表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/369

「引っこ抜け! 伝説の棍棒」(後)

「えーー。何これ。金属が埋まってるじゃないの」

  ジュテリアンが神岩に下りて来て、言った。 

「神岩の正体って、金属塊(メタルダー)?」


「もっと掘ってみよう」

  ミトラはまた斧を振って、金属の見えた部分を叩いた。


がっきん! がっきん! がっきん!


「えええ?! 神岩が削れてゆく?!」

「そんな馬鹿な事が」

     驚く二人の見届け警備員。


金属板(メタルプレート)が埋まってるわね」

そこそこ掘り出してしまうミトラ。

「このプレート自体はビクともしないわ。プレートを隠していた岩は削れたのに」


「プレートの上の岩は、ただのカモフラージュだったんじゃないかしら」

  と、ジュテリアン。

「削らせるために、わざと少し柔らかい岩で(ふさ)いだのよ」


「くそう。我がオララ集落の技術の結晶である太郎丸が、もうボロボロだ」

  自分から始めた事だが、ミトラは後悔の様子を見せた。


「何か、小難(こむずか)しい文字のようなモノが刻まれているわね」

ミトラが休んだので、ジュテリアンがまた(かが)み込んだ。


「うん。何かと思ったら、古代ムン帝国の邪文紋字(じゃもんもんじ)だった」

「古代ムンのジャモンモンジ? 聞いた事ないけど」

闇精霊(ブーヨニンフ)の呪術で使う特別な文字だから」

  さらりと言うミトラ。

「ブーヨニンフの呪文なんて、もう超絶滅危惧種だし」


「なんて書いてあるんだい? ミトラ」

  と、ぼく。

「ああ、うん。『伝説の棍棒は呪いで封じてあるので抜けない』んだってさ」


「呪い? 呪いで封じてあったのか、伝説の棍棒?!」

  と、ノッポさん。

「それで、棍棒を解放出来るんですか?」

  などと色めき立つ太っちょさん。


「うん、出来る。あたしはその、ほぼ絶滅してる闇精霊呪文を(あやつ)る呪術師だから」

「おおーーー!」

  と響動(どよ)めく見届け隊員ふたり。


「解放の呪いを(とな)えるから、パレルレ、もう一度、力を貸して頂戴(ちょうだい)」と、ミトラ。

『御意』と、サブブレイン。

「分かった」と、ぼく。


そして、棍棒を(つか)んで引っ張ってみるが、やはり棍棒はビクともしなかった。


「そのまま引っ張っててね」

ミトラは、ぼくの居た世界でいえば、お経のようなモノを唱え始めた。


(パンギ)(ましま)す◯◯◯(翻訳不能)よ! (テララ)に在すXXX(解読不能)よ! 大気(エーテル)に在す◇◇◇(意味不明)よ!」


すると、何という事であろう。手応(てごた)えが変わった!

「棍棒がグラグラしてきたぞっ!」

  と伝えるぼく。


()れの呪いを聞き届けたまえ!」

  それからミトラは、

「この世界の言葉が分かる」はずのぼくにも意味不明にして解読不能な言葉を発し続けた。


転生を(つかさど)る女官の能力が中途半端だったのだろう。

  仕方がない。

完全だの完璧(かんぺき)だのはアテにならないものだ。


「今ここに、其方(そなた)は解放されたり! リベラーレ! ベフライエン! ダバル!!」

小手(ガントレット)の指を組み、呪い続けるミトラ。

引っ張り続けるぼく。


不意に、

       すぽん!

と、間抜けた音を立てて抜ける伝説の棍棒。


「わっ!」

抵抗がなくなり、ぼくは勢い余って後方に転倒した。

慌てて起き上がり、天井に棍棒をかざすぼく。

世が世なら、

  パンパカパーーーン! 

とバックミュージックが鳴り響く場面である。


「抜けたっ!」

  と、ミトラ。

「抜いちゃったわ」

  と、ジュテリアン。

「大変だっ。ロウロイド隊長に知らせなきゃっ!」

ノッポさんがそう叫んで走り出し、扉を開けて去った。


「所有権は引っこ抜いた人にあるのよね?」

  ミトラが、残った太っちょさんの方を向いて言った。

太っちょ隊員は、

「も、もももももちろんです!」

    と狼狽(ろうばい)気味に答えた。

「この場合は、えーーっと、棍棒を引っこ抜いた黒マントの勇者ゴーレムさんと、呪いを解いたドワーフお嬢さんの、両方に権利があるのでは?!」


肥満隊員(ふとっちょさん)のその返事に、フルアーマーのまま、ミトラは満足そうにうなずいた。


「場合によっては、パレルレに斧を振ってもらう事もあると思う。たぶん、あたしの方が先に寿命で死ぬだろうしね」


そう言って、ミトラは唇を(ゆが)めた。



     次回「引っこ抜いたら斧だった件」(前)に続く




次回、第二十話「引っこ抜いたら斧だった件」前編。

は、在庫が出来つつあるので、来週の火曜日に投稿予定です。

後編は、水曜日に投稿します。


第二十一話「ワウフダンの援軍VS蛮行の雨」前編は、

木曜日に投稿予定してます。

後編は、金曜日に投稿しますかもです。


第二十三話「魔法使いフーコツの目的」前編は、

土曜日に投稿したい!

後編は、日曜日に投稿したいのだった。


予定通りに行くと、良いですね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ