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この孤独(きもち)は分け合えますか?  作者: 暦海


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新生活です!

「……これって、現実なんだよね……?」



 馴染みのないベッドに仰向けになり、見慣れない白い天井をぼんやり眺めそんな呟きを洩らす。そんな私がいるのは、例の約束通り夜野(やの)さんが用意してくれた、1K8畳のアパートの一室で。


 もっと良い部屋を用意できないことを彼は申し訳なさそうにしていたが、一人暮らしでこれなら少なくとも私にとっては十分すぎる。そもそも、私は金銭的事情もあり専ら1Rの部屋を探していた。なのに、よもやこんなにも良い部屋を貸してもらえて、むしろこちらが些か申し訳なさを覚えるくらいで。



 ……ただ、それはそれとして……本当に、あんなのでごまかせたのだろうか。我ながら、お粗末という他ない酷い演技だったし。



『……あ、その、はい、私は、その……夜野さんの……その、こ、こいびと、です……』


 ……うっわ、思い出すだけで顔から火が出るほど恥ずかしい。もはや演技とすら呼べないよね。実際、相手の女性も最後まで怪訝そうな表情(かお)してたし。


 ……だけど、よくよく考えるとごまかせたかどうかは関係ないのかもしれない。もしかすると、夜野さんの真の目的は恋人がいると思わせることではなく、恋人を紹介することそのものかもしれないから。


 つまりは、本当に彼に恋人がいると信じて身を引いてくれたらそれで良いし、今回の私のようなお粗末極まりない演技のせいで嘘だとバレてしまっても、それはそれで構わない。そうまでして――わざわざ偽の恋人を用意してまで恋人がいると嘘を吐く夜野さんに対し、相手も流石に脈がないと悟って身を引くかもしれないから。……まあ、あくまで私の推測でしかないけどね。





「……やっぱり、現実だった……」



 それから、翌朝のこと。

 午前六時頃、ぼやけた私の視界に映るは昨日(さくじつ)と同じ白い天井。その光景に、本当に現実だったのだと改めて身に染みる。寝惚け眼を擦りつつ、ゆっくりベッドから身体を起こし立ち上がる。今日からここから学校に通うのだと思うと、改めて不思議な感じだ。


 ともあれ、起き抜けの私がまず足を運んだのはキッチン。愛用しているドリップポットで淹れたコーヒーをゆったりと嗜む――これが、基本的に毎朝欠かさず行う私のルーティンだ。


 それからおよそ一時間ほど、 机に向かい一心に勉学に励む。元々はあの母に押し付けられた習慣なのだが、これに関しては多少なり感謝の念を覚えていたりする。今までの体感上、どうやら私個人としてはとりわけこの時間の勉強が捗るみたいだから。



「……そろそろ、時間かな」


 そう呟きつつ立ち上がり、ぐっと身体を伸ばす。それからさっと身支度をし、登校の準備を整える。そして玄関を出るやいなや、思い掛けず感慨を禁じ得なかった。



 ……空って、こんなに綺麗だったんだ。



 



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