表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/368

「ドラグザンの右腕」(後)

「ワシを連れて行きたくば、倒すのが筋であろう」

  正面から喧嘩(けんか)を売るフーコツ。


「気の強い女だなあ」

「ゾクゾクしますね、チング様」

  チングの取り巻きどもが嬉しそうな声を上げた。


「では、妖艶女に身のほどを教えてやろう」

  そう言ってチングは手を上げ、

(アーラ)!」と(とな)えた。

  小さな(ギュミュシ)の盾が五つ、出現した。


雑木林の中なので、盾が大きいと木に()つかって、動作に差し(さわ)るからだ。普通である。

  大きな盾を当たり前に出すミトラたちがオカシイのだ。


他の魔族も、三つから五つ、(クローロン)(メラー)の盾を発現させた。

  発現させたが、盾は小さいので、隙間だらけだ。

飛び道具で狙われたらやはり巨大化させ、防御するしかないのではないだろうか?


火炎や熱風は障害物に当たっても、相手が小さければ回り込むからだ。

  そして盾に魔力を取られるのは、魔族も一緒だ。

さほど悩むところではないハズだ。


斧使いの魔族が二人、左に。

  そして右には、長剣使いが二人、走った。

中央には三人残っている。

  この広がる陣形が「翼」なのか?


「オオールさん、行くぞ」

つぶやいて斧使いコンビに向かう、棒術使いのお坊さん、エルビーロ。

「お任せあれ」

  坊さんの後を追う魔法使いオオールお婆さん。


「先生、援護(えんご)を!」

  そう言って右の長剣使いに走るアマゾネス・ギュネー。

「任せよ」

  応じて走る人間似のナニかなフーコツ。


盾は前方に広げると木に()つかるので、体の側面に展開させている。

  走る仲間たちは、あんがい無防備な態勢だ。


「うあ。絶対火力が二人とも出ていっちゃった」

  ヘルメットを(かか)えて、フーコツたちを見送るミトラ。


  その絶対火力、ギュネーさんが、

猛烈(バイオレント)三連大火球(トリプルフーバル)!」を(とな)えた。

  いつかの野試合でぼくに射ったヤツだ。


三ツの火球が(から)み合い、樹々をヘシ折りながら高速飛行した。

  速攻で魔族の一人を捕らえた。

炎を(あお)る「ぶおわっ!」という絶叫を残して倒れる魔族。


互いに(から)み合う三連火球は、盾を破壊し爆散したのだ。

爆発で飛散した炎も、すでに燃え上がっている魔族に反転して襲う。

三連火球は、この「勝手に反転攻撃(リバースアタック)」が猛烈(バイオレント)なのだ。


そしてフーコツは、火球の飛行で燃えた樹木、地上に落ちて下草を燃やす炎に対して水球を射ち続け、消火していた。

  援護って、そういう事だったんだ。


もう一人の魔族は剣を振り、槍状のエナジー弾を連射した。

「お、魔法剣士じゃ。彼奴(あやつ)もそうだったのかのう」

フーコツが、地面に倒れて(こう)ばしくなった魔族を消火しながら言った。

「そうだっ!」

  生き残った方の魔法剣士魔族はリキんだ。


ちなみに、エナジー弾は、フーコツ、ギュネーさんの盾を(つらぬ)けずに消滅していた。


  やがてフーコツが、

大水球(ヌイマジバル)!」を射った。


その巨大な水球は木を折りエナジー弾を(はじ)き、盾ごと魔族を飲み込んだ。

  水球の中で(もが)く魔族。

踠きに合わせて水球の表面が盛り上がるが、破壊するまでには(いた)らない。


「うわ。苦しい死に方」

  ミトラがヘルメットを抱えた。

「いや、失神させて捕える気でしょう」

  と、ロウロイドさん。


一方、斧使いを追ったエルビーロ&オオールコンビの戦いも、始まっていた。


オオールお婆さんがつむじ風を幾つか起こし、斧使いの放つ球体エナジー弾の軌道を狂わせていた。

エルビーロさんたちには当たらなかったが、エナジー弾は辺りの樹木をヘシ折っている。


流れ弾はこちらにも飛んで来たが、ジュテリアンが金色盾(アウルムシルト)で受け、破壊していた。


ついにツムジ風が魔族の一人を捕らえ、盾ごと巻き上げる。

「あーーれーー!」

  悲鳴を上げる魔族。


エルビーロさんは盾を脇に()えて、巻き上がった魔族に走り寄り六角棒を振った。

  その剛棒は、魔族の尻を打った。

(さすがはお坊さん、殺生(せっしょう)は避けるんだ)


  と、ぼくが感心したその刹那(せつな)

ツムジ風の強風に敵がクルリと上下を入れ替え、エルビーロさんはその下になった魔族の頭を(したた)かに打ち()えた。

  頭をカチ割られ、血飛沫(ちしぶき)と共に舞う魔族。


「ひゃあ。お尻に当たってたら、割れ目が三つに増えてたじゃん」

「野蛮なお坊さんねえ」

  ミトラとジュテリアンが騒いでいた。

「野蛮も何も、ありゃ、おっ()んだろう」

  と、ゴルポンドさん。


残る一人の魔族は、雑木林を出ようと急いでいるモヒカンコンビたちに迫っていた。

オオールさんのツムジ風が、追いつけそうで追いつけないでいる。

  疾走(しっそう)が自慢の魔族であったらしい。


「まずい。ありゃ、やられるぞ」

飛び道具を持たないロウロイドさんが(あせ)った声を出した。

モヒカンコンビ、ザミールさんとカメラートさんが逃げるのを止め、向きを変えて抜刀する。


「そちらのお嬢さんを置いていけば、無体はせん」

  魔族も足を止めて言った。

お嬢さんとは、マークンドラさんの事らしい。


「断る。仲間を魔族には渡さん」

  魔族を前に長剣を構え、ザミールさんが言い放った。

「そうだそうだ。だいたいお前、後方不注意だぞ」

  カメラートさんが律儀に忠告した。

下手(へた)な誘いだな。後ろがどうした」

  魔族が笑った。


その魔族の背に、ジュテリアンが射っていた卍手裏剣(スヴァスティカ)が盾を破壊して刺さった。

  魔族が立ち止まったので、間に合ったのだ。

が、卍は魔族の胴を(つらぬ)くほどではない。

そんな事をすれば、仲間を巻き込む心配があったからだろう。


「がっ!」と叫んで()け反った魔族に剣を振るうモヒカンコンビ。

  X字に紫紺の血が吹き出た。

背中に卍を刺したまま、頭から、どう! と倒れる魔族。


  背中の卍は、円盤型の盾に戻り、消滅した。

爆発はしなかった。

  それ以上の雑木林の破壊を避けたのだろう。

魔族を追っていたオオールさんのツムジ風も消えた。


  また雑木林の外に走ってゆくモヒカンコンビ。

「回復が間に合うかも知れない。行って来る」

  と言って、ジュテリアンは、フーコツたちに走った。


「魔族を助けるのか?」

  と、ゴルポンドさん。

「殺す気はなかったような攻撃だものね」

  とミトラ。

「あ、あの凄まじい火球攻撃がか?」

  ロウロイドさんは大いに驚いたようだった。



         次回「魔族VS寄せ集め部隊」(前)へ続く



次回、第百五十七話「魔族VS寄せ集め部隊」前編は、来週の木曜日に投稿予定です。


清書の際に付け足した台詞が、その場にいないハズの人物だったので、慌てて書き直した。

危ない! すでに手遅れ気味だけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ