断られた
志保ちゃんが電話に出ると、
「え?嘘?もしかして志保なの?」と動揺した声が聞こえた。
これが夢崎先生の声か。初めて聞いたな。そして、可愛い声だ。こんだけ良い声なのに、何の活動もして無いなんて勿体無いな。と思っていると、
「私の事覚えててくれたんですか?嬉しいですね。」と志保ちゃんは嬉しそうに電話していた。
私達以外でこんな親しく接してる人が居るんだ。嬉しいな。と思っていると、二人の会話が始まった。
「忘れた事なんて無いよ。志保は、私の大切な友達なんだから。」
「そうですね。私も同い年の知人なんて夢崎ママしかいませんから。」
え?夢崎ママって志保ちゃんと同い年なの⁉️て事は私とも歳が近いんだ。なんだ何だか親近感が湧くなと一人で思いながら二人の会話に耳を傾けた。
「それで志保?捕まってたっていうけど、大丈夫だったの?」
「大丈夫では無いですよ。拘束されて、指一本も動かせません出したし、食事もなく、ただ点滴で生かされてるだけの状態でした」
「何それ。そんな非人道的な事が許されて良いの?」
「あはは。まぁそれだけ悪い事をしたって事ですよ。」
「でも出る事が出来たんだ良かったね。」
「まぁ迎えが来ましたからね。」
「迎え?」
「はい迎えです。二度と出る事は無くて、後は死ぬのを待っていただけの私に再び生きる気力をくれたんです。」
「そっか。で?いったい誰が迎えに来てくれたの?」
「ウサギ先輩。」
「え?え?今なんて?」
「ウサギ先輩ですよ。」
「ウサギ様が迎えに来てくれたの‼️」
うるさ。私は黙って会話を聞いていたが、突然聞こえた、夢崎先生の声の大きさに驚いてしまった。これ耳元で聞いてる志保ちゃん大丈夫か?と思ったが全然平気そうだった。てかウサギ様って何と思っている中夢崎先生の話は続いた、
「ウサギ様は元気なの‼️ウサギ様は生きてるんだね‼️良かった‼️突然辞めちゃってとても辛かった。でもウサギ様が無事に生きてる事が分かって良かった。」
……こういう話を聞くと、やっぱり申し訳なくなるな。と思っていると、
「そんなにウサギ先輩の事が気になるなら代わりますか?」と言ったのだ。
うん?電話代わるの?と志保ちゃんからスマホを受け取ろうとすると、
「む、無理だよ。私みたい弱小飼い主がウサギ様と話すなんて。そんな事他の飼い主の人が許してくれないし、何より私みたいなのが、この世界で最も可愛いくて、尊き存在であるウサギ様と喋るなんて許されないんだから。」と言った。
……志保ちゃんと仲良いの納得だな。なんか私の持ち上げ方が志保ちゃんと似てる気がする。てか夢崎先生本当に私の事好きなんだ。などと思いながら、二人の会話を聞くことにした。
「そっか。何か私だけウサギ先輩と話してごめんね?」
「それは別に良いよ。志保は飼い主の中でも屈指の実力者。四天王って呼ばれるほど、ウサギ様を愛しているんだから。」
何?飼い主の中でも屈指の実力者って?四天王って呼ばれてた。何それ私知らない。ヤバい二人の会話がまるで分からない。もう会話聞くの辞めるか?と思って日向さんを膝枕から下ろして部屋に出ようとすると、
「まぁそれほどでもあるんですけど。」と志保ちゃんは笑って。急に真剣な顔になった。そして、
「さて。そろそろお喋りは辞めて本題に入りましょうか。夢崎ママいや、柚乃私またVtuberとして活動するの。だから私のイラストを担当してほしい。」と目的を話し出した。
「それが私に連絡を取って来た理由か。………いくら志保の頼みでもそれはちょっと厳しいかな。」と夢崎先生は断った。
まぁだよね。志保ちゃんいや、白糖トバリはVtuber界隈では、1.2を争う程の超特大の地雷。のイラストを担当していた、夢崎先生は白糖トバリがクビになってから一切仕事が入って来なくなっていたみたいだ。これは私も聞いた話だから何処までが本当かは分からないが、VSTAR20期生、甘井ショコラの担当になるまで、相当な苦労をしたそうだ。社長にも媚を売ってやっと担当イラストレーターになれたとか。そんな中、志保ちゃんのイラストを担当すると、どうなるか。想像したく無い。 やっぱり夢崎先生は諦めるべきだと、思ったのに、
「柚乃。私はウサギ様と一緒にデビューするんです。そして、VSTARを潰す。それが目的です。この先にあそこしがみついても良い事は有りません。だから、私の担当イラストレーターになって下さい。」と志保ちゃんが頼み込んでいる。
「でも………」やはり夢崎先生の答えは変わらない。もう諦めなよと思うのであった。




