強力な味方
そしてイブキは、今日起こった事を私に話してくれた。途中ツッコミたい所があったがそれをすると、時間がだいぶ掛かるので、今回は辞めよう。なので、私はとりあえず、
「イブキは、私に協力しても大丈夫なの?バレたら社長に何されるか分からないよ?」と聞くと、
「大丈夫ですよ。ウサギ先輩の力になれるなら俺はどうやっても構いませんから。」とイブキは言っている。
いやいや、私が上手くいったとして、それが、イブキの犠牲のもとで成り立つなら私嬉しく無いよ。と言おうとしたのだが、
「ウサギ先輩。その言葉は口に出さないで下さい。その言葉を聞いたら俺の覚悟が揺らいじゃいます。覚悟は決めていますが、大好きな推しにそんな事を言われたら。それにこれは、俺の自己満足です。ウサギ先輩の力になれる、それだけで俺は嬉しいんです。それに、俺は、ウサギ先輩目当てでVSTARに入る時、全てを捨てて来ました。だからウサギ先輩の為に、今の地位を捨てる事にも何の躊躇いも有りません。」とイブキは言ってる。
そして急に、
「……マズいな。ウサギ先輩すいません。多分俺囲まれました、また無事が確認しだい電話しますね。」とイブキは、一方的に話し、電話を切ったのだ。
………なんか大事になって来たな。でも私にはどうする事もできない、そう思っていると、インターホンが鳴った。
郵便かな?と私が思っていると、うるるママが玄関に向かった。
一瞬ついて行こうか迷ったが、流石になと思い、待っていると、
「うわ。わざわざ何しに来た訳?」とうるるママはかなり不機嫌そうな声が聞こえて来た。
何だろ?と思い、そっと玄関を覗くと、うるるママと同い年くらいの女の人が立っていた。
え?誰?と思いながら覗いていると、
「彼が私に最後のお願いと言って来た。……早くイラストのデータを寄越せ。すぐに完成させる。」と言っている。
あっ、RIRARA先生か。私は会話の内容から、今玄関に立っている女性がRIRARA先生だという事が分かった。
私が隠れながら覗いていると、「そこにいるのは、猫犬ウサギか?出て来てくれ。」と私に対して言って来た。
お呼びかな?何だろ?と思い玄関に向かうと、
「え?ここ二次元じゃないよな?どういう事だ?目の前にいるのは猫犬ウサギ????私は夢を見ているのか?」RIRARA先生は凄く困惑していた。
そっか。RIRARA先生には会った事なかったか。などと思いながら、
「初めまして。RIRARA先生。私は、猫井あかり。いや、元VSTAR一期生の猫犬ウサギです。」と挨拶をすると、
「この声。間違いなく本物か。すまない。あの挨拶をしてもらってもいいかな?」と言われた。
挨拶?まぁいいか。私はスイッチを入れて、
「にゃわうさー❗️最強究極バーチャル混合ペット❗️VSTAR一期生の猫犬ウサギだよーーー❗️」と挨拶を披露した。すると、
「……やはりいいものだな。初めは君には興味などなかった。ライバルが手がけたVtuber。それが初めの印象だった。だが樹いや、斎場イブキの担当イラストレーターとなり、彼と仲良くなり、彼はいつも君の事を話していた。そして、私も次第に君を見るようになり、ファンになっていた。」と言って来た。
私のファンか。嬉しいな。と思っていると、
「イラストのデータあげるから入って来て。」とうるるママが私と、RIRARA先生の間に入って来た。
RIRARA先生は少し名残惜しそうにしていたが、うるるママが無理矢理引っ張っていったため、私からどんどん離れて行った。
そのままうるるママは、仕事部屋まで連れていった。私もついていく事にした。ちなみに志保ちゃんは、私がイブキと長電話をしてるのがキツかったのか、自分の首に手刀を落として気絶していた。
そして私が仕事部屋に入ると、RIRARA先生がうるるママの仕事部屋を隅々まで眺めていた。
うるるママがどういう機材を使ってるのかライバルとして気になるのかな?と思っていると、
「おぉおお‼️こ、これは登録者1億人突破の時の記念イラスト‼️こ、こっちは、ウサギ税が導入された時に、描かれた記念イラスト、こっちは、ハリウッドで映画化された時のポスター‼️凄い‼️流石は私のライバルだ‼️完璧のイラストだ‼️」とテンションが凄く高かった。そして、
「私は、全力で協力するぞ。それが彼の最後の願いだから。そして、大切な推しのためにも。」と宣言してくれるのだった。
RIRARA先生がここまでやる気を出してくれるとは思わなかったな。最初は、イブキが無理にお願いしてるのかと思ったけど、これは強力な味方が出来たな、と私は思うのだった。




