「バンガウアVS女子連合」(後)
部屋のテーブルに、バラした漆黒の金属鎧を積み上げてゆく女性連。
バンガウアさんはフーコツによって、たちまち鎖帷子と褌姿に剥かれてしまった。
まあ、バンガウアさん、さして抵抗もしなかったけど。
そしてフンドシは真紅だった。
「部屋を取ってもらったので、今夜はユームダイムに一泊する。明日から『引き潮の海』と一緒に、護符を求めてラファームの街まで行くのでな」
ラファームは、ギュネーさんの故郷である。
「ちょっと挨拶に来ただけだ」
「今夜は迎賓館で酒池肉林するもんだと思っていたわ」
ズバリと言うジュテリアン。
「メリオー……むにゃむにゃ殿に誘われたが、
『疲労と緊張が激しいので』と言って逃げて来た」
バンガウアさんも、ほぼズバリと告白した。
そして、
「メリオーレス! 強い男を見れば、いつもそう!」
個人名を伏せたバンガウアさんの気配りを無駄にするジュテリアン。
「それから寝る前に、お主らにええっと、何と言ったか? そうそう、『お休みなさい?』を言っておこうと思ってな」
と、立ったままのバンガウアさん。
「な、なんですと?!」
耳に手を当て、聞き直すミトラ。
「もう一度言って」
破顔するジュテリアン。
「人型の挨拶だろう? 『お休みなさい?』」
と繰り返すバンガウアさん。
「うむ。その通りじゃ、バンガウア。褒美をやろう」
と言ってバンガウアに抱きつくフーコツ。
「あっ、先生、抜け駆け!」
と言って、フーコツとは逆の、バンガウアの空いた脇腹にしがみつくギュネーさん。
「正しくは、『お休みなさい!』よ」
ジュテリアンも、背後からフーコツに抱きついた。
「勘違いするな。パレルレに施術させるのじゃ。これはただの役得」
バンガウアさんに、すりすりするフーコツ。
「えっ? 魔族のこのたくましい体躯を施術?」
鎖帷子の上からバンガウアさんを撫でるギュネーさん。
「それは前から考えていたけど」
と、ぼく。
それは本当だったが、
(並みの魔族ではなく、いきなり四天王のボディをか?!)と怖気づいた。
「バンガウア、あたしたちはほぼ毎晩してもらってる揉みしだきだから、全然大丈夫よ」
ミトラはバンガウアさんの手を引き、ベッドに誘った。
喘いで身を捩った時、バンガウアさんでは椅子が壊れると思ったのだろう。
「ああ。魔族にも『ほぐし屋』はあるぞ。あれは後味がサッパリして良いな」
と言ってベッドの縁に座るバンガウアさん。
「では、さっそく」
と、バンガウアさんの座るベッドに上がり、ぼくは背後から彼の揉みしだきを開始した。
「こっ、これは筋肉量が違う?!」
バンガウアさんの肩と脇腹に手をやり、モニュモニュしながらぼくは驚いた。
「しかも、硬いのに、しなやかだ。ゴルポンドさんの身体も素晴らしかったが、はるかに強靭だ」
「ああ、ゴルポンド。私はあのカラダでも良い」
あらぬ事を口走るジュテリアン。
「こうかっ! これでどうだっ?!」
気合いを入れて揉みしだくぼく。
「ふんがっ」
「ぐはっ」
「あへ、あへえ」
「ひい!」
ベッドを軋ませて悶え始めるバンガウアさん。
「バンガウア殿、うるさい」
と言って、フーコツは彼の右太股に登り、自分の唇でバンガウアさんのたくましい? 唇を塞いだ。
「抜け駆けです、先生!」
ギュネーさんは、左太股に上がり、二人の接合する唇を襲った。
「むおう!」
「むふんむふん!」
両手をバタバタさせ、虚しく喘ぐ偉丈夫バンガウアさん。
それから入れ替わり立ち替わり、女性たちはバンガウアさんの唇を強襲した。
生々しい音と声が部屋に響き、
「バンガウアの舌が大きくて、もう口一杯に」
と、恍惚に酔った顔をして呻くミトラの頭を、ジュテリアンは容赦なく叩いた。
次回「黒騎士、リフレッシュする」(前)に続く
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次回、第八十九話、「黒騎士、リフレッシュする」前編は、来週の木曜日に投稿します。




