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この孤独(きもち)は分け合えますか?  作者: 暦海


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15/18

三年後

 ――それから、およそ三年が経過して。



「――こんばんは、桜雪(さゆき)さん。お邪魔しても良いですか?」

「こんばんは、百桃(もも)さん。もちろんです、どうぞ。本日も、お仕事お疲れ様です」

「ありがとうございます、桜雪さん。お邪魔します」



 佳月が皓々と照らす、美しい宵の頃。

 夕方頃に仕事を終え、暫しして小さな木造アパートの一室を訪れる私。応対してくれたのは、少し(かげ)のある美形の男性、夜野(やの)桜雪さん。当アパートの大家さんであり、現在(いま)は私の恋人でもある。



 あの妊娠の件以降、私は夜遊びをピタリと止めた。どうして、急に来なくなったのか――関係を持ってしまった例の男性からそんな連絡が来たので、そのまま事情を説明しても良かったのだけど……折角なので、こう伝えてみた――妊娠してしまいました、と。


 尤も、この時点で既に陰性だと確定していたのでこれは嘘なのだけど――愚かにも、互いに避妊すらしていなかった以上、彼にはその真偽を知る術もない。なので、こう伝えればこれ以上私と関わろうとしないことは容易に想定できた。失礼ながら、そんな厄介事に真摯に向き合ってくれる人でないことは、浅く短い関わりながら十分に分かっていたから。そもそも、だからこそ妊娠(れい)の件を当事者たる彼に相談しなかったわけだし。


 果たして、目論見通り彼はあっさりと私との関わりを絶ってくれた。少し呆れはしたけど、怒りも悲しみもなかった。ただ、桜雪さんへの感謝の念をいっそう強く自覚し、心地好く心を満たしてくれるだけだった。



 それからは、以前のように――いや、以前以上に勉強に励み、アルバイトも無理のない範囲で継続。そして高校卒業後は、地方公務員として区役所に就職し今も続けている。


 もちろん、大学進学という選択も捨て難かったし、当時の担任の先生には強く勧められた。まあ、当然といえば当然だろう。自分で言うのもなんだけど、ずっと学年首位だったわけだし。


 だけど、流石に進学となると教育ローンを利用しないわけにはいかないし、そうなるとどうしてもあの母を頼ることになってしまうが……もちろん、それは絶対に嫌だ。そして、予想通りではあったけれど、進学にあたり桜雪さんが助力を申し出てくれた。だけど、流石にそこまで頼るわけにはいかない。そもそも、彼には既に私にとって返しきれないほどの恩があるわけだし。





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