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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第五章 ギルド活動を満喫しました
66/573

05-02 エリアボスに挑みました

 ギルドホームが出来て二日が経ち、ジン達は今後の方針を考えていた。

「まず、今の活動エリアは第一エリア……始まりの町を拠点とした探索だね。今後は、そこから先を目指していく感じでどうかな」

 それはつまり、第一エリアから先のエリアへと足を踏み出そうという事である。


「第二エリア進出、ですね」

「問題は、どの方角の第二エリアに向かうかなのですが……」

 AWOアナザーワールドオンラインのマップは、東西南北それぞれから次のエリアへ向かう事が出来る。とはいえ、現状で開放されているのは第二エリアまでだ。第三エリアから先は、順次アップデートの際に追加される方針である。


 ギルド【七色の橋】のホームは、北東に位置する。ここから近いのは、やはり北側だろう。

「北の第二エリアは……山ッスね」

「既に二エリアに向けて進出しているプレイヤーも、多く居るみたいですね」

 当然だが第一エリアより第二エリアの方がモンスターも強力になり、ダンジョン等の攻略も難易度が上がる。その分、得られる物も格段に良い物があるだろう。


 更に言えば、先日の第一回イベントで猛威を振るったプレイヤー達……つまりジン達の使う見た事が無い武器やスキルを求め、第二エリアを目指していくプレイヤーが増えたのである。

 一部のプレイヤーは、ジン達が既に第二エリアに到達していると勘違いしたのだ。そう勘違いしてしまうのも、無理はあるまい。刀や銃は他のMMORPGでも人気のある装備なのである。


 ともあれ、掲示板を見ると攻略情報が載っていた。

「北門から先の第二エリア……エリアボスが【ウォータードラゴン】だって」

「東が【ハリケーンドラゴン】で、南が【フレイムドラゴン】……西が【ランドドラゴン】か」

「ドラゴン時計で、四体一気に出て来そうッス」

「同時に戦ったら簡単に負けそうですね」


 そんな冗談はさて置き、ジン達は方針を決めていく。

「南なら海辺、東だと岩場かな。西が砂漠みたいだ」

「他のエリアにもいずれ行きたいですが、今回は北が良いでしょうね。始まりの町を迂回して向かうのは、時間が掛かります」

 フィールド上でログアウトすると、次にログインした際には復帰リスタート場所として設定されている場所から開始する事になる。つまり、街に辿り着けなければ最初からやり直しなのだ。

 その復帰リスタート場所を設定するのがポータル……《ポータルオブジェクト》である。


 このポータルは中々に便利な物で、他にも用途がある。例えば一度有効化(アクティベート)したポータルは、転移先として選択が可能なのだ。

 つまりポータルを使って町から町へと転移すれば、移動時間を削減出来るのである。


 ただし復帰場所に選んだ場所以外に転移するのは、無償ではない。ワープ機能は有償であり、その際に消費されるのはゲーム内通貨であるゴールドコインだ。

 ちなみに転移する距離が伸びれば伸びる程、かかるゴールドコインは値上がりする仕様になっている。便利なだけではないという、使いどころを選ばなければならない仕様であった。


「一番近い北から攻略を進めていって、徐々に探索範囲を広げれば良いか」

「はい、ヒイロ様。それが無難かと存じます」

 シオンの言葉に、ヒイロは頷く。

「明日は定期メンテの日だし、その前に第二エリアに辿り着いてしまおうか」

「「「「「「おー!!」」」」」」

 ギルド会議を終えたジン達は、北門の先に待ち受けるエリアボスの討伐に向けて準備を始めた。


************************************************************


 ギルドホームを後にし、ジン達は聳え立つ山の麓を目指す。途中でいくつかの鉱山が見えるが、今回はスルーだ。

「この辺の鉱山で、ケインさん達とダイスさん、フレイヤさんが会ったらしいね」

 ヒイロが言っているのは、第一回イベントの直後の事だ。

 プレイヤーに囲まれるのを嫌ったダイス・フレイヤはこの辺りの鉱山でレベリングをしており、そこにギルドクエストを進めるべく訪れたケイン達に遭遇。ギルド結成の事を聞かされ、熟考の末に【桃園の誓い】に加入するに至ったのである。


 ちなみに、ケイン達は先に南側へ向かうという連絡があった。ギルドホームを建設中の場所が、そちら側にある為だ。建てているのは、当然生産大好きおじさん(ユージン)である。

 昨日、ようやく予定地が見つかったと報告があったのだ。既に遅い時間だった為、スクリーンショットで大体の風景が送られてきた。青く澄んだ海のすぐ側であり、ちょっとしたリゾート地の様な場所だった。

「完成したら、お祝いを持って行くでゴザル」

「こっちの方で取れる良い素材か、美味しい食材ッスかねー」


 そんな雑談をしている合間にも、モンスターはどんどん襲って来る。それを攻撃して行くのは、主にハヤテ・アイネ・PACパック達だ。

「ほらよっと」

「それ以上の接近は許可しません」

 ジンから贈られた銃はエリアボス戦まで温存し、クロスボウでモンスターの足を止めるハヤテ。同様に、ロータスもクロスボウを放つ。


 ハヤテとロータスの射撃によって足を止めたモンスターに、迫って行くのはアイネとリンだ。

「【一閃】!!」

 勢い良く薙刀を振るって【一閃】を決めるアイネ。その薙刀捌きは、薙刀経験者だけあって綺麗なフォームだ。

「……【一閃】」

 それに対し、リンは背後に回って首を狙い【一閃】を放つ。


 第二エリア手前となればモンスターのレベルも上がっている。四人での連携は上達しているが、流石に瞬殺とはいかない様だった。

 そしてモンスターが反撃を試みる……が、そうは問屋が卸さない。

「【セイクリッドスフィア】!!」

 ヒナが発動したドーム状の防御魔法。それがアイネとリンを包み込み、モンスター達の攻撃を防ぎ止めた。これは【癒しの聖女Lv3】で習得出来る魔法で、味方を守りつつ回復が可能という正に聖女らしい性能を持つ。


「じゃ、仕留めるッス! 【エイムショット】!!」

 狙い澄ましたクロスボウの射撃が、モンスターのHPを大幅に削った。ハヤテの【エイムショット】によって、クリティカルが発生したのだ。ヒットストップにより、モンスターの動きが止まる。

「流石です!! 【スティングスラスト】!!」

 ハヤテが削ったモンスターを、アイネの一刺しが捉えた。モンスターは断末魔の鳴き声を上げ、倒れ伏した。


「【ラピッドショット】で御座います」

 ロータスの放つ矢がモンスターに連続で命中すると、モンスターに状態異常が発生した。これは、ロータスの矢に塗られた《パラライズポーション》によるものだ。

 身動きが取れなくなったモンスターに、リンが迫る。

「【デュアルスライサー】」

 小太刀を一振り、二振り。それによってモンスターのダメージがほんの僅かとなり、そこへヒナが魔法で追撃する。

「【セイクリッドボール】!!」

 眩い光を放つボールが、モンスターに命中。こちらも見事、討伐完了だ。


 その頃、ジン達は何をしているか? 彼らもまた、モンスターを討伐していた。主に手強いモンスターをハヤテ達に割り振り、数が多い雑魚は他のメンバーで討伐しているのだ。

「雷鳴の如く!! 【狐雷こらい】!!」

 ジンの発動した【狐雷こらい】で麻痺したモンスター達。それに向かって行くのはヒイロだ。

「【一閃】!! はあぁっ!!」

 両手に握った妖刀は、長刀型。大太刀にはリーチと攻撃力で劣るが、それでも十分な威力と攻撃範囲、そして取り回しの良さを誇る。


「【蛇腹剣】!! 【スネイクウィップ】!!」

 エリアボス戦まで矢を温存する為、ヒメノはメインウェポンを《大蛇丸》にして攻撃を繰り出す。お陰で【鞭の心得】もレベル4まで上がり、更に武技を習得している。


 そんなヒメノに、モンスターが迫る。しかし、その接近を許すはずもない。

「させません……【覇鬼はき】!!」

 盾で受け止めるのではなく、盾で殴り付けるシオン。使用した【覇鬼はき】もレベル8まで上がっている。それにより、モンスターのヘイトが尽くシオンに向けられた。


「今日の天気は、晴れ時々岩の雨です。【ロックスコール】!!」

 既に【術式・陣】による【土陣】と【水陣】を発動しているレンの、範囲攻撃が降り注ぐ。岩の大きさは成人男性の握り拳くらいのサイズだが、当然当たれば痛い。

 岩の雨が止めば、そこにはモンスター達だったモノが横たわっている。正に死屍累々。


 AGI極振り忍者と、STR極振り巫女……そして最高INT魔法職と、最高VITの盾職。更に武器を瞬時に変化させ、霊体の鬼神を召喚する前衛職。

 一人一人には弱点が存在するが、五人揃えば弱点を補い合えるのだ。

 この五人に、仕上がったハヤテとアイネ、PACパックが加わる訳だ。この段階で、オーバーキル状態。第二エリアに向かっても、パーティで活動をしている限り苦戦する事はないだろう。


―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ジン】Lv25

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】98/98≪+40≫

 【MP】34/34≪+20≫

 【STR】10【-50%】≪+20≫

 【VIT】10【-50%】≪+20≫

 【AGI】68【+90%】≪+60≫

 【DEX】10【-50%】≪+20≫

 【INT】10【-50%】≪+20≫

 【MND】10【-50%】≪+20≫

■スキルスロット(4/4)

 【短剣の心得Lv10】【体捌きの心得Lv9】【感知の心得Lv8】【投擲の心得Lv3】

■拡張スキルスロット(5/5)

 【九尾の狐Lv9】【刀剣の心得Lv10】【分身Lv4】【超加速Lv1】【達人の呼吸法】

■予備スキルスロット(4/5)

 【毒耐性(小)】【体術の心得Lv3】【隠密の心得Lv2】【銃の心得Lv2】【採掘の心得Lv1】

■装備

 ≪闇狐の飾り布≫HP+20、MP+20【自動修復】

 ≪夜空の衣≫全ステータス+20【自動修復】【縮地】【朱の羽撃】

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪大狐丸≫AGI+20【自動修復】

 ≪小狐丸≫AGI+20【自動修復】

 ≪狩人の投げナイフ≫DEX+2

 ≪生命の腕輪≫HP+20【HP自動回復(小)】

 ≪狩人のチョーカー≫AGI+3

 ≪狩人のベルト≫AGI+3

■予備装備

 ≪シーカーロープ≫

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ヒイロ】Lv28

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】104/104≪+10、+30%≫

 【MP】37/37≪+30%≫

 【STR】28≪+40%≫

 【VIT】27≪+40%≫

 【AGI】15≪+6、+20%≫

 【DEX】20≪+40%≫

 【INT】10≪+40%≫

 【MND】15≪+25、+30%≫

■スキルスロット(4/4)

 【長剣の心得Lv10】【刀剣の心得Lv6】【盾の心得Lv9】【盾の極意Lv5】

■拡張スキルスロット(2/2)

 【魔剣術Lv1】【千変万化Lv2】

■予備スキルスロット(2/5)

 【体捌きの心得Lv2】【採掘の心得Lv1】

■装備

 ≪ユージンの和風装束+4≫MND+7【青の咆哮】

 ≪ユージンの飾り布+5≫MND+6【白の狩猟】

 ≪ユージンのパンツ+5≫MND+7

 ≪ユージンのブーツ+3≫AGI+6

 ≪妖装・修羅≫VIT+10%、MND+10%、HP+10%、MP+10%【強化再生】

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪妖刀・羅刹≫STR+10%、DEX+10%、INT+10%【強化再生】

 ≪妖刀・羅刹≫STR+10%、DEX+10%、INT+10%【強化再生】

 ≪鬼神の右腕+1≫全ステータス+20%、HP・MP+20%【幽鬼Lv2】

 ≪武芸者の指輪≫技後硬直、溜め時間-10%

 ≪生命の首飾り≫HP+10、【HP自動回復(小)】

 ≪大騎士のベルト≫MND+5

武装一式ウェポンパック(3/3)

 ≪ユージンの大太刀+3≫STR+8

 ≪ユージンの大盾+3≫VIT+8、MND+8、HP+13

 ≪ユージンの小太刀+3≫AGI+5

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ヒメノ】Lv27

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】102/102≪+50≫

 【MP】36/36≪+20≫

 【STR】67【+80%】≪+71≫

 【VIT】10【-50%】≪+23≫

 【AGI】10【-50%】≪+20≫

 【DEX】10【-50%】≪+30≫

 【INT】10【-50%】≪+20≫

 【MND】10【-50%】≪+23≫

■スキルスロット(4/4)

 【弓の心得Lv10】【刀剣の心得Lv4】【狙撃の心得Lv6】【八岐大蛇Lv7】

■拡張スキルスロット(3/3)

 【鞭の心得Lv4】【ゴーストハンド】【砲撃の心得Lv3】

■予備スキルスロット(1/5)

 【採掘の心得Lv1】

■装備

 ≪八岐の飾り布≫HP+20、MP+20【自動修復】

 ≪桜花の衣≫全ステータス+20【自動修復】【縮地】

 ≪八岐之具足≫STR+20【自動修復】【軽量】

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪女神の大弓+6≫STR+11

 ≪覇者の矢筒+5≫DEX+10、装填上限50

 ≪大蛇丸≫STR+20【自動修復】

 ≪生命の腕輪≫HP+20【HP自動回復(小)】

 ≪体力の指輪≫HP+5、VIT+3

 ≪桜の髪飾り≫HP+5、MP+5

 ≪守護の首飾り≫MND+3

■予備装備

 ≪二門大砲・桜吹雪≫固定ダメージ50×2

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【レン】Lv29

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】106/106≪+20≫

 【MP】38/38≪+60≫

 【STR】10【-50%】≪+20≫

 【VIT】15【-50%】≪+20≫

 【AGI】15【-50%】≪+20≫

 【DEX】15【-50%】≪+20≫

 【INT】51【+80%】≪+95≫

 【MND】15【-50%】≪+55≫

■スキルスロット(4/4)

 【火魔法の心得Lv10】【水魔法の心得Lv8】【回復魔法の心得Lv6】【神獣・麒麟Lv7】

■拡張スキルスロット(5/5)

 【杖の心得Lv5】【雷魔法の心得Lv10】【風魔法の心得Lv10】【刀剣の心得Lv2】【フロートLv2】

■予備スロット(3/5)

 【土魔法の心得Lv3】【補助魔法の心得Lv2】【合成魔法Lv2】【聖魔法の心得Lv3】【光魔法の心得Lv3】

■未装備スキルオーブ

 【HP自動回復(中)】

■装備

 ≪桃花の衣≫全ステータス+20【自動修復】

 ≪神獣の飾り布≫HP+20、MP+20【自動修復】

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪鳳雛扇≫INT+20【自動修復】【朱の羽撃】

 ≪伏龍扇≫INT+20【自動修復】【青の咆哮】

 ≪大賢者の腕輪≫INT+10、MND+10、MP+10

 ≪精霊の指輪≫INT+5、MND+5、MP+10

 ≪大賢者の首飾り≫INT+10、MND+10、MP+10

 ≪大賢者のピアス≫INT+10、MND+10、MP+10

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【シオン】Lv28

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】104/104≪+140≫

 【MP】37/37≪+20≫

 【STR】20【-50%】≪+20≫

 【VIT】57【+85%】≪+60≫

 【AGI】15【-50%】≪+20≫

 【DEX】10【-50%】≪+20≫

 【INT】10【-50%】≪+20≫

 【MND】22【-50%】≪+23≫

■スキルスロット(4/4)

 【盾の心得Lv10】【槌の心得Lv5】【刀剣の心得Lv8】【酒呑童子Lv9】

■拡張スキルスロット(5/5)

 【大剣の心得Lv8】【バーサーク】【ガーディアンLv2】【不屈の闘志】【料理の心得Lv2】

■装備 

 ≪新緑の衣≫全ステータス+20【自動修復】

 ≪戦鬼の飾り布≫HP+20、MP+20【自動修復】

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪鬼斬り≫VIT+20【自動修復】【軽量】

 ≪鬼殺し≫VIT+20【自動修復】【硬化】

 ≪守護の首飾り≫MND+3

 ≪覇王の腕輪≫VIT+15、HP+30

 ≪覇王の指輪≫VIT+15、HP+30

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【ハヤテ】Lv23

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】94/94≪+35≫

 【MP】32/32

 【STR】25≪+7≫

 【VIT】23≪+24≫

 【AGI】20≪+8≫

 【DEX】21≪+18≫

 【INT】10

 【MND】10≪+25≫

■スキルスロット(4/4)

 【長剣の心得Lv7】【盾の心得Lv5】【刀剣の心得Lv3】【銃の心得Lv2】

■予備スキルスロット(1/5)

 【投擲の心得Lv2】

■装備

 ≪ユージンの和風装束+6≫MND+9

 ≪ユージンの飾り布+5≫MND+6

 ≪ユージンのパンツ+5≫MND+7

 ≪ユージンのブーツ+5≫AGI+8

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪ユージンの打刀+4≫STR+7、DEX+6

 ≪オートマチックピストル≫固定ダメージ

 ≪守護の腕輪≫MND+3

 ≪覇者の指輪≫DEX+10

 ≪覇王の首飾り≫VIT+15、HP+30

 ≪闘士のベルト≫MND+3、HP+5

■予備装備

 ≪ユージンのクロスボウ≫DEX+5

 ≪ユージンの小盾+5≫VIT+9

 ≪狩人の投げナイフ≫DEX+2

―――――――――――――――――――――――――――――――

■プレイヤーネーム/レベル

 【アイネ】Lv21

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】90/90≪+27≫

 【MP】30/30

 【STR】25≪+14≫

 【VIT】20≪+12≫

 【AGI】18≪+12≫

 【DEX】21≪+22≫

 【INT】10

 【MND】10≪+22≫

■スキルスロット(4/4)

 【長槍の心得Lv8】【体捌きの心得Lv6】【刀剣の心得Lv4】【感知の心得Lv4】

■予備スキルスロット(1/5)

 【短槍の心得Lv3】

■装備

 ≪ユージンの和風装束+5≫MND+8

 ≪ユージンの飾り布+5≫MND+6

 ≪ユージンの軽具足+7≫VIT+9、DEX+8、HP+12

 ≪ユージンのスカート+6≫MND+8

 ≪ユージンのブーツ+6≫AGI+9

 ≪大商人のポーチ≫収納上限1000

 ≪ユージンの薙刀+7≫STR+11、DEX+9

 ≪体力の腕輪≫HP+5、VIT+3

 ≪大戦士の指輪≫STR+3

 ≪生命の首飾り≫HP+10、【HP自動回復(小)】

 ≪狩人のベルト≫AGI+3

―――――――――――――――――――――――――――――――

PACパックネーム/レベル

 【リン】Lv11

■契約プレイヤー

 【ジン】

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】70/70

 【MP】20/20

 【STR】10

 【VIT】10

 【AGI】37≪+20≫【+13%】

 【DEX】10

 【INT】10

 【MND】10≪+14≫

■スキルスロット(3/3)

 【刀剣の心得Lv4】【短剣の心得Lv4】【スピードスターLv2】

■装備

 ≪ユージンの和風装束+3≫MND+6

 ≪ユージンの飾り布+3≫MND+4

 ≪ユージンのスカート+2≫MND+4

 ≪ユージンのブーツ+5≫AGI+8

 ≪ユージンの小太刀+4≫AGI+6

 ≪ユージンの小太刀+4≫AGI+6

―――――――――――――――――――――――――――――――

PACパックネーム/レベル

 【ヒナ】Lv11

■契約プレイヤー

 【ヒメノ】

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】70/70≪+9≫

 【MP】20/20

 【STR】10

 【VIT】15≪+7≫

 【AGI】11≪+9≫

 【DEX】11≪+20≫

 【INT】20≪+15≫

 【MND】20≪+16≫

■スキルスロット(3/3)

 【刀剣の心得Lv2】【杖の心得Lv4】【癒しの聖女Lv4】

■予備スキルスロット(1/5)

 【短剣の心得Lv1】

■装備

 ≪ユージンの和風装束+4≫MND+7

 ≪ユージンの飾り布+3≫MND+4

 ≪ユージンのスカート+3≫MND+5

 ≪ユージンのブーツ+2≫AGI+5

 ≪ユージンの弓具足+4≫VIT+7、HP+9

 ≪聖女の杖+5≫INT+15、DEX+15

 ≪ユージンの短刀+2≫AGI+4、DEX+5

―――――――――――――――――――――――――――――――

PACパックネーム/レベル

 【ロータス】Lv11

■契約プレイヤー

 【レン】

■所属ギルド

 【七色の橋】

■ステータス

 【HP】70/70

 【MP】20/20

 【STR】10

 【VIT】10

 【AGI】21≪+12≫

 【DEX】21≪+21≫

 【INT】10

 【MND】15≪+19≫

■スキルスロット(3/3)

 【刀剣の心得Lv4】【弓矢の心得Lv5】【暗殺者の心得Lv4】

■予備スキルスロット(1/5)

 【短剣の心得Lv1】

■装備

 ≪ユージンの和風装束+5≫MND+8

 ≪ユージンの飾り布+4≫MND+5

 ≪ユージンのパンツ+4≫MND+6

 ≪ユージンのブーツ+4≫AGI+7

 ≪ユージンの短刀+3≫AGI+5、DEX+6

 ≪ユージンの機弓+4≫DEX+6

 ≪仕込み機弓+5≫DEX+9

―――――――――――――――――――――――――――――――


 そうして進む事、一時間程。ジン達はいよいよ、エリアボスの居るエリアに辿り着いた。

 第二エリアへの進出を妨げるエリアボスは、事前に調べた情報通り【ウォータードラゴン】だ。その威容が、遠目にも見える。

「わぁ、硬そうですね」

「一撃の威力が重そうでゴザルなぁ」

 ヒメノは純粋に驚き、ジンは嫌そうに言っている……が、それでもヒメノのSTRならば大ダメージを与えられるし、ジンのAGIならば攻撃を躱すのは容易い。


「さぁ、いよいよだ。皆、行こうか」

 ヒイロの声掛けに、ギルドメンバー全員が頷く。その表情には緊張と、難敵に打ち勝つという闘志が宿っていた。

 バトルフィールドに足を踏み入れると、ウォータードラゴンがジロリとジン達を睨む。その巨体を左右に揺らし、十人の挑戦者に向けて一歩足を踏み出す。ズシン……という大きな音と共に、地面が揺れた。


「よし、作戦通り行くぞ!!」

「飛燕の如く!! 【ハイジャンプ】!!」

 駆け出したジンが、【ハイジャンプ】を発動してウォータードラゴンの背中に飛び乗る。ジンの役目はウォータードラゴンのタゲ取りだ。その為には接近し、攻撃し、ヘイトを稼ぐ必要がある。

「【デュアルスライサー】!!」

 両手の小太刀によって四連撃に昇華された【デュアルスライサー】。ジンは予定通り、ウォータードラゴンのタゲを取る事が出来た。ジンはそのまま、武技を織り交ぜて攻撃を浴びせていく。


「それでは行きましょう……【雷剣】!!」

 レンが発動したのは、【術式・剣】による雷属性付与魔法【雷剣】。ジン達全員の武器が帯電し出した。

 ジンが攻撃を開始する前にバフを撒かなかったのは、支援系の魔法を使用する事でもモンスターのヘイト値が上がる為だ。ジンが十分なヘイトを稼いだ頃合いを見計らい、ようやく【七色の橋】は本領を発揮出来るのである。


「まずは、ダウンを取ろう!!」

 そう言って駆け出すヒイロ。その指示に従い、シオンとアイネも走り出した。三人の前衛がウォータードラゴンに駆け寄り、武技を発動する。

「「「【一閃】!!」」」

 三人が同時に発動した【一閃】が、ウォータードラゴンの左前足に叩き込まれた。


 三人はスキル発動後の硬直が解けると、即座にバックステップでウォータードラゴンから距離を取る。

 しかし、ウォータードラゴンの攻撃の方が早い。鬱陶しいと言わんばかりに、右前足を左右に振る。だが、その場には鉄壁メイドが居る。

「【展鬼てんき】!!」

 大盾≪鬼殺し≫が分割され、ウォータードラゴンの攻撃を防ぎ切る。シオンにも、そしてヒイロやアイネにもダメージは無い。


「よし、もう一本!!」

「はい!」

「参ります!」

 前衛組が何度も攻撃を当てて行くと、当然ながらヘイト値を稼ぐ事となる。ウォータードラゴンはターゲットを、ジンから前衛三人に変更しようとする。


 しかし、それを許す忍者ではない。ウォータードラゴンの背中に向けて、ロープを放った。これはユージンが≪グレイプニル≫を用いて製作した≪シーカーロープ≫という装備で、対象を【捕縛】し引き寄せる性能を持つ。

「余所見をするなでゴザルッ!!」

 今回は引き寄せるのではなく、自分が相手に向かって迫っていく。こういった使い方も出来るので、ジンとしては重宝する装備になりそうだ。


 そのまま勢いを保ち、使い慣れた武技を発動する。

「【一閃】!!」

 ジンの【一閃】が、ウォータードラゴンの背中を斬り付ける。しかし、まだまだ終わらない。

「【スライサー】!! 【デュアルスライサー】!!」

 すっかり得意技となった【チェインアーツ】で攻撃を加えていくと、ウォータードラゴンがジンを睨む。


 ヘイトを稼いだジンは、ウォータードラゴンから距離を取るべくスキルを使用する。

「【ハイジャンプ】!!」

 ジンはウォータードラゴンの背中を足場に、【ハイジャンプ】を発動して距離を取る。これで技後硬直が解けるまでの間、攻撃を喰らう可能性は低下する。そして技後硬直は【達人の呼吸法】によって軽減されている。


 そんな戦闘の様子を見ているのは、ヒメノだ。来るべき時に備え、ある液体が入った瓶を手にして佇んでいる。


 ……


 戦闘開始から十五分が経過した。その間、ジン達はウォータードラゴンのHPを削る事に専念する。

 すると、ようやくチャンスが到来した。ウォータードラゴンのHPバーが、一割ほど黒く塗り潰されたのだ。ウォータードラゴンの動きが止まり、地面に突っ伏した。

 このタイミングこそ、プレイヤーに与えられる一斉攻撃のチャンス。大型ボスモンスターには標準仕様とされている、ダウン状態である。


「畳みかけるぞ!! ヒメ、レン!!」

「はい、お兄ちゃん!!」

「ヒイロさん、お任せを」

 ヒメノは瓶の中の液体を飲み干し、ウォータードラゴンに向かって弓を構える。その背中には既に≪桜吹雪≫が装備されている。レンも【雷陣】と【風陣】を発動し、強力な合成魔法の詠唱を始める。


 その間に、前衛組もウォータードラゴンへ接近していく。

「【分身】!! 【空狐】!!」

 ジンが四人に分身し、追加攻撃を付与する【空狐】を発動。ここで大ダメージを与える為に、手数を増やす算段である。

「【追従】せよ!! 【一閃】!! 【スライサー】!! 【デュアルスライサー】!! 【ライジングスライサー】!! 【サイクロンスライサー】!!」

 ジンが繰り出せる、現時点で最高の連続攻撃である。これには、流石のエリアボスもダメージが蓄積していく。


 ヒイロも両手の打刀を【千変万化】で大太刀に変化させ、【幽鬼】を発動。【一閃】を起点とする【チェインアーツ】で攻め立てる。

「【幽鬼】!! 【一閃】!!」

 尚、召喚した鬼神もヒイロに合わせて両手に大太刀を持っていた。これはどうやら、ユニークスキルである【千変万化】の効果らしい。

 怒涛の連続攻撃がウォータードラゴンを襲っていく。


「【展鬼てんき】!! 【バーサーク】!!」

 シオンは【チェインアーツ】を使えない為、代わりに威力の高い攻撃でダメージを出す事を選択。VITを全てSTRへ変換し、武技を発動する。

「【グランインパクト】!!」

 2秒程の溜め動作を経て放たれた、強力な一撃。それによってウォータードラゴンのHPが、ガクンと大幅に減少した。


「狙い撃ちッス!! 【ロックオンバレット】!!」

 ハヤテは銃を構え、ウォータードラゴンの眉間に弾丸を放っていく。固定ダメージによる攻撃といえど、ダメージ箇所に当たればクリティカルが発生するのだ。

「よっし、ガンガン行くッスよ!! 銃だけに!!」


 そんな寒いジョークを飛ばすハヤテに、一人の少女がクスリと笑った。

「【スティングスラスト】!!」

 槍のスキルで得られる武技、【スティングスラスト】。これは突進攻撃の扱いになり、敵との距離を一気に詰められる。それを活用して急接近したアイネは、技後硬直が解けた瞬間に技を切り替えた。

「【一閃】!!」

 アイネの放った【一閃】もクリティカルヒットとなり、ウォータードラゴンのHPを削っていく。


 そんな仲間達の猛攻を見て、レンは口元を綻ばせる。最前線のレイドパーティに居た時には感じなかった、ワクワクする感覚。それが楽しくて、また心地が良い。

 ならば、負けてはいられない。

「さぁ、行きますよ? 【サンダーストーム】!!」

 仲間達に当たらない様に、ウォータードラゴンの背中側で発動した合成魔法。放たれた魔法によって、ウォータードラゴンが苦悶の叫び声を上げる。


 レンの攻撃を見て、ヒメノも弓を握る手に力が入る。皆の活躍を見て、自分も負けてはいられないと奮い立つ。

「行きますっ!! 【シューティングスター】!!」

 それは矢筒の中にある矢を全て弓につがえ、一気に放つという【弓矢の心得Lv10】の武技。一度放てば装備中の矢筒が空になってしまう代わりに、高ダメージを与えられる奥義である。


 そんな高威力攻撃を、STR極振りのヒメノが放てばどうなるか?

 放たれた矢の流星が、ウォータードラゴンの身体に突き刺さっていく。一本刺さる毎に、ウォータードラゴンのHPがガクンガクンと減少していった。


 更にヒメノは【ゴーストハンド】を駆使し、二門大砲≪桜吹雪≫から砲弾を発射する。飛来した砲弾はウォータードラゴンの背中に着弾し、爆炎が上がる。

 これが今回の作戦だ。ヒメノの高STRを活かす為、ダウン中に全ての力を注ぎ込ませるという作戦であった。STRの底上げに≪ストレンジポーション≫を飲んだ事もあり、ウォータードラゴンのダメージはえげつない事になっている。


 更に、PACパックの三人も攻撃を加えていく。

「【一閃】」

「【パワーショット】でございます」

「【セイクリッドボール】!!」

 ジン達程の威力は出ないが、それでもしっかりダメージを与えて行く。

 このたった一度のダウンで、既にウォータードラゴンのHPは一気に削られていく。


 ウォータードラゴンに設定されたダウン時間は、30秒。その時間が経過した事で、ウォータードラゴンはダウンから復帰してしまう。

 【七色の橋】の苛烈な攻撃を受けたウォータードラゴンのHPは、既に一割を切っている……が、まだしぶとく生き残っていた。


 ウォータードラゴンは頭を持ち上げ、目の前に居るプレイヤー達に向けて吠えてみせた。

「く……っ!!」

「【ハウリング】攻撃ですか……!!」

 シオンの言う【ハウリング】……正式名称【ドラゴンハウリング】には、プレイヤーのAGIを低下させる【遅延付与】の効果がある。


 前足に力を込め、その巨体を持ち上げたウォータードラゴン。その口を大きく開き、正面に狙いを定める。ウォータードラゴンが放つ、ドラゴン系モンスター最強の攻撃【竜の息吹ドラゴンブレス】。

 その先に居るのは、最もダメージを与えたヒメノだった。ヒメノは装備欄から≪桜吹雪≫を外し、駆け出そうとする。しかし、ヒメノのAGIでは間に合わない。


「ヒメッ!!」

「ヒメノ様!!」

「ヒメちゃんっ!!」

 ヒイロ達がヒメノを守るべく動き出すが、AGI低下により動きが鈍い。間に合わない……誰もがそう思った瞬間だった。


「そうは問屋が卸さぬでゴザル!!」

 ヒメノの腕に≪シーカーロープ≫が巻き付けられ、引っ張られる。動けないなら、こちらに引き寄せてしまえば良い……流石、発想が忍者である。

「ひゃあっ!?」

 無論、行き先は紫マフラーの忍者の下である。ジンは引き寄せたヒメノの身体を、しっかりと抱き止めた。


 ヒメノが引っ張られて宙を飛んだその直後、ウォータードラゴンの【竜の息吹ドラゴンブレス】が放たれた。

 ヒメノが居た場所に命中した【竜の息吹ドラゴンブレス】が、地面に小さなクレーターを作った。当たっていたら、ヒメノは確実にギルドホームに死に戻っていただろう。


「ジンさん……っ!!」

「無事に成功したでゴザルな……良かったでゴザル」

 ヒメノの危機を颯爽と救ってみせたジンが、優しく微笑みかける。ヒメノはそんなジンの笑顔を見て、頬を赤く染めている。目はとろんとしており、誰がどう見ても良い感じである。恋心を自覚したヒメちゃんは乙女モード全開なのだ! でも残念、今はボス戦中です。


 ウォータードラゴンは視線を巡らせ、ヒメノを抱き止めるジンを見て低く唸った。

「ヒメノ殿、後は任せるでゴザル」

「は、はいっ!!」

 ウォータードラゴンは、ターゲットにしたヒメノに接近すべく動き出そうとする。しかしその前に、ヒメノを立たせたジンがロープを放つ。狙いはウォータードラゴンの頭部にある、角だ。


「いざ参るっ!!」

 先程の様にロープを利用して、ウォータードラゴンに向かって急接近するジン。両手の小太刀を十字に構える。構えに特に意味はない。

 迫るジンを見たウォータードラゴンは、額を突き出して一歩踏み出した。頭突きである。ウォータードラゴンの額から背中、そして尻尾までは、硬い鱗で出来ている。

 そんなガッチガチの鱗部分で繰り出す頭突きだ、当たれば大ダメージである。ただでさえ、ジンはVIT値が低いのだ。


 なら、避ければいいじゃない。

「【天狐てんこ】!!」

 空中に生み出した足場を踏みしめ、ジンは地面に向かって跳ぶ。

 同時に、必殺のスキル……【短剣の心得Lv10】に到達する事で得られる、奥義を発動させながら。


「【アサシンカウンター】!!」


―――――――――――――――――――――――――――――――

武技【アサシンカウンター】

 説明:短剣を極めた者が扱う、短剣の奥義。

 効果:スキル発動後、攻撃を防御もしくは回避する事で【カウンタータイム】が発動する。【カウンタータイム】中に放った攻撃は、必ずクリティカル攻撃になる。

―――――――――――――――――――――――――――――――


 ウォータードラゴンの頭突きを避けた事で、【アサシンカウンター】の発動条件を満たしたジン。これで判定時間カウンタータイム内に攻撃すれば、その攻撃はクリティカル確定となる。

 その時間はほんのわずか。しかし、AGI(はやさ)においてジンの右に出る者は居ない。

「【ラピッドスライサー】!!」

 地面とウォータードラゴンの身体の隙間にその身を滑り込ませ、ジンが真上にあるウォータードラゴンの巨体に≪小狐丸≫で斬り付ける。更に≪大狐丸≫の初撃もクリティカルで入る。

 

 しかし、ここからがジンの真骨頂。

「【一閃】!! 【スライサー】!! 【デュアルスライサー】!! 【エイムスライサー】!!」

 敏捷性をフルに発揮し、ジンがウォータードラゴンの首、胸元、腹、尻尾の付け根まで駆け抜けながら【チェインアーツ】による追加攻撃を放っていく。ウォータードラゴンは、自分の真下にいるジンに対する有効な攻撃パターンを持たない。

「これで決まりでゴザル!! 【一閃】!!」

 最後のトドメの一撃は、刀剣スキル唯一にして最高の攻撃である【一閃】。その攻撃を受け、ウォータードラゴンのHPバーが完全に黒く塗り潰された。


『第一エリアボスモンスター【ウォータードラゴン】を討伐しました』


 そのアナウンスが全員の脳裏に流れて来る。それと同時にウォータードラゴンが光を放ちながら消滅し、影も形も残さなかった。

「ジンさんっ!! 凄いですっ!!」

「最後のはヒヤヒヤしたよ、ジン」

 駆け寄って来るヒメノとヒイロ。しかし、ジンは苦笑してしまう。

「皆が削ってくれたお陰でゴザルよー!」

 仲間達攻撃で、ウォータードラゴンのHPが残り一割まで減っていた。だからこそ、あんな冒険が出来たのである。


 ……


 ようやくボスを倒したジン達【七色の橋】は、それぞれの健闘を称え合う。そして第二エリアのある方角に歩いて行くと、そこには宝箱が出現していた。

「多分、ボス討伐の報奨でゴザルな」

「だね。よし、開けてみよう!」

 大きな宝箱に全員で手を添え、せーのと掛け声を上げて蓋を開く。


『スピード・アタック・ボーナス!!』

「おっ?」

「へぇ?」

 間の抜けた声を上げるジンとヒメノ。何それ? といった感じだ。すると、宝箱から光が溢れ出し、七人の前に現れたシステム・ウィンドウの中に入っていった。

「今の、何でしょう?」

「あぁ、ヒメちゃん達は知らないのね」

「規定時間内にボス討伐を成功させると、スピード・アタック・ボーナスという特別報奨が得られるので御座います」

 レンとシオンの説明に、他の面々は「へぇ〜!」と感心した声を上げる。


 ちなみにスピード・アタック・ボーナスが得られるのは、初回討伐時のみらしい。

 アンコクキュウビをはじめとするエクストラボス達は、速攻で倒すのは困難を極める。故に、ジン達がこのボーナスシステムを体験するのは初めてだ。


「手に入ったのは……≪水竜の髭≫? これを使って装飾品を作ると、HPとMPがプラス50だそうですね」

「本当だ……!! 凄い!!」

「プラス50って、大盤振る舞いッスね!!」

 店売りやドロップ品の上昇アイテムでは、プラス50のアイテムなど中々無い。大体一桁台……高額アイテムでプラス10や20というのが殆どだ。そう考えると、この素材は破格の性能を誇るのである。


 更にジン達はウォータードラゴン由来の素材を、それぞれ数点ずつ入手する。また、大量の経験値によりレベルが上がった。

 そして最後に……。

『フィニッシュ・アタック・ボーナス!!』

 そんなアナウンスが流れて来た。光が溢れると、ジンの前で一枚のチケットになる。

「あれ……これ、チケット?」

 手に入れたチケットは、≪ゴールドチケット≫だった。

「これはボスを初討伐する際に、トドメを刺した人に贈られるボーナスなので御座います。こちらもご存知無かったのですね」

「エクストラボスは、ユニークアイテムがドロップするのが確定していますからね。多分、このボーナスは無いんでしょう」

 すっかり解説役なレンとシオンが、ジンに丁寧に解説をしていく。


「え、え、良いのかな……僕、美味しい所を持ってっちゃった形なんだけど……」

 仲間達を見ると、全員が似たような目をしていた。所謂、「ちょっと何言ってるのか解かんないです」といった視線だ。

「はぁ……俺は文句無いぞ?」

 ヒイロがそう言うと、他の面々も続く。

「そうそう! ジン兄がしっかりきっかりトドメを刺してくれたから、勝てたッスよ!」

「私もそう思います、ジンさん!」

「それに、ジン様がヒメノ様を守らなければ、ヒメノ様のステータスでは一撃死だったのでは?」

「お姫様を守る騎士ナイト様、格好良かったですよ? 騎士ナイト様と言うよりは、忍者様でしたが」

「そ、そう! そうですよ、ジンさん! ジンさんが守ってくれなかったら、私はダメでした!!」

 全員にそう言われて、ジンはむむむ……と唸る。


「ほら、ジン。早速ガチャを回してみたら良い」

 背中を叩くヒイロに、仲間達もウンウンと頷く。申し訳無さそうにするジンは、一つ溜息を吐いた。

「解ったよ……ありがと、皆」

 これでどんなスキルを会得出来るかは、完全にランダムだ。とりあえず、ジンは意を決してハンドルを回す。


「あ、出た」

 取り出し口にコロンッ……と転がり出てきた、スキルオーブ。真っ赤なスキルオーブだ。

「赤!?」

「スーパーレアッスよ!?」

 以前聞いた話では、白いスキルオーブは数量十個に限定されるウルトラレアのスキルオーブ。そして赤はスーパーレアのスキルオーブだ。

 分身ウルトラレアやスーパーレアをばんばん引き当てるジン、リアルラックが高い様である。


 そして、ジンが入手したスーパーレアのスキルオーブは……。

「……へ、【変身】?」

 随分と、風変わりなスキルオーブであった。


************************************************************


 紆余曲折を経て、ジン達はウォータードラゴンの座すバトルステージを後にする。その先に、ようやく第二エリア最初の町が見えた。


 ボス戦では、プレイヤーに対して膨大な負荷がかかる。HPアイテムの枯渇や、武器の喪失ロストだって起こり得るのだ。

 そんなプレイヤー達にこれまでよりも強いモンスターをぶつけ、デスペナルティが発生するとなれば、不満の声が上がるのも当然。故に次の拠点となるエリアに到達するまでは、一部エリアではモンスターが発生しないようになっているのだ。


 そんな解説するレンやシオンに先導されながら、ついにジン達は第二エリア最初の町へと足を踏み入れた。

 ちらほらとプレイヤーの姿が見えるものの、第一エリア程混み合ってはいない。やはり第二エリア到達に挑んでも、ウォータードラゴンに敗退するプレイヤーは少なくないらしい。


「あ、何か煙が上がってるッス」

「それに、何だかツルハシを持った人が居るね」

 ハヤテとヒイロの言葉を聞いて、周囲を見渡してみる。確かに、ガタイの良い男性NPCがツルハシなんかを肩に担いで歩いている。

「これはつまり……北側の第二エリアは、鉱山エリアから始まるんですね」


 レンの言う通り、この町は鉱山町[ホルン]という。この町から、北側第二エリアの攻略がスタートするのである。

ウィザードのドラゴンタイマーほんますこ。

【心得】系の奥義、短剣と弓矢が初出ですー。

どちらもジンとヒメノに合ったモノになりました。


次回投稿予定日:2020/8/19

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― 新着の感想 ―
リアルラック高い…でもこの物語の根幹的なスタート地点… ただの揺り戻しでは?
[良い点] ウィザード!?マジか! ドラゴン相手なので仕方ない! ジン君がドラゴンの背中でチェイン始めた時、「ヒビキっぽい」と思ったのは、私だけ?(笑) [気になる点] 変身忍者……嵐の兄貴、元気か…
[気になる点] ここだけチェインアーツがアーツチェインになってる事
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