箱を元の位置に戻した。

 

 店主らしき老人が、無言でこちらを見ていた。

 

 二人は何も言わず、商店街を抜けた。

 

 その夜、ようやく見つけた宿は、駅前の小さなビジネスホテルだった。

 部屋は狭いが、清潔だった。

 

 翌朝、古道具屋のある一角で建物の一部が崩落したと知る。


 老朽化が原因だったらしい。

 店は営業停止になったという。

 

 箱がどうなったのかは分からない。

 

 あの音が何だったのかも分からない。

 

 俺とアーシュは

 ~ TRUE LOVE 4EVER ~



次回

「超耳袋 拾」

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