ホロウムーン説――月は誰のものか?
その夜、
月がやけに近かった――。
俺はインターネッツで、
またまた“答え”に触れてしまった――。
月は、人工物。
ホロウムーン。
中が空洞の、巨大な観測装置。
笑えるはずなのに、
資料を見ているうちに、
笑えなくなった。
月面写真。
規則的すぎるクレーター。
「衝突痕じゃない」
「出入口だ」
誰が、
そんなものを作った?
ページをスクロールすると、
名前が出てくる。
NASA
JAXA
どちらも、
“月の内部データは未公開”。
未公開。
理由は、
安全保障。
……安全?
何から、
誰を守ってる?
俺の右目が、
ひりっと疼いた。
呪鏡眼。
満月の夜だけ、
強くなる気がする。
「月は、
地球を観測している」
「感情の波。
文明の進度。
反乱の兆し」
そんな文が、
平然と書いてある。
怖い。
でも、
日本人には、
もっと古い“月の話”がある。
竹取物語。
月から来た、
かぐや姫。
地上を観察し、
期限が来たら、
帰る。
不老不死の薬。
天の羽衣。
……暗号じゃない?
月は、
帰る場所。
地上は、
実験場。
物語は、
真実を隠すための
“包装紙”。
俺は、
窓の外を見た。
校舎の上に、
白い月。
体育館の屋根。
理科室の窓。
全部、
照らしている。
「……見られてる」
そのとき。
「誠司」
アーシュの声。
振り向くと、
アーシュも窓の外を見ていた。
「月、
きれいだね」
俺は、
喉が鳴った。
「……月ってさ」
「観測装置かもしれない」
言ってから、
恥ずかしくなる。
でも、
アーシュは笑わなかった。
「もしそうでも」
「誠司が考えてること、
俺は嫌いじゃない」
アーシュは、
俺の肩に触れる。
あったかい。
「月が何を見てても」
「俺は、
今ここにいる誠司を見てる」
右目の疼きが、
すっと引いた。
満月は、
相変わらず白い。
でも、
怖さは少し薄れた。
NASAも、
JAXAも、
竹取物語も。
全部、
“遠い”。
今、
一番近いのは――
隣の体温だ。
月が人工物でも。
世界が観測されていても。
俺とアーシュは、
~ TRUE LOVE 4EVER ~だから――――
次回
「色彩と旋律は人を縛る――アニメ暗号支配論」




