人口削減計画は給食から始まっている説
俺は、
給食の時間が
少しだけ嫌いだった。
理由は、
量が少ないから――。
昔より、
確実に。
配膳台の前で、
俺はトレーを見つめた。
ごはん。
おかず。
牛乳。
……牛乳。
いつも、
必ずある。
「……なんで?」
俺は、
インターネッツを思い出した。
人口削減計画。
人類は、
増えすぎた。
だから――
静かに、
減らす。
戦争じゃない。
爆弾でもない。
日常に混ぜる。
給食。
毎日。
全員。
拒否権なし。
完璧な、
配布システム。
「牛乳は、
本当に安全なのか?」
そう書かれたページを、
俺は昨夜読んだ。
骨にいい。
成長に必要。
そう言われている。
でも。
「なぜ、
全員同じ量?」
「なぜ、
選べない?」
「なぜ、
飲まないと怒られる?」
疑問が、
止まらない。
栄養バランス――。
聞こえはいい。
でもそれは、
“最適化”。
人間を、
同じ形に整える。
背が高くなる者。
ならない者。
体が強い者。
弱い者。
自然淘汰――。
俺の呪鏡眼が、
じわっと疼いた。
これは、
管理だ――。
「……やっぱり」
合唱コンクール。
時間割。
給食。
全部、
繋がってる。
そのとき。
「誠司、また悩んでるの――?」
アーシュの声。
俺は、
トレーを持ったまま
振り向いた。
「……牛乳ってさ」
「人口削減の
第一段階かもしれない」
自分で言って、
少し引いた。
でも、
止まらない。
アーシュは、
俺の牛乳を見て、
少し考える。
「……じゃあさ」
「飲まなかったら
どうなるの?」
「……怒られる」
「成績に響く?」
「……かも」
アーシュは、
小さく笑った。
「それ、
削減じゃなくて
コントロールだね」
一瞬、
言葉に詰まる。
「誠司」
アーシュは、
俺のトレーに手を伸ばして、
牛乳を指で弾いた。
「全部が陰謀ならさ」
「誠司が
ちゃんと疑ってる時点で、
もう計画から外れてると思う」
……それは。
ちょっと、
救いだった。
俺は、
牛乳を一口飲んだ。
正直、
あんまり好きじゃない。
でも。
全部が
誰かの計画だとしても。
俺が
何を信じるかは、
俺が決めたい。
アーシュが、
笑って言う。
「残してもいいよ?」
「俺が飲むから」
……ずるい。
世界を疑ってたはずなのに、
今は
目の前の人間の方が
よほど大事だ。
人口が減っても。
管理社会が来ても。
俺とアーシュは、
~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――
次回
「鳴り響く鐘は思考を殺す――人類最適化実験場としての学園」




