赤き眼は災厄を告げる――モスマン前兆説
それを見たのは、
放課後だった。
空が、
妙に低い日。
雲が、
重たい。
校舎の屋上を見上げた瞬間――
いた。
赤い、
二つの光。
瞬きしない。
動かない。
ただ、
こちらを見ている。
「……モスマン」
名前が、
自然に浮かんだ。
都市伝説。
大きな翼。
赤い目。
災害や事故の前に、
現れる存在。
俺の右目が、
焼けるように熱い。
呪鏡眼が、
反応している。
見える。
はっきりと。
屋上の端に、
人影。
でも、
人間じゃない。
背中から、
影のようなものが
広がっている。
羽?
いや、
闇。
「……見てる」
俺は、
動けなかった。
怖い。
でも、
目を逸らせない。
その瞬間。
チャイムが鳴った。
キーン……コーン……
赤い目が、
消えた。
まるで、
最初から
いなかったみたいに。
でも。
俺の心臓は、
まだ早い。
「誠司?」
アーシュが、
後ろから声をかける。
「……今、
屋上に何かいた」
アーシュは、
ゆっくり屋上を見る。
「……何もないよ」
知ってる。
見えるのは、
俺だけだ。
モスマンは、
“前兆”。
何かが、
起きる。
その日の夜。
急な豪雨。
停電。
ニュース速報。
近くの橋で、
事故。
俺は、
画面を見つめた。
偶然?
それとも――
「……予兆」
背筋が、
冷える。
でも。
そのとき。
アーシュから
メッセージが来た。
『無事?』
それだけ。
短い。
でも、
十分だった。
モスマンが
何を告げようと。
俺は、
一人じゃない。
もし本当に
前兆だとしても。
見たのは、
俺だ。
なら。
守る側に回ればいい。
赤い目が
告げるのは
災厄かもしれない。
でも。
俺の右目は、
逃げない。
そして。
俺とアーシュは、
~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――
次回
「俺の右目だけがスレンダーマンを見る」




