表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/361

「荒くれ仲間!」(前)

「それでそのう、その人間みたいな喋り方をするゴーレムさんは、一体何者なんですかい?」

  恐る恐る、という感じでアゴ髭が聞いてきたので、

「彼、パレルレは、我が『蛮行の雨』のリーダーよ」

  と、胸を張って答えるミトラ。


チーム名『蛮行の雨』に続いて、ぼくが「リーダー」というのもまた初耳だった。


「えっ、それって勇者団? 討伐団?」

  少し高い声を出すジュテリアンさん。

「まだどちらでもない」

    またも胸を張るミトラ。

(何も考えてないだけだ)

        と、ぼくは思った。


「ゴーレム、さんが、なんでリーダーなんですかい?」

  アゴ髭のない方が、もっともな疑問を口にした。

それは、ぼくも知りたいところだ。


「ふへん。彼が異世界からの転生者だからよ」

三度(みたび)胸を張り、ついには天を(あお)ぐミトラ。

「転生者の魂がナーファ古戦場を彷徨(さまよ)っていたので、大勇者の子孫であるあたしが呪術職能者(シャーマン)の技術を(もち)いて、金属場違(メタルオー)工芸品(パーツ)に魂を定着させたのよ!」


「転生者……」

  と、つぶやくジュテリアンさん。

「じゃあ、本物の勇者予備軍じゃないの、そのゴー……、パレルレさん」

「そうよ。大勇者の子孫たるあたしと、勇者予備軍のメタルゴーレムが組んだチームなのよ、『蛮行の雨』は!」


「えーーっと、そのう、私も『蛮行』に入っても良い?」

  と乗ってくるジュテリアンさん。

亡き勇者の仇討(あだう)ちを考えていないんだったら、大歓迎だ。


「それとも、どこかで他のメンバーが待っていらっしゃるのかしら?」

「二人だけですよ、僧侶ジュテリアンさん。大歓迎です!」

  ミトラは満面に笑みを露出させて言った。


ぼくたちのチーム話に興味がないのだろう、アゴ髭のない方が(さら)に、

「そのメタルオーパーツさんは、大魔王デスラモゴラと戦ったと言う、古代ムン帝国の戦士って事ですかい?」

  と聞いていきた。


「ナーファ古戦場に埋もれていたんだから、間違いないわよ。ねえ、パレルレ」

「その点は間違いないけど、本懐(ほんかい)()げる前に戦死した残念兵ですよ」


「勇者のタマゴたる転生者が、古代ムン帝国のゴーレム兵を装備したのかい?」

  アゴ髭が(うめ)いた。

「もう、オレたちゃ失業するしかないなぁ」


「ゴロツキもナラズ者も、正業じゃないだろ!」

  ジュテリアンさんが鋭い声を出した。

「ふざけた事を言ってると、あちこちヘシ折って引きずって行くわよ!」


「おお怖い」などと言う軽口は言わず、黙り込むナラズ者たち。


「文化的遺産的価値はともかく、頑丈で素早くて、前衛に持ってこいなのよ」

  と、ミトラ。

「今じゃ頼もしい仲間で友だちよ」

「じゃあ、私も仲友(ナカトモ)で」

街で出会った知人をお茶に誘うような軽さで、ジュテリアンさんが言った。

「よろしくね、ミトラさん。パレルレさん」


「『さん』、は無しにしよう」

  ミトラがすかさず言った。

「荒くれ仲間らしく呼び捨てで!」

「そうか。『蛮行の雨』だったわね」

  ジュテリアンさんは変なところで納得したようだった。


チームに回復役は必至(ひっし)。まずはめでたい。

ぼくのような機械の身体(からだ)の回復は無理だろうけど、探せば機械部品を扱うガラクタ屋があるかも知れない。



            次回「荒くれ仲間」(後)に続く





次回「荒くれ仲間」後編は、夕方5時頃に投稿予定です。


明日は、第八話「『蛮行の雨』、登録せり!」前編、後編を、午前と午後に投稿予定です。


随時、加筆、修正をしておりますので、

「こんな事、言ってたっけ?」とか、

「そんな設定だったっけ?」と言う場面があるかも知れません。

申し訳ありません。

足りないと思ったら、書き加え、要らなかったと思ったら、削ったりしています。



第一部が完結している、

回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」

回文ショートショート童話「のほほん」も、よろしくお願いします。よかったら、読んでみて下さい。

ほなまた、明日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ