表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第七章 夏休みが始まりました
96/573

07-03 ユージンの来訪でした

 ミモリとカノンが来訪した、その翌日。仁と英雄が、昼食を共にしながら会話する。

「ユージンさん、凄い人だったんだねぇ」

「まぁ、あれだけの腕を持っている人だからね。話題になってもおかしくないか」

 昨夜、ミモリとカノンから知らされた事実。それは生産職プレイヤーの中でも、ユージンはトップクラスの存在だという事だった。


「あ、あったよ。掲示板」

 タブレット端末を操作して、英雄が仁にも見えるように置く。


―――――――――――――――――――――――――――――――


【物作り】AWO生産スレ81【楽しい】


 アナザーワールド・オンラインの生産要素に関するスレです。

 荒らしはスルー、マナーを大事にスレを利用して下さい。

 次スレは>950が宣言して立てること。



412 鍛冶職人の名無し

 店舗持ちプレイヤー増えたかな?

 最近は公共スペースで売買するプレイヤーを見なくなったな



413 調合師の名無し

 貸店舗は増えて来たけどな

 主流はやっぱ取引掲示板だろ



414 服職人の名無し

 未だに出品した服が売れない……



415 木工職人の名無し

 >414

 どんなの出品したの?



416 服職人の名無し

 >415

 エロ水着

 尚、防御力は紙同然



417 木工職人の名無し

 >416

 それは売れないだろうwww



418 服職人の名無し

 >416

 そういえば取引掲示板でエロい水着見付けたな

416のだったのかwww



419 調合師の名無し

 ≪薬草≫と≪花の蜜≫と≪魔力凝縮液≫を採取して

 調合するだけの生活も飽きて来た



420 鍛冶職人の名無し

 >416

 自分の性癖に正直過ぎるw



421 服職人の名無し

 >419

 フィールド探索も良いもんだぞ?

 生産職とは言っても戦えるんだしさ

 新境地で新しい素材ゲットしようぜ!



422 木工職人の名無し

 そう言えば最近は例の職人の名前を見ないな

 ユージンって人



423 服職人の名無し

 >422

 オールラウンダーな生産職の人だろ?

 その人が出品するのは金曜の夜だったじゃないか



424 鍛冶職人の名無し

 >422

 確かに見ないな

 やたらと質の高い武器や防具を作るヤツ



425 商売人の名無し

 ユージンさんと売買契約結びたくて探しているんだけどなぁ

 一向に見つからん



426 木工職人の名無し

 どんな人なんだろうな

 あの人の作品を越える弓を作るのが今ん所の目標だわ



427 服職人の名無し

 間違いなく生産職人のトップだよな

 あとはサルートとか?



428 商売人の名無し

 鍛冶職人だと有名なのはこいつらかな

 ガンテツ

 ネフィリム

 カノン



429 鍛冶職人の名無し

 ……俺の名前は上がらないよね

 知ってた



430 木工職人の名無し

 >429

 ま、まだ諦めるには早いぜ……!! 



431 服職人の名無し

 >429

 そうそう!!

 まだこれからだよ!!



432 商売人の名無し

 木工職人

 トール

 さかな

 フローリア



433 服職人の名無し

 >430

 だ、大丈夫か……?



434 商売人の名無し

 服職人

 サリィ

 サルート

 モモンガ



435 調合師の名無し

 >434

 もう良いよ!

 もうやめてくれ!!



436 商売人の名無し

 調合師

 シンラ

 ミモリ

 トランサム

 ヴィヴィアン


 尚、これらの全てにユージンの名前が入る



437 商売人の名無し

 書き込みが止まった?

 どうした?



438 商売人の名無し

 ごめんなさい



―――――――――――――――――――――――――――――――


「酷いものを見た」

「あまりにも、あんまりだね……」

 商売人の名無しのKYっぷりに、二人は呆れてしまう。


 しかし彼が名前を挙げたお陰で、生産職で知名度の高いプレイヤーが解った。しかも、その中にはミモリとカノンの名前もある。

「姉さん達って、有名プレイヤーだったんだね。凄いなぁ」

「……仁とは別のベクトルだったけど、ね。確かに凄い」

 あまり取引掲示板を利用して来なかった二人も、KYのお陰で有名な生産職人について知る事が出来た。


 そしてその結果解ったのは……ユージンは別格の存在、という事だ。

「まぁ、僕達の装備も全部ユージンさんが作ってくれたしね」

 ユージンのお世話になっているのは、ジンを始めとする【七色の橋】。次いで、ケイン達【桃園の誓い】。レーナ達JD四人組に、ソロプレイヤーのリリィ。彼等が把握しているのは、これくらいである。


「昨日は【桃園の誓い】のホームに出張だったっけ」

「ゲイルさんとチナリさんの装備、完成したらしいよ。どんな感じになったんだろうね」

 ゲイルとチナリ……【桃園の誓い】の新メンバー二人がどの様な装備になったのか、次に会うのが楽しみであった。


 それはさて置き、仁は窓の外に視線を向ける。

「一応、メッセージは送ってあるけど……ユージンさん、来てくれるかな」

「こればかりは、俺達に出来る事は少ないかな……」

 昨晩、【七色の橋】を訪れたミモリとカノン。二人に依頼されたのは、ユージンに会ってみたいというものだった。

 二人は生産職人として、ユージンの作品に触れた事があり……是非会ってみたいと、口を揃えて言っていたのだ。人見知りのカノンですら、だ。


「凄く気の良い人だし、来てくれると思うんだけど……ね」

「でもさ、英雄。それは僕達が戦闘職だから……っていう事は無いかな。要するに、取り引き相手って感じでさ。姉さん達は同じ生産職人だし、ユージンさんからしたらライバルになる」

「……確かに、その可能性も否定できない……か」

 顔を突き合わせて、二人はタブレットに視線を向ける。そこには、KYっぷりを叩かれる商売人の名無しに対するコメントで埋め尽くされていた。


************************************************************


 その日の夜、ジン達は【七色の橋】のギルドホームに集まっていた。ミモリとカノンも、一緒だ。

「……ね、姉さん? カノンさん? 大丈夫?」

「……う、うん」

「は、はい……大丈夫、です……」

 二人はそう返事をするものの、その後は黙り込んで固まってしまう。どうやら、随分と緊張している様だ。


「来てくれますかね、ユージンさん」

「そうだなぁ……商売相手と競合相手じゃあ、勝手が違うだろうし……何とも言えないッス」

 アイネとハヤテは、二人に聞こえない様に小声で相談し合う。やはりハヤテも、ジンやヒイロと同じ懸念に思い当たったらしい。

 当事者である二人に聞こえぬ様にと、小声で会話したのだが……しかし、ピクリとカノンの肩が揺れた。どうやら、二人の会話が聞こえてしまったらしい。肩をプルプルと震わせて、俯いている。

 そんなカノンの様子に、二人は口を噤むしかなかった。


 そうして訪れた、気まずい静寂……それを掻き消したのは、メッセージの受信を告げる電子音だった。最も、その電子音は【七色の橋】メンバーにしか届いていないので、ミモリとカノンには聞こえていないのだが。

「メッセージだね……」

 ジンがシステム・ウィンドウを開くと、差出人はレーナだった。

「おー、今度のイベントではレーナさん達もギルドメンバーと一緒に出るんだね」

「ギルド……ですか。確か、レーナさん達と言えば……」

 ジン達は、彼女達をギルメンに勧誘して断られている。その時教えて貰ったのが、レーナ達はリアルの知人とギルドを結成する約束がある……というものだった。

 どうやら、無事にギルド結成は成ったらしい。


「ヒイロ様。今度、何かお祝いをしては如何でしょうか」

「確かに。俺達の時にも、お祝いしてくれたし……お返しですね」

 沈黙は解消されたが、ミモリとカノンは緊張したまま。お世辞にも、良い雰囲気とは言えない状況だ。

「……お茶が冷めてしまいましたね。今、新しいものをお持ち致します」

 ミモリとカノンのお茶を淹れ直そうと、シオンが立ち上がる。その時、ふと窓の外に視線を向け……ポータルのすぐ近くに、光が発生したのを確認した。


「……お客様がお見えになったようです」

 その言葉に、ジン達が立ち上がる。大広間から外に出る為の、扉。そちらの方へジンが向かうと……。

「やぁ、お待たせしてしまったかな? こんばんは、皆」

 アロハシャツにサングラス、白いハーフパンツとビーチサンダル。相変わらずのハワイアン衣装なのだが、今回は更に麦わら帽子を装備していた。新作だろうか。

「いらっしゃい、ユージンさん!」

「お待ちしていました!」

 【七色の橋】のメンバーが、こぞってユージンを出迎える。いつにない歓迎っぷりに、ユージンは苦笑し……そして、視線をミモリとカノンに向ける。


「はじめまして! ミモリです!」

「は、は、はじめましてっ! カノン、です!」

 緊張しつつも、背筋を伸ばして挨拶をする二人。そんな二人に、ユージンは穏やかに微笑みかけた。

「はじめまして、お二人とも。僕がユージンです……こんなオッサンで、がっかりしたかな?」

 そう言って苦笑するユージンに、二人は勢い良く首を横に振る。


 ……


「なーるほど、ジン君とハヤテ君の従姉弟さん。それに、そのお友達か」

 ユージンは普段と変わらない、穏やかな笑みを湛えてミモリ・カノンと向かい合う。対する二人は、緊張でガッチガチだ。

「まさかこんな縁で、注目していた生産職人に会えるとは。世間は狭いね」

 何気ない言葉の中に、聞き捨てならない部分があった。それに気付いたレンは、緊張してそれどころではない二人に代わって問い掛ける。


「ユージンさんは、お二人に注目していたのですか?」

 そんなレンの言葉を受け、ユージンは深く頷いてみせた。

「そうだよ、レン君。ミモリ君の製作するポーションは、効果が高い。その上、味も良いんだよ。使う人の事を考えた、よく出来ているポーションだね……コレとか」

 ユージンが自分のポーチから、淡い緑色の液体が入った瓶を取り出す。ジン達には解らないが、ミモリとカノンはすぐに気付いた……確かにこれは、ミモリが製作したポーションだ。

 そんなユージンの言葉、そして自分のポーションを愛用しているという事実。思ってもみなかった高評価に、ミモリは目を潤ませる。胸の前で手を合わせ、感激している様だった。


「カノン君の武器や装備も、非常に高品質だ。性能もさる事ながら、使い心地も実に良い」

 今度は、システム・ウィンドウを操作して一本のピッケルを取り出す。

「あ……!! わ、私が作った……」

 やはり、ユージンが持っているのはカノン製のピッケルらしい。

「これも、愛用しているよ。持ち手一つとっても、使いやすい様にアレンジされている。だから持ってみると、手によく馴染むんだよね」

 そんなべた褒めされて、カノンは口元を半開きにしながら震えている。口角が微妙に上がっているので、喜んでいるのだろう。


 しかし、喜んでいるだけではいられない。二人はひとまず落ち着くと、最大の疑問について問い掛けた。

「あ、あの……ユージンさんなら、自分でいくらでも作れます、よね?」

「何故、わざわざ私達が製作した物を……?」

 二人の言う事は最もだ。ユージンはオールラウンダーな生産職人であり、それこそポーションもピッケルも自分で作れる。わざわざ、取引掲示板で他のプレイヤーの物を買う必要は無いはずである。


 そんな疑問に対する、ユージンの回答……それはあまりにも、彼らしいものだった。

「僕はムラがあるタイプでね、誰かの為に生産する方が上手く出来るんだよ」

 そう言うと、ユージンは視線をジン達に向ける。彼等が身に纏うのは、ユージンが作った衣装。更には武器やアイテムも、ユージンが個別に製作した物だ。

「気に入った相手の為に作った専用品ワンオフは、特にね」

 そう言ってウィンクしてみせるユージンに、ジン達は口元を緩める。相変わらず、茶目っ気たっぷりなナイスミドルだ。


「それに自分で作って自分で使うのは、何だか虚しいんだよねぇ。流石に性能が解らない新作は、最初に試用して仕上げに入るけど」

「あ、それは解ります」

「はい、自分で作った物を、自分で使う時の……何というか、ひとり遊びみたいな……」

「お、解る? 流石だね!」

 何やら、生産職人同士の会話が弾んできていた。そこで、ジンはある事に気付く。会話を重ねる度に、ミモリとカノンから硬さが抜けていっているのだ。


――そういえば、初めて会った時もそうだったな。


 まだゲームに慣れない頃に、フィールドで出会ったユージン。彼は会話する度に、ジンの警戒心をほぐしていった。

 そして手渡された、≪ポイズンポーション≫……あれが無ければ、ジンは【九尾の狐】を手にする事が出来なかっただろう。

 いつの間にか、相手の心を開いてしまう。そして、陰ながら手を貸してくれる人物……ジンにとっては、ユージンとはそんな存在だ。


************************************************************


「さて……場も温まった所で、本題に入って良いかな?」

 生産トークで盛り上がっていた三人だが、ユージンの言葉でそれも中断される。

「あ……!! ご、ごめんなさい、皆……」

「す、す、済みません、話し込んで、しまって……」

 そう言うと二人は申し訳なさそうに、頭を下げた。

 しかし、【七色の橋】のメンバーは解っている。ユージンが二人と雑談に興じたのは、二人が好きであろう生産の話をして緊張を解す為。その後で、話をしやすいように……という配慮だ。


「大丈夫だよ姉さん、カノンさん」

「えぇ。俺達も話を聞いていて、楽しかったし」

 笑顔でそう告げると、二人はまだ申し訳なさそうにしつつも、少しだけホッとした様だった。

 二人の緊張が解れた事で、ここからの話はスムーズに出来るだろう。そんなユージンの目論見は、付き合いの深いジン達ならばすぐに解る。だからこそ、口を挟まなかったのである。


「さて、それじゃあご用件を聞こうか。同じ生産職人同士、遠慮は要らないよ」

 ユージンがそう言うと、二人は佇まいを正す。その表情には、せっかく抜けた緊張が戻りつつあるのだが……これから言う台詞を考えれば、緊張感が皆無よりは良いのかもしれない。

「それじゃあ……カノン?」

「う、うん……」

 二人を顔を見合わせると頷き合い、ユージンに向き直る。そして、同時に頭を下げた。

「「私達を弟子にして下さい!」」


 そんな二人の発言に、ユージンは驚いて目を丸くしていた。まさか、弟子入り希望とは思ってもみなかったのだ。

 二人の様子を見て、ユージンはどうしたものかと困惑気味。少し考える素振りを見せると、申し訳なさそうに口を開いた。

「えーと、ごめんね。それは出来ないかな」

 それは控えめながらも、明確な拒絶の言葉だった。


 顔を上げたミモリとカノンは、明らかにションボリしている。その顔を見たジンが、そこをなんとか……と、ユージンに頼み込もうと口を開こうとした。

 しかしその前に、ユージンが言葉を続ける。

「君達は二人とも、立派な職人プレイヤーだ。僕が教える事なんて、多分ほとんど無いよ。だから師弟関係なんかではなく……フレンドとして協力し合う方が、僕の好みだね」

 ユージンが否定したのは、師匠と弟子という関係についてだった。二人との関わりを持たない、という意味合いではないらしい。


「そうだなぁ……あえて言葉にするなら提携、かな? 【七色の橋】のメンバーなら、その方がしっくり来ると思うよ」

 そんなユージンの言葉に、ミモリとカノンは目を丸くした。

「えっ?」

「え……?」

 そんな二人の様子に、ユージンも思わず……。

「……えっ?」

 二人と同じ様な声が、漏れ出てしまうのだった。


……


 ユージンはどうやら、二人が【七色の橋】の新メンバーなのだと思っていたらしい。それで、先程の発言に繋がったわけだ。

 それを説明すると、ユージンが二人にある提案を持ちかけた。

「二人はまだ、ギルドには所属していないのかな?」

「は、はい……」

「それなら、【七色の橋】に加入するのはどうだろう」

 そんなユージンの言葉に、驚いてみせるミモリとカノン。しかし、ジン達は平然としていた。むしろ、ウンウンと頷いていた。


 ユージンが【七色の橋】に所属しない理由は、生産活動が優先されるからである。ただし彼の場合は店舗を構え、依頼者と直接やり取りをする。ギルドに所属すると、そういった活動に支障が生まれるからこその加入辞退だった。

 しかしミモリとカノンの場合は、ユージンとは事情が異なる。依頼者に会って取引をする事は無い。ギルドに加入したとしても、取引掲示板での活動には支障が無いのだ。


 更に言えば、二人にとってギルドに加入する事にはメリットがある。

 一つは、ユージンが手ずから用意した【七色の橋】の工房を使える事だ。公共スペースは、使用料が発生する。更に他の生産職プレイヤーと場所の取り合いが発生する公共スペース特有の煩わしさから、解放されるのだ。

 もう一つは、素材集めだ。戦闘職のギルドメンバーが居れば、フィールドで素材収集をする際に護衛として同行して貰う事が可能だ。掲示板で不足する素材を、現地に取りに行く事が可能になるのである。

 そういった点を踏まえると、ミモリとカノンが【七色の橋】に加入するのは良い案である。


 デメリットを挙げるならば、人見知りのカノンの性格か。また組織に所属する以上、それに付随する人間関係という懸念事項も生まれる。

 メリットとデメリットがあるのは、致し方ない事である。


 ちなみにそんなユージンの提案は、【七色の橋】メンバーも事前に話し合っていた。

「ミモリさん、カノンさん。俺達も、その話をしたいと思っていたんです」

「どうでしょうか? 私達は、お二人に是非とも加入して頂きたいと思っています」

 掲示板を見て、ミモリとカノンが熟練の生産職プレイヤーだと知ったジンとヒイロ。二人は他のメンバーにもその事を話し、【七色の橋】にスカウトする方針を固めていた。

 昨夜のやり取りで、人柄的にも問題は無いと判断されている。ならば、このままにする手はない。


「……ジン君とハヤテ君がいるし、入れるなら入りたいとは思うけど……」

 スカウトの言葉に、ミモリは頬に手を当てて苦笑し……隣に居る、カノンに視線を向ける。

「ミ、ミモリ……?」

「どうかな、カノン? 私は、良いお話だと思うんだけど」

 そんな相方の言葉に、カノンは目を右へ左へと巡らせると俯いてしまう。

「……す、少し……時間を、下さい……」

 そのままカノンは、俯いた状態で口を閉ざしてしまった。


 こうなってしまうと、残るのは気まずい沈黙だけ。それを察したミモリが、フォローに入った。

「さてと、そろそろお暇しよっか。皆は次のイベントの準備があるだろうし!」

「……う、うん。そう、だね……」

 先程よりもトーンの下がった声で、カノンもそれに同意する。最後に簡単な挨拶を口にして、二人は【七色の橋】のギルドホームを後にした。

なんとユージンさん、なまらスゲェ職人プレイヤーでした。

そしてミモリとカノンは、【七色の橋】に加入するのか?

もうしばし生産職のストーリーが続きます!


次回投稿予定日:2020/10/25

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このナイスガイまさか陰のユニークをゲットしたのは.... そんな訳ないか!
[一言] ユージンさんスゴ過ぎだろ!? 流石、器用さ特化!(ですよね?)
[良い点] ユージンさんのような考えでなくても、生産ガチ勢は自分の作業に使う時間が削られる師弟関係とか受けてくれなさそうですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ