表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/365

「あれこれな三原則」(前)

転生の三原則、ゴーレムの三原則とは、ざっと次のような物であった。


ひとーーつ。

「命名者には服従しなければならないが、克服(こくふく)した場合は、その限りではない」


ひとーーつ。

「人間を殺傷してはならないが、自分を守るためならば、その限りではない」


ひとーーつ。

「非人道的な指示(プログラム)は書き換えて良い」


ひとーーつ。

「自分の命は守らなければならないが、人間を守るためには自爆して良い」


などなどである。

幾つかは、克服しつつある、または克服した気がする。


とりあえず、討伐依頼の掲示板を見に行く事になった。

勇者団登録が済んだので、

「よしっ、勇者団らしい事をするぞっ!」

   と言うミトラの一声によるものである。


ランク別の掲示板もあるが、ぼくたちは全ランク用の掲示板を見に行った。

「ああ、近在のローカル魔王の名前、超超級にもあったけど、ここにもあるんだ」

  と、掲示板の紙を叩くジュテリアン。


新参魔王ロピュコロス。

隠匿(いんとく)魔王スハイガーン。

老老魔王ドゥクェック、などである。


「無茶苦茶じゃん、この掲示板。下下級、下級チームも対象になるのに」

  と、(あき)れるミトラ。

「名前のチェック用ね。名前知らないと、困る事もあるから。あっ、こいつだ、私が居たチームの勇者を殺した奴。たぶん」

  と、討伐依頼書をこつこつ叩くジュテリアン。


「魔王ロピュコロス」の下に、『四天王のひとり・爆炎のギューフ』と書かれていた。

『大斧使い』『爆炎魔法使い』などの記述がある。

「あーー。前に聞いたジュテリアンの説明と一致する」

  と、ぼく。

「ふうん。爆炎のギューフかあ。名前には興味なかったからなあ」

  首をひねるジュテリアン。

「こいつ、三ペート(三メートル)くらいあって、紫色(ビオレータ)の肌してるからね」


「四天王のひとり、『鋼のバンガウア』って、猫背で、肩幅が広くて、高身長ってあるけど」

  と、近隣魔王軍ロピュコロスの欄を指すミトラ。

「魔族って、だいたいそうじゃん」

「そうね、説明になってないわね」

  と、ジュテリアン。


「四天王のひとり、『風のシュクラカンス』に至っては、『大剣使い』のみですね」

  と、ぼく。

「四天王のひとり、『雷のガシャス』。『雷撃使い』。名前見りゃ分かるっての」


「『爆炎のギューフ』って情報多いんだ。目立ちたがりなのかな?」

「多分ね。街や村を襲っては、お金や食べ物を盗んで行くそうだし」

「野盗じゃん」


「でも、そうやって物品を差し出せば、命までは取らないそうよ」

「やっぱり野盗じゃん」


「この辺りは魔王ロピュコロスの勢力範囲だから、まだ情報がある方よね」

「『魔王ロピュコロス』。『万丈の杖使い』。なによ、万丈の杖って」


謎が多くて人間の敵って、嫌だなあ。

(こういうのとは、関わり合いにならないに限る)

  と、ぼくは激しく思った。


「あっ、『ぼくのギュミュシニャオを探して下さい。行方不明』だって」

ミトラが指したギュミュシニャオの絵は、銀色の体毛で猫そっくりだった。

(ひたい)に小さな(ツノ)が一本、生えていたが。


「ギュミュシニャオ探索は、超超級とかには馬鹿馬鹿しくて出来ない依頼かも」

  と笑うジュテリアン。

「でも、報酬は良いわね。十万ゴンも(もら)える」

「くっ。朝に捕まえた野盗三人組の倍もある」

と言って唇を噛むミトラ。


「これなんかどう? 『クカタバーウ砦の伝説の棍棒を抜いて来て下さい。買い取ります』だって」

  と、ジュテリアン。


「えーーっと、依頼は『ロガンマ市立博物館。報酬百万ゴン』?。ふざけてんのこれ?!」

  ミトラが怒ったような声を出した。

「伝説の宝物を、たった百万ゴンで買い取ろうっての? 棍棒が、いくら人気がないからって、失礼な!」 


確かに、銀猫(ギュミュシニャオ)十匹分と同じって、安すぎる気がした。

  たぶん、博物館に予算がないんだろうけど。



         次回「あれこれな三原則」(後)に続く





次回「あれこれな三原則」後編は、今日中に投稿します。

 

読まれるためには、早く事件を起こして読者を引っ張る事。

みたいな事が、手引き書にありました。

反して、なんだかノンビリな展開ですが、まだまだノンビリは続くのであった?!


明日の土曜日は、

「ほぐされる仲間」前編、後編。

明後日の日曜日には、

「ハイド・ヌイ・サウラー」前編、後編。

を投稿します。

ハイドヌイサウラーは、火吹き大蜥蜴(おおとかげ)の事です。

こんなに早く出て来たっけ? 

個人的にも待たれる展開だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ