白雪きなこ
そこで働かせて欲しい?どういう事?と思っていると、
「ワタシガブイチューバーヤメタリユウオボエテル?」と聞いてきた。
そりゃ勿論覚えている。きなこちゃんは喉を痛めてしまって、白雪きなこの声を出せなくなったのだ。
白雪きなこの声は、非常に透き通っていて、甘い声で聞いてるだけで夢見心地を得るそんな声だった。
でも今の声は、……ただの機械音声だ。
何故こんな事になったのか。それは、卒業ライブが原因だ。
きなこちゃんは卒業ライブをする前に喉を痛め入院していた。そしてそこで医者に言われた事が、
「このままVtuberを続ければいずれ喋れなくなる。長い間喉を休めろ。」と言われたみたいだ。
最初はきなこちゃんも休めるつもりだったが、医者曰く、最低でと2年は休めないといけないみたいだった。
でもきなこちゃんは待てなかった。そんなにファンを待たすなんて出来なかったのだ。
だから志保ちゃんは、どうせ声が出なくなるなら最後にデカい卒業ライブをする事にした。
そして卒業ライブを終えて、喋れなくなり、機械をつけて喋る生活になった。そして以前の声を出せなくなった為、転生もしてない。それがきなこちゃんの現在だ。と考え先程の質問に答える事にした。
「勿論覚えているよ。」と私が言うと、
「ソッカワスレラレテナクテヨカッタヨ。」ときなこちゃんは言ってる。
やっぱりこの機械音声どうにかしてあげたいな。と私はきなこちゃんの声を聞くとどうしても思ってしまう。
実はきなこちゃんは声を取り戻す事が出来た。これはきなこちゃんが卒業してから分かった事なのだが、凄い名医がいる事が分かったのだ。その人医療技術はまさに神の領域に達していて、億年先の医療と呼ばれているみたいだ。
その医療技術は凄まじく、手術は100%成功し後遺症も絶対に残らない。他人の腕の移植や足の移植をしても拒絶反応を一切起こらない。そして極め付けは、死者の蘇生すら可能。まさしく別次元の技術を持つ医者がいるそうなのだ。
だが一つだけ問題があって、医療費があり得ないくらい高いのだ。某漫画に出てくる無免許の医者が可愛く見えるくらいの某額の医療費を請求するみたいだ。
何と、最安値でも、10億がスタートラインなのだ。
別に10億は、私からしたら簡単に払える額だったが、きなこちゃんは違った。
白雪きなこの登録者、502万人。トップVtuberである事に間違いは無いが、10億を簡単に出せる程では無い。だから私が出そうとしていたのだが、
「ワタシヲジブンデコウナルコトヲエランダ。ダカラコウカイハシテナイ。アノソツギョウライブワタシノスベテヲカケタ。ワタシノゴールハアソコダ。モウアノバショニモドルツモリハナイ。」と断られたのだ。
私はすぐに、別にVtuberに戻ってとは言ってない。その声じゃ日常生活が不便じゃ無いかと。言ったんだけど、
「ワタシヲネコイヌウサギノフタリシカイナイセンパイダ。コウハイカラタカルコトノンテデキナイヨ。」と言われてしまったのだ。
そう言われたら私は何も言えないのでこの話は終わったのだ。
まぁそんな事は今は考えなくてもいいか。と私は気持ちを切り替え、
「どうして?ここで働きたいんですか?」と質問すると、
「………ワタシハイチオウトップブイチューバーダッタヨネ?」と聞いてきた。
?そりゃそうだよ。何当たり前の事言ってるんだろ?と思いながら、
「そりゃトップVtuberに決まってるじゃ無いですか。」と答えると、
「ソッカヨカッタ。ジツハワタシサポートスルガワニナリタインダ。」と言ってきた。
サポートする側。つまり、マネージャーとか裏方になりたいって事?………………助かるな。やはり普通のマネージャーより、Vtuberを経験してVtuberの事をよく分かってる人がマネージャーをした方が色々と安心出来るな。だから、
「良いですよ❗️是非働いて下さい。」と私は言うのだった。
「アリガトウワタシガデキルコトヲゼンリョクデガンバルヨ。」と言って私達の電話は終わった。
きなこちゃんには明日にでも私の家に来てもらうとするか。と明日の予定を立てていると、、南さんが帰ってきた。私は南さんに、替え玉はきなこちゃんがしてくれると伝えるのと、奏さんにはきなこちゃんを雇いたいという事を伝えた。
南さんは、「白雪きなこが私の替え玉?……嬉しい。」と喜び、
「ナイス判断。Vtuberとして初期から活動していた子がマネージャーとかやればだいぶ便利だよ。」と奏さんは言っていた。
よし。これで替え玉が決まった。後はダンスと歌の練習をデビューまでしっかりとしないとな。もう本当に時間が無いんだから。
もうすぐでまた私はVtuber。……楽しみだ❗️