キャラ設定を決めよう
うるるママの家を後にして、私達は解散する事になったのだが、案の定、奏さんは私の家にいた。
そして、「ねぇあかりちゃん?あかりちゃんはどんなキャラでVtuberやっていきたい?」と奏さんが聞いてきた。
どんなキャラでか。確かに今のVtuberは最初デビューする時は、色々設定があったりする。まぁ途中でその設定はどんどん無くなっていくんだが。だがその変化もVtuberを楽しむ上で大切な要素だと私は思ってる。だがここで困った事がある。私、猫犬ウサギはVtuber黎明期から活動してるVtuberだ。そして、私が活動を始めた時期Vtuberという文化が全く無かった。その為、私は、設定なんて何も考えてない状況でデビューしたのだ。
だから猫犬ウサギの公式設定に書いてあるプロフィールは後から追加された物だ。そしてそのプロフィールも私自身が考えた訳ではない。
私の設定は、
VSTAR二期生、天才少年漫画家、獅子怒晃牙が自分が大手少年誌で連載してる漫画を休載して書いた漫画の設定と、
VSTAR二期生、天才少女漫画家、飴川ミカンが、連載してる漫画を無理やり終わらせて書いた漫画の設定。それら二つの設定を合わせて、私の公式プロフィールは完成した。
つまり私は何も考えてないのだ。それにそのキャラ設定が決まったのもだいぶ経ってからだからその設定を守った事は一回もない。
だから私は設定を決めてVtuberとしての活動経験が無い。そんな私が設定を考えるのは難しい。と悩んでいたら、
「設定考えるの難しい?」と奏さんが言ってきた。
「難しいですよ。そんな設定なんて考えてVtuberやった事ないんですから。」と答えると、
「そんな難しく考えなくてもいいんだけどなぁ?設定なんて自分の理想を詰め込めば良いんだよ。あーでも難しいか。あかりちゃんはあの病にかかった事無さそうだし。」
あの病?何だそれ?と思ってると
「厨二病だよ。」と奏さんが答えた。
………厨二病か。
「厨二病。それはとてつもなく思い病です。かかってしまえば完治は不可能なほど思い病。」
え?これ続くの?
「いや病なんて言葉で表していけないかも知れませんね。あれは呪い。」
もう良いよ?
「とまぁこんな事はどうでもよくてね。あかりちゃんは厨二病になった事ないから痛い設定を作ったりした事はないよね。」
どうでもいいって奏さんが話出しんだよ?と思ったが無視するとして、
「確かに私は厨二病になった事無いですけど、それが何か関係あるんですか?」
「さっきも言ったじゃん。あかりちゃん痛い設定とか作った事無いでしょ?」
「痛い設定かどうかは置いといて、何か設定を考えた事は一度も無いですね。」
「やっぱり設定ってのは自分の理想を詰め込む物なんですよ。私は、轟かなめでは生意気小悪魔キャラで活動していましたし、寿なのはではお姉様キャラで活動しています。まぁ他にもたっぷり設定は組んでたんけど、今では無くなってんだけどね。」などと話している。
設定は自分の理想か。と考えていたら、
「ちなみにこれが私が轟かなめで活動する前に作ったメモね。」と携帯のメモを見せてきた。
私が携帯を覗くと、そこには、
夥しい量の文字で埋め尽くされていた。正直読む気にすらならない。
私が呆然としてると、
「あかりちゃんもこんくらい書ける?」と聞いてきたので、
「無理ですよ。」と答えた。
こんなに書けるわけがない。絶対に無理だ。と諦めていると、
「じゃあ私が理想のあかりちゃんを作っていい?」と奏さんが聞いてきた。
理想の私?……どういう事だ?私の代わりに設定を考えてくれるって事かな?まぁそれなら助かるか。なので、
「では奏さんお願いしてもいいですか?」と言うと、
「任せて❗️あかりちゃんに私がして欲しい設定沢山入れる。完璧なのを作る‼️」そう言って奏さんは凄い勢いで帰っていった。
……奏さんにお願いして大丈夫だったかな?なんか心配になってきたが、まぁいいだろう。
私は携帯を取り出して、この前連絡先を教えて貰った、葵さんと南さんに連絡を入れた。
【イラストを描こうと思うので、設定とかこんな風に書いて欲しいとか決まってたら送って下さい】と送ると、
二人から返事はすぐに来た。
……なるほど。葵さんと南さんはこんな感じでやっていくのか。やっぱ設定がねられてるなと感心しながら、私は絵の下書きに入るのだった。




