オリ曲を作って❗️
「頼みごと?アンタが私にそんな事言ってくるなんて珍しいね。」と言いながら、奏さんと私を引き剥がし再び私を抱きしめて来た。
そしたら、また奏さんに引き剥がされて、抱きしめられて、
「まぁいいじゃん。で?受けてくれる?」
そして、また引き剥がされて、抱きしめられ、
「先に要件を言ってくれない?じゃないと了承も出来ない。」
また私を引き剥がそうとしたが、今度は完全に弾かれていた。
「曲を作って欲しいの。」と奏さんは直球に伝えた。すると、
「無理」とだけ返って来た。
………無理か。まぁヒビキって頼まれて曲を作った事ないからね。と思っていると、
「どうしても無理なの?」と奏さんは諦めていないようだ。
「しつこいね。私は自分が作りたい時にしか曲を作らないの。そして、今は曲を作る気分じゃない。曲を作る暇があるなら、ウサギ先輩と一緒にいる。分かったらとっとと一人で帰ってくんない?」
と私だけを残して、奏さんには帰るように言ったのだ。しかし、
「その曲歌うのあかりちゃんだよ。」と伝えると、
「作る❗️完璧な曲を作る。」と曲を作る気になってくれた。が、
「あれ?ウサギ先輩が歌う?もうVSTARを辞めたのに?」と疑問を抱いた。
「そう。あかりちゃんは新しく私の作るアイドルVtuber事務所、Vchuの一期生としてデビューしてもらうからそのオリ曲をアンタに作って欲しいの。」と私が再びVtuberになる事を伝えると、
「え?嘘?またデビューしてくれるんですか?嬉しいです。」と素直に喜んでくれた。のだが、
「で?一期生って事は他にも何人かデビューするんだよね?誰をデビューさせるか教えくれる奏?」と奏さんに質問をしていた。
「天道ミカと神楽りりだよ。」と答えると、
「ふーん?あの二人か。まぁ悪くないんじゃ無い?でもその二人がいるなら私は曲は作らないよ。」とヒビキは言ったのだ。
「さっき作るって言ったじゃん。嘘つくわけ?」
「さっきは作るって言ったのはウサギ先輩が一人で歌うと思っていたから、でもアンタが作って欲しいのはグループとしてのデビュー曲でしょ?だったら、作らない。その二人だけじゃ私の気分は上がらない。ウサギ先輩のソロ曲だけなら作る。それでいい?」
「そこを何とかお願い出来ない?アンタが作った曲なら絶対にバズると思うんだよな。お金ならちゃんと払う、何なら倍払う。」と交渉しているが、
「別にお金の問題じゃ無い。私が作りたいか、作りたく無いかなの。さらに私が作る音楽は完成された芸術なの。だから、雑音が入って崩されたくない。
だから絶対に作らない。」と拒否している。
「分かった。分かった。とりあえず今はいいや。じゃああかりちゃんの曲だけは作ってくれる。それで合ってる?」
「うん。それならいい。ウサギ先輩が歌う為の曲なら張り切って作る。」と私のソロ曲だけつくるという話でまとまってしまった。
いやこれはまずいでしょう。メンバーの間で格差が出来るのは良くないよ。と思っていたら、
「確かにウサギ先輩の言う通りこれからデビューしていくと言うのにデビュー当初からメンバーの間で格差があるのは良く無いですね。」とヒビキにも心を読まれた。
なんなんお前ら?なんで私の考えてる事がこんなに分かる訳?ファンだからでって理由じゃ説明が付かないぞ、と思っていると、
「せめてもう一人。ウサギ先輩と並んでも違和感のない才能が欲しい。それがあれば、雑音が合ったとしても私の音楽は崩れない。」とヒビキは告げたのだが、
「つまりもう一人メンバーを集めろって事?それもあかりちゃんと一緒にいても遜色のないレベルの?無理だよそんなの?」と奏さんは言っているが、
正直私はそれを言われた時に一人思い浮かんだ。VSTARとしてデビューして、たったの三ヶ月でクビになった。天才の事を。だがその子がもう表舞台に立つ事は無いから、誰を誘えばいんだろ?と考えていると、
「で?どうする?私が言った条件の子を連れて来れるならオリ曲作ってあげる。ウサギ先輩のメンバー格差をなくしてあげようと言う優しさに免じて。」とヒビキが奏さんに言うと、
「分かった。何がなんでも探す。だから曲作って❗️」と奏さんは頭を下げた。
「了解。アイドルVtuber事務所Vchuのデビュー曲作って上げる。この、VSTAR2期生、蓬莱ヒビキがね。それから、ウサギ先輩のソロ曲も。そして、ウサギ先輩の優しさに免じて、天道ミカと神楽りりにも短いソロ曲もね。」と私たちのオリ曲を作ってくれる事になった。
「ありがとうヒビキ❗️えっと依頼料を払わないと。確か、1曲2000万くらいだったっけ?1億円払えばいいかな?」
「ウサギ先輩からお金は取りませんよ。今まで、と同じでウサギ先輩に曲をプレゼントするんです。」といってお金を受け取ろうとしない。
「いやそれは猫犬ウサギにプレゼントでしょ。私はもう猫犬ウサギじゃ無い。だからお金を払わして」と言うと、
「じゃあ私の質問に答えて下さい。」
じゃあ?何がじゃあなんだ?まぁいいか質問ってなんだろ?と思っていると、
「どうしてVSTARを辞めたんですか?」と聞かれるのだった。