俺の右目だけがスレンダーマンを見る
最初に気づいたのは、
写真だった。
文化祭の打ち上げ前、
クラスで撮った集合写真。
俺は、
なんとなく拡大した。
一番後ろ。
窓の外。
白い、
細長い顔。
……いや。
顔が、ない。
黒いスーツ。
異様に長い腕。
「……は?」
もう一度見る。
いない。
普通の校舎。
気のせい?
俺は、
右目をこする。
呪鏡眼。
見えなくていいものを
拾う目。
もう一度、
拡大する。
今度は、
はっきり見えた。
長い。
異様に。
人より、
明らかに。
そして――顔がない。
「……スレンダーマン」
名前が、
自然に浮かんだ。
都市伝説。
ネット発祥。
森に出る。
でもここは、
校舎だ。
「誠司?」
アーシュが、
隣に座る。
「何見てるの?」
俺は、
画面を見せた。
「ここ」
アーシュは、
目を細める。
「……何もいないよ?」
心臓が、
嫌な跳ね方をした。
「いる」
俺は、
断言した。
「ここに」
アーシュは、
俺の顔を見る。
「右目?」
俺は、
ゆっくり頷く。
そのとき。
教室の窓の外。
――いた。
立っている。
校庭の端。
長すぎる影。
誰も、
気づいていない。
スレンダーマンは、
動かない。
ただ、
見ている。
俺だけを。
右目が、
じわりと熱い。
「……なんで俺だけ」
アーシュは、
静かに言った。
「誠司」
「それ、本当に
外にいる?」
俺は、
答えられなかった。
呪鏡眼は、
“見える”。
でも。
見える=存在する
とは限らない。
スレンダーマンは、
一歩、
前に出た。
誰も気づかない。
音もない。
でも、
距離が縮まる。
怖い。
でも――
逃げない。
俺は、
右目を開いたまま
睨み返す。
「……見えてるぞ」
その瞬間。
スレンダーマンは、
消えた。
跡形もなく。
風も、
揺れもない。
ただ、
いなくなった。
俺は、
大きく息を吐く。
「……いた」
アーシュは、
俺の肩に手を置いた。
「誠司」
「俺は見えないけど」
「誠司が見たなら、
それは“誠司の世界”にいる」
怖さが、
少しだけ
形を失う。
スレンダーマンは、
捕まえられない。
証明も、
できない。
でも。
俺の右目は、
嘘をつかない。
そして。
俺が
一人じゃないことも、
確かだ。
俺とアーシュは、
~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――
次回
「緊急検証!ヒバゴン・クッシー・人面犬は実在するのか!?~追跡せよ!地方怪異三大決戦~」




