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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第一章 VRゲーム始めました
8/569

01-08 商談をしました

 ジンが、ヒイロとヒメノに出会ってから二日後。三人はパーティプレイを大いに楽しんでいた。

「おっと、この先に何か居るみたいでゴザル。モンスターかな?」

 スキル【感知の心得】がレベル2になる事で会得可能な、パッシブスキル【気配察知】。この【気配察知】もレベル3となり、半径8メートルまでの気配を察知する事が出来るようになった。

 【拡張スキルスロット】によりスキルスロットが6まで増えたおかげで、各種スキルのレベル上げも楽である。


「よし、じゃあ()()()()()に……かな?」

 ヒイロの言葉に、ジンとヒメノが笑顔で頷く。

「じゃ、行って来るでゴザル!」

 ヒメノの意向で始めた忍者ムーブも、随分と板について来た。紫色のマフラーを靡かせるその姿は、実に忍者である。ちなみに流石のジンも、周囲の視線を気にしてはいる。なのでそんなに人が密集していない、フィールドエリアでの忍者ムーブという事で納得頂いている……ヒメノに。

 ちなみにジンは忍者ムーブをする時に≪闇狐の飾り布≫を使って、口元を隠す様にしている。理由は定かではないが、彼なりのスイッチなのかもしれない。忍者スイッチか。


「よし、ヒメも周囲に警戒しつつ来てくれ」

「はい、お兄ちゃん!」

 先行するジンを追い掛ける二人。ヒメノはヒイロの少し後ろを付いていく。

 二人がモンスターを視認する頃には、既にジンとモンスターの追いかけっこが始まっていた。敏捷性を最大限に生かし、モンスターの攻撃を避け続けるジン。

「相変わらず、とんでもないな」

「ジンさん、凄いです」

 呆れ顔のヒイロに対し、ヒメノは瞳を輝かせる。だが、ボーッとしてもいられない。


「ジン! 合わせるぞ!」

「了解!」

 まず、ジンが初手を放つ。

「【一閃】!!」

 放たれたのは、【刀剣の心得】で会得した【一閃Lv3】。レベルが3まで上がった事で、クリティカル率は20%と上昇していた。とはいえ、残念ながら今回は不発。


 しかし、それを見越してのヒイロの接近である。【一閃】をその身に浴びて一瞬硬直したモンスター【アサシンドードー】に、スキル攻撃を放つ。

「【シールドバッシュ】!!」

 盾系の装備において、数少ない攻撃系の武技である【シールドバッシュ】。スキル【盾の心得】がレベル2になると、会得できる武技だ。この武技には、相手の体勢を崩すよろめき効果が確率で発生する。今回は見事、その効果が発生した。


 体勢を崩したアサシンドードーに、狙いを定めるのはSTRの申し子。

「【エイムショット】!!」

 ヒメノの弓から放たれた、正確無比な矢。威力を犠牲に、命中性を上げる武技である。ヒメノのSTR値を考えれば、攻撃時STR-3など微々たる差だ。

 アサシンドードーの頭部に矢は命中し、そのHPを全損させる。討伐完了だ。


「やったな!」

「連携にも慣れて来ましたね!」

「二人のお陰でゴザル!」

 互いの健闘を称え合い、ハイタッチを交わす三人。傍から見れば、仲良し三人組としか言い様が無い。

「ジン、今のレベルはどれくらいだっけ?」

 ヒイロの言葉に、ジンはシステム・ウィンドウを開く。

「お陰様で、レベル11まで上がったでゴザルよ」


―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ジン】Lv11

■ステータス

 【HP】72/72《+10》

 【MP】21/21《+10》

 【STR】10【-50%】《+10》

 【VIT】10【-50%】《+10》

 【AGI】37【+50%】《+30》

 【DEX】10【-50%】《+10》

 【INT】10【-50%】《+10》

 【MND】10【-50%】《+10》

■スキルスロット(3/3)

 【短剣の心得Lv3】【体捌きの心得Lv3】【感知の心得Lv2】

■拡張スキルスロット(3/3)

 【九尾の狐Lv2】【刀剣の心得Lv2】【投擲の心得Lv2】

■予備スロット

 【毒耐性(小)】

■装備

 《闇狐の飾り布》HP+10、MP+10【自動修復】

 《夜空の衣》全ステータス+10【自動修復】

 《初心者のポーチ》収納上限50

 《大狐丸》AGI+10【自動修復】

 《小狐丸》AGI+10【自動修復】

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ヒイロ】Lv16

■ステータス

 【HP】80/80≪+5≫

 【MP】25/25

 【STR】20≪+2≫ 

 【VIT】25≪+6≫

 【AGI】15≪+1≫  

 【DEX】15

 【INT】10     

 【MND】10≪+2≫

■スキルスロット(3/3)

 【長剣の心得Lv4】【盾の心得Lv3】【体捌きの心得Lv2】

■装備

 《冒険者のチュニック》MND+1

 《冒険者のパンツ》MND+1

 《冒険者の鎧》VIT+3、HP+5

 《冒険者の靴》AGI+1

 《冒険者のポーチ》収納上限80

 《剣士の長剣》STR+2

 《騎士の丸盾》VIT+3

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ヒメノ】Lv15

■ステータス

 【HP】78/78≪+3≫

 【MP】21/21

 【STR】43≪+1≫

 【VIT】10≪+2≫

 【AGI】10≪+1≫

 【DEX】10

 【INT】10

 【MND】10≪+2≫

■スキルスロット(1/3)

 【弓の心得Lv4】

■装備

 《冒険者のチュニック》MND+1

 《冒険者のスカート》MND+1

 《冒険者の皮鎧》VIT+2、HP+3

 《冒険者の靴》AGI+1

 《冒険者のポーチ》収納上限80

 《狩人の大弓》STR+1

 《狩人の矢筒》装填上限30

―――――――――――――――――――――――――――――――


「レベル10を超えたなら、そろそろダンジョンにも行ってみるかい?」

「ジンさんは一度、単独でダンジョンを攻略したんですよね。それなら問題無いと思います」

 二人の提案に、ジンはムムッ……と唸る。唸り声まで忍者するあたり、もうダメかもしれない。

「確かに、[魔物の洞窟]以外のダンジョンは体験していないでゴザルな。二人さえ良ければ、お願いしたいでゴザルよ」

 そんなジンの申し出に、ヒイロもヒメノも笑顔で頷いてみせる。


 しかし、その時ジンのシステム・ウィンドウに通知が入った。

「おっ? ……あ、ユージンさんだ」

 聞き覚えのないプレイヤーネームを耳にして、ヒイロとヒメノが首を傾げる。

「ほら、ヒメノ殿には以前話したでゴザルよ。ハワイアン生産職人」

「あ、はい! 済みません、お願いしていながらすぐに気付きませんでした」

「謝る事は無いでゴザルよ。それで、どうする? ユージンさん、今なら時間があるようでゴザル」


 ジンの言葉に、二人は顔を見合わせる。すると、ヒイロが微笑んだ。

「折角だし、そのユージンさんに会ってみようよ。ヒメも楽しみにしていたんだろ?」

「はい! ありがとうございます、お兄ちゃん!」

 そんな兄妹の仲睦まじい様子に、ジンは笑顔で頷いた。


 そんなこんなで今日の予定を変更、まずはユージンの工房を訪問だ。


************************************************************


「やあやあ、ようこそ! 君達がジン君の友人だね?」

 二人を連立って訪れた、ユージンの工房。出迎えたのは、相変わらずの胡散臭さを発揮するユージンだ。気の良い人物で、生産の腕は確かなのだが……第一印象のパンチが利き過ぎているのが難点である。

「は、はじめまして!」

「どうも……俺はヒイロといいます……こちらは妹のヒメノです」

「お、兄妹でプレイしているんだ? 仲が良いんだね、善き哉善き哉」

 戸惑い気味の二人に、ユージンは優しく微笑む。自覚があるので、その辺りの空気は読めるらしい。なら、そんな恰好するなよ……とは、言ってはいけない。


「それで、今回は……和装だっけ?」

「あ、はい! ジンさんの服を作られたのが、ユージンさんと伺ったもので……」

 ニコニコと微笑むユージンに対し、ヒメノはいくらか緊張気味だ。

「成程、成程。製作は、()()()で良いのかな?」

 そんなユージンの言葉に、ヒメノは表情を明るくした。逆に、ヒイロは驚いた表情をしてみせる。

「いや、俺は……」

 断りの言葉を入れようとするヒイロだが、ユージンがそれを手で制す。

「ヒイロ君。ジン君とヒメノ君が和装になったら、君だけがその姿のままだとアンバランスだろう? 今後も三人でやっていくならば、足並みは揃えた方が良いはずさ」

 そんなユージンの指摘に、ヒイロは言葉に詰まる。確かに、これからも三人でプレイするならば……と思ってしまうのだ。


「ユージンさんの仰る通りですが、しかし手間を掛けるのは申し訳ない面もあります」

「僕は生産メインのプレイヤーだからね、生産活動でレベル上げするんだよ。だから、僕のレベル上げに協力してくれるんだと思ってくれていい……で、どうする? 一つ、僕を助けると思って」

 そこまで言われては、ヒイロも固辞するのは失礼だと感じた。頷いて、それ以降の言葉は控えた。


「うん、まぁ好みの問題もあるからね。まずはどんなモノを作りたいか、打ち合わせをしないかい? 正式な依頼は、それからで構わないよ」

 ジンの衣装を拵えた時と同じ笑顔で、ユージンはシステム・ウィンドウを開いてみせる。また、名デザインが生まれる予感……と、ジンは興味を惹かれた。


 ……


 二人の意向を盛り込んだ、ユージンのデザイン画。一言で言うならば、デザイン画の時点でプロの仕事だった。

「ユージンさん、こういうのがリアルの仕事じゃないですよね?」

「うん、違うよ。これはただの趣味」

 どうやら、彼は野生のプロらしい。


「お兄ちゃんのは、鎧武者ですね。これなら、ゲームの主人公でも通用しそうです♪」

「ヒイロはイケメンだからね、絶対に似合うよこれ」

 兜は無いが、黒系統のトップスとパンツ。その上に藍色の具足と、手甲・足甲が描かれたデザイン画である。ヒイロの似顔絵付きで、純粋に見事と言う他無い。


「ヒメのは、弓道っぽい感じかな」

「でも、ヒイロの鎧と一部おそろだね。こっちもベストマッチだよ」

 白い上の着物に、赤いスカート。両手足には革製のプロテクターが付属し、胸当ては左右非対称。弓道に則った、右胸を保護するプロテクターだ。当然、こちらもヒメノの似顔絵付きである。


 どうかな? と視線を向けるユージンに、ヒイロは笑顔を浮かべる……のだが、肝心のヒメノが何やら難しい顔をしていた。

「……おや、不満な所があったかな?」

 ユージンがそう言うと、ヒメノは申し訳なさそうに……そして、言いにくそうにしている。

「あ、あの、これに、その……マフラーとか、付け加えられますか?」

 マフラー。当然、車やバイクのそれではない。視線がジンに向かうのも、無理の無い事だった。


「ふっ……無論だとも! マフラーを足すなら、もう少し……うん、こんな感じかな?」

 ササッと、デザイン画に修正を加えるユージン。早業である。

「ユージンさん、リアルでもそれで食っていけるんじゃないですか?」

「趣味だからこそ良いんだよ。仕事になると、純粋に楽しめないからね」

 ユージンはそう言って、苦笑してみせる。よく分からないものの、そんなもんかとジンは納得した。


「さ、こんな感じでどうかな?」

 ユージンが表示してみせた、新たなデザイン画を見たヒメノとヒイロ。

「凄いです、素敵ですね! 私はこれが良いです!」

「……確かに、これは格好良いですね……凄いです、ユージンさん」

 好評であった。そんな様子を見つつ、ジンも思う。


――うん、二人に似合いそう。それに、これなら僕一人が悪目立ちする事も無さそう……。


 ちょっと打算が混じってしまったが、ジンとしても二人の衣装を製作するのは賛成である。しかしここで、ジンはある事を思い出した。

「ユージンさん、この衣装を作るのに必要な素材は?」

 ジンの質問に、ヒイロとヒメノもハッとなる。

「確かに。それに、費用も聞いておきたいです!」

「あぁ、そうだった……必要素材と費用はどれくらいでしょうか?」


「そうだね。ジン君の様に、ユニーク素材って訳にもいかないもんね。そうなると、必要な素材は……」

 ユージンが詳細な内訳を伝えると、その必要量に三人は目を見開いた。中々ドロップしないレアな素材もあるのだ。

「うん……今すぐは厳しいですね……」

 残念そうに呟くヒイロに、ユージンは頷いた。


「それはこちらとしても承知の上でね。この内訳の中で、このあたりは僕の溜め込んだ在庫を使えるよ。その分、製作費用に素材代が乗っかるけど」

 半分程の素材が、ユージンの在庫で賄える様だった。それは、主にレアな素材である。代わりに製作費用が上がる。

「……そうなると、今度は支払いが……はぁ、しばらくは素材集めと資金繰りでしょうか」

 すぐには、製作をお願い出来ない。そう悟ったヒメノが残念そうだ。


「今支払えるのは、どれくらい?」

「えぇと……五百万ゴールド、ですね……」

「俺も、そのくらいです」

 ジンよりは長くプレイしている二人だ、それくらいは資金も溜まっていた。しかし、どちらの装備を製作するにも一千万は越える。どちらにしろ、資金不足だった。


「ふむ。ならそれで手を打つ代わりに、僕のお願いを聞いて貰えるかな? といっても、ダンジョンの調査と素材の収集なんだけど」

 ユージンの提案に、三人は顔を見合わせた。

「い、良いんですか?」

「その、ユージンさんは赤字じゃ……」

 戸惑う二人に、ユージンが苦笑してみせる。

「金儲けしたい訳でもないからね。それにそのダンジョン、旨味が少ないのかあまり行く人が居ないんだ。お陰で貴重な素材は数が出回らないし、露店で売っていると高額なんだよね」

 ユージンにもメリットはある様だ。ヒイロとヒメノは、考え込む。


 そんな二人に、ジンは笑顔で声を掛ける。

「ユージンさんが必要な素材の調達なら、僕も行くよ。ユージンさんにはお世話になっているからね」

 ジンの言葉に、二人は更に考え込み……そして、決めたらしい。

「解りました……お言葉に、甘えさせて貰って良いですか?」

 ヒイロがそう言うと、ユージンは笑顔で頷く。

「はい! 私も、頑張ります!」


 ……


 ユージンから調査を依頼されたダンジョンは、[巨兵の安置所]というダンジョンだ。

「安置所……なんか物悲しい感じのダンジョン名ですね」

 そんな事を言うヒメノに、ユージンが苦笑する。

「ダンジョンにも、ちゃんと設定があるらしいよ。このダンジョンは、使い捨てられたゴーレム系モンスターの廃棄場所らしいね」

「尚更、物悲しいですね」

 そんなゴーレムが、敵として現れるわけだ。倒しにくいったらありゃあしないと、ヒイロが苦笑する。勿論、倒すけれども。


「ここで手に入る鉱石とかを使って、二人の鎧が作れるんだよ」

 自分達の装備に使える素材とあって、ヒイロとヒメノはやる気十分だ。

「そうだ、ヒメノ君は見た所弓使いだね?」

「あ、はい! そうです!」

 弓を背に背負っているので、メインウェポンは丸分かりだ。AWOは、常に一つは武器を装備していなければならない。故にプレイヤーの戦闘スタイルは、見た目からある程度は推測出来るようになっているのだ。


「サブウェポンを装備していないみたいだけど、何か買って行くかい? 今なら、オススメ装備が一つあるんだけど」

 ユージンの言葉に、ヒメノは目を輝かせる。弓一本でここまで来ているが、それだけでは足りないのは自分でも解っていたのだ。

「オススメというのは、どんな装備なのでしょうか?」

「ふふ、そう来なくてはね。ちょっと待っていてねー」


 工房の奥にユージンは引っ込み、すぐに戻って来た。その手には、簡素な一本の刀がある。

「……んっ!?」

「えっ!?」

 ユージンの持つ刀を見て、ヒイロとヒメノが驚きの声を上げた。

「え、どうしたの?」

 二人が驚いている理由が解らないジンは、二人の反応に驚いていた。

「いや、ジン。君の持っている武器以外に刀があるんだよ。ユニークアイテムなんだよ、驚くに決まってるじゃないか!」

 ヒイロの言葉に、ジンはようやく合点がいった。確かに、自分以外に刀を持っているプレイヤーは見た事が無い。それは刀がユニークアイテムだからだろう。


「あぁ、確かにねー……って、えぇ!? ユージンさん、何で刀を!?」

「反応遅いなぁ!!」

 そんなジンとヒイロのやり取りに、クスクスと笑うユージン。

「これはユニークアイテムじゃない、僕が作った物さ。最もこれを作る事が出来たのは、ジン君のお陰なんだけどね」

「え、僕ですか?」

 何故? とジンが首を傾げる。

「ジン君の装備、《大狐丸》と《小狐丸》。それを鑑定させて貰った事で、《刀剣》の鍛冶レシピを覚えられたんだよ」


 鍛冶系スキルは、【鍛冶の心得】というスキルオーブを手に入れる事で使用可能となる。しかし鍛冶に必要なのは、それだけではない。

 まず、鍛冶鎚。鍛冶なのだから、当然必要になる。次に材料……無から有を生み出す事はできないのだ、当然これも必要。

 そして、最後はレシピだ。鍛冶にもランクがあり、レシピ無しでは鍛冶は出来ない。それを覚えられないと、そもそも作れないのだ。アレンジしたオリジナル装備を製作する事は可能だが、ベースは当然レシピが必要となるのである。

 ちなみに《刀剣》の鍛冶成功率は、かなり低いらしい。それでも製作が出来たのは、ユージンの鍛冶スキルの高さ故だろう。


 そんな鍛冶レシピを覚えるには、二つの方法がある。一つは、レシピを購入する事。これは店に売っているらしい。もう一つは、【鑑定】スキルで武器を調べる事だ。ただし、低レベルの鑑定ではレシピは手に入らない。少なくとも、レベル7以上でなくてはならないらしい。


「成程……そうだったんですね」

「だとすると、これって相当に貴重な物じゃないですか?」

 欲しい事は欲しいが、申し訳無さが先に立つヒメノ。しかし、ユージンは首を横に振る。

「これだと、サブにするには長いだろう? 新しく作成するんだよ。これは、サンプル。ヒメノ君に似合わないだろう? コレ、ドスだし……ヒメノ君に合わせるなら、脇差かな?」

 ユージンの言う通り、彼が見せた刀は所謂ドスである。ヒメノには似合わない事この上ない。

「ですが、何もそこまで……」

「お近付きの印さ。勿論、ヒイロ君にも製作するよ。なに、ジン君の仲間なんだからこれくらいはね」

 ジンのお陰で手に入ったレシピなのだから、ジンの仲間の為に使うのは当然、というユージン。


 散々すったもんだしたが、最終的にヒイロとヒメノは、ユージンの言葉に甘える事にするのだった。

生産おじさんユージンは、おやっさんポジション的な何か。

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― 新着の感想 ―
やはり忍者の仲間は侍と巫女だよねぇ〜
[良い点] ユージンさんが、昭和ライダーの『タチバナのおやっさん』ポジション…… うん、気付いてたー!(笑) でも、アマゾンさんのバイクだけは、やり過ぎちゃった黒歴史だと思う……
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