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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十九章 第五回イベントに参加しました・弐
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19-18 マッチングPK・2-愚の骨頂-

2024年、最後の投稿となります。


えー、初めて発令します。マリウスの時も発令しても良かったと思います。

【キモ男警報】


今年最後の話が”コイツ”のアレな話になったのは、私の責任だ……だが私は謝らn( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン

構成不足です、すみませんでした。

 シオンとダイス、ハヤテとアイネが元【漆黒の旅団】の襲撃を受けているのと同じ頃。ヒイロとレンは、とある三人組とマッチングしていた。

 それは茶色の髪をオールバックにした男と、そんな男の脇を固める様に立つ女性二人だ。ヒイロもレンも、彼等の顔に見覚えがあった。だからこそ、二人は臨戦態勢で武器を構える。

「【暗黒の使徒】ギルドマスター、ダリル。それに、中核メンバーのバーラとライカ……だな」

 ヒイロのその温度を排した声を受けた、ダリルとバーラ・ライカ。女性陣二人は己の得物を手にして、ヒイロとレンに嗜虐的な笑みを浮かべている。

「フッ……フフフッ……!! いよいよってヤツみたいじゃない?」

「そうね……憎きリア充共の中でも、特に憎たらしい連中のトップ二人……ッ!!」

 そんな爛々と眼を輝かせるバーラとライカに対し、ダリルは不気味な程静かだった。


 しかも、それだけではない。

「【七色の橋】の、ヒイロとレン……君達とマッチング出来て、俺は実に幸運だ」

 ダリルの声色は落ち着いたものであり、視線もまた穏やかだ。これまでの彼との確執を考えるとあまりに不自然であり、ヒイロとレンは何を企んでいるのかと警戒する。

「警戒するな……というのも、無理な話か。まぁ、少し待ってくれ」

 そう言ってダリルは、愛用の剣を抜き……直後、側に立つバーラとライカに向けて斬り掛かった。

「な……ッ!?」

「ギルマスッ!?」

 バーラとライカは突然の事態に混乱し、ダリルの攻撃をそのまま喰らってしまう。その事態に付いていけなヒイロとレンは、ダリルの凶行に戸惑うばかりだ。


「ちょっと、ギルマスッ!! 何のつもりッ!?」

「わ、私達、何かした!? アンタと私達は、仲間じゃ……うぁっ!?」

 そんなバーラとライカの言葉に、ダリルは一切答えない。ただ真顔で二人に攻撃を繰り出し、彼女達のHPを着々と削っていくだけだ。

「バ、バーラ!!」

「解ってる!!」

 理由は解らないが、ダリルは自分達をKILLするつもりだ。黙ってそれを受け入れる程、バーラとライカは弱くはない。

「シィッ!!」

 バーラが細剣を突き出して、ダリルの攻撃を止めようとする。しかしダリルは、それを剣で弾いて防ぐ。その攻防の間にライカはバックステップで距離を稼ぎ、杖を構えて詠唱を開始する。


「どういうつもりか知らないけど、殺ろうってんなら殺り返してやるッ!!」

「私達二人を甘く見たわね、ダリルッ!!」

 バーラは多少のダメージ覚悟で、ダリルに次々と攻撃を繰り出す。それを全て剣捌きで防ぐダリルだが、バーラとライカの本命は魔法攻撃。バーラの役割は、ダリルをライカに近付けない為の足止めである。

「行くわよ……ッ!!」

 しばらくして、ライカの詠唱が完了。完成した魔法を発動すべく、杖をダリルに向ける。

「【サンダージャベリン】ッ!!」

 発動と攻撃速度の速い、雷系魔法を選択したライカの判断は合理的だった。バーラを相手取りながらその攻撃を回避するのは、AGI特化ではないダリルには困難なはずである。


 しかしダリルはその攻撃を避けるでも、受けるでもなく……。

「【スラッシュ】!!」

 剣を振るい、その魔法を対消滅させた。【スキル相殺】……ダリルも、どうやらそのPSプレイヤースキルを使えたらしい。しかし、その姿を見たバーラとライカは驚愕していた。

「【スキル相殺】ですってェッ!?」

「う、嘘でしょ……ッ!?」

 どうやら二人は……いや、恐らくギルドメンバーも、ダリルがそれを扱える事を知らなかったのだろう。

 そして、そんな隙を晒す二人を……ダリルは見逃しはしなかった。


「【デュアルスラッシュ】!!」

 技後硬直が発生する前に、バーラの胸を二度斬り付けるダリル。【スキル相殺】だけではなく、【チェインアーツ】も会得しているらしい。

「【ラウンドスラッシュ】!! 【クインタプルスラッシュ】!!」

 そこでバーラのHPがゼロになり、彼女の身体から力が抜ける。それを確認したダリルは、更に武技を発動させる。

「【クイックステップ】!!」

 攻撃系の武技ではなくとも、同じ武技である以上【チェインアーツ】に組み込む事が可能だ。ダリルはそれを駆使して、ライカへと距離を詰める。

「ま、待っ……!!」

「【ブレイドダンス】!!」

 スキル【長剣の心得】の奥義を繰り出し、ライカを容赦なく斬り付けていくダリル。その攻撃の前にライカは成す術も無く、HPを全て失ってしまった。


「ダリル……ッ!! アンタ、一体何のつもりッ!?」

「私達は、これまでアンタの指示にちゃんと従って来たでしょ!? 何故こんな事をッ!!」

 立て続けに倒れた二人は、ダリルに対して怒りの声を上げる。しかしそんな彼女達に構う事無く、ダリルは視線をヒイロとレンに向けている。

「どうやらこれで、俺以外の【暗黒の使徒】は全員倒れた様だ。そして俺の考えた通り……このマッチングシステムを利用したPKに便乗する、PKer達も同様だろう」

 そんな口振りのダリルに、ヒイロとレンは訝し気な表情になる。自分のギルドが全滅する事……そして他のPKer達が便乗し、同じく壊滅する事を望んでいた様な口振りだったからだ。


「っざけんな、この……ッ!! 最初から、アタシ達を切り捨てる気だったって事!?」

「覚えてらっしゃい、ダリル……ッ!! 絶対に、アンタは許さないわ……ッ!!」

 信頼に対する唐突な裏切りと、容赦の無い一方的な蹂躙。それに対する怨嗟の声にも、ダリルは眉一つ動かさない。ただただヒイロとレンに視線を向け、落ち着いた表情である。

 そしてようやく、ダリルが僅かに視線をバーラとライカに向けた。

「……お前達もいつか、解る日が来るだろう。人には、変わらなくてはならない時が必ず訪れる。そしてあるべき方向に、踏み出す決断をしなければならない時が来るのだ」

「「……ハァ?」」

 真剣な口調に対する返答は、どこぞのちぃさくてかわいいアレのウサギみたいな声だった。意訳すると「何言ってんだお前?」みたいなニュアンスだろう。


 バーラとライカは、この時点で気が付いた。そして二人は知っていた……ダリルは思い込んだら、一直線になるきらいがある事を。多分、また何か暴走していやがるなコイツ……と察したのだ。今までは「またギルマスがやってんよ」と、笑い話に転化して流して終わりにしていた。

 ただし今回のコレは、笑い飛ばして赦す気は無い。ダリルに、必ず報復するつもりだ。

「いや、言っている意味が解らないんだが? 浸ってんじゃねーぞコノヤロー」

「お前はコロす。絶対に許さない、絶対にだ」

 そうこうしている内に、二人の蘇生猶予時間が尽きる。そのままバーラとライカは、所持品を全てドロップして強制ログアウトしていった。


……


「……これで、ようやく終わったな」

 感慨深そうにそう口にすると、ダリルは武器を収めてヒイロとレンに向き直った。

「待たせて申し訳ない。君達にとっては、事態が呑み込めていない事だろう……説明をしようと思うが、構わないか?」

 自分に、戦う意思は無い。言外にそう言っているダリルの言葉に、ヒイロとレンは視線を合わせ……構えを解いた。

 しかし相手はPKギルド【暗黒の使徒】のギルドマスターである、ダリルだ。油断させて奇襲をしたり、何かウラがあってもおかしくはない……だから警戒は緩めずに、武器は手にしたままだ。

「……まぁ今はまだ、信用する事は出来ないか。ひとまず話は聞いてくれるという事で、良しとしておこう」

 そう言うと、ダリルは視線を空に向けた。もっともここは[試練の塔]の中であり、当然だが空は見えない。天井が、床上十メートル程の位置にあるだけである。


「気が付いているとは思うが、今回の一件の発端は……年明けの件になる。あの時は、本当に無様を晒してしまったな」

 無様だった自覚はあるんだ……そうヒイロとレンは思うものの、話を先に進めさせる為に余計な口は挟まない。

「君達に敗れた後、俺は思い知った……一部のメンバーはギルドを去り、決闘を仕掛けようにも相手にされず、ただただ時間だけが過ぎていく。そうしてようやく、俺は理解した……あの時の俺は、気が付く事ができなかった……俺が本当に歩きたいと思っていた道は、別にあった事にな」

 天井とおくを見ながら、ダリルは滔々と語る。言葉の意味を汲み取ると、何か後悔しているとかそんな感じに聞こえる。


「今でも時折、夢に見る。彼女が涙を流している、その姿を」

 そこで、ヒイロとレンがピクリと反応した。ダリルが言っている()()とは、自分達の仲間の事だろうと察したのだ。

「何度も、あの時の彼女の姿を夢に見たよ。その度に何故、あの光景が頭からこびり付いて離れないのか……それを考えて、俺はようやく気が付く事が出来たんだ……俺も、本当は満たされたかったんだと」

 言葉に段々と感情が乗っていき、ダリルの仕草は大仰なものになっていく。それを見ていたヒイロはげんなりとした表情になり、レンに至っては目が据わっている。


「……悪いが、長話に付き合うつもりはない。本題に入ってくれ」

 どうでも良い話はいい加減にしろという意思を込めた、ヒイロの言葉。それに対するダリルの反応は、キョトンとした表情だった。

「……いや、これが本題なのだが」

 ダリルの言葉を受けたヒイロは深い……それはもう、とっても深い溜息を吐いた。しかしここで感情的になってはいけないと、軽く深呼吸をして”本題”について問い質す。

「何故、マッチングPKなんて事を企んだ。仲間を斬り捨てたのは何故だ。答えろ」

 ヒイロ達にとって重要なのは、ダリルが一体何を目的としているのか。そして、仲間をああも無情に斬り捨てたのは何のつもりなのか。回答次第では、ヒイロは彼を攻撃するつもりだ。レンもそれを感じ取り、警戒を緩めない。


 その詰問に対するダリルの答え……それは、ヒイロとレンにとっては理解の範疇外のものだった。

「その答えは簡単だ……全ては、愛の為だ」

 この男は何を言っているんだ? ヒイロとレンは、まったく同時にそう思った。


……


 結局、ダリルの話はあっちへこっちへと脱線し続け、ヒイロが苛立ちを必死に抑えながら軌道修正をして……ようやく、ダリルの狙いが解った。

「つまり貴様は……ミモリさんに、恋をしていると。彼女に想いを伝える前に、これまでの清算としてPKer達を[試練の塔]に引き摺り出し……そして、俺達にPKKさせる為にマッチングPKを始めた……という事か?」

 その結果、バーラとライカも自らの手でKILLした。そういう事らしい。

「その通りだ!! やっと気付けたんだ、彼女の優しさに……そして、自分が馬鹿だった事も!! ミモリ……彼女は恐らく、PKerが嫌いなのだろう!? ならば俺は、変わる……俺はPKerをやめるぞ、ミモリィッ!!」

 ヒイロとレンの視線に気付かず、ダリルのテンションは上がっていく。最高にハイッてやつかもしれない。

「マッチングPKで大半のPKerを誘き寄せられた……これで他のPKer達も、殆ど壊滅したはずだ!! これなら俺の本気を、きっと理解してくれるはずだ!! 今こそ彼女に、この熱い想いを伝える……!! もう、決して泣かせたりはしないッ!! 頼むッ!! 俺を彼女の、ミモリの所に連れて行ってくれ!!」

 そんなダリルの言葉を受けて……あの音が聞こえた。


 ブチッ!! ブチッ!!


 その音が鳴った直後、レンがバッと魔扇を広げて口元を隠す。

「話は分かりました……ですが、腑に落ちない事が。このマッチングPK、貴方が一人で考えた事なのですか?」

 そう問い掛けるレンの声は、澄んでいた。驚く程に、澄み渡っている声色だ。

 そんなレンの言葉に、理解を得られたと考えたダリルは興奮気味に頷いた。その口元は緩み、歓喜に満ちた表情である。

「そ、その事か……!! いや、恥ずかしながら俺一人では、考え付けなかった!! 偶然出会った、ある男がアドバイスしてくれたんだ!!」

 だらしない笑みを浮かべ、鼻息を荒くしながらダリルはそう言った。その言葉を耳にしたヒイロとレンは顔を見合わせて、頷き合う。


――そいつが、黒幕だ。

――はい、間違いないでしょう。


 その男の正体を、特定しなくてはならない。ヒイロは一つ深呼吸をして、ダリルに問い掛ける。

「ある男と言ったな? そいつはなんていう名前で、どんな奴なんだ?」

「あぁ!! そいつはフリーランスのプレイヤーで、名前は【ズーク】というヤツだ!! かつては【七色の橋】に壊滅させられた、PKギルドのギルマスだったらしいが……それで反省したらしく、今は一から真面目にやり直しているそうだぞ!!」

 その後に「流石、【七色の橋】だな!!」と付け加えて、笑い声を上げるダリル。彼は気付いていない……ヒイロとレンの表情から、一切の感情が抜け落ちた事に。


――成程な……あいつが裏で、糸を引いていたんだな……!!

――一度ならず、二度までも……っ!!


 これ以上は、もう無い。そう判断したヒイロは、茶番を終わらせるべく口を開いた。

「そうか……つまり貴様は、奴の口車に乗せられたんだな」

 とっくに、堪忍袋の緒は切れている。十分な情報を引き出したと判断して、ダリルの妄言を切って捨てる言葉を放ったのだった。

 そんなヒイロの言葉にダリルは目を丸くして、狼狽える。先程までと違い、ヒイロの視線は冷え切り、声色も低かった。

「な……何を言っている? あいつはグリーンだ、もうPKerじゃあないんだぞ」

 そんなダリルの発言に、言葉を返したのはレンだ。彼女も既に怒り心頭で、ダリルを射抜く視線は鋭く冷たい。

「まだ解りませんか? あなたは騙されているのです……最初から、彼等の狙いは私達を引き摺り出す事。その理由は……復讐の為でしょう」

 レンが断言した事で、ダリルは大きく動揺した。「バカな」「そんなはずは」……などと、何の意味もない言葉しか出て来ない。


 だが、これで終わりではない。これで終わらせるつもりは、二人にはない。

「もう良い、聞きたい事は聞けた……余計な言葉も、おまけでな」

「それでは構えなさい、プレイヤー・キラー。私達が、引導を渡してあげましょう」

 ヒイロとレンが戦う態勢になった事で、ダリルは慌てた。自分は彼等と和解したいのであって、戦う気は一切ないのだ。

 だがそれはダリルの都合であり、ヒイロとレンはダリルを見逃す気は無い。無論、ミモリの所に連れて行く気も無い。


「ま、待て!! 俺は戦う気は無い!! ただ、ミモリを……」

「軽々しく、その名を口に出さないで」

 レンに似つかわしくない、敬語も無しのその言葉にダリルは押し黙る。

 口を噤んでオロオロするダリルに、ヒイロは舌打ちしたい気持ちを堪えて口を開く。

「貴様はさっき、ミモリさんを優しいと言ったな……あぁ、そうだ、その通りだ。彼女は本当に優しく、思い遣り深い女性だよ……」

 押し殺す様な声で、そう告げる。刀を握る手は、小刻みに震えている。勿論寒気がする訳でも、怯えている訳でも無い……今にも全身から噴き出しそうな怒りを、必死に抑え留めているが故の震えだ。


「そんな彼女が……()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて知ったら、どう感じると思う?」


 その言葉に、ダリルは言葉を失った。

「彼女は、和を重んじる人だ。マッチングPKが始まった理由が、自分だったと知ったら……彼女は、どんな気持ちになると思う? 自分が原因で、他のプレイヤー達がPKされたと知ったら……どれだけ彼女が傷付くのか、貴様は解らないのか……?」

 ヒイロの言葉は徐々に、強い口調に変わっていく。とっくに臨界点を超えているにも関わらず、彼はそれが爆発するのを堪えているのだ。

 それはレンも同様である。

「それにあの方は、とても愛情深い女性よ。親族のジンさんやハヤテさんだけでなく、私達にも深い愛情を向けてくれている。そんな彼女が、自分の都合で仲間を斬り捨てる様な人間を受け入れると思う?」

 仲間殺し……バーラとライカもそうだが、他の【暗黒の使徒】の面々もだ。

「あの方の愛情が、貴方に向けられる事は……決して無い」

「それに貴様は、彼女に近付かせはしない……俺達が、絶対に」


 ヒイロとレンの怒りは、今まで見た事も無いようなものだった。

「ち、違うッ!! そんなつもりじゃあ……彼女を悲しませるつもりでは、無かったんだ!!」

「言い訳は結構。それとも貴様は「そんなつもりは無かった」と言えば、どんな罪も赦されるとでも思っているのか……」

「お、思っていない!! そんな事は、思っていないんだ!! ただ、俺は……ッ!!」

「観念なさい。行動には責任が伴う、中学二年生でも理解している事よ。大人なのに、そんな事も理解していないのかしら……」

 容赦なく詰めるヒイロとレン。どんな言い訳も、この二人には通用しない。


 ダリルはようやく、自分が窮地に追い込まれている事を悟る。

「こ、言葉では……言葉だけでは、理解して貰えないようだな……」

 それでもミモリの心を、振り向かせるという夢想を諦める事は出来ない。その為に重犯罪者レッドに堕ち、仲間を斬り捨て、マッチングPKで出合い頭に他のプレイヤーをKILLして来たのだ。

「な、ならば……」

 挽回しようと思考を巡らせ、しかし正解が見つからず……

「それならばっ!! 俺が!! 俺が勝ったらッ!! 要求を呑めッ!!」

 結局、またも自分本位の結論に至ってしまう。

「倒しても蘇生して、戦闘不能にはしないッ!! それで信じて貰えるだろう、俺の本気がッ!! それが解ったら、俺を……俺をミモリの所に連れて行けエェェェッ!!」

 短絡的で幼稚な思考、自分本位の極みと言っても良いだろう。結局彼は自分が満たされればそれで良く、心奪われたミモリを手に入れられれば良いというのが本心だった。

 勿論、そんなダリルの本心はヒイロとレンには筒抜けである。言葉の端々に、身勝手であり自分に酔っているのを感じ取れるモノがあったから。


 剣を抜いたダリルに、ヒイロとレンは冷めた視線を向ける。しかし、内心ではこれで良いと考えていた。

 いくら相手がダリルの様な最低の人間でも、無抵抗の相手を問答無用で倒す訳にはいかない……二人が徹底的にダリルを追い詰めたのは、こうなる事を見越しての事だった。相手が攻撃の意志を見せた時点で、自分達もそれを迎え討つ事が出来る。

「レン、済まないけど良いかな」

「良いんですよ、ヒイロさん」

 ヒイロの言葉を受け入れ、レンはシステム・ウィンドウを操作し……あるアイテムの設定を、操作する。それが済んだ所で二人はダリルに向き直り、全力を出す為に構える。

「二度とふざけた事が言えない様に、徹底的に叩き潰す……!!」

「これまでの愚行のツケを、支払う時よ……!!」

ダリルには、作者公認『2024最キモ男で賞』を授与します。

リンドやソウリュウを抑えて、堂々の一位です。


いやほんと済みませんでした、自分で描いていてここまでキモくなるんだなと驚きました。

その代わりと言っては何ですが、新年一発目はご安心下さい!

序盤は少しモヤるかもですが、すぐにそれを吹っ飛ばしてくれるあの二人+αの出番です!



さて、【忍者ムーブ始めました】をご覧下さっている皆様へ、作者より年末のご挨拶を申し上げます。

本年もジン達の物語にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

2024年は一時お休みしたりという事もありましたが、無事に年の瀬を迎える事が出来ました。


2025年も引き続き、皆様へ作品をお届けするべく精進して参ります。

来年も何卒、ジン君達共々宜しくお願い致します。


皆様、どうぞよいお年を!


               2024年12月31日

               大和・J・カナタ








っ【次回投稿予定日:2025/1/1(本編)】

挿絵(By みてみん)

クールー、キットクルー……

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― 新着の感想 ―
警報があって本当に助かった…。マリウス以上にキモかった…!! 無限リスキルされても文句言えないレベルのキモさ…暗黒の首魁に相応しい!! 今年1年もありがとうございました。 来年も楽しみにしております…
もう少し 考えれば 利用されていることに 気づけた………はず? 自分に酔ってる人の 典型的な末路ですね 作者様 今年も一年 お疲れ様でした 来年も 頭領様の御活躍を期待しています それ…
ダリル…実力だけは本物なのに残念すぎる 某漫画の年内ギリギリに倒されたキモい勘違い大迷惑野郎並みにキモすぎる そして、見える。ヒイロとレンに倒された後…彼を待つマリウスを越える自業自得の地獄の末路が
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