イルミナティ片目支配説――呪鏡眼が疼く夜
俺は、また――
見てはいけないものを
見てしまったのかもしれない――。
インターネッツを彷徨っていて、
偶然辿り着いたページ。
そこに書かれていた言葉。
「片目を隠すポーズは、合図だ」
最初は、
意味が分からなかった。
でも、
画像を見た瞬間、
息が止まった。
芸能人。
アニメキャラ。
アルバムジャケット。
全員、
片目を隠している。
手で。
影で。
構図で。
偶然にしては、
多すぎる。
「これは、
イルミナティの暗号だ」
そう書いてあった。
世界を裏から支配する
秘密結社。
片目は、
「選ばれた者」の印。
もう一方の目は、
世界を“正しく”見ている証。
……その瞬間。
俺の右目が、
ズキッと疼いた。
呪鏡眼。
祟り神が宿る、
俺の右目。
見たくなくても、
見えてしまう目。
「……まさか」
背中に、
冷たい汗が流れる。
俺は、
無意識に鏡を見た。
右目だけ、
少し赤い。
まるで、
何かに反応しているみたいだ。
紙幣のデザイン。
ピラミッド。
頂点の目。
アニメの演出。
意味深なカット。
主題歌の歌詞。
全部、
偶然じゃない――?
全部、
“知らせている”――?
世界は、
片目で管理されている――。
見えてしまう者だけが、
真実に気づく。
俺の右目は、
その「目」なんじゃないか――。
怖い。
でも、
納得してしまう。
今まで、
感じてきた違和感。
視線。
監視。
説明のつかない不安。
全部、
繋がる。
そのとき。
「誠司」
アーシュの声で、
我に返った。
俺は、
画面を指さして言った。
「……片目を隠すのってさ
合図らしい」
アーシュは、
画面を一緒に見て、
少し黙った。
「……確かに、
多いね」
否定しない。
でも、
怖がらせもしない。
アーシュは、
そっと俺の手を取った。
「でもさ
誠司の右目は、誰かに選ばれた印じゃない
誠司が、自分で背負った力だよ」
その言葉で、
右目の疼きが
少しだけ収まった。
世界が、
誰かに支配されていても。
片目の暗号が
飛び交っていても。
俺が見ているのは、
アーシュだ――。
俺の隣にいる、
本当の現実だ――。
「……なあ」
俺は言った。
「もし俺の目が、
世界の真実を見てるとしても」
「俺は、
アーシュと一緒にいたい」
アーシュは、
静かに頷いた。
「うん
それが一番、
大事だと思う」
呪鏡眼が視るのは、
闇だけじゃない。
今、
確かにある光もだ。
俺とアーシュは、
TRUE LOVE 4EVERだから――――。
次回
「ホロウムーン説――月は誰のものか?」




