全員でのダンス
家に帰ると、既に光さんがいた。そして、
「色々と大変だったみたいだね。何があったかは聞かないけど良く頑張ったね。」と言ってくれた。
やっぱ光さんいい人だな。と思いながら後ろで倒れている同期となるメンバーに駆け寄った。
「死、死ぬ。」南さんが言い、「わ、私ダンス自信あったのにキツすぎる。」葵さんが言ってる。
そう今日は全員でのダンスレッスンをする。色々あって私がデビューまで2週間で、デビューが1番早い南さんは1週間。つまり時間がもう無いのだ。だからダンスの練習を光さんに頼んだのが光さんが厳しすぎたな。と私は倒れている2人を見て思った。
すると、「ウサギ先輩この人頭おかしいですよ。こんなダンスしたら体が保ちません。今すぐ逃げて下さい。」志保ちゃんが目の前に来て、足をプルプルと振るわせながら言ってきた。
志保ちゃんでもやっぱキツいのか。と光さんの鬼のしごき具合に私は恐怖した。すると、
「まだまだ私は出来る❗️次のレッスンお願い❗️」と葵さんが立ち上がったのだ。
その姿を見て、南さんも、志保ちゃんも引いていた。
ふむ流石は、葵さんか。葵さんいや、神楽りりはガチ恋営業が売りのラブランドで唯一ガチ恋営業をせずにダンスの腕だけで、ラブランドのトップに立った、Vtuberなのだ。ダンスの腕前だけなら、プロに匹敵すると言われているのだ。
それを聞いた光さんは少し嬉しそうにしながら、
「そこまで言うならやろうか。最初だから軽くしようと思ってたけどそんなにやる気があるなら私もそれに答えよう。」と言ったのだ。
光さんがやる気を出してるな。南さんと志保ちゃんは絶望してるなー。と思いながら私も動きやすい服に着替え一緒に練習をする事にした。
そして、7時間後私以外全員が倒れていた。
しかもただ倒れているわけでは無い。3人とも意識を失っているのだ。
正直志保ちゃんは大丈夫だと思ってたけど、案外ダメだったか。と思いながら吹き出る汗をふいていると、
「流石は私の一番弟子だね。たった2回の練習で前と遜色無い動きが出来るようになってる。」と光さんは私に言ってきた。
まぁ確かに動きは戻ったかも知れないけど、体力はまだ全然なんだよね。今の私じゃ踊りながら歌うと二曲に行くまでにインターバルが発生してしまう。だから早く体力を戻さないとな。と思いながら、
「光さんの教え方が良いからですよ。」と答えておいた。事実だし、
と伝えると、「君の頑張りあってこそだよ。さてと、少し話を変えても良いかな?」と光さんはいきなり言い出した。
うん?何だ?と思いながら、頷くと、「ど、どうしてイブキ様はいきなり辞めたの‼️」と言ってきた。
………………え?と私が驚いていると、光さんは、
「ねぇどうして‼️どうしてイブキ様はいきなり辞めたの‼️何か知ってる事があれば教えて‼️」と私の肩を揺らしながら訴えてきた。
光さんって、斎場イブキのファンだったのか。初めて知ったな。と思いながら私は困っていた。
だって、そのまま言う訳にはいかないからだ。でも知らないって言うのもお世話になっている光さんに嘘は吐きたくないし。でも本当の事は言えない。どうする?どうしよう。と葛藤していると、
「イブギざまぁぁぁどうじでやめぢゃっだんでずがあぁぁぁ‼️」と光さんは号泣してた。
光さんこんな感じになるんだ。と思いながら私は申し訳なさでいっぱいだ。イブキは私なんか助けなければ捕まら無かったのに。と思ってしまう。私どうすればいいんだ。と思っていると、
「……ごめんなさい。」といきなり光さんに謝られた。え?どう言う事?と聞こうとすると、
「君の顔を見たら大体の事が分かった。イブキ様が辞めたのは君の為何だろ。」と言われた。
……私が黙って頷くと、
「君も辛いのに聞いてごめん。」光さんは再び謝ってきたので、
「私の事責めないんですか?」と質問すると、
「責める筈ないだろ。猫犬ウサギは、私の推しが愛した最愛の人。その人を責める事なんて出来ないし。それにイブキ様は、自分からその道を選んだ。そして何より君は私の一番弟子。例え君に非があったとしても私は君を責めないよ。」と言われてしまった。
……こういう時優しくされると逆に辛いな。私の事怒ってくれたら良いのに。私の事怒ってくれるの1人くらいだもんな。と思っていると、
「あ、最後に一つだけ聞きたいな。イブキ様は元気?」と聞かれた。
……元気ではあるな。と思い私は頷いた。すると、
「それが聞ければ一安心。さて話を戻そう。」と光さんは言い出して、
「全体でのダンスについて何だけど、辞めにしない?」と言ってきたのだ。
どういう事ですか?と聞く前に、光さんは答えた。
「正直いってレベルに差がありすぎる。まず君は完璧だ。ダンスの腕そして、見る人魅了させる動き、下手したら私と遜色無いかも知れない。そして残りの3人だけど、1人はダンスの腕は確かで、君と一緒に踊ってもまぁ及第点だろ。もう1人は、ダンスの動きはいいとは言えないけど、圧倒的身体能力で何とか形になっている。それに君同様見た人を魅了させる力を持っているから及第点だ。そして最後の1人だけど、君と同じステージに立つ資格無し‼️」と光さんが言うのだった。