特命リサーチ2010X 心霊体験徹底調査!!! 横浜市立東中学校の怪異!!!
(低く重いBGM)
■ 本部
薄暗い臨時モニタールーム。
チーフ、水谷誠司。
四角い眼鏡の奥の視線は鋭い。
その隣。
エージェントアーシュが、
寄り添うように画面を見つめている。
肩が、ほんの少し触れる距離。
「チーフ、映像来ています」
柔らかい声。
しかし分析は冷静だ。
■ 現地
エージェントニケル。
ヘッドセット装着。
赤外線カメラ。
高感度マイク。
温度センサー。
「現在、横浜市立東中学校。異常なし」
ナレーション:
我々ファー・イースト・リサーチに寄せられた
横浜市立東中学校・怪異報告は三件。
生徒達から届いた、噂や超常現象を
今回、徹底調査、解析を行う――。
(トゥトゥトゥトゥトゥトゥ――ドォーン!!!)
「File No.2026 学校の怪奇現象を調査せよ!」
【恐怖体験レポート1】
音楽室のピアノが鳴る
深夜0時38分。
エージェントニケルが実地調査に赴いた。
赤外線カメラ設置。
ピアノ前に高感度マイク。
――ポーン……
単音。
本部モニターに波形が走る。
アーシュが小さく身を乗り出す。
「チーフ、録音入りました」
チーフは冷静。
「鍵盤振動解析」
ニケル:
「湿度78%。
木製部材の膨張による微振動の可能性」
ナレーション:
グランドピアノは、
温度・湿度変化で弦がわずかに伸縮する。
説明は可能。
だが。
録音を再生すると――。
二音目が鳴る。
ニケル沈黙。
「……偶発的共振かもしれません」
【恐怖体験レポート2】
体育館で聞こえる呻き声
体育館。
暗闇。
マイク感度最大。
――ウゥ……
低い音。
アーシュが解析。
「周波数、30Hz以下。
風鳴りの可能性が高いです」
チーフ:
「換気口構造は?」
ニケル:
「空洞反響。
風速ゼロですが、温度差で微気流が発生しているかと」
ナレーション:
人間の耳は、低周波を“声”として誤認する場合がある。
しかし。
もう一度。
――ウゥ……ウゥ……
今度は、間がある。
ニケル:
「……録音続行」
明確な原因、特定できず。
【恐怖体験レポート3】
トイレの花子さん
女子トイレ前。
ニケルは廊下から赤外線カメラを設置。
「物理的侵入はしていません」
(※倫理的配慮)
センサー反応なし。
温度変化なし。
ナレーション:
花子さん現象は、
学校怪談の代表例。
共通項は“閉鎖空間”“呼びかけ”“沈黙”。
ニケルが試す。
「……花子さん、いますか?」
沈黙。
その直後。
トイレ個室のドアが、わずかに揺れる。
ニケル静止。
本部。
アーシュが無意識にチーフの腕に触れる。
チーフは動じない。
「空気圧変化の可能性」
ニケル:
「廊下と室内の温度差……説明は可能です」
だが。
映像を拡大。
ドアの揺れは、内側からのようにも見える。
(ノイズSE)
本部。
モニターが暗転。
チーフ、水谷誠司。
「結論は?」
ニケル:
「全て自然現象で説明可能“かもしれません”」
少し間。
「ただし、断定は困難です」
アーシュが静かに言う。
「怖さは、消えませんね」
チーフは資料を閉じる。
「恐怖は、理屈で完全に消えない」
右目が、わずかに熱を帯びる。
ナレーション:
横浜市立東中学校の怪異。
超常現象の確証は得られなかった。
しかし――
説明しきれない余白は残された。
我々ファー・イースト・リサーチは
今後も調査を継続する。
モニターに表示。
【CASE FILE:OPEN】
俺とアーシュは
~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――
(電子音フェードアウト)
次回
「実話怪談 超耳袋 壱」




