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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第二十章 第四エリアを目指しました
566/574

20-14 ダンジョンアタックを開始しました

 三月八日、日曜日……いよいよクラン【十人十色ヴェリアスカラー】は、第三エリアボス討伐の為に地下ダンジョン攻略に出向く。


 【七色の橋】と【魔弾の射手】に加え、ユージン・ケリィ・クベラによるレイドパーティは東側エリアへ出発。

 【桃園の誓い】と【ラピュセル】、コヨミ・リリィ・ネコヒメが加わるレイドパーティは西側エリアへと向かう。

 そして【忍者ふぁんくらぶ】プレイヤー総勢五十名による、ギルド単一レイドパーティが南側エリアだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――

 東側エリアボス【デュラハン】

 40名


【ジンパーティ】

 ジン・ヒメノ・センヤ・ヒビキ

 ディーゴ・クラウド

 PACリン・PACヒナ・PACシスル・PACアルク


【ヒイロパーティ】

 ヒイロ・レン・シオン

 ジェミー・ビィト・カイル・アクア・アウス

 PACセツナ・PACロータス


【ハヤテパーティ】

 ハヤテ・アイネ

 レーナ・ミリア・ルナ・シャイン・メイリア・トーマ

 PACカゲツ・PACジョシュア


【ユージンパーティ】

 ミモリ・カノン・ネオン・ナタク・イカヅチ

 ユージン・ケリィ・クベラ

 PACニコラ・PACエリーゼ

―――――――――――――――――――――――――――――――

 西側エリアボス【マンティコア】

 計50名


【ケインチーム】

 ケイン・イリス・レオン

 ジュリアン・フィディス・ステファン

 PACマーク・PACファーファ・PACヴェロニカ・PACドロテア


【ダイスチーム】

 ダイス・ヒューゴ・ラミィ・ゼクト

 サブリナ・モニカ・ルイーズ

 PACクラリス・PACロザリア


【アナスタシアチーム】

 アナスタシア・テオドラ・エウラリア

 ゼクス・チナリ・マール

 PACラウラ・PACロベルト・PACリューシャ・PACベルナデッタ


【アシュリィチーム】

 アシュリィ・マリーナ・マルファ

 ゲイル・フレイヤ・ヴィヴィアン・バヴェル

 PACスティード・PACナタリア・PACテレーザ


【アリッサチーム】

 アリッサ・イザベル・メリダ

 リリィ・コヨミ・ネコヒメ

 PACミッシェル・PACエカテリーナ・PACスピカ・PACリゲル

―――――――――――――――――――――――――――――――

 南側エリアボス【スキュラ】

 50名


 アヤメ・イズナ・ココロ・コタロウ・ジライヤ・他5名

 イナズマ・ハヅキ・アゲハ・カスミ・ゴエモン・他5名

 サスケ・タスク・ハナビ・ハンゾウ・ディルク・ヘルマー・他4名

 他20名

―――――――――――――――――――――――――――――――


 今回のダンジョンアタックの為に、【桃園の誓い】と【ラピュセル】はPAC契約を進める事にしていた。五十人でのフルレイドパーティであれば、ダンジョンの探索やエリアボス戦での不足を埋める事が出来ると考えたからだ。

 そこでマールが、第四回イベント応援NPCだった【ロベルト】と契約。彼は盾とメイスを駆使する、盾職タンクタイプのPACだ。

 ちなみにレオンが【イゴール】という魔法職、ヴィヴィアンも【ジョゼフィーヌ】という長槍使いのPACと契約を果たしている。だが人数の都合上、今回のパーティ参加は見送られることとなった。

 そして【ラピュセル】でも、テオドラが弓使いのPAC【ベルナデッタ】、イザベルは魔法職のPAC【エカテリーナ】、マリーナが長剣と盾の前衛職【テレーザ】と契約を果たしている。


 そしてフリーランスの商人であるクベラも、考えに考えた末に戦闘織であるPACとの契約を果たしていた。当初は店番などが出来るPACと契約するつもりだったが、方針を変えたのだ。

 これは自身が銃や砲撃による後方支援タイプであり、恋人であるカノンも重量武器を投擲するという戦闘スタイルである事に起因する。そしてカノンのPACであるボイドは生産職なので、戦闘には参加できない。

 その結果クベラが契約したのは、長槍と盾で戦う前衛職のPAC【エリーゼ】である。彼女のお陰でカノン含め三人で組む事で、今までよりも戦闘に貢献できると考えたのだった。


 【忍者ふぁんくらぶ】は五十人のプレイヤーでそれぞれパーティを組み、ギルドメンバーだけでのレイドパーティとなった。本来は他のギルドと組みたい所だが、第四回イベントの報酬≪ギルドフラッグ≫の効果を最大限に生かす為にはやむを得なかったのだ。


 ともあれ、これで三箇所のエリアボス攻略に乗り出せる。そこから次のエリアボス戦に赴く際には、北側以外の攻略情報が共有できるという寸法だ。

 こうしていよいよ、第四エリア到達を目指す攻略作戦が幕を上げるのだった。


************************************************************


 東側第三エリアの海岸付近にやって来たジン達は、領主の命令でダンジョンの入口を守護する兵士達の下へと向かう。

「悪いがそこで止まってくれ! 君達は、異邦人だな? ここから先に進めるのは、都市の領主【アレクサンダー・ヴァン・ラインハルト】様の許可証を持つ者だけだ。この命令に例外はなく、異邦人であっても同様だ」

 警戒しつつも、決して高圧的ではない。そんな兵士の言葉を受けて、パーティリーダーの四人が≪領主の許可証≫を提示する。

「これが、領主様からの許可証です。確認をお願いします」

 ヒイロがそう言って兵士に促すと、兵士はまじまじと≪領主の許可証≫を確認し……そして、背筋を伸ばした。

「大変失礼致しました、お通り下さい! どうか、お気を付けて!」

 そう言って兵士達が道を開ける先には、ダンジョンに繋がる洞窟の入口。そこに配置された太い木材などで組まれたバリケードは、恐らく洞窟内からモンスター達が出て来ようとするのを阻止する為なのだろう。


 兵士達に軽く会釈をして、ジン達は洞窟の中へ入ろうとする。その瞬間、全員の眼前にシステム・ウィンドウがポップアップした。

「おや?」

「これは……警告のメッセージみたいですね?」


『ここから先はボスフロアの入口まで、パーティを対象としたインスタンスマップとなります』


 このダンジョンは、各パーティごとに個別に攻略をしなくてはならないらしい。つまりレイド戦となるのは、エリアボス戦だけなのだろう。

 更にインスタンスマップという事は、ダンジョン内で他のパーティと遭遇する事は無いという事だ。そうなるとパーティの再編成や、他パーティの援護は期待できないという事でもある。

「楽にボス戦まで行かせないって事ッスかねぇ」

「まぁ、さもありなん……かな? この人数で行ったら、道中の戦闘難易度が下がるもんね」

「となるとパーティの編成が重要になるのは、間違い無いかな。まぁ、今回のパーティなら特に問題は無さそうだけどね」

 最初からパーティ編成の時点で、役割や戦力のバランスを意識して組んでいる。となれば今更、編成を再検討して時間を浪費……なんて事にはならずに済むという事だ。


「じゃあ、ボス部屋の前で合流だね」

「そうなりますね」

「承知したでゴザル。それでは皆、また後程!!」

 最初のヒイロのパーティがダンジョンに入って少し歩いた所で、その姿が暗がりの中へと消えて行った。一定距離を歩いて境界線に到達し、インスタンスマップの中に入った事で姿が消えたように見えたのだろう。

 次は、ジン達のパーティの番だ。先頭としてジンがダンジョンに踏み入ると、シャボン玉の膜を通り抜ける様な感覚を覚える。


――変な感覚だな……多分さっきのヒイロ達が消えたように見えたのも、わざとそうしているんだろうな。


 恐らくは、ダンジョンの攻略が始まるぞ……という事を強調する為の、演出効果だろう。

「……ここからは、この十人でボス部屋まで辿り着かなければいけない訳だ」

 クラウドがそう言ってシステム・ウィンドウを開くと、アイテム欄から松明を取り出す。暗いダンジョンの中を進むのに、光源は必須。それは、現実とさして変わりはない。

「どれくらい移動する必要があるのか、どの程度のレベル帯のモンスターが出て来るのか解りませんから、時間が掛かる可能性はありますよね」

 流石に第四エリアのある大陸まで繋がっている事は無いだろうが、それでも海岸から大渦までの距離は短くは無い。


「少なくとも、海底にエリアボスが居るんだよねぇ……という事は、結構深くまで潜る事になるよね?」

「確かにそうだね……となると、下に潜っていく系のダンジョンになるのかな」

 センヤとヒビキがそんな会話をしていると、前方で物音がした。

「……音がする……という事は、十中八九モンスターでゴザルな」

 インスタンスマップなので、他のプレイヤーとダンジョン内で遭遇する事は無い。ジン達は即座に戦闘態勢に移行し、陣形を整える。


 警戒しながら前へ進むと、そこには人型モンスターの代表格である十体のゴブリンの姿がある。しかしその身に纏う装備品や武器は、薄汚れてはいるが明らかに良い品だ。

 そしてそのデザインは、先程ダンジョンの入口で会話した兵士達の物によく似ている。恐らくはこのダンジョン内で戦死した兵士達の装備を、奪い取った……という設定なのだろう。

「ジン君、あいつらの種族名に気付いたかい?」

 ディーゴがそう言うと、ジンは振り返らずに頷いてみせる。

「【エリートゴブリン】……でゴザルな」

「わざわざ種族名に”エリート”なんて付けるくらいだ。今までのゴブリンよりも、強い可能性が高いかな」

 第四エリアへの試練は、これまでよりも強い敵が続々と襲い掛かって来る……という事なのだろう。

「恐らくそうだと思うでゴザル。エル・クレア神がわざわざ[試練の塔]を用意したのは、こういう事だった訳でゴザルな」

 だがそれは、逆に言えば……[試練の塔]を完全踏破した者ならば、十分対応可能なレベルの相手と言って差支えは無いだろう。


 まだゴブリン達の索敵範囲内の外であるらしく、ジン達の様子には気付いていない模様。となれば、

「まずは肩慣らしでゴザルな……いざ、参るッ!!」

 先頭には勿論、回避盾としてジンとリンの最速主従。両手に小太刀を構えた二人は、一気にエリートゴブリン達との距離を詰める。

「「はぁっ!!」」

 それぞれ目の前に立つエリートゴブリンに向けて、素早く小太刀を振るう二人。戦闘態勢に入る前の速攻攻撃だった為、ここでようやくゴブリン達は戦闘態勢に移行する。


 ジンとリンは襲い掛かるゴブリン達の攻撃を避け、注意を引き付ける。その間にセンヤとヒビキ、アルクともう一人が前進。エリートゴブリン達に向けて、万全の態勢で攻撃を繰り出す。

「【一閃】!!」

 得意の抜刀術で、エリートゴブリンを斬り付けるセンヤ。激しいライトエフェクトが発生し、クリティカルヒットになる……だが、エリートゴブリンのHPは思ったよりも減少していない。


――おやっ……! 本当に強くなってる!


 フィールドやダンジョンで戦ったゴブリンよりも、ステータスが高いのだろう。しかし、だとしても……勝てない相手だとは、全然思っていない。

 何故ならば、自分の傍らにはヒビキが居る。自分の攻撃に合わせて、追撃をしてくれる頼れる彼氏が。

「【ヘビーナックル】!!」

 思った通り、ドンピシャのタイミングでエリートゴブリンを殴り飛ばすヒビキ。その衝撃でエリートゴブリンはノックバックされ、態勢が崩れた。すぐに二人で追撃すれば、エリートゴブリンのHPがぐんぐんと減っていく。


 そして今、ディーゴも前衛として参加していた。主砲役にヒメノとヒナが居る事もあって、現時点では後衛に回るメリットが薄い為だ。

「【ラピッドピアス】」

 彼は銃を入手する前は、両手短槍をメインウェポンにしていたらしい。そこで今回の作戦に備えて新調した≪タクティカルショートスピア≫を握り締め、ジンとリンを追おうとしているエリートゴブリンに突き出す。

「お任せを!」

 更にそこへ、ヒビキのPACであるアルクが追撃を仕掛ける。アルクの長槍は十文字槍を参考に作られた、新造の長槍だ。それが振り上げられれば、エリートゴブリンの身体にダメージエフェクトを刻み付ける。


 そうして前衛組がエリートゴブリンの陣形を搔き乱せば、後衛組の攻撃チャンスに繋がる。

「そこだ……【スパイラルショット】」

 クラウドは長弓を扱っていたが、今回はアーチェリー等で使う様な≪クロスボウ≫を手にしている。そこから放たれたクロスボルトが、エリートゴブリンの腹に突き刺さってHPを大きく減少させた。

「こっちも準備万端です!! 【ウィンドジャベリン】!!」

 センヤのPACであるシスルは、攻撃と支援どちらの魔法も得意としている。手にしているのは巫女が持つ鈴を模した魔法杖で、今回のダンジョンアタックに向けて拵えられた一品だ。


 そして、ヒメノとヒナの主従コンビ。

「行きますよ、ヒナちゃん!」

「はいっ!」

 ヒメノは≪弓刀・大蛇丸改参≫、ヒナは≪精霊弓・聖杖夢弓せいじょうむきゅう≫を構えて狙いを定めている。ユニークスキル【エレメンタルアロー】を共有している二人は、その力を駆使して魔力矢で攻撃準備を整えていた。

「【炎蛇えんじゃ】!!」

 ヒメノが放ったのは、【八岐大蛇】の魔技である【炎蛇】。そして炎の蛇がエリートゴブリンに放たれた直後、それを待っていたと言わんばかりにヒナが魔力矢を放つ。炎の蛇を追うように、放たれたのは一本の風属性の魔法矢。それが【炎蛇】を追い越し、エリートゴブリン達の丁度中心に居る個体に突き刺さる。その瞬間、ヒナは魔法名を宣言した。

「【ウィンドピラー】!!」

 その瞬間、そのゴブリンを中心に竜巻が発生。同時にヒメノが放った炎の蛇が竜巻に到達すると、その風の流れに乗る。そうして火属性と風属性の魔法の相乗効果が発動し、炎の竜巻へと変貌した。

 炎の竜巻は近くのエリートゴブリン達を引き寄せていき、それに触れてしまったエリートゴブリン達はそれに巻き込まれていく。


************************************************************


 ヒメノとヒナは絆値最大に到達し、ユニークスキル【エレメンタルアロー】を共有した後……スキルの使い方について、共に研究を重ねていた。

 その中でヒメノは改めて、このスキルが秘めているポテンシャルに気付く事が出来た。


―――――――――――――――――――――――――――――――

 アクティブスキル【スペルセッティングLv3】

 効果:魔法を矢に変えて放つ。魔法名を宣言する事で、魔力矢状態から選択した魔法に置き換わる。

 魔法の効果、威力、消費MPは選択した魔法に準ずる。

 魔力矢のダメージ、1×INT値。魔力矢状態の維持時間、三十秒。

―――――――――――――――――――――――――――――――


 まず、弓に矢をつがえる様な動作で魔力矢を生成できる。これによって、詠唱時間をカットする事が可能になる訳だ。

 そして魔力矢が効果を発動するのは、パターンがある事に気付いていた。

 まずは魔力矢を放つ前に、魔法名を宣言するパターン。これはヒメノが実行したパターンで、その状態で放つのは魔力矢ではなく放つ魔法そのものだ。これはほぼ、通常の魔法発動と同じ攻撃方法と考えて良い。

 次は対象に魔力矢が命中した状態で、魔法名を宣言するパターン。これは、今ヒナが実践したパターンだ。この場合は魔力矢のダメージは大した事が無いが、魔法発動の際にゼロ距離となるのでダメージ値の上昇が見込める。

 ちなみに魔力矢を放って、対象に命中する前……つまり任意のタイミングで魔法名を宣言すれば、その場で効果を発動させる事も出来る。

 創意工夫次第で、まだまだ攻撃手段は増える事だろう。ユニークスキル【エレメンタルアロー】は、ある意味で無限の可能性を秘めたスキルと言えるのだ。


************************************************************


 炎の竜巻が収まると、そこにはHPを大幅に減らしたエリートゴブリン達が六体。四体は既にHPを散らして、地面に転がっていた。


 そんな息も絶え絶えのエリートゴブリン達を、見逃すジン達ではない。

「リン!!」

「はいっ!!」

 未だ態勢を立て直せていないエリートゴブリンに向けて駆け寄るジンとリンは、素早く小太刀を振るう。

「「【一閃】!!」」


「私達も行くよんっ!!」

「任せて!!」

 センヤとヒビキも、ジン達に続かんと駆け出す。

「まだ()()は、温存で……【一閃】ッ!!」

「【アッパーカット】!!………からのっ、【ハイアングル】!!」

 抜刀術で斬り捨てるセンヤと、体術の連続攻撃で確実に叩きのめすヒビキ。


「アルク君、そっち任せます」

「了解です、ディーゴ殿!!」

 残る二体のエリートゴブリンを引き受けるのは、ディーゴとアルク。ディーゴは短槍装備のままエリートゴブリンに迫り、鋭い踏み込みから短槍を突き出す。

「【スティングピアス】……!!」

 同時にアルクも十文字槍を振るいながら、ここで仕留めるとばかりに武技を発動する。

「決める……!! 【ラウンドスラスト】!!」


 六人がエリートゴブリンを仕留めれば、ダンジョンアタックの開幕戦は無事にジン達の完封勝利に終わる。しかしジン達の表情は暗くも無いが、決して明るくも無い。

「初っ端から、これまで以上の敵でゴザったな。恐らくは[試練の塔]の百階から二百階に出現した、天使達と同じくらいの難易度か」

「えぇ。明らかに第三エリアのフィールドで遭遇するモンスターより、強い感じです」

 ジンとヒビキが口にした通り、これまでのフィールドやダンジョンとは一線を画す難易度だ。つまりこの先、更に強力なモンスター達が待ち受けているという事だろう。


「あぁ、気を引き締めて行く必要がありそうだ……」

「そうっすね。俺もすぐに銃に切り替えられる様に、準備しといた方が良さそうだ」

 クラウドとディーゴも今の戦いの手応えで、このダンジョンアタックが一筋縄ではいかないと悟ったらしい。既に二人はシステム・ウィンドウを操作して、場合によってはいつでも銃撃戦術にスイッチできる様に備え始める。


「ヒメのんとヒナっちのお陰であっさり済んだけど、普通に打ち合ったらもうちょい時間かかってたもんね」

「そうだね……MP管理と、矢の本数管理が難しくなるかも」

 今回のダンジョンの難易度を図る為に、魔法と魔法の相乗効果……いわば【魔法コンボ】を試してみたが、多用すればMP消費は激しくなるだろう。エリアボス討伐の際に、矢が足りなかったり≪MPポーション≫が不足するという事態は避けたい。


「次の戦闘では、モンスターの行動パターンや弱点を探る為に”けん”に回ってみるのはどうでゴザルか? 道中の敵が強化されている以上、情報収集は必要だと思うでゴザルが……」

 攻略の為に情報収集は必要だし、後にその情報が他の仲間や後続のプレイヤー達の糧となる。すぐにその判断をしたジンに、クラウドとディーゴは感心しつつ頷いた。

「敵を知り己を知らば百戦危うからず、だね。俺もそれが良いと思う」

「俺もだ。それじゃあ次の戦闘は、しっかりモンスターの情報を集めるとしよう」

 当然ヒメノも、センヤとヒビキも異論は無いと同意を示す。


 第三エリアボス討伐を目指すダンジョンアタックは、まだ始まったばかりだ。

次回投稿予定日:2025/8/10


今までサラッと描いていた【エレメンタルアロー】ですが、紐解いてみれば結構とんでもないスキルだったり。

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― 新着の感想 ―
第四エリアへ向けて出発したVC一行 果たして この先に待ち受けるものとは…? アレは温存 気になります 頭領様方は まぁ いつも通りでしょうが 忍者ふぁんくらぶ一同  頭領様に 後れを取らず 最速を目…
魔法の発動タイミングを任意にできるってだけで、だいぶ悪用できるスキルですわ…。 しかし今回のダンジョンは中々に歯ごたえがありそうだなぁ。
第4エリア目指しとうとうボス攻略に乗り出しましたジンくん達ワクワクが止まりません。彼らがどの様な活躍を見せてくれるのか今から楽しみです。
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