呪鏡眼――学園に巣喰う祟り神
俺の名前は水谷誠司。
少し、影のある十四歳。
俺の右目には、祟り神が宿ってしまった。
そのせいで、
この世界の“裏側”が見える。
死霊、魑魅魍魎、
人の形をした“それじゃないもの”
この目は
呪鏡眼
と呼ばれ、昔から恐れられてきた。
見たくなくても、見えてしまう。
だから俺は、
いつも右目を閉じて生きている。
その秘密を知っているのは、
クラスメイトのアーシュだけだ。
「無理すんなよ、誠司」
そう言ってくれる、
信頼できる相棒。
そして――恋人だ♡♡♡
事件が起きたのは、
放課後の旧校舎だった。
アーシュが、
戻ってこない。
胸が、嫌な音を立てる。
俺は右目を開いた。
――見えた。
天井に張りつく、
黒く歪んだ影。
学園に棲みついた化物。
生徒の“不安”を喰らう存在だ。
旧校舎の廊下の奥で、
アーシュが立ち尽くしている。
「……誠司?」
化物の声が、
アーシュの声を真似ていた。
許さない。
俺は呪符を取り出す。
ポケットに、
いつも入れてある。
「――顕現せよ、
黄泉路の理!」
呪符が燃え、
結界が張られる。
化物が、
悲鳴を上げた。
「視えぬ者を欺けど、
呪鏡眼は欺けぬ!」
俺は右目を見開く。
「封呪・鎮魂陣!!!!」
床に描いた陣が光り、
化物の動きが止まる。
でも、
まだ足りない。
化物は、
アーシュに触れようと伸びる。
「誠司!」
アーシュが叫ぶ。
俺は前に出た。
「大丈夫だ。俺がいる」
呪文を、
最後まで唱える。
「――祟りを還せ、
影を影へ。
滅呪・夜反!!!」
光が爆ぜた。
化物は、
霧みたいに消えていく。
静寂――。
旧校舎は、
ただの古い建物に戻った。
アーシュが、
俺に駆け寄り抱きついた。
「……助けてくれて、ありがとう」
俺は、
少し照れながら言う。
「当然だろ。
俺は、
アーシュのナイトだから」
アーシュは笑って、
俺を見つめた。
右目の奥で、
祟り神が静かになる。
今日は、
世界が救われた。
明日もきっと、
何かが起きる。
でも大丈夫だ。
俺には、
呪鏡眼があり、
呪符があり、
そして――
信じてくれる相棒がいる。
学園の闇は、
俺が祓う。
悪鬼羅刹?
上等だ。
これは、
俺とアーシュとの
新たな冒険譚なのだから――――。
次回
「ライバル登場? 九十九狂死郎!」




