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トゥルー(true)  作者: 風吹(かざふ)流人(るじん)
兆し
4/92

(4)midnight call

「おはよう。ウォルク」


「スティール・・・、どうせまた、ろくでもないことだろう」


「機嫌悪そうね。もしかしたら、寝ているところを邪魔したかしら?」


「いや、こちらは昼の3時だ。昼と夜をひっくりかえしているのは自分のせいだから、気にしなくていい。それより、そちらこそ、真夜中じゃないのか?」


「こちらは、真夜中の2時よ。それで、少しは動きはあった?」


「いや、ここのところ相手の動きがない。ずっと夜も昼も暇を持て余している」


「そちらのハントはいつまでかかるの?」


「さあ、相手の動きが次第だ」


「そう、それで、よく聞いて欲しいの」


「聞いてるさ」


「こちらのカナリヤが一匹喰われた」


「近いのか?」


「ええ、近いわ。下部組織の構成員をそれとなく潜らせておいたの。そのうち一人が自分で頭を撃ち抜いた」


「自分でか?」


「しかも、顔じゅう笑いを浮かべながらよ。でも、目からは涙を流していた」


「コードを書き込まれたのか」


「間違いない。数日前から目をつけられていて、雨の日に襲われたのよ」


「しかし、そんなに分かりやすく仕事の痕跡を残したら、警戒が強くなって、奴らにはやりづらくなるではないか」


「まあね。でも、彼らは、私たちのことなんか少しも意に介していないのよ。潰そうと思えばいつでも潰せるってことね。それと、分かりやすく、カナリヤを潰せば、私たちが動くでしょ。それで、トゥルーの居場所を探るつもりなのよ」


「そのトゥルーを探してどうするんだ?」


「単純よ。抹殺のため。彼らにとって、唯一の脅威だから。でも、私たちには、唯一の武器なの」


「だから、5年前から極東の島国に身を沈めて、あんたらの秘蔵っ子を隠しているんだな」


「そう、あいつらは世界はとって、核兵器や生物兵器、そしてサイバーテロ以上に厄介な存在よ。そしてトゥルーは、危険すぎる兄弟たちのニュードライザー(中和剤)としてデザインされた。でも、まだ子供で兄弟たちを押さえ込む力は持たない。だから、その日までここで守らなくてはならないの」


「それは、まるで卵を抱えて巣を守り続ける母鳥だ。そして、巣の近くに蛇が現れた、と言う訳だな」


「そうよ、できれば、すぐにでもあなたの力が欲しい」


「コードライターか。厄介な相手だ」


「彼女だけじゃないわ。おそらく弟のフェーカーも一緒よ。もし、フェーカーがこの国の経済に手を出したら、考えるだけでもゾッとする」


「だが、今はこちらのハントが最優先だ。奴は必ず戻ってくる」


「だから提案があるの。マンイーターのハントをトゥルーにバックアップさせるわ」


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