吸血は神話ではない――チュパカブラ目撃記録
その朝、
学校に変な噂が流れた。
「山の方で、
血を抜かれた動物が
見つかったらしい」
誰かが言った。
冗談みたいな口調だった。
でも、
俺は反応した。
チュパカブラ。
家畜の血だけを抜く、
未確認生命体。
海外の話のはずなのに、
最近は
日本の目撃情報も増えている。
偶然?
俺は、
昼休みに調べた。
写真。
証言。
傷口の位置。
どれも、
共通点がある。
噛み跡が少ない。
血が、
不自然に無い。
……やっぱり。
俺は、
真剣だった。
怖い。
でも、
それ以上に――面白い。
放課後。
俺とアーシュは、
少し遠回りして
帰ることにした。
理由は、
山に近いから。
「……本気だね」
アーシュが、
楽しそうに言う。
「うん」
俺は、
即答した。
「これは、
確認しないといけない」
空気が、
少し冷たい。
草むら。
影。
犬の鳴き声。
全部が、
それっぽい。
「怖くない?」
アーシュが聞く。
「怖い」
正直に答える。
「でもさ」
俺は、
前を見る。
「怖いってことは、
まだ知らないってことだ」
アーシュは、
一瞬きょとんとして、
笑った。
「……それ、いいね」
二人で、
足を止めた。
風が吹いて、
木が揺れる。
その瞬間。
草むらの奥で、
何かが動いた。
――ガサ。
心臓が、
跳ねた。
俺は、
息を止める。
呪鏡眼が、
じん、と反応した。
黒い影。
低い姿勢。
……犬?
いや、
違う。
アーシュが、
小さく言った。
「……あれさ」
「チュパカブラ、いるね!」
声が、
弾んでいる。
怖がってない。
むしろ、
楽しんでる。
影は、
一瞬こちらを見て、
森の奥へ消えた。
証拠は、
残らなかった。
写真も、
撮れなかった。
でも。
俺は、
確信している。
「……いた」
アーシュは、
満足そうに頷いた。
「うん。いたね」
帰り道。
空は、
少し暗い。
怖さと、
高揚感が
同時に残っている。
UMAは、
世界を壊さない。
ただ、
世界を
面白くする。
俺とアーシュは、
同じ夜を見て、
同じ噂を信じた。
それだけで、
十分だった。
俺とアーシュは、
~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――
次回予告
『赤き眼は災厄を告げる――モスマン前兆説』
見た者の前に、
必ず
何かが起きる。
次は――
予兆だ。




