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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十九章 第五回イベントに参加しました・弐
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19-25 六百階層に挑みました

 放課後、人志・明人・小斗流と連れ立ってファストフード店に入った仁と英雄。五人はそこで、昨夜の件について話をしていた。

「とまぁ、ウチのメンバーが【天使の抱擁】のメンバーとマッチングしたらしいんだけどさ……何か企んでんじゃねーかって、やかましくてな」

「そっちでも、マッチングした人が居ないか聞きたかったんだ」

 人志と明人がそう言うと、仁と英雄は顔を見合わせて苦笑した。

「ケインさんとイリスさんが、ハイドさんとソラネコさんと話したらしいよ」

「今残っている【天使】の人達は、アンジェリカさんが帰って来る場所を守る為に頑張ってるみたいだね」

 二人がそう言うと、人志と明人も「やっぱりそうか」といった表情になる。

「やっぱそういう事か……まぁ、俺等もそうじゃないかとは考えてたんだ」

「メンバーが離れ、周囲から厳しい視線で見られても続けてるんだ。そういう理由だと思っていたよ……うん、聞かせてくれてありがとう」

 人志や明人もどうやら、【天使の抱擁】についてはある程度予測をしていたらしい。その考えは、仁達と同様の方向性だった様だ。


「何か事情があんのかな。ディレックのあの態度は」

「はぁ……嫌な予感しかしないんだが?」

 無論、【天使の抱擁】について騒ぎ立てているのはディレックだ。彼はマッチングPKを企てたPKer達よりも、PKKに加わった【天使の抱擁】を目の敵にしているらしい。


 とはいえ彼も、決して悪人という訳では無い。それについて、小斗流が首を傾げながら口を開く。

「ディレックさんとは、何度か同じパーティで探索させて貰ったけど……ギルドの人達を気遣ったり、外部の人とも明るく会話したりって感じだったんだけどな」

「だなぁ……委員長の言う通り、あいつは普通に良い奴ではあるんだよ」

「彼がこういう風になったのは、第四回イベントの後からだね。何か【天使の抱擁】に、個人的な恨みでもあるんじゃないかな……」

 彼が悪感情を向けるのは、【天使の抱擁】に限定されているらしい。

「ディレックの件は、とにかく俺達と……ディレックの上役で抑えるしかないな。念の為、アークとシルフィさんにも共有しとくか」

「うん、それで良いと思う。今夜にでも、話をしておこうか」

 真剣な表情で、そんな会話を交わす二人。その様子を見ていた小斗流の視線は、人志に向けられていた。


――案外、ちゃんとしている所もあるのよね……それがゲームでしか今までは発揮されていなかっただけで、今はリアルでもちゃんとしてきてるし……。


 なにやら一足早く、春の雰囲気が漂っている。そんな小斗流の様子を察しているものの、仁と英雄は気付かないふり。内心で、小斗流にエールを送るに留めていた。

 春よ来い、来るんだ。


 それはさておき、人志と明人はディレックの件を切り上げて仁と英雄に向き直る。

「で、そっちも≪天使の素体≫は手に入れてるか?」

 天使繫がりという訳では無いだろうが、五百階層のボス・プリンシパリティからドロップするスピード・アタック・ボーナスの話題を振る人志。その言葉に、仁と英雄は頷いてみせた。

「とりあえず手に入れてるよ。でも、どうすれば使えるのかはまだ解らない状態だね」

 その言葉を聞いた人志と明人は、残念そうな表情を浮かべる。どうやら【騎士団連盟】も、≪天使の素体≫の活用法については辿り着いていないらしい。

「ウチではPACパックみたいに、連れ歩けるキャラになるんじゃないかっていう意見が出てるんだ。でも、何をどうしてもうんともすんとも……」

「最初は、[試練の塔]で手に入る天使アイテムを装備させれば動くんじゃ? っていう話もあったわよね。装備させることは出来たけど、動く様子は無かったわ」

 ここで小斗流も会話に加わり、意見の交換が始まる。


 フレーバーテキストが、≪破損品≫シリーズと同様である事。

 動き出す事は無かったが、今回のイベントで手に入る天使アイテムを装備させられる事。

 そして同時に、武器や防具を装備させる事も出来た事。

 確定しているのは、今のところはこれだけである。


「やっぱり六百階層で手に入る何かが無いと、効果を発揮しないんじゃないかな?」

「そういえば、結局俺達は六百階層にはまだ辿り着いていないな。そっちは?」

「俺達も何だかんだで、まだだな。ただ【森羅万象】のアーサー達が、六百階層に到達したらしい」

「もっとも、惜しくもSABスピード・アタック・ボーナスは逃したって話だね。彼等程の手練れがだ……難易度は高そうだね」

 期間が延長になったとはいえ、イベントも終盤。頂上を目指したいという思いもあり、仁達の表情は真剣そのものだ。それは、小斗流も同様である。


……


 三人と別れた後はいつも通り、[初音女子大学付属中等部]へ向かう仁と英雄。その電車の中で、二人は会話に興じていた。

「二十一日は、うちでパーティーをするんだよね?」

「うん、そうらしいね。ヒメだけじゃなくて、父さんと母さん……それに恋と、鳴子さんも参加するって」

 泊まりはしないが、姫乃以外の星波家もパーティーに参加。そして恋と鳴子も、一緒に出席するらしい。これは仁と姫乃が正式な婚約者であり、星波家にとって仁が家族の一員と認められている事。そして同様に、英雄の婚約者である恋の事も家族の一員と受け入れられているからだ。鳴子は勿論、恋の保護者代理として……そして仁達にとって、大切な仲間であるからだ。


「隼と拓真は、参加するのかなと思ったけどね。その日、うちの学校の入試の日でしょ」

「あんまり人数が多くなると、うちの迷惑になるからってさ。それに入試が終わって、一段落するはずだから……多分、デートするんじゃないかな」

 あと一カ月と少ししたら、隼と拓真が[日野市高校]の生徒に……自分達の後輩になる。あの二人の学力ならば、不合格の心配はしなくても良いだろう。

「四月からは、四人でこうして電車に乗るんだね」

「ははっ、そうだな。今から楽しみだ」

 そうこうしている内に、目的地である最寄り駅へと電車が到着する。

「おっ着いたな」

「うん、行こうか」

 電車を降りて、歩き出す二人。すっかり慣れたもので、その足取りは軽い。


************************************************************


 PKer達による騒動が終われば、いつも通りの日常が戻る。今日もAWOにジン達がログインすれば、早速今夜の予定について打ち合わせを始める。

「さて……昨夜の打ち上げは、イベント終了後に相談って事でギルマス勢とは話が付いた」

「イベント期間も、無事に延長されたわけだし……」

「はい、攻略に全力を注ぐとしましょうか」

 クラン【十人十色ヴェリアスカラー】の面々は、当初の予定通りの編成で[試練の塔]へと向かう。まず目指すのは、六百階層の突破……そしてその更に上にあるであろう、最上階層への到達だ。


―――――――――――――――――――――――――――――――

【ジンチーム】

 ジン・ヒメノ・イカヅチ・イナズマ・ハヅキ


【ヒイロチーム】

 ヒイロ・レン・シオン・ダイス・ヒューゴ


【ハヤテチーム】

 ハヤテ・アイネ・ヴィヴィアン・バヴェル・ジライヤ


【ヒビキチーム】

 ヒビキ・センヤ・ミリア・シャイン・ルナ


【ナタクチーム】

 ナタク・ネオン・ラミィ・イズナ・ココロ


【ケインチーム】

 ケイン・イリス・クラウド・タスク・サスケ


【レオンチーム】

 レオン・マール・ゼクト・ハナビ・ディーゴ


【ジェミーチーム】

 ジェミー・ビィト・ゼクス・チナリ・ハンゾウ


【レーナチーム】

 レーナ・トーマ・フレイヤ・ゲイル・コタロウ


【アヤメチーム】

 アヤメ・メイリア・リリィ・コヨミ・ネコヒメ


【アナスタシアチーム】

 アナスタシア・テオドラ・マリーナ・サブリナ・他一名


【アシュリィチーム】

 アシュリィ・マルファ・エウラリア・他二名


【アリッサチーム】

 アリッサ・イザベル・メリダ・他二名


【ユージンチーム】

 ユージン・ミモリ・カノン・ケリィ・クベラ


【忍者ふぁんくらぶチーム】

 アゲハ・カスミ・ゴエモン・ディルク・ヘルマー

 他七組

―――――――――――――――――――――――――――――――


 PACパックも含めて考慮された、バランスの良い編成。目標は各パーティが六百階層を突破し、スピード・アタック・ボーナスを手に入れる事だ。

「いざ!! 疾風の如く!!」

「っしゃあ!! ブチかましてやらぁっ!!」

「ボクも思いっきりいくよーっ!!」

 ジンの率いるパーティは、イカヅチ達の攻略進行度に合わせて五百六十階層からのスタートであった。ゲーム歴の浅いイカヅチや、生産専門のハヅキを抱えての攻略となるのだが……実際のところ、それを補って余りある状態だ。


 即死攻撃持ちの回避盾であるジンと、圧倒的破壊力の持ち主であるヒメノ。この二人に加えて主と同レベルのAGIを得たリンに、回復・支援・攻撃魔法をバランス良く習得しているヒナ。この四人の存在がいるだけで、あらゆる局面にも対応可能なのだ。

 そんな四人と組む事で、イカヅチとイナズマの攻撃チャンスが圧倒的に増える。そしてハヅキも安心して発明品による援護射撃が行う事ができ、お陰で殲滅力が更に向上するという相乗効果をもたらしていた。


 そうして順調に攻略が進み、攻略開始からゲーム内で二時間が経過した頃。ジン達はいよいよ、ボスが待つ六百階層に到達した。

「HPもMPも問題なし……ですね!」

「六百階層ボスも、プリンシパリティが現れるらしいでゴザルな……重々注意していくでゴザルよ」

 意を決して扉を開けば、その奥には五百階層でプレイヤー達の道を阻んだ巨体の天使の姿があった。

 大天使の上に立つ、権天使。五百階層の時点で、そのHPも攻撃力もアークエンジェルを上回るスペックだった。しかもプリンシパリティは、天使を召喚する能力がある。これも、攻略難易度の高さの要因だろう。


「イカヅチはプリンシパリティに近付かない様にして、召喚される天使の殲滅。必要だと思ったら【スーパースター】を躊躇わずに使うでゴザル」

「いいぜ、やってやらぁ」

「ヒナはイカヅチの【スーパースター】が切れるタイミングで、防御と回復を。それ以外は、いつも通りのバフ回し……余力があれば、攻撃も頼むでゴザル」

「はい、ジンお義兄ちゃん!」

「リンは拙者と一緒に、全力疾走。頼りにしてるでゴザルよ」

「お任せを、主様」

 ジンが指示を出していくと、ヒメノもそれに倣う様にイナズマとハヅキに視線を向けた。

「イナズマさんは、ハヅキさんの護衛でしょうか?」

「ボクもそれが良いと思います、姫様!!」

「はい、私も異論は無いです!!」

 ヒメノからの指示オーダーに、全力肯定する二人……この娘さん達の方が、一学年上なんですけどね。


 そんな二人の様子に苦笑しつつ、ジンは隣に立つヒメノに視線を向ける。

「姫は召喚される天使は完全に無視して……」

「プリンシパリティに集中攻撃、ですね?」

「で、ゴザルな」

 つまり、プリンシパリティ以外は任せろ……というジンの言外の言葉を、ヒメノは正確に受け止めていた。


 簡単な打合せを終えた七人は、ボス部屋へと足を踏み入れる。このまま進んでプリンシパリティの索敵距離に入るか、こちらが攻撃を開始すればボス戦のスタートだ。

 その索敵範囲に入る直前で、ジンとヒメノが足を止める。その後ろに続いていたイカヅチ達も、その理由を察してその場で待機だ。

「姫、行くでゴザル!」

「はい、ジンくん!」

 そう言って二人は両手をクロスさせ、前方に突き出す。そのままそれぞれの考案したポーズを取って、全力攻撃に移る為にスキル発動を宣言する。

「「【変身】!!」」

 並んで【変身】を発動させれば、二人の身体を変身専用装備が包む。狐面の忍者と、蛇面の姫君……【七色の橋】の最高戦力と称して差し支えない、最高峰プレイヤー二人の全力戦闘モードだ。


 ちなみにジンは、今回のイベント期間が終わるまでは【変身】のスキルオーブをアイネに貸与している。可愛い弟分の恋人であり、婚約者であるヒメノの親友。そんなアイネなので、今回はサービスする事にしたらしい。

 当然アイネは遠慮したが、ハヤテと並んで【変身】したいという本心は丸わかりであった。ジンはヒメノの≪オーブドライバー≫の恩恵を受けられるので、期間限定で貸与という事に相成ったのであった。


 それはそれとして。

「スーパー忍者タイム、いざ開幕!!」

 ジンが決め台詞と共に全力疾走を開始すれば、戦闘開始。接近する変身忍者が索敵範囲内に入った事で、プリンシパリティも戦闘行動を開始する。

 最初に繰り出されるのは、扇状に広がる衝撃派。これは射程がそこまで広くなく、周囲六メートル以内に存在する全てを範囲外に押し出すものだ。そうしてプリンシパリティの周囲に存在した、台座や柱が押し出され……天使達を召喚するスペースが、確保された事になる。


 ジンは押し出された柱の上に跳び乗ると、そのまま武技無しでプリンシパリティ目掛けて跳躍。空中で前方宙返りをした後、地面に向けて苦無を放つ。

「【狐雷こらい】!!」

 それは天使が召喚されるタイミングを見計らった、絶妙なタイミングだった。召喚された瞬間に、天使達は地面を奔る雷撃を受けて麻痺状態に陥った。

「ハッ、やるじゃねぇか!!」

 攻撃的な笑みを浮かべて駆け抜けるイカヅチは、麻痺状態の天使に向けて容赦なく≪長巻≫を振るう。まだレベルではジン達に劣るものの、STR重視のビルドを選択したイカヅチの攻撃は中々に強力である。瞬殺とはいかないが、召喚天使達のHPをどんどん削り落としていく。


 イカヅチはそのまま深追いせずに、他の天使達に攻撃を繰り出していく。HPを減らされた天使にトドメを刺すのは、自分でなくて良いのだ。

「今ですっ!! 発射!!」

 天使達からイカヅチが離れた瞬間を見計らって、ハヅキは準備していた≪投石器≫の縄を切る。その瞬間、投石器から放たれたのは大きな鉄球だった。それも、導火線に火が点いた状態の。それが天使達の居る場所に飛んでいくと、大きな爆発が発生。天使達はそのHPを焼き尽くされ、崩れ落ちる。


 更にジンとリンが、縦横無尽に駆け回って天使達を攻撃する。攻撃の手数やクリティカルの発生率で、ヘイトを順調に集めていっていた。

 そうしている内に、主砲役の準備が整う。

「【スパイラルショット】!!」

 放たれる矢は唸りを上げ、プリンシパリティに向けて真っ直ぐ飛んでいく。プリンシパリティはその場から動く事は無く、防御は天使達に任せる形だ。その行動パターンは、六百階層でも変化は無いらしい。

 そして天使達は麻痺するか、攻撃を受けているか、爆発に巻き込まれている。守る者が居ない状態では、プリンシパリティはその攻撃をそのまま受ける事になるのだ。


 五段攻撃の【スパイラルショット】を喰らったプリンシパリティは、そのHPを一割近く減らしていた。STR極振りであるヒメノの攻撃で一割程度となると、流石にボスの装甲は硬いと考えるべきかもしれない。しかし特別なアイテムを使うでも、回数限定のスキルを使うでもない攻撃だ。条件が整えば、まだ通用する。

 天使を抑えて防御する者を阻み、プリンシパリティに痛烈な攻撃を浴びせる……これが、ジン達の作戦である。


 しかし問題は、プリンシパリティが五百階層よりも強化されている事だった。攻撃を受けたプリンシパリティが、再び天使を召喚する。その数はこれまでが十体までだったのに対し、今度は十五体同時に召喚である。

「ザコの頭数を増やしたか、コイツ……!!」

「いや……問題はその中に一体、アークエンジェルが居る事だよ兄さん!!」

 イナズマの言う通り、召喚された天使の中にアークエンジェルが居る。ボスがボスを召喚するという、実に厄介な展開である。

「リンは、このまま他の天使達を!! アークエンジェルは、拙者が抑えるでゴザル!!」

 ヒメノはプリンシパリティに専念して貰うべきと考え、ジンはアークエンジェルを自分が抑える事を選択。全速力でアークエンジェルに迫ると、即座に両手の小太刀を振るう。


……


 戦闘開始から、十五分以上が経過した。プリンシパリティのHPは、残り二割程。一定のダメージを受ける度に、プリンシパリティは新たに天使を召喚する。しかもその際に、倒れていなかった天使はそのままの状態で残っているのだ。つまり倒し損ねれば、天使の数は増えていく事になる。

 故にイカヅチ・イナズマ・ハヅキ・リンは必死にそれを倒していくが、流石に激しい戦いでHPやMPも減少気味だ。ヒナが回復に専念するも、一人では満遍なくという訳にはいかない。


 プリンシパリティの残りHPを確認したジンは、全力で勝負を決めるべきタイミングかと思案し……そして、決断する。

「姫!!」

 ジンに呼び掛けられたヒメノは、彼が言わんとするところを察し……最大の攻撃を放つべく、装備を切り替える。

「【クイックチェンジ】!!」

 カイセンイクラドンから譲り受けた物に加え、昨夜のPKKの際にPKerがドロップした事で得た六つ目の≪大破した砲塔≫。それを利用してユージンが改良を施した、六門大砲≪桜吹雪≫の砲門がプリンシパリティを捉える。

「リン、イカヅチ!!」

 ジンが呼び掛けると、リンは急いでプリンシパリティとヒメノの間から離脱。イカヅチは間に合わないと判断して、スキル発動に備える。


 そんな仲間達の様子を確認しつつ、更にヒメノは弓に矢をつがえて……そして、最終武技の発動を宣言する。

「【シューティングスター】!! 全弾発射!!」

 六門大砲≪桜吹雪≫の砲撃に、矢筒の矢を全て駆使して放つ【シューティングスター】。その猛威がプリンシパリティと、その周囲の天使を襲う。

「【スーパースター】ッ!!」

「【【はやきことかぜの如く】】!!」

 イカヅチは【スーパースター】を発動して、無敵化。リンは最終武技【九尾の狐】を駆使して更に加速し、射線から逃れる事に成功した。


 そして、ジンは……。

「【縮地】!!」

 四神スキルを発動し、プリンシパリティの頭上に瞬間移動。更に【天狐てんこ】を使って空中を跳躍し、タイミングを計る。

 そうしている内に、ヒメノの放った激しい攻撃が止む。プリンシパリティの前には、無残にHPを散らされた天使達……そして、黄金の光のオーラを纏ったイカヅチの姿がある。

 そしてプリンシパリティは、そのHPをわずかにだが残していた。そしてHPが一割を切った事により、特殊行動を起こそうとしているのが見て取れる。


――ここだッ!!


 ジンが攻撃に移ろうとした、その瞬間。

「【我等は比翼の鳥、連理の枝】!!」

 ヒメノは夫婦専用スキル【比翼連理】を発動し、自身のSTRをジンに全て託す。ヒメノもまた、ジンがそうするであろう事を最初から察していたのだった。

「【はやきことかぜの如く】」

 【変身】に加えて【九尾の狐】の力を開放したジンは、九尾のオーラを纏ってプリンシパリティに迫る。

「【閃乱】……」

 後はひたすらに、プリンシパリティを斬り伏せるのみ。

「【一閃】ッ!!」

 ジンは一撃だけではなく、ひたすら何度も斬り付ける。その度に激しいライトエフェクトが発せられ、プリンシパリティのHPが削ぎ落されていく。


 そうして激しい攻撃の末、遂に……。

『[試練の塔・北]六百階層ボスモンスター【プリンシパリティ】を討伐しました』

 六百階層突破に成功するのだった。

次回投稿予定日:2025/2/20(本編)

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― 新着の感想 ―
どこも微妙な地雷が埋まってるなぁ…。 ヒメノはもうすぐ大砲でもヤマタノオロチできるなw
久しぶりに イベント攻略ですね 頭領様方には いつも通り 最高のパフォーマンスを 見せていただきました まぁ 当然なので 驚きは致しませんが…ね
ディレックは登場当時から天使の抱擁嫌ってましたしね。人志達が言うように何か確執があるのでしょうが何なんでしょう?その内幕間とかで明かされるのをお待ちしてます。
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