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人生に影響を及ぼさない無駄エッセイ

東北芋煮戦争に幕──。

作者: 家紋 武範

まったく嘆かわしい。

我々東北民がなぜこんなくだらない問題でまいどまいど争わなくてはならないのか?

そもそも、我々日本人は争いごとの嫌いな平和を愛する民であるに違いないのに。


ことの発端はこうだ。

山形、宮城の連中が我が地方の芋煮が最高であると、譲らないのである。


ここで説明せねばなるまい。

東北の秋の風物詩と言えば河川敷や山などで、仲間たちと寄り合って、お芋を煮たスープを喰らうとこういうわけだ。これを芋煮会という。


ところが、「芋煮」と(いえど)も中身はまったく違う。

山形は醤油ベースで中に入っているのは牛肉と里芋、長ネギ、コンニャクと至ってシンプルなもの。

宮城は味噌ベースで中に入っているのは豚肉と里芋、白菜、ゴボウ、ニンジン、コンニャク、豆腐、長ネギ。


私はどちらも食べたことがあるけれど、どっちも旨い。甲乙つけよという方に問題がある。

まずどちらも中身が違うのに名前が一緒なのが問題だろう。岩手なんて潔いもので、その名称は「芋のこ汁(いものごずる)」。

だからね、山形も宮城も山形醤油芋汁とか宮城味噌芋煮込とかすればいくらか、ぼかしめになっていいかんじでしょ?


一つがいいなんて、多神教の日本人には馴染まない。クリスマスも、お正月もお盆もハロウィーンもみんなみんなやっちまえい! ってのが日本人の心意気よ。


そこいくと、我が福島の芋煮は違う。ベースは味噌と醤油。肉は旨けりゃいい。牛肉でも豚肉でも鶏肉でも入れちまえ。もう全てのいいことを取ってる。これぞ多神教日本のやり方! 食べたけど物足りない。だったらうどん玉でも入れましょう。


これ。


これが文化の(すい)を極めた芋煮。いいところを集めた芋煮会よ。ワカル?

ワシなんて、芋煮にうどん玉入れないなんてものたりないって感じだけどなぁ。

君ら福島じゃねぇ東北民は芋食ってりゃ満足か? 一緒にうどん玉を入れてみないかい?

いやいやいや、気持ちは分かる。今まで信じてきたものを急に変えることなんてできない。

だから待ちましょう。いずれは福島に帰依する時を。


山形県民、宮城県民はこぞって福島の芋煮会に降伏しなさい。

どうせ福島には勝てないことには間違いないんだけど、そっちのも美味しいよねと認めている上で、そちらの話を聞く準備は常にございます。

対話のドアは常にオープンなのですから。



さーてと。さすがに今回ばかりは感想欄は閉じておくか。


では。

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