「蹴撃のロングブーツ」(前)
そのポータス村の夜は、メリオーレスさんに、「蛮行の雨」の儀式を風呂上がりに体験してもらった。
「あへっ、あへっ」
とか、
「あうっ、あうっ」
と言う悶えは、「蛮行の雨」の女性陣と同じであっだが、
「あら、メリオーレス。あなた、舌を出す癖があるのね」
と、悶えて出した舌を摘むジュテリアン。
「あひゅっ、ひやこれは、あへえ!」
舌を出し、ヘロヘロさせるメリオーレスさん。
美女の意外な性癖に、ぼくは興奮して揉みしだきにチカラを加えた。
「うはっ。うあ、うあぁ」
新たな女体の新たな悶えに、つい、ぼくは興奮して念を入れ、
「あへぇ。あうあう、あああーーーん!」
他の女性たちに叩かれるまでメリオーレスさんと共に頑張ってしまった。
翌朝、早起きして、
「うはっ。気分爽快!」
と言いつつ上半身をひねり、起きたばかりとて、ノーブラの胸をぶるんぶるんさせるメリオーレスさんの姿があった。
なによりである。
朝ごはんを食べたら出発する予定だったのだが、
「旅の勇者団がポータス村に泊まっている」
という噂が、昨日の内に近在の村に広がったそうで、腕自慢が若干名、
「是非とも一手お手合わせ願いたい」
と、宿に押し掛けて来た、そうだ。
「えーー、朝ごはん前に?」
と、驚くミトラ。
見に行けば、荒くれ者風のゴツい男たちばかりで、準備は万端。
それぞれが金属鎧や革製鎧に身を包んでいた。
「やる気満々みたいだし、断るのも悪いか」
とミトラが言うので、相手をする事になった。
宿の朝ごはん、焼き魚定食を食べてから。
村の多目的広場を囲む、そこそこな見物人たち。
その中に、あのピンクのお婆さんが居るのを、ぼくがウッカリ皆んなに伝えたので、
「では、私が相手をしましょう」
と、ジュテリアンがその気になってしまった。
「伝説のブーツを使うところを、ピンクお婆さんに見てもらいたいです。やんわり、ソフトタッチで戦いますから」
と言われては、反対もできなかった。
「怪我をさせてしまったら、私が治します」
とも言った。
コチラの手の内を知られたくないので、
「戦うのはジュテリアンだけ」
を承知してもらった。
試合のルールは、
「光の盾」はなし、
「魔法攻撃はなし」、
「武器は木製」というものだった。
近在の武術大会のルールだそうだ。
「物理攻撃でやり合うなら、あたしが出るよ」
と言い出すミトラだったが、
「蹴撃のブーツがあるから大丈夫よ。人間相手なら、数え切れないくらい徒手空拳で戦ってきたから」
と言うのが、ジュテリアンの返事だった。
そう言えば初めて会った時、ジュテリアンはおたずね者の大男二人を相手に、お金を脅し取ろうとしてたっけ。
広場中央で向かい合うのは、短剣ではなく、長剣のような棒を持つメイド風僧侶ジュテリアン。
と、二メートル近い金属鎧の男。
ただし顔は剥き出しで、手には大剣ならぬ太くて長い棒を持っていた。
小手はしていたが、肩当や上腕当などはなく、女性の腰ほどもありそうな太い腕を剥き出しにしている。
「見掛けに騙されるな、ゲッタル!」
「相手はエルフだ。百戦錬磨だぞ!」
「エルフ体術に気をつけろっ、腕を掴まれるな!」
見物人から、案外的確な声援が飛んでいる。
武術仲間が応援に来ているのだろう。
「ジュテリアン、軽くよ、軽く!」
相手を馬鹿にしている訳ではなく、ガチで気づかって声を出しているミトラ。
ぼくたちも、群衆に混じって、見物していた。
「始め!」の審判員の声で、一気に間合いを詰めて上段の構えから大剣棒を振り下ろすゲッタルさん。
ジュテリアンの間合いではない、と見たのだろう。
敢えて剣棒を打ち合わせ、力負けする事なく、大剣棒を後方に流すジュテリアン。
ゲッタルさんが前にのめって出した足にブーツを引っ掛け、ほぼ垂直に振り上げると、大男の身体は宙に浮き、二回三回と回転した。
「うああああああ!」
回転しつつ叫び、背中から地面に落ちてゆく大男ゲッタル。
地面に落下し、
「げっ!」
と呻いて大の字になった。
「大丈夫ですか?」
と声を掛け、平手打を喰らわせるジュテリアン。
「喝」だと思う。
次回「蹴撃のロングブーツ」(後)へ続く
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回、第四十四話「蹴撃のロングブーツ」後編は、明日の水曜日に投稿します。
お昼からは、回文オチ形式のショートショート
「続・のほほん」を投稿予定です。
「魔人ビキラ」の外伝が出来ましたので、投稿します。
面白いと良いですね………。




