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この孤独(きもち)は分け合えますか?  作者: 暦海


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ちょっぴり不思議な大家さん?

「――ありがとうございます、藤川(ふじかわ)さん。本当に助かりました。約束通り、こちらの御部屋は自由に使用して頂いて構いません。もちろん、事前に申し上げたように賃料もいりません」

「……あ、はい。……ありがとうございます」



 それから、およそ一時間後。

 そう、柔和に微笑み恭しく謝意を述べてくれる美男子。そんな彼に対し、些かたどたどしく私も謝意を伝える。


 ……いや、だってさ。あの流れだったら……その、やはりあの手のお願いなのかと。でも、実際には全然違ったわけで。いや、もちろんそれは全然良いというか、むしろありがたいのだけど……ただ、何と言うか、自意識過剰みたいで恥ずかしいなと……。




『――ありがとうございます。……あ、ところで自己紹介がまだでしたね。私は夜野(やの)桜雪(さゆき)と申します。それで、お願いについてなのですが――実は、私の恋人役を務めて頂きたく存じます』

『…………え?』


 再び、時は一時間ほど遡り。

 私の返答を聞いた後、安堵したように感謝を告げそう申し出る夜野さん。……ん? なんか想定してたのと違うような……そもそも、恋人役って何すれば良いの?


 それから詳しい話を聞くと、彼はとある小さなアパートの大家さんとのこと。そして、入居者の女性から度々交際を迫られて困っているとのこと。そういうわけで、彼の恋人として不自然すぎない年齢かつ居住を求めている人を探していたらしい。


 どうして私に――最初はそう思ったけど、そういう事情(こと)ならそれなりに合点がいく。見ず知らずの人に頼み事――それも、恋人役などという中々にハードルの高そうな頼み事を承諾してもらうには、それ相応のメリットを提示する必要がある。そして、アパートの大家さんである彼が与えられるメリットとして最たるものが、部屋を無償で貸し与えるというもの。そこで、そのメリットに強く惹き付けられる私に白羽の矢が立ったというわけだ。


 尤も、年齢に関してはもっと上――最低でも20代の方が良かったのだろうけど……まあ、夜野さんも全てにおいて理想的な条件が揃うなんて期待はしてなかっただろうし、18歳なら恋人に見えないこともないだろう。一応、成人(おとな)なわけだし。


 ……そう言えば、彼は何歳なのだろう? 外見から推測するに20代前半、といったところだけど……まあ、そのうち聞けばいいか。


 



 

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