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トゥルー(true)  作者: 風吹(かざふ)流人(るじん)
虎狩り
7/92

(3)southern america mission

「ウォルク少尉殿は、当地の作戦に従事されてどれくらいになりますか?」


作戦地域へ向かう幌トラックの中、ウォルク少尉とマーシャル軍曹は会話を続けていた。


「もう、3みつきになる」


「そんなに・・・。しかし、なぜこの国の政府は、たかがケモノ一匹に我が軍の支援を求めたのでしょうか」


「たかがケモノ一匹じゃなかったからだ。度重なる被害に警察は本腰を入れたが、全く歯が立たなかった。そして、次に軍隊が動いたが、夜に行動するマンイーターに、夜戦が不慣れな兵隊たちは手を焼いた。最初は、ねぐらを突き止めて急襲を考えたらしいが、いくら痕跡を辿って近隣を捜索しても手掛かりすらなかった。隊を分けて、広範囲の捜索に切り替えたら、今度は兵隊たちが襲われ始めた。夜に数人で行動しているところを、後ろから忍び寄って、喉をかき切るんだ。そして、うち何人かは頭を持ち去られていた。

そのあまりに凄惨なやり口に、兵隊たちの指揮は下がりっぱなしだった。

そのため、なんとか早めの決着を図りたいと、政府を通じて陸軍に専門家のオファーが来たんだ」


「夜戦のですか?」


「ああ、暗闇で戦闘する専門家だ」


「それが、あなただったんですね。しかし、他国のことに、なぜ合衆国政府はそこまで協力を惜しまないのでしょうか」


「ふ・・・」 


ウォルクの口から小さく笑い声が漏れた。


「表向きは人道支援だ。しかし、あまり大きな声ではいえんが、マンイーターの存在が取り沙汰されれば、本国の上層部には都合の悪いことになる」


そして、間を置いた後、低い声で続けた。


「ただ、細かいことは、あまり詮索はしない方がいい」


指揮官の含みのある言い方に、軍曹は顔に緊張を浮かべた。作戦に於いて兵隊が踏み込んではならない極秘事項はままあるものなのだ。


「分かりました・・・。では、この3か月間の戦況を教えていただけますか?」


ウォルクは、マーシャル軍曹の顔を、光を失った目で真っ直ぐに見つめて言った。


「兵隊の損耗は酷いものだった。あれは、ケモノの範疇を超えている。象並みのパワーと、豹並みの反射神経、そして人間の知能を持っている、私の知る限り地上最強の生き物だ」


「軍隊の銃火器も効き目がなかったのですか?」


「確かに、相手はたかだか身長2メートル足らずの生き物だ。弾丸を喰らって立っていられるはずがないが、それは当たればのことだ。奴は夜の闇の中では敵がいなかった。気づかれぬようこっそり忍び寄り、爪で喉首をかき切る。たまたま近くにいることに気がついたとしても、それから銃を構えても当たるはずがない。下手すれば同士打ちだ。それに、奴は遠くからでも敵を殺せる」


「まさか、人間のように銃を扱えるのですか?」


「いや、銃よりももっと厄介なものだ」


「そ、それは・・・」


つぶてだ。それも鉄のつぶてを続けてすごい勢いで飛ばすんだ。当たれば人間の頭蓋など簡単に貫通する。軍用のヘルメットですら貫通しかけて、危うく命を取られそうになったものがいた」


「礫と言うと、それは、スリングショットのような武器でしょうか」


「分からない。奴がつぶてを飛ばすところを誰も見ていないのだ。ただ、闇の中から突然狙撃される。だが、軍も威信があったのだろう。損耗が激しくなるほど戦力を投入した。それが奴をますます本気にさせて、ついには一個中隊が潰されてしまった」


「信じられません。たかだか一匹で一個中隊を全滅させるなどと。そんなものが本当に存在するのですか」


「無理もない。だが、奴は間違いなく存在する」


「それをあなたはどのように立て直されたのですか」


「私は着任早々、作戦部隊の縮小を進言した。損耗の拡大に歯止めがかからなかった軍も実は、戦力をしぼる口実が欲しかった。かわりに、軍からこれはと思う熟練兵を選りすぐって少数精鋭の部隊を構成したのだ」

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