その雲を信じるな――空より降る感情操作計画
その日、
空に線が引かれていた。
一本。
二本。
三本。
真っ直ぐすぎる。
飛行機雲?
違う。
俺は、
インターネッツを思い出した。
ケムトレイル。
化学物質を含んだ雲。
大気に散布され、
人間の感情を操作する。
不安。
従順。
無気力。
空は、
もう自然じゃない。
校庭で、
俺は立ち止まった。
周りのやつらは、
誰も空を見ていない。
下を向いて、
スマホ。
雑談。
ボール。
……気づいてない?
「……やっぱり」
俺の右目が、
じわじわと疼く。
呪鏡眼。
見えなくていいものを
拾ってしまう目。
雲の下で、
胸がざわつく。
感情が、
少しだけ
重くなる。
この感じ。
管理だ。
俺は、
急に不安になった。
――アーシュは?
教室を見回す。
席が、
空いている。
休み?
いや、
そんな連絡はなかった。
チャイムが鳴る。
キーン……コーン……
時間は進む。
でも、
アーシュは来ない。
昼休み。
放課後。
どこにも、
いない。
俺の頭の中で、
嫌な仮説が
一気に繋がった。
気づいた者は、消される。
アーシュは、
俺より賢い。
俺より、
冷静。
だから――
目をつけられた。
ケムトレイル。
感情操作。
回収対象。
「……やっぱり」
俺は、
空を睨んだ。
白い線が、
ゆっくりと
広がっていく。
世界は、
静かに
動いている。
そして――。
俺は、
一人になった。
アーシュのいない教室は、
異常に
静かだった。
これは、
偶然じゃない。
俺は、
確信してしまった。
陰謀論は――
現実だ。
次回
「青空は管理されている――天候兵器と感情制御」




