「その者、金属場違い工芸品なり!」(後)
「自動車や飛行機。戦車や機関砲などは、そーーゆーー物があったんだなあと、古代ムン帝国の書物や絵画などから判明しておりますわ。無理をなさらず」
と、その副所長の女性は言った。
「な……なんだ。ムン帝国って、科学文明国家なんですねえ」
「カガク? カガクとは何ですか?」
「うわっ、しししししまった。異世界の知識の流出をっ?!」
「良いですね、そのキョドり方。人間そのものですわ」
あくまで真顔で言うグローネさん。
「科学研究所は我が国にもありますから、安心して下さい」
(ヒッカケか? やめろ、中核炉に悪い)
「あの、グローネ副所長。パレルレは今朝、この世界で身体を得たばかりですので、まだまだ言語も思考も不確実かと……」
ミトラが助け船を出してくれた。
「質問は以上です。同盟種族のドワーフ、ミトラさんが名付け親なので、何の問題もありませんよ」
(そうか。観光地の古戦場でドワーフ、エルフ、オーガ、そして人間を見てきたが、同盟を組んでいたからなんだ)
(もっと他にも、手を組んでる種族がいるんだろうなあ)
ぼくはちょっと、ワクワクした。
「名付けによって、転生の三原則、さらに古戦場の場違い工芸品に転魂させた事によって、ゴーレムの三原則にも縛られました。何も問題はありません」
(あれっ? ぼくって実は雁字搦めに縛られてたの?)
(いやしかし、今まで何の不自由も感じなかったけど……)
(はっ。洗脳か? 洗脳内自由感というヤツかっ?!)
(そう言えば、自由に動いていたように見えたロボ◯ップが、終盤、突如として自由を奪われたっけ?)
(映画の話だけど、あれはあり得るかも?!)
「残響の掛かったその声は、あなたの心の叫びですか? ダダ漏れで素敵ですね。しかし何も心配する事はありませんよ。主たるミトラさんを信じなさい」
(主従関係キターー!)
(ロボコ◯プ、言っちゃったあ!)
「いや、パレルレ。あたしたちは仲間で友だちだから」
(そうとも、ミトラは仲友だっ!)
「で、ロ◯コップって、なに? パレルレ」
「そそそそれは異世界の国家の機密……」
「主従の壁は超えられませんが」
「グローネ副所長、ややこしくなるから黙ってて!」
「パレルレさん。異世界の秘密は黙っていて大丈夫ですよ」
「名付けによる転生の三原則とか、ゴーレムの三原則とか、ぼちぼち克服してゆけば良いから、パレルレ」
と慰めてくれるミトラ。
「克服する必要はありませんよ、パレルレさん。ではご機嫌よう」
グローネさんは、質問を終えて去って行った。
後姿で、背後のホルスターに短杖を差しているのが分かった。
僧侶か魔法使いじゃないだろうか、あの副所長は。
(しかし、気になる)
(転生の三原則と、ゴーレムの三原則っ!)
なのだった。
次回「あれこれな三原則」(前)に続く
今日は、「続・のほほん」に「召しませ!(中略)ですか?!」を投稿して慌てました。
投稿をやり直して、へとへとになりました。
次回「あれこれな三原則」前編、後編は、来週の金曜日に投稿予定です。
「続・のほほん」は、明日も投稿します。
良かったら、読んでみて下さい。




