06-10 それぞれの一歩でした
土曜日の朝、初音女子大学付属中等部。朝礼が始まる前の時間、生徒達は教室で雑談に興じている。その内容は殆ど、昼食をどうしようか? なんてものが殆どである。土曜日の授業が、半日で終わるのが最たる理由だろう。
それは、姫乃達も同様……なのだが。
「ヒメちゃん、今日は何か上の空だけど……あの後、何かあった?」
いつものメンバーで集まる中、今日はやけにぼーっとしている姫乃。あまりにぼーっとしているので、恋は意を決して問い掛けた。それに対する姫乃の反応は、鈍い。
「え? あ、ごめんね……恋ちゃん、呼んだ?」
恋から声を掛けられたのは認識できても、その内容までは耳に入って来なかったらしい姫乃。その様子に、恋と愛は溜息を吐く。
「……これは何かあったわね」
「姫ちゃん……まさか大人に……?」
「……ふぇ?」
気の抜けた返答をする姫乃に、溜息を深める二人。そんな三人の様子に、千夜と優が首を傾げる。
「昨日、何かあったの?」
「姫乃んは上の空だし、レンレンとアイアイはぐったりしてるし」
「その呼び名は止めてくれると嬉しいわ」
「私、お猿さんじゃ無いわよ」
千夜へのツッコミは欠かさないものの、恋と愛が昨夜の出来事を二人に説明していく事にした。
……
「ふーん、そんな事があったんだ」
「姫乃ちゃんも嫉妬とかするんだねぇ」
微笑ましげに笑う二人だが、当事者達は大変だったのだ。
「それで、私達が退室した後に何があったの?」
「え、えーと……まぁ、それは……ね?」
「ね? って可愛らしく小首傾げても誤魔化されません」
その後も続く、友人達からの追求。五分に渡るそれに耐え兼ねた姫乃は、ついに口を割ってしまうのだった。仁にキスをして貰った経緯を、事細かに。
しどろもどろになりながら、昨夜の出来事を明かしてしまった姫乃。話し終えると、顔を真っ赤にしてフリーズしてしまうのだった。
最も、固まってしまったのは姫乃だけではない。恋も愛も、そして優もザ・ワールドしている。右斜め四十五度から叩けば直るだろうか?
唯一フリーズしなくて済んでいたのは、同じく彼氏持ちの千夜だ。
「ほほぅ……姫乃んもついにチューしたか。ってか、まだしてなかったんだね」
「う……うぅ……」
恥ずかしさからモジモジする姫乃に、千夜が笑みを深める。その笑顔は、友人の幸せを心から喜んでいるのを感じさせるものだった。
「最初はやっぱそうだよね、照れる照れる。でもアレだ、仁さんを避けたりしちゃ駄目だからね?」
千夜なりのアドバイスに、姫乃は照れつつも頷く。
「それは……ないです」
「まぁそりゃそっか、登下校に送り迎えしてくれてるんだもんね」
そう考えると、羨ましいなと千夜は思う。というのも、千夜は彼氏と会えるのは土日だけらしいのだ。
ようやく落ち着いた恋と愛、優。姫乃から聞かされたファーストキスの回想に、自分達まで照れてしまっていた。
「お、大人の話題ね……というか、話を聞く限り仁さんって……」
「いつもは優しいお兄さんって感じだけど、結構……」
「そんな甘い言葉を囁かれてキスされたら、キュンとしちゃうなぁ」
そんな三者三様の感想。中学二年生の女子生徒、やはり恋愛話には興味津々である。
「まぁ姫乃んが一歩前進したのは祝うとして、そっちはどうなん?」
千夜の指摘に、恋と愛が視線を逸らす。その相談を仁にしたせいで、昨夜は姫乃のご機嫌が斜めになったのだ。まぁ、それがきっかけで二人の距離が縮まったのだが。
「ヒイロさんとハヤテさん、奥手かな?」
二人の態度から、このままだと先は長そうだと察した千夜。これは何かきっかけを作らなければならないだろうと、考えを巡らせる。
「もうすぐ夏休みだし、早くしないと会うタイミングが減っちゃうねー」
優がのほほんとした様子で、そんな言葉を口にした。それを受けた千夜は、キュピーン!! と閃く。
「それだ!! それだよ優!!」
「うん? どれかな?」
ぽやぽやしている優を他所に、千夜が拳を握り締めて席を立つ。
「夏休みに、皆で旅行しよう!!」
そんな千夜の発言に、他のメンバーは目を丸くするのだった。
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「旅行、かぁ……」
「子供だけで行くのは、反対されないかな?」
放課後、私服姿の仁と英雄が姫乃を迎えに訪れる。姫乃から聞かされた、千夜の旅行案に呆気にとられ……そして、英雄が懸念事項を口にする。
しかし、その懸念事項は既にJC組で話し合われていた。
「鳴子さんが保護者として同行してくれるとの事です」
土出鳴子……恋の付き人にして、AWO界屈指のVIT値を誇る鉄壁和風メイドさん。彼女ならば、恐らく喜んで保護者役を買って出るだろうことは想像に難くない。
「ちなみに、行くとしたら何処になるんだろう?」
「恋ちゃんの家の、別荘だそうですよ」
「……別荘」
流石は初音家、別荘持ちとは一般家庭とはスケールが違う。一般家庭生まれ、一般家庭育ちの英雄が気後れしそうになっている。
「お兄ちゃん、変な事を考えていませんか?」
「英雄、ここでヘタれたら駄目だよ?」
鋭い妹と親友は、中々に容赦が無かった。
とはいえ、自分と恋の住む世界は違うのではないか? などと思ってしまったのも事実で、言い返す事など出来はしなかった。
「……というか、ヒメ? 今のはどういう……」
「お兄ちゃんが恋ちゃんを好きな事くらい、解っていますけど?」
それが何か? と言わんばかりに、小首を傾げる姫乃。その言葉に、英雄が視線を泳がせた。泳がせたその先には、最速で忍者な親友の顔がある。
「観念したほうが良いよ、割と本気で」
「……あ、うん」
真剣な目でそんな言葉を向けられては、英雄も誤魔化しようがない。
……
いつもの様に星波家にお邪魔してお茶をご馳走になると、仁は姫乃の部屋で明日に控えた初デートについて話をするらしい。その為、英雄は邪魔しないようにと部屋に戻った。
そうして頭に思い浮かぶのは、恋の事だ。
深窓の令嬢と形容するのが相応しい、整った美しい容姿。大人びた態度の中に、時折潜むイタズラ好きな小悪魔の表情。戦闘時に見せる凛々しい面と、サブマスターとして傍らに在る時の真剣な表情。大人と子供の間を行き来する、そのアンバランスさ。
すっかり骨抜きにされてしまっていると、接する度に自覚させられてしまう。
「……次は、俺の番……か」
それは以前、仁に言われた言葉だ。英雄はその言葉に込められた意味合いを、正確に読み取れている。
――今度は英雄が勇気を出す番だよ。
それは、一歩を踏み出すなら今……そんな意味合いが込められた言葉。英雄の背中を押そうという、仁なりの激励の言葉だ。
そして、その言葉にはもう一つの想いが込められている。
――今度は英雄が幸せを掴む番だよ。
仁と姫乃を見ていると、英雄はよく考えるようになった。あんな風になりたいとよく思う様になった。
そうなりたい相手は、決まっている。
ただ、初めての事でどうしたら良いのか解らないのだ。
誰かを愛しく思う事も、その人と結ばれたいと思うのも初めて。そうなれば想いを告げようと考えるのも、初めての事なのである。
しかし妹と親友は言った……踏み出せと。
これ以上ここで足踏みしていたら、きっと自分はヘタレ街道まっしぐらだ。
「……それは勘弁だな」
独り言ちて、英雄は携帯端末に手を伸ばす。アドレス帳の中には、”初音恋”の連絡先も登録されている。土曜日の午後ならば、彼女は習い事の最中だろう。そう思い、英雄はメッセージを打っていく。
――明日、都合が付くならば会えませんか?
そんな簡素なメッセージ。だが、今はまだそれで良い。本当に伝えたい言葉は、面と向かって言うべきだろう。
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一方その頃、愛は帰り道の途中だった。
彼女以外のメンバーは、それぞれ既に帰宅済みである。愛が今やっと帰路に着くのは、両親が出掛けているからであった。帰宅しても誰も居ない為、電車に乗る前に昼食を済ませていたのだ。
腹ごしらえを終えた愛は、電車に乗り込むと携帯端末を取り出す。ここ最近の、ささやかな楽しみの為に。
――お疲れッス! 今日は半日ッスよね、帰り道に気を付けて!
そんなメッセージに、頬を緩める愛。ハヤテこと隼とは、一度も現実では会った事がない。その為二人のやり取りは、AWOを除けばこのメッセージでのやり取りが主だ。
これまでは、それでも満たされていたのだが……最近は、会いたいという想いが強くなっていた。それはやはり、身近な超大型カップルの影響だろう。
手を繋いで歩く仁と姫乃の姿を見て、微笑ましさを感じる。同時に、毎日会う事が出来る二人が羨ましかった。
――ありがとうございます。ハヤテさんは、今日はお休みですか? 帰ってやる事を済ませたら、AWOにログインしますね。
早く会いに行きたいと思いながら、そんなメッセージを入力して送信。すると、隣からSNSサービス”RAIN”特有の電子音が聞こえた。
「あ、失礼……」
「いえ……」
どこかで聞き覚えのある声に、軽く返事をして端末に視線を落とす。
すると、メッセージがすぐに返ってきた。
――今日は、受験する予定の学校の見学に行ってたッスよ! 今は帰りの電車ッス!
そういえば、ハヤテは受験生。もう志望校は決まっていると、AWOで話をした覚えがある。どこの高校を受験するのかは、教えて貰えなかったが……。
――私も今、電車です。お疲れ様でした、ハヤテさんも帰りに気を付けて下さいね。
その時だった。順調に進んでいた電車が、突然急停止したのだ。
「きゃっ!?」
「あぶねっ!!」
急停止した勢いで、愛の携帯端末が手から滑り落ちた。しかし、隣に座っていた少年がそれを間一髪でキャッチしてくれたのだ。
「す、済みません……助かりまし……た……」
「……あ、あれ……? もしかして……」
顔を見合わせた、少年と少女。
お互いに、考える事は同じだ。見覚えがある顔立ち……そしてその相手は、正に今メッセージでやり取りをしていた人物に良く似ていたのである。
毎晩、VRの中で顔を合わせている。だからこそ、互いに互いを認識出来た。
「ま、まさか……ハヤテさん?」
「……アイネ、さん……ッスよね?」
思わぬ場所で、二人は初対面を果たしたのだった。
……
愛の最寄り駅で降りた二人は、駅前の喫茶店に立ち寄った。向かい合って座る、学生服の二人。傍から見れば、カップルに見られても不思議では無いだろう。
「まさかこんな形で会う事になるとは思わなかったッスねぇ」
「そうですね。でも、お会いできて嬉しいです」
微笑む愛に、隼は言葉を詰まらせる。VRの中のアイネと変わらない、現実の愛。その凛とした佇まいや端正な顔立ちは、現実も仮想世界も大きく違わない。
「アイネさん……いや、愛さんはそのままッスね。すぐに解ったッスよ」
それは嫌みなどでは無い、純粋な褒め言葉だ。愛もそれが解ったので、笑みで返す。
「隼さんは髪型なんかは違いますが、目元で解りました。あぁ、ハヤテさんだって」
VRのアバターを然程いじっていないので、愛もすぐに隼だと気付けたらしい。そんな彼女の言葉に、隼は照れくさい気分になる。
「そういや、思ったより愛さんと住んでるとこ近いッスね。俺の最寄り駅、ここから三つ隣」
気恥ずかしさから、そんな在り来りな話題を振る隼。同じく照れくさかった愛も、その話題に便乗する事にした。
「え、そうなんですか?」
「うん、急行なら一駅ッスねー」
「それじゃあ隣の県って言っても、私達とそこまで離れていないんですね」
「まぁ普通に市内の中学校ッスから、帰り道にそっちに行くのは辛いッスけど」
「あら、それは残念です」
普段の調子を取り戻した二人は、AWOの中で会話する感覚で話を弾ませる。
それからも、様々な話をする。ゲームの話題ではなく、主に互いの話である。
「え、愛さんって四月生まれ? 俺、三月ッスよ!」
「あら……じゃあ一月しか変わらないんですね」
三月の上旬に生まれた隼に対し、愛が生まれたのは四月の中旬。学年は違えど、生まれたタイミングは思いの外近い事が判明した。
「ほとんどタメッスね! 敬語無しでも良いッスよ?」
「えぇー……じゃあ、これからは隼君って呼ぼうかしら?」
それは何気ない一言だったのだが……その呼び方が、やけに隼の心を揺り動かす。
今日、愛に会えるとは思っていなかった。だから心の準備は出来ていないし、どんな言葉で伝えれば良いのかも解っていない。
しかし隼は、今この時が最大のチャンスのような気がしていた。勇気を振り絞って、愛に自分の正直な気持ちを伝えようと心を決める。
「……ぜひ、それで」
「はぇ?」
突然、真剣な表情を向ける隼。彼の真剣な表情に、愛は間の抜けた声を出してしまった。
「さん付けも、敬語も無しで良いよ……」
そんな隼に見つめられて、愛は顔が熱を帯びていくのを自覚した。これは駄目だ、かなりヤバイやつだ……そんな事を考えつつも、隼から視線は逸らす事は出来ない。
「……愛さん、俺の志望校って[日野市高等学校]なんだ」
突然、自分が受験する高校について話し始める隼。そんな話題転換にも、混乱した頭では気の利いた相槌を打つ事すらできない。隼の言葉の意味を咀嚼するので、精一杯である。
「仁兄や、英雄さんが通っている所だよ」
そういえば、姫乃から聞いた事がある。二人が通っている高校の名前は、確かにそんな名前だった。
「そこなら、仁兄達と一緒に遊びやすくなるし……」
相変わらず仁が大好きなんだなぁと、微笑ましい気持ちと嫉妬心が綯い交ぜになる。
「愛さんに、会えるかなって……思ったんだ」
その言葉が、愛の心を強く鷲掴みにする。
自分に会いたいと思ってくれて、それを理由に受験する高校まで決めたのかな? 本当に仁と姫乃や、英雄と恋の様に……気軽に会える距離になるのかな?
そんな思考が、愛の脳裏に渦巻く。
「迷惑だったら、断ってくれて良いよ。そしたら俺も、キッパリ諦めて……仲間としてやっていけるように頑張る」
隼が、真っ直ぐに愛の目を見つめる。その表情はまだ幼さを残しつつも、確かに男の顔だった。
いつもは軽い調子で、ギルドを盛り上げようと振る舞う彼。しかし今の彼の顔は、【漆黒の旅団】から愛を守った隼が見せた顔だ。
「俺、愛さんが好きなんだ。俺と、付き合って欲しい」
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「……それで? 何て答えたの、アイちゃん?」
「まさかとは思うけど、断ったりしてないわよね?」
所変わってAWO、【七色の橋】のギルドホーム。アイネの部屋に招かれたヒメノとレンが、彼女から相談を持ち掛けられた。
その内容は……。
「し、してない! してないよ! ただ……一晩、考えさせて欲しい……って……な、何て返事をすれば良いかな!?」
そう……愛は隼の言葉に対し、そんな返答をしてしまったのだ。両想いでありながら、テンパってしまった愛……その結果、隼は緊張で落ち着かない時間を過ごしている。
「なにをヘタれてるの、アイちゃん。念願叶っての告白タイムだったのよ?」
「アイちゃんなら、喜んで受け入れると思ったなぁ」
「それを、引き伸ばしてどうするの……好きなんでしょうに」
ヒメノもレンも、容赦なく本音をぶちまける。それも無理はない。隼が勇気を振り絞ってみせたのに、愛がそれを有耶無耶にしてしまったのだ。隼の現在の心境が心配なまである。
「喜んでって言いに行ったら? 大広間に居たよ?」
そんなヒメノの言葉に、アイネが真顔になる。実に、スン……という感じ。
「他の人もいる前で、告白しろと?」
「良いじゃない、減るものじゃないし」
「メンタルHPが減ります」
「それもそうね」
自分だったら嫌なので、それ以上は追求しないレン。
「ヒメちゃん……どうしたら良いかなコレ……」
ぐったり気味のアイネに、ヒメノがうーん……と思案する仕草をする。頬に人差し指を当てる仕草が、実に可愛らしい。
「アイちゃんは、ハヤテさんとお付き合いしたいんだよね?」
「……う、うん」
「じゃあそれを言うしかないよね。”お付き合いの件、お受けします”で良いんじゃあないかな?」
カラッと微笑んでみせるヒメノだが、対するアイネは表情が沈んでいく。
「顔を見たら、またテンパりそう」
「ヘタれてるねぇ……」
もだもだしているアイネを見て、レンは溜息を吐く。
「アイちゃん、明日は予定あるの? 無いならハヤテさんを誘って、そこでしっかり話をしてみたら?」
「む、無理ぃ……」
「アイちゃんのキャラが激変している……」
しかしながら、このままで良いはずはない。折角の両思いなのに、この機を逃すのもあり得ない。
「じゃあハヤテさんには伝えておくから、頑張って」
それは現実でハヤテに会って、さっさとオーケーしてしまえというレンなりの背中の押し方。しかし今のアイネからすると、千尋の谷に突き落とされるようなモノである。
「レ、レンちゃん!? 待って!! そ、そうだ!! レンちゃんもヒメちゃんも一緒に来てぇぇ!!」
テンパり過ぎて、そんな無茶苦茶な事を宣うアイネ。普段の凛々しさは本当に何処へ行ったのやら。
そんな往生際の悪いアイネに、レンは振り返りながら呆れた顔を意図的に作るのだが……。
「こらこら、ヒメちゃんは明日は初デートよ? それに私もヒイロさんと……あっ」
ドタバタ状態故の、注意散漫化。それによって引き起こされたレンの不用意な発言に、室内の空気が凍り付いた。
このまま部屋から出てしまおうと、背を向けたレンだが……その両肩に、手が置かれた。
「レンちゃん、そこの所を詳しく」
「そうなの!? レンちゃんもなの!? そうなのね!?」
「……不覚」
JCトリオの夜は、どうやら長くなりそうである。
……
一方、大広間。
「……」
机に突っ伏して、物言わぬ屍のようになっているハヤテ。
「……」
落ち着き無く、ウロウロしているヒイロ。
「……いや、何この雰囲気。ヒメ達は部屋に閉じ篭っているし……」
「さぁ……? ジン様、今日はろくな探索は出来ないでしょう。お茶でも如何ですか?」
「あぁ、済みません。頂きます」
昨夜の悶絶はどこへやら、落ち着いているジンと呆れているシオンだけが、平常運転モードであった。