勧誘
「あはやっぱりウサギ先輩だ。」久しぶりに再開した志保ちゃんは、今まで拘束されていたのが嘘かのように、平然と話しかけて来た。
「久しぶりだね志保ちゃん。」と私が志保ちゃんに近づこうとした時、
「動くな❗️」と看守が志保ちゃんに言うと
「あ?ごちゃごちゃ煩いんだよ。ウサギ先輩との久しぶりの再会に割り込んでくるんじゃねぇよ。」と睨みをきかした。
……怖。こんな志保ちゃん見た事ない。と思ったが、別に私に睨んで来た訳じゃ無いので、私が気にせず志保ちゃんの方まで歩いて行き、檻の前まで立つと、
「………」志保ちゃんは驚いた顔をして黙っていた。
なんで黙ってるの?と不思議に思い、
「どうしたの志保ちゃん?具合悪い?」と聞くと、
「いや、やっぱりウサギ先輩の事好きだなーって思っただけですよ。」と言ってきた。
……いきなりどうした?と不思議でいると、
「ウサギ先輩は変わらなくて安心というか嬉しいですよ。ここに来たって事は私が死刑囚な事も知ってるし、ウサギ先輩に見せた事のない汚い私を見せた。それなのに、ウサギ先輩は昔と変わらないで接してくれる。それが凄く嬉しいです。」と言っている。
まぁ志保ちゃんは志保ちゃんだしね。と思っていたら、
「所でどうして私に会いに来たんですか?」と志保ちゃんは聞いて来た。
さて。どうやって話すか。普通に勧誘しに来たんだけど、それを言うと、ケーナ大統領に私が新しくVtuberデビューするのがバレてしまう。それをバレる訳にはいかないからな。だから、
「ケーナ大統領、志保ちゃんと二人で話したいから少し離れてくれませんか?」とお願いすると、
「え?駄目だよ?二人にするなんて危険で出来ないよ?」と案の定断られた。
こう言う時は、
「ウサギね?トバリと二人でお話ししたいの駄目?」
「勿論駄目じゃないよ‼️よし署長行くぞ‼️」と署長を連れて何処かに言ってくれた。
よしこれで志保ちゃんと二人で喋れるなと思っていると、
「随分懐かしい呼び方で呼びますね。」と志保ちゃんが言ってる。
もしかして、志保ちゃんも奏さんみたいに昔の名前で呼ばれるのが嫌なの?と思った私は、
「ごめん志保ちゃん❗️」と謝ったのだが、
「何で謝ってるんですか?」と返ってきた。あれ?
「え?私がトバリって呼んだ事怒ってない?」
「何でそれで怒るんですか?今は白糖トバリとして活動してないから久しぶりに呼ばれて懐かしいって思っただけですよ。」と言った。
良かったー。と安心して、私は本題を話す事にした。
「さてと。じゃあどうして私がここに来たか話そうか。」
と言い、一息置いて、
「もう一度Vtuberになってくれない?」と言うと、
「どう言う事ですか?私に復帰しろって事ですか?」と志保ちゃんは困惑していた。
まぁそりゃ困惑するか。と納得しながら、
「違う。奏さんの作るアイドルVtuber事務所Vchuの一期生としてデビューして欲しいの。」と伝えると、
「奏って誰ですか?」と返ってきた。
あれ名前知らなかったけ?と思い、
「轟かなめだよ。」と言うと、
「あー轟先輩の事か。」と分かってくれたみたいだ。そして、
「何で轟先輩がVtuber事務所なんて作ってるの?VSTARって副業駄目じゃなかったですか?」と聞いてきた。
確かにVSTARは副業禁止だよ。でもそれって、別の事務所に入ったり、別の名前で活動するのが禁止ってだけで、普通の仕事なら禁止されてない筈だよ。てか事務所作るのを副業って。そうならないでしょ。と一人で思っていると、
「てか、私を勧誘しにくるなら、轟先輩が来るべきでは?」と志保ちゃんは言ってる。
うん。まぁそれはそうかも知れないけど。奏さんは私の設定考えるのに忙しいみたいだからしょうがないよ。
「奏さんは今忙しい見たいだから、私が来たの。」と教えると、
「それでもですよ。いくら忙しいからって無関係なウサギ先輩を巻き込んでいい筈がありません。ウサギ先輩は、世界一のVtuberなんですよ❗️こんなとこまで来たら、配信出来なくて、世界中のファンが悲しみますよ。」と言ってきた。
そっか。志保ちゃんは知らないんだ。私がもう引退してる事を。だから、
「志保ちゃん別に私は、奏さんに巻き込まれて、志保ちゃんを勧誘しに来たわけじゃ無いの。」と言うと、
「どう言う事ですか?ウサギ先輩は、轟先輩の副業に付き合わされてる訳じゃ無いんですか?」と何も分かってない。
そっか、志保ちゃんは、奏さんが辞めた事も知らないのか。じゃあ全部教えるか。
「志保ちゃん。奏さんは別に副業でVtuber事務所を作る訳じゃ無いの。奏さんは、VSTARを辞めて、今は個人勢として、活動していて、新しくVtuber事務所を作るの。」
「マジですか。」と志保ちゃんは驚いている。
そして、「私もVSTARをクビにされちゃったの。それで奏さんが私を事務所に誘ってくれたの。そして私はそこの一期生としてデビューする事になって、その同期として志保ちゃんは誘いに来たの。志保ちゃん私と一緒に同期としてデビューしてくれない?」と告げるのだった。




