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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十九章 第五回イベントに参加しました・弐
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19-36 第五回イベントが終了しました

0:00に投稿できず、申し訳ございません。

 二月二十五日……アナザーワールド・オンライン第五回イベントが終了する、その日。

「無事に全パーティが、四つの[試練の塔]の攻略完了かぁ」

「色々あったお陰で駆け込み気味だったけど、全員が目標を達成できたのは良かったわね」

 クラン【十人十色ヴェリアスカラー】は、全てのパーティが東西南北の[試練の塔]を最上階まで攻略する事が出来ていた。

 もっともPACパックを派遣する必要があったパーティは、ギリギリ間に合った形ではある。ジン達も最終階層はPACパック抜きでは厳しいのだから、それは当然といえるだろう。

 ともあれ全員がSABスピード・アタック・ボーナスの報酬である≪ミスリルチケット≫も入手出来た為、翌日は皆でガチャ大会……そして、トレード大会が敢行される事になった。


 もっとも人数が人数である為、今回のトレードは競争率が高いものになると予想されている。そこでトレード対象品の中から、第一希望から第三希望までを各自が記載。希望者が被った場合は交渉……もしくはくじ引きで取得者を決め、取得できなかったメンバーは第二希望で優先権を得るというルールになった。

 ちなみにこれはトレードに出す事を希望した者のみのルールで、ガチャで希望に沿う物をゲットしたのでトレードには参加しないというのも本人次第となっている。

「ドラフトかな?」

「厳密には違うかもしれませんが、我々流のドラフト会議で良いかもしれませんね」


 そんな翌日の予定を皆で決めた後、ジン達はいつも通りの時間にログアウトしていった。

 大人達はまだログインしているメンバーも居るが、その数はそこまで多くはない。それは当たり前の事で、翌日も平日で仕事があるのだ。

 その中には、生産大好きおじさんことユージンの姿があった。

「ユージン殿は、まだ落ちないんですか?」

 アヤメがそう問い掛けると、ユージンは穏やかな笑みを浮かべつつ頷いてみせる。

「あぁ、もう少しだけね。例の≪天使の素体≫や≪天使の核≫について、もう少し調べておきたいんだ」

「成程……どうか、ご無理はなさらないで下さい」

 真剣な表情でそう告げるアヤメからは、ユージンに対する強い敬意が感じられた。


 それもそのはずで、ユージンは彼女達が敬愛するジンの初めてのフレンド。そしてジンがAWOを代表する忍者ロールプレイをするきっかけとなった一人であり、生産職人として【七色の橋】の為に腕を振るってきた人物である。

 つまりジンと【七色の橋】を、これまで支え続けて来た存在。生産職人としての実力、戦闘における実力……それ以上にジン達が心の底からの信頼を寄せる、彼等にとって必要不可欠な存在。それが、クラン【十人十色ヴェリアスカラー】におけるユージンの評価である。

 だからこそアヤメは……そして【忍者ふぁんくらぶ】の面々は、ユージンに対し深い敬意を払っているのである。


 そんなアヤメ達の敬意を知ってか知らずか、ユージンは苦笑しながら肩を竦める。

「ありがとう、アヤメ君。仲間達に心配をかける訳にもいかないし、程々にしておくとしよう」

 ユージンがそう言うと、ケリィが困ったような笑みで会話に加わる。

「そんな事を言って、ユーちゃんの”程々”は”納得いくまで”でしょう?」

「……ソ、ソンナコトナイヨ?」

 ユージンさん、めっちゃ視線を逸らしている。台詞もお手本の様な棒読みで、明らかに図星だと態度で解る。そんなユージンだが、ケリィは追及の手を止めない。

「生産で気になる事があると、手を付けずにはいられない……そして手を付け始めると、目途が立つまで手を止めない。目途が立って来ると、完成させるまで突っ走る。こういう所は、昔から変わりませんね?」

「解った、解りました! 今日は大人しく落ちる事にします!」

 ケリィに図星を突かれ続けたユージンは、反論する事無く白旗を上げた。ちなみに態度的な意味でも、物理的な意味でも。何故、小さな白旗を常に持ち歩いているのだろうか。


――ふむ……ユージン殿は普段は穏やかな大人の男性というイメージがあるが、奥方の前では砕けた感じになるのだな。


 二人のやり取りに微笑ましさを感じつつ、アヤメはふとそんな事を考えた。ケリィが「仕方が無い人ですねぇ」と笑うと、どことなくバツが悪そうな顔をするユージン。アヤメはふとおしどり夫婦という言葉と同時に、仲の良い姉と弟の様な印象も受けたのだった。


 そこで丁度日付が変わり、二月二十六日の午前0時になる。すると各プレイヤーの視界に第五回イベントが終了した事を告げる、アナウンスメッセージが流れる。

「これ、今も攻略中のプレイヤーはどうなるのかな」

「そうですね……恐らく今攻略している階層をクリアしたら、そこで強制的に外に転移になるんじゃないでしょうか?」

 そんな会話を交わすのは【魔弾の射手】のジェミーと、【ラピュセル】のメンバーであるイザベルだ。二人は翌日の朝の講義が無いらしく、イベント終了を見届けてからログアウトするつもりだったらしい。


「ん? メッセージか……どれどれ」

「……やはりな、こう来ると思っていた」

 残っているメンバーがシステム・ウィンドウに届いた、運営メッセージを確認する。


『20:00より、第五回イベント・エンディング演出があります。始まりの町に設置されている、四つの門の前でお待ち下さい』


 メッセージの内容は、イベント開始前に送られたものに酷似している。それはつまりオープニングの時の様に、特別な演出が用意されているのだろう。

「またエル・クレア神と、天使が登場するんでしょうね」

「現地で見られるのは一回きりだし、ここは押さえておきたいな」

「良かった、バイトが無い日でラッキーだったわ。イベント直後だし、シフト入れようか迷っていたのよね」

「開幕の時は、囲まれない様に分散していましたが……今回はそのままクラン拠点に戻りますし、全員で纏まって動いても良いかもしれませんね」

「そうですね。【ラピュセル】の皆さんもいるし、そうした方が安心じゃないかしら」

「後はここに居ないメンバーに、意思確認かな。ヒイロ君には、俺がRAINをしておくよ」

「それならアナさんは、私から」

 各ギルドのメンバーには、ケイン・ジェミー・アヤメから……そしてヒイロとアナスタシアには、ケインとイザベルから連絡を入れる事になった。


 こうして、イベント終了日の夜は更けていくのだった。


************************************************************


 翌日の二十時になる、少し前……クラン【十人十色ヴェリアスカラー】の面々は、揃って[フロウド]サーバーの始まりの町[バース]南側の門に集まっていた。

 流石にクランメンバーの大半が揃うと、目立つのは当然だ。その姿を見たプレイヤー達は、興味津々でその様子を覗っている。

「おおぉっ!! すげぇ、【VCヴェリアスカラー】だっ!!」

「やばっ……めっちゃ最高の光景じゃん……!!」

「イ、イナズマちゃんは!? イナズマちゃんは居るのか!?」

「馬鹿野郎、それよりもココイズだろうがっ!!」

「アナスタシアさん……本当に綺麗だな……!!」

「おぉ……本当に【ラピュセル】が【VC】入りしたんだな……」

「な、生のレン様だ……!! くっ……!! 本当に結婚しちゃったのか……!!」

「お……!? チャイナ服着ている、あの娘……初めて見るけど、新メンバーか……!?」

「リリィちゃんとコヨミちゃんが……くっ、やはり【VC】入りしてぇよぉ……ッ!!」


 賑やかなプレイヤー達の事は意識の外に置いておき、ジン達は和やかに会話をしながら特殊演出が始まるのを待っていた。

「やっぱり、エル・クレア神が出るのかな?」

「まぁ、最初であれだけかましてたもんなぁ」

「神様が普通に顔見せするゲームって、結構珍しい気がするんよなぁ」

「うーん……結構、他のプレイヤーも多いですね」

「ご心配は無用です。我等【忍者ふぁんくらぶ】の男性メンバーを、メンバー全員の周囲に配置しております。不埒物は近付けさせはしません」

「自発的に!?」

 周囲に負けず劣らず、【十人十色ヴェリアスカラー】のメンバーも賑やかだった。ついでに言うと和気藹々としており、雰囲気は実に良い。


 そしてやはり、その良い雰囲気を作る面々がいる。

「皆が揃って見に来る事が出来て、良かったですね」

「うん、そうだね。それも、ケインさんが連絡しておいてくれたおかげです。本当にありがとうございました」

「えぇ、その通りですね。ありがとうございますケインさん、いつも細やかな気遣いを頂いて……本当に助かっています」

 やはり【七色の橋】にとって、ケインは頼れるお兄さん枠。レンとヒイロが感謝の言葉を告げれば、当のケインはくすぐったそうな笑みで首を横に振る。

「いやいや。君達もこういう特殊イベントは、見ておきたいだろうと思ってね」

「やーい、気遣い屋~。イケメーン、イケイーン」

「……イリス? それは、バカにされてる? それとも、褒められてる……?」

「ふっふっふ……皆の総意で褒めておる」

「あー。それは事実、そうですねぇ」

 イリスがからかいながらもケインを誉める様な事を言えば、各ギルドのメンバーが同意とばかりに頷いていみせた。それが更に照れ臭いものの、ケインとしても信頼してくれることが嬉しいらしく困った様な笑みを浮かべるだけだ。


 周囲も身内も賑やかな雰囲気が続く中、時刻が二十時を迎えると同時。オープニングイベントの時と同じように鐘の音が鳴り響き、プレイヤー達の頭上から白い羽根がひらりひらりと舞い落ちて来る。

「お、始まったね」

「また、天使が来たのかな」

 プレイヤー達が視線を上空に向けると、そこには既に天使の姿があった。南側の門に舞い降りたのは男性の天使で、線の細い美青年だ。

「異邦人の皆さん、これより託宣が下されます。心を落ち着けて、エル・クレア神様のお言葉に耳を傾けて下さい」

 そう告げるのは今回のイベンターであり天使・ウレルス役を務める、現役アイドルである江成稔だ。彼は南側の門を担当するイベンターとして、全力で天使を演じながら眼下に集うプレイヤー達に視線を巡らせる。


 そこで、稔はある一人の人物に気付いた。その人物は彼と同じくアイドルとして活動しており、それでいてAWO公式キャラクターのオファーを自分の意志で蹴った少女だ。


――渡会さん……普段、現場で会う時よりずっと雰囲気が柔らかい?


 仲間達と談笑しながら、笑顔を浮かべる瑠璃リリィ。その姿を見た稔は、言い表せない不思議な感情を覚える。

 彼にとって今回の”公式キャラクター・ウレルス”の役は、オファーを貰った時点でハマり役だと感じた。そしてこの公式キャラクターを演じるという経験が、今後に生きるという向上心に基いた打算もあった。だからこそオファーを受けて、こうして公式キャラクターとして衆目に晒された状態で天使ウレルスを演じるのだ。


 だが、リリィの笑みを見て……彼は、純粋に興味を抱いた。何故なら彼女の表情が演技ではなく、ありのままの彼女の笑顔だと感じさせる輝いた笑顔だったからだ。

 次いで記憶の底から呼び起こすのは、普段目にする渡会瑠璃の顔。大人を前にしても揺るがない、清楚でありながら芯の強さを感じさせる笑顔である。

 しかし、今の彼女の表情は、飾りを取り払った純粋なありのままの少女の笑顔に見えた。仲間達と会話をして笑い、仲間が口にした言葉に困惑し、そして更に言葉を交わしてより深い笑みを浮かべる。それは誰がどう見ても、ありのままの一人の少女……アイドルでも、トッププレイヤーでもない。ただのリリィという少女……ゲームを楽しむ、一人のプレイヤーとしての顔に見えたのだ。


 稔にしてみれば、彼女がそんな顔を普通に見せる事自体が驚きだった。そして同時に、リリィに対して羨望の念を抱いてしまう。

 芸能界という、ある意味で現実から隔てられた世界。その裏で起きている権謀術数渦巻くやり取りは、彼も嫌という程目にしてきている。そんな世界にあって、純粋な笑顔を浮かべる事が出来る機会などそう多くは無いのだ。

 何故ならば顔が知られている人間というのは、常に他人の視線に監視されているから。自分が何か”大多数の人間が認識している常識”の範疇を超えた行動をしたならば、あっという間にインターネットを通じてその情報が拡散する。それが正しかろうと、間違っていようと関係なくだ。

 だからこそ芸能人と称される人々もネットの動向に注意を向けるし、活動の度に息が詰まりそうな閉塞感を実感させられているのである。


 しかしながら、彼女の浮かべる笑顔に演技は無い。それを見抜くくらいには、稔は人を見る目がある。だから稔は、瑠璃が羨ましいと……そしてこの世界ならば、自分もそうなれるのだろうかと考えてしまう。

 公式キャラクターとしてではなく、一人のプレイヤーとして……この世界で冒険をしたら、彼女の様に得難い仲間を得られるだろうかと。


――まぁ、それも結局は俺次第なんだろうけど……でも、うん。渡会さんがあぁして、大切な仲間を得られた事は……羨ましくもあり、喜ばしい事だな。


 自分が仕事をしているのにとか、いっそ自分がその輪に加わるとかではなく……こういったゲームの世界ならば彼女の様に、ありのままの自分で接する事の出来る仲間に出会えるかもしれない。その可能性を目の当たりにしただけでも、稔としては大きな収穫の様に思えた。


……


 天使達が舞い降りた、東西南北の門。そこで次の展開を待つプレイヤー達の視線は、天使達に釘付けだ。そうしていると、鐘の音が止み……そして、少女の声がその場に居る全員の耳に響き渡る。


『異邦人達よ……此度の試練、よくぞ果敢に挑んだ』


 その透き通る様な声を耳にしたプレイヤー達は、すぐにその言葉を発したのがエル・クレア神……プレイヤー達にとってはPONな所がある、ポンコツ神様エクレアちゃんだと察した。

 すると上空に光の線が走って四角形を形成し、その枠の中に映像が映し出された。白を基調とした厳かな場所、その中央に設えられた玉座に座る見目麗しい少女。

「キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」

「エクレアちゃん、待ってましたあぁっ!!」

「この為に[試練の塔]を攻略したまである」

 どうやらエクレアちゃんにも、しっかりと固定ファンが付いているらしい。

『エル・クレア神と呼ばぬか、不敬だぞ』

 オープニングの時と比べて、落ち着きながらそう窘めるエル・クレア神。前回のあれはトラブルが発生したから慌てただけで、最初から姿を見せるならばちゃんと覚悟は出来ているんだぞ? と言わんばかりの表情だ。


『まったく、折角労いの言葉をくれてやろうというのに……まぁ良い、其方達の奮闘はしっかりと見させて貰った。此度の試練を乗り越えて、其方達も随分と力を付けたようだな』

 そう言ってフッと微笑んだエル・クレア神は、掌を上にして右手を前に伸ばす。そこに光が発生すると、光は図らしきものを形作っていく。それはプレイヤー達にとって、馴染みのあるものだった。

『ふむ、気付いたようだな?』

 彼女はそう言って立ち上がると、掌の上……光で形成されたマップを、プレイヤー達に見せ付ける様にする。


「……第四エリアのヒント、か」

「はい。第三エリアの先を、あえて見せているのでしょう。しかしまさか、第四エリアが海を隔てた場所とは思いませんでした」

 レンがそう言う通り、第四エリアは第三エリアと地続きではなかった。一から三までのエリアは、四つの大陸の中心に位置する島だったらしい。

 今居る島の東西南北には、それぞれ同程度の規模の大陸がある。その大きさは、島の倍くらいに見えた。


『其方達が居る場所は、四つの大陸の中心にある島。その島は[アウルコア]と呼ばれており、東の[イグナトワ大陸]、西の[ウェステリア大陸]、南の[サリステリア大陸]、北の[ノクトーワ大陸]に囲まれている』

「どこかで聞いた様な地名ですね?」

「ハハハ、どこでだろうねぇ」

 どこかの夫婦がそんな会話をしているが、その言葉の真意に気付けるのは二人ほどしかその場には居なかった。


『今の其方達ならば、更に先……新たな地へと進む事も適うはずだ。己を高める事を、常々忘れる事なきように願うぞ? それではまた会おう、異邦人達よ』

 そう言い残して、エル・クレア神は笑みを浮かべながら手を横に振るう。その動きと同時に、上空に展開されていた光の枠と映像が消滅した。


……


 エル・クレア神からの託宣が終わり、天使達がそれじゃあ帰るか……といった雰囲気を出し始めると同時。プレイヤー達から、口々に声が上がった。

「あれ? 終わりか?」

「いや、きっとまだ何かあるはずだ!!」

「エクレアちゃんなら……エクレアちゃんならきっと、PONをかましてくれる!!」

「この後、また操作ミスをして声が聞こえて来るんだよ。俺は詳しいんだ」

「エクレアちゃん!! はよ!! はよ!!」

「エークーレア!! エークーレア!!」

『エークーレア!! エークーレア!!』

 好き勝手な言葉の後には、何故かエクレアコールが始まった。それが伝播していき、瞬く間にその場に居る多くのプレイヤーによるエクレアコールが轟く。


 天使が「え? いやいやそれは……」といった表情を浮かべる。勿論、演技である。こうなるだろうと、運営側も公式キャラクター達も予想していたのだ。もっとも、エクレアコールはどうなんよ? と思いはするが。

 そしてプレイヤー達の期待に応えるのは、やはり彼女。

『だから私はエクレアじゃくて、エル・クレア神だって言っているでしょうが!?』

『ク、クレア様落ち着いて……!!』

 やっぱりこうなる。むしろ、こうする必要がある。


「もっかいキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」

「やったー!! エクレアちゃんだー!!」

「うんうん、やっぱエクレアちゃんはこうじゃないと」

「可愛い!! ポンコツ!! ゴッドネス!!」

「おい、どこの社長だよ」

「エクレアちゃんカワイイヤッター!!」

「うん、エクレアちゃんの叫び声でしか得られない栄養素がある」

「欲しかったものをちゃんとくれる!! そこに痺れる、憧れるゥ!!」

 エクレアちゃんリターンズに、プレイヤー達は大喜びだ。勿論声だけでなく、映像も復活している。

『ねぇ、これ天罰案件じゃないの?』

『クレア様、寛大な御心で許して差し上げましょう?』

『優しくしたら、付け上がるでしょ!! 大丈夫、こいつら全員”復活の加護”があるんだし!!』

『クレア様、マジでいけない』

『ミカイル、ガヴェリィ、ウレルス、ラーファ!! クレア様を止めないと!! 早く戻って!!』

「しょ、承知した……では、私はこれで失礼します。またお目に掛かる日を楽しみにしていますよ、異邦人達」

『スーリエ! 投影を終わらせるんだ、早く!!』

『アッハイ』


 そんな寸劇が繰り広げられるのを、ジン達は「何だかなぁ」と苦笑しながら見守っていた。勿論彼等は、悪ノリには参加していない。

「本当にAWOの運営は自由過ぎッスね」

「他のゲームだと、あまりこういうノリは見ないよね」

「まぁ、一番自由なのはあの辺のプレイヤー達かもねぇ」

「結論、皆フリーダムってな」

 ともあれこれで、本当にエンディング演出は終わりだろう。ジン達はそのまま、全員で[十色城]に帰還。

 そして予め用意されていた軽食をつまみながら、ガチャ&トレード大会が開幕。その日はログアウト時間ギリギリまで、仲間達全員で盛り上がるのだった。

次回投稿予定日:2025/3/30(本編)

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― 新着の感想 ―
もはやポンコツ女神な愛されキャラと認識されてしまいましたねお労しやエクレア様wそれにしても煽り耐性低すぎませんかね?
これは知る人ぞ知る地名なんだろうなぁw 稔さんも、本業知ってすら「それはそれとしてゲームしようぜ」って言える仲間が出来るといいね。
頭領様 姫様 VCの皆様方 そして、イベント参加のプレイヤーの方々 お疲れ様でした 次のイベントを楽しみにしつつ 次のエリアへ期待を込めて お疲れ様パーティーを致しましょう!!
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