あらすじ編
登場人物
・主人公 ルビー
・主人公の育ての親 爺さん
・騎士団長 マクロ
・騎士副団長 ラッシュ
・宮廷魔術師 ???
・???国騎士団長 ???
ここはローマの国、今は戦争の真っ最中です。
そんな城下町の裏路地、いわゆるスラム街に1組の師弟がいました。
「ぎゃぁぁぁぁああっちいいいぃいいいっ!」
「また失敗じゃルビー!一体なんど言ったら…」
戦禍の中の城下町外れでまた似つかわしくない声が聞こえてくる。
ルビー「やっぱ俺には魔術の才能なんてねぇんだよ爺さん」
爺さん「つべこべ言うな!お前にはこの国を守る一流の魔術師になって貰わなければならんのじゃ!」
ルビー「俺はこんなのより戦士が向いてると思うんだよなぁ」
爺さん「馬鹿者が!お前みたいなのが戦士になったら前線で即死するわ!」
そう、この国は今にも隣国オンバルに本拠地ローマ城を攻められる寸前なのである。
治安も悪くスラムでは喧嘩が耐えない毎日です。ほら、大きな声を出したら、また悪い奴らに目をつけられる。
「うるせぇな今この国がどういう状況か分かってんのか??」
振り向くと黒服に赤いマントを付けた男が立っていた。
ルビー「誰かと思ったらファイアじゃねえか」
ファイア「本当にうるせぇガキだな、お前に魔術は無理なんだよ!」
ルビー「…ッ!」
喧嘩っ早いルビーだがスラム街で1番強いと言われるファイア相手には流石に手は出さないだろう。
ファイア「なんだ頭にきたか?見本を見せてやろうか?」
ルビー「おお、いいぜやってみろ!」
て…手は出さないだろう…。
爺さん「まったく…」
ファイア「これが魔術って言うんだよ!さぁ喰らえ!」
なんとファイアの手から火球が現れルビー目掛けて跳ねていった!
ルビー「へっ!こんなもの!はぁぁぁぁあ!」
なんとルビーの手にも炎の玉が膨らみ、そして手を思い切り前に突き出した!!
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「ぎゃぁぁぁぁああっちいいいぃいいいっ!」
さぁ、どちらが1発お見舞したのか? だがこの声ついさっき聞いた覚えがある。
ルビー「くっそおおお!」
ファイア「チッ、これを喰らってピンピンしてるのは癪だが俺の勝ちだ!」
そう言うと満足したのかファイアは背を向けて城門の方へと向かって行った。
ルビー「マジで覚えてろよ!」
爺さん「これに懲りたのなら魔術の鍛錬をするのじゃな」
--------場所は変わりここは、オンバル城内
「奴らの城を落とすにはまずは炎の魔術師共を倒さねばなりません。」
「むぅぅ…やはりあの国の魔術属性 炎 は侮ると痛い目を見そうか…」
「ええ、ローマは国民全員が炎の魔術に精通しているという噂です。その中で選りすぐりの魔術師が城を警備する憲兵魔術師になれるそうで、その炎魔術は対軍を想定していると諜報兵が話しておりました。」
「なにぃ!対軍だと!?それ程までとは思わなんだぞ!
しかし、まぁ案ずるな兵士長スヴィンよ。我が軍の魔術部隊も氷や地の魔術を対歩兵対騎兵想定で使える奴はおろう」
スヴィン「ええ」
「こやつらめに魔術師の相手はしてもらおうぞ ガハハ」
スヴィン「それでは私たちはその隙に城に攻めるということですね」
「いかにも!」
スヴィン「ではそのように、我が王よ」
---------場所は戻りローマ。ファイアとの小競り合いから1日後。
ルビー「ぎゃぁぁぁぁあ(以下略)」
爺さん「何度も言っておろうが!力を込めすぎては暴発すると」
ルビー「そんな事分かってるし、それが出来ない事も爺さんが教えてくれたんじゃんかぁ!」
爺さん「むぅ…まぁそれもそうじゃが…」
ルビーはなぜ炎の力を暴発させてしまうのか、それはルビーの奇妙な体の構造にあった。
魔術師とは魔術を扱い研究する者である。
魔術の発動は、体内にある魔術の基盤である魔術回路に魔力を通す事によって魔力を放つ準備ができる。
そこから詠唱や魔法陣、魔法道具を使い、特定の魔術をその回路に溜まった魔力を変換し発動することができる。
しかし、ルビーは奇妙なことに極太の魔術回路が1本体の中心に大黒柱のように備わっているのである。
そのため、全ての魔術のコントロールが難しく魔力を込めすぎて毎日暴発させている…。
爺さん「だか、そんな事は言い訳に過ぎん!鍛錬を積めば魔術師になることができるはずじゃ」
ルビー「なんだよそれ、解決になってねぇんだよ!」
爺さん「いいから練習せい!」ポカッと杖で頭をこずいた。
ルビー「俺、ちょっと行ってくる!」
爺さん「行ってくるってどこに?」
その言葉を聞く間もなくルビーは出ていってしまった。
--------ローマ城壁の東にある剣術訓練場にルビーは向かった。
「やぁ!とぉ!」勢いよく木刀を振りかざす。
「精が出るねぇルビー」
遠くから声が聞こえて来た。
ルビー「マクロ団長!」
マクロ団長はローマ騎士団の団長である。
マクロ「今日も魔術より剣術なのかい?」
ルビー「あぁ!俺は将来団長みてぇな戦士になるんだ!」
マクロ「何ぃ!そいつはいいや!頑張れよ!」
「お前は俺みたいな突撃兵に向いてるんじゃないか!」
そういうのはラッシュ副団長だった。
ルビー「でも爺さんは俺が前線に行ったら即死だーって。」
ラッシュ「うーむ、それは突撃の心が足りないからではないか!?」
ルビー「突撃の心?」
ラッシュ「突撃の心!それは例え自分が死ぬと分かっていても相手に恐れず立ち向かう勇気の事さ!」
誇らしげに語るラッシュ副団長。
マクロ「まぁ、ルビーにはまだ早いさ。お前はまだ死ぬには早すぎる歳だ」
そう言って肩を押してもらったその時だった。轟音と共に地が揺れる
ルビー「じ…地震か!?」マクロ「…」ラッシュ「…!」
「オンバルが攻めてきたぞおおお!」轟音の正体は騎馬隊の駆ける音だった。
マクロ「ついに来たか…。」ラッシュ「むぅ!突撃だぁ!」
ラッシュは魔が差したように敵がいるであろう方向に走った。
ルビー「やべぇ…あっちはスラムの方じゃねえか、なんであっちから攻めてくんだ? 一体どういう事だ!?」
マクロ「ルビー!ラッシュ!待て!」走り出したルビーと突撃するラッシュを見て叫ぶがその声は轟音にかき消されている。
爺さん「ぜぇぜぇ…くそぉ氷の魔術…儂の魔術が効かん訳じゃ…」
オンバル魔術師「ふん、やはりこの国の国民は皆炎を扱えるらしいな。だが所詮一般人、この程度か…。」魔術師の手が青白く光り出す…
ルビー「爺さん!!」
爺さん「ルビー!…駄目だ奴はお前が勝てる相手では…」
ルビー(死ぬのには早いって言われたばっかなのに、なんで爺さんの方に足が進んじゃうんだろ)
そう考えていながら、気づけば爺さんを挟んでルビーは魔術師の前に飛び出していた。
ルビー(…青白い光、これが氷の魔術。炎に絶対有利な魔術か…)
ルビー「だが!こいつはちょうどいい!!!!いつもみてぇに火傷する心配もねぇってことさ!!」
魔術師の口が開いた….。
しかしそれは詠唱ではなく口角が上がり口が開いたように見えた。
ルビー「うおおおおお!爺さん伏せろおおおお!これが俺の全身全れ………………!?」
------青白い手から放たれたのは氷でも雪でもなかった…..。
ルビー(光…だ…。)
爺さん「ルビイイイイイ!」
ルビー「ぐわぁぁぁぁぁあ!」ルビーを青白い光線が包み込んだ。
しかし、その光はルビーを焼いているようには見えず文字通り体を包む…そう爺さんの目に写った。
魔術師「な…なんだこの挙動は…!?私の光がす…吸われ…ぐはぁ!!!」
青白い爆発とルビーの炎が舞い上がり魔術師とルビーはその場に倒れ、追ってきたマクロ団長と爺さんが駆け寄る。
マクロ&爺さん「大丈夫か!」
ルビー「あぁ…なんとか大丈夫だ…。」
魔術師「おい!貴様たち!何手を止めている!こいつらを殺せえ!」
魔術師は立ち上がり、後ろにいる仲間に声を荒らげて言った。
魔術師たち「…っ!あぁ。」そう言い杖を構える魔術師達、それと同時に声が聞こえた。
???「相変わらずの全身火傷とはみっともねえなぁ!だがそれでこの俺が間に合ったって訳だ!」赤いマントがなびく。
爺さん「ファイア!!」
ファイア「わざわざスラムの住人ごときに束になって殺せと?なかなかにお隣さんの民度は低いようだな」
魔術師「なんだ貴様、貧民風情が我が国を侮辱するなど許さ…」ファイア「別に国を侮辱なんかしてなんかねえよ、てめぇの悪口言ってんだよ!」被せるように言いながらファイアの手が赤く光る。
魔術師「お前たち!」魔術師たちの手が青白く光る
爺さん「くっ…卑怯な…。」
ファイア「うおおおおお」
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おでこが熱い。それはファイアの腕に光る炎のせいだ、頬が冷たい。それは俺が地面に倒れているからだ。
生まれてからの記憶が呼び起こされる。
ルビー(これが、走馬灯ってやつか?)
爺さんに路地で拾われ、ここまで育ててもらった。
魔術はからっきしだったけど、最初よりは上手くなったかな。
けれども、もう最後だ…。ここでファイアが負ければ、みんな死ぬ。
それは良くないことだ。それに、ひとつ許せないのは俺が全く力になれない なれなかった事だ。最後の命運を昨日殺されかけた奴に託す事になるのは、なぜか不快ではない。ファイアは口は悪いが良い奴だからだ。
ルビー(俺に出来ることは…。)
ファイア「はぁぁぁぁぁああああ!!!」ファイアの手と魔術師の手が光る。
ルビーの閉じかかった瞼が開き、目には炎が映る。
ルビー「負けるなぁぁぁぁぁぁあっっ!!!」
ルビーは最後の力を振り絞り叫んだ。 その時だった、ファイアは憲兵魔術師の炎に匹敵する大きさの火球を放った。
火球が炸裂した地面には大きな炎の柱が立ち、魔術師達は悲鳴を出す間もなく火炎の渦に飲み込まれていった。
ファイア「やった…のか…?」
爺さん「やったぞぉぉぉおおファイア!貴様にこんな力があるとは!」
ファイア「フ…ふはははは当然だ!この俺にかかればこの程度造作もないことよ!」
マクロ「喜んでいるところ悪いが怪我人がいる。城の安全なところまで運んでくれないか2人とも、私は敵を打ち倒さなければならない。」
ファイア「ふん…まあいいだろう。俺は今機嫌がいいからな!」
そうしてルビー達は城の裏口から救護室に向かった。
------------------あれから2日後の夜
「団長!もう籠城するにも限界が見えてきています!」
マクロ「分かっている、明日1日保てば良い方だ。」
「では、どうすれば?」
マクロ「ラッシュ副団長はいるか?」
ラッシュ「はっ!」
マクロ「籠城戦は厳しいのはお前も分かっているな、ここはどうするのが良いか意見を聞かせて欲しい。」
ラッシュ「はっ!私の意見は直ちに籠城を辞め、敵に総攻撃を
速攻で仕掛けるべきだと考えております!」
マクロ「なるほど…やはりそれしかないか。よし、では明日の朝敵の目覚め時を狙い速攻を仕掛ける!」
「なんでこんな奴の意見を聞き入れるんだ団長は」
「なぜあいつが団長の信用を得られたんだ?」小声で団員達が囁いている
マクロ(この作戦が失敗すれば……だが、これでいいんだよな…相棒。)
一方そのころ、救護室では。
爺さん「もう、そんなに動けるのか?」
ルビー「ああ、痛みもないし傷もとても浅かったみたいなんだ。もう平気だぜ。」
ルビーはすっかり元気になっていた。そこにスラム街の住民には聞き馴染みの無い声が聞こえてきた。
ローマ王「親愛なる国民に告げる、明日我が軍は城を取り囲む忌まわしきオンバル国軍を成敗するべく早朝に軍を進行させることに決まった。」住民のどよめきが聞こえる。
ローマ王「案ずることはございません。消耗しているのは両者共、ここは先手を打ち敗走すれば籠城に戻れば良いだけの事です。どうか、不安にならずに。どうか希望を絶やさずに。以上」王は一礼し、王室に戻って行った。
ルビー「いよいよ、明日か」
-----------------次の日
マクロ「全軍突撃ィ!」
「うおおおおおおおおおおおお!」団長の掛け声とともに城から全軍出撃した。
スヴィン「ふん、ついに痺れを切らして出て来やがったか。
だがこれも想定内、加えてこんな朝方に攻め入るとはもう後がないと見た。」
ラッシュ「どけえええええい!」馬に乗ったラッシュは夜番の見張りを次々に蹴散らしていく。
オンバルの魔術師達「喰らえ!」
ラッシュ「どりゃぁぁぁあ!」
ラッシュは魔術をくらいながらも突撃を辞めず魔術師達を蹴散らし、本丸に単身で乗り込んで行った。
敵戦士「何!?もうここま…ぐわぁ!」
さらに本丸の戦士達までもなぎ払い、ローマ軍の戦士誰もが予想しなかったであろうスヴィンの前に立つ者がいた。
ラッシュ「貴様がスヴィンか!早速で悪いがこれで終わりにしてやる。俺は早いのが好きでなぁ!うおおおおお!突撃こそ我が人生!全ての戦略、知識、技能はこの技の前では無力!速攻以上の戦略はこの世に在らずァァァッ!!!!!」
そう叫ぶと目にも止まらぬスピードそして威力を持ちスヴィンに突撃した。
スヴィン「…。」スヴィンの手がピクリと動く。
衝突の轟音が響く
ラッシュ「------ッ!?」
この時、ラッシュは想定外の事からいくつかの疑問が浮かび上がった。
一体、突撃の衝撃はどこへ消えたのか…。
なぜ俺はスヴィンの前で立ち尽くしているのか…。
しかし、それら疑問を解決する暇はラッシュには残されていなかった。
ラッシュ「な…っ!?」
そう、ラッシュの体を1本の槍が貫通していた為だ。考える時間が単純に足りないのだ。
ラッシュ「ぐふっ!!!」倒れるラッシュ、駆け寄るものは誰もいない。
スヴィン「この阿呆があちらの副団長なのか?もはや、呆れを通り越して笑いが込み上げて来るぞ。ハハハハ!」と、笑うスヴィン
笑い声は空に響いている。
???「副団長を笑ったのはお前か?」
スヴィン「ハハ…ハッ…!?」
とてつもないオーラを放った男がゆっくりと馬から降りる。
スヴィン(こいつは…..。いつの間に…あいつが単身で乗り込んで来たのは…....。)
スヴィンは武者震いを初めて体験した。
マクロ「俺も笑ってもらおうか…。」マクロは覚悟を決めた目をしていた。
スヴィン(なん…なんだ こいつ…が団長なの…か?)
スヴィン「い、いや〜あっちがいきなり仕掛けてきたんだ。
不可抗力ってやつよ〜」
甲高い武器の衝突音が今度は響く
マクロ「…。」
スヴィン「へ、へぇお前もああいうタイプなのかい?」
武器を降り続けるマクロ 打ち合うスヴィン
スヴィン(こいつ…さっきの奴と違って隙がない….ならば.…)
スヴィン「すまないね。槍では決着が着きそうにないからこちらでいかしてもらうよ」
そう言うとスヴィンは距離を取り、炎の魔術を放った。
マクロ「くっ…」
スヴィン(こいつやはり魔術は下手だ!)
スヴィン「どうしたのかなマクロ騎士団長様〜」
そう言いながら炎の魔術を連発するスヴィン
マクロ「…。」
マクロ「…フゥン!!」
なんとスヴィンの火球を弾き返した!
スヴィン「何!?!」
スヴィン「…ハハ!面白い芸をお持ちで!今度はこいつだ!」
スヴィンは炎の渦を放った。炎の渦はマクロを飲み込んだ。
マクロ「…。」
マクロは渦の中で静かに膝から崩れていく…。
「そこまでだぁ!」
スヴィン「…チッまた増援か!」
ルビー「ラッシュさん…。」
ルビーは助けに入ったつもりだったがすぐに自分が来ても足でまといだという考えが脳裏によぎった…。だが
ルビー「俺はこの国が好きだ。マクロ団長もラッシュ副団長も好きだ。だから助けに行くと決めたんだ」
そう口ずさむとルビーは炎の渦に飛び込んでいた。
スヴィン「こ、こいつ何を考えてやがる!この国には馬鹿しかいないのか!?」
ルビー「ぎゃぁぁぁぁああっちいいいぃいいいっ!」
今度も大火傷のルビーだが、今回その姿は誰が見てもかっこよく見えた。
マクロ「…ル…び…」
ルビー「もう大丈夫だぜマクロ団長!ラッシュ副団長の仇も任せな」
マクロ「な…ぜ…おま…が…。」
スヴィン「…なぜあの中にいて平気なんだ!?」
そう言いながら火球を放ち続けるスヴィン
ルビー「ぐぁぁあちいい!」
炎に包まれ焼かれながらもスヴィンに猪突猛進のルビー
ルビー「うるせぇええええ!俺にもできる事があると知ったんだ!」
------------------少し前の救護室にて
ルビー「もうすぐ団長たちの出撃だな」
爺さん「うむ」
ルビー「団長…無事だといいが」
そう爺さんとルビーが話していると
シャララン シャララン と聞いた事のない音が聞こえてくる。
爺さん「なんじゃ!?」
ルビー「貴族だ!」
シャララン シャララン音は大きくなってこちらに向かってくる。
???「貴族か〜 半分正解で半分不正解かな♩」
扉から入ってきたのはまるで人間では無いかのようなオーラに包まれた人物だった。
ルビー「あなたは?」
???「やぁ、僕はマーリンここの宮廷魔術師をしている者さ♩」
マーリン「君、少し変わった形をしてるんだねぇ」
マーリンはルビーの体を指さし言った。
ルビー「?」
ルビーは顔を傾げる。
爺さん「そ、そうなんですよ大賢者マーリン様
こいつは生まれつきちょいと特殊な回路でして….。」
マーリン「ははっ!大賢者とは気分がいい!だから教えてあげよう♩確かに回路はヘンテコリンだけど君、もっと面白いよ!」
爺さん「?」
今度は爺さんが顔を傾げた。
ルビー「俺の回路以外の変な所?」
マーリン「そそ!君、ここの生まれじゃないよね♩」
ルビーはすかさず被せるように話した。
ルビー「いや、俺はここのスラムの路地で拾われた。爺さんからそう聞いている」
爺さん「えぇ、私もこやつをスラムの路地で拾いここまで育ててきたのじゃ、決して他国の者とは違いそうじゃが」
マーリン「ふーん、まっ生まれはどうでもいいや。それより君の属性だよ ぞ・く・せ・い!」
爺さん「属性じゃと?」
マーリン「えぇそうさ!この国の民はやっぱり属性に興味無いよね〜」
それもそのはず、この国の民は皆炎属性であるため属性を鑑定する術式や属性を測る道具が一般市民に手の届かないところに存在している。
マーリン「焦らすのは良くないからここで君の属性を発表してあげよう!」
マーリン「君の属性は!…○○属性さ♩」
――――――――――――――――――――――――
ルビー「うああああぁぁぁぁ!!!!」
ルビーは全身を炎に包みながらスヴィンの方へ走った。
スヴィン「!?…俺に近づくな!このぉ…!!!!」
スヴィンは炎の渦を再び放った。
ルビー「これが俺に出来ることだ!もう後戻りはできないぞ!!!喰らえぇぇぇえええ!!!!!」
炎は熱が上がると白い光に見えると聞いたことがある。
スヴィンの目には光しか無かった。
今更準備を完了させたオンバル騎士団員もスヴィンの後ろに到着したが、時間をかけ着た鎧も無意味だった。
なぜならその光は鉄をも溶かす光だったからである。
憲兵魔術師の対軍魔術など比にならない規模で辺り一面を一瞬で焦がした。 遅れて轟音が聞こえ、その後に爆風が全てを吹き飛ばした。
ルビー「…。」パタリとその場で倒れるルビー
幸いにも伏せていたマクロ団長も瀕死だった。
ルビーはこの間に短い夢を見た…。
オンバル偵察兵「あれは自爆魔術か…?この時代にまだそのような禁忌の魔術を使う者がいるとは…。急いで王に報告せねば!」
--------------------1週間後
ローマ王「これにて、終戦とする。」
あれからローマとオンバルの間で和平交渉が進められた。
理由は、オンバル騎士団長が死んだことによるオンバル軍の戦意喪失という名目だが、本当の理由は自爆魔術を使う者がまだ潜んでいる可能性があるオンバル王の恐怖からくるものであった。
----------------------葬儀場
そこではラッシュ副団長とルビーのお葬式が執り行われていました。
神父「ラッシュ ・エイサイトよ、ここに安らかに眠る アーメン」
神父「そして、ルビーよあなたの亡骸は四散したが、あなたの魂は天に召され安らかな場所に行ったことでしょう アーメン」
爺さん「う…うぅ…。」
マクロ「…。」
ルビー「…これで良んだよな」
ここから物語は始まる…。
あらすじです。 冒険物ストーリーなので冒険に出るまでのお話を書きました。