04-01 ギルドを設立する事にしました
第一回イベントの後から、三日が経ったある日。それはつまり、ヒイロをギルドマスターとするギルドの設立が決まった三日後である。
自分達のギルドを結成する為に、ジン達はフィールドを歩いていた。その人数は、八人。ジン・ヒイロ・ヒメノ・レン・シオン……残る三人は、イベントで苦楽を共にしたメンバーでは無かった。
そう、PAC……イベント上位三名に入ったプレイヤーに贈られた、自らデザイン出来るNPCパートナーだ。
「【ヒナ】ちゃん、大丈夫ですか?」
「はい、お姉ちゃん!」
ヒメノよりも少し小柄な、髪を肩まで伸ばした少女。ヒメノのPACである。ヒメノと似た顔立ちで、性格もどこかヒメノに似た設定となっている。ヒイロとしては、本当に妹が増えた様な感覚だ。
そんなヒナの装備は、ヒメノがユニーク装備を手に入れる前に着ていたユージン謹製和装セットである。
―――――――――――――――――――――――――――――――
■PACネーム/レベル
【ヒナ】Lv1
■契約プレイヤー
【ヒメノ】
■ステータス
【HP】50/50
【MP】10/10
【STR】10
【VIT】11
【AGI】11
【DEX】11
【INT】11
【MND】11
■スキルスロット(3/3)
【刀剣の心得Lv1】【短剣の心得Lv1】【杖の心得Lv1】
■装備
≪ユージンの和風装束≫MND+3
≪ユージンの飾り布≫MND+1
≪ユージンの弓具足≫VIT+3、HP+5
≪ユージンのスカート≫MND+2
≪ユージンのブーツ≫AGI+3
≪ユージンの魔導杖≫AGI+2、DEX+3
≪ユージンの短刀≫AGI+2、DEX+3
―――――――――――――――――――――――――――――――
「本当の姉妹みたいですね、お嬢様」
「えぇ……でも、私は私で満足です。宜しくお願いしますね、【ロータス】」
「かしこまりました、お嬢様」
ロータスと呼ばれた男性型PACは、姿勢良くレンの右後ろを歩く。シオンは左後ろの定位置だ。
ロータスは黒髪をオールバックにし、眼鏡を掛けている。服装はやはり和装なのだが、ジン達の物とは少し異なる。
デザイン的には、言わば大正浪漫……といった風情だ。白いワイシャツに、黒のズボン姿。その上に、和風の上着を羽織っている。飾り布は”クラバット”として装備している。中世とか、ファンタジー小説で貴族が良く胸元に付けている、あのヒラヒラである。
―――――――――――――――――――――――――――――――
■PACネーム/レベル
【ロータス】Lv1
■契約プレイヤー
【レン】
■ステータス
【HP】50/50
【MP】10/10
【STR】10
【VIT】10
【AGI】10
【DEX】15
【INT】10
【MND】10
■スキルスロット(3/3)
【刀剣の心得Lv1】【短剣の心得Lv1】【弓矢の心得Lv1】
■装備
≪ユージンの和風装束≫MND+3
≪ユージンの飾り布≫MND+1
≪ユージンのパンツ≫MND+2
≪ユージンのブーツ≫AGI+3
≪ユージンの短刀≫AGI+2、DEX+3
≪ユージンの機弓≫DEX+2
―――――――――――――――――――――――――――――――
そして、ジンのPAC。ゼクスの懇願によって誕生した、くノ一である。
「【リン】のスキルも育てないといけないでゴザルな。可能なら、道中でレベリングするでゴザルよ」
「かしこまりました、主様」
クールにそう言って頭を下げるくノ一、リン。その態度や仕草は、正にくノ一!! という感じだった。
彼女は黒い髪をポニーテールにしており、切れ長の瞳も黒い。背はジンと同程度で、スラリとした印象である。ゼクスの性癖により、その胸元は豊かだ。女性陣からの視線が絶対零度となったのは言うまでも無い。
そんなリンの服装はジンとお揃いのトップスに、くノ一っぽいスカート。無論、紫色のマフラーは外せない。
―――――――――――――――――――――――――――――――
■PACネーム/レベル
【リン】Lv1
■契約プレイヤー
【ジン】
■ステータス
【HP】50/50
【MP】10/10
【STR】10
【VIT】10
【AGI】15
【DEX】10
【INT】10
【MND】10
■スキルスロット(2/3)
【刀剣の心得Lv1】【短剣の心得Lv1】
■装備
≪ユージンの和風装束≫MND+3
≪ユージンの飾り布≫MND+1
≪ユージンのスカート≫MND+2
≪ユージンのブーツ≫AGI+3
≪ユージンの小太刀≫AGI+2
≪ユージンの小太刀≫AGI+2
―――――――――――――――――――――――――――――――
そんな新メンバーを加えた八人で、ジン達は目的地を目指して歩いて行く。当然、目立つ。掲示板はきっと、今日も大賑わいだろう。
とはいえ今日は、フィールドで合流してからの出発にした。なので、そこまでべらぼうに目立つと言う事態は避けられただろう。
今はまだ、第一回イベントの興奮冷めやらぬ時期だ。町でウロウロしていては、すぐに他のプレイヤー達に囲まれてしまうのである。
しかしギルドを設立するのに、PACを含めた八人というのは小規模だ。
それに設立を決めた際、彼等のフレンドプレイヤー達がそこに居た。ケイン達は居ないのか? レーナ達は? ユージンは?
その理由は、時を遡る事二日前にあった。
************************************************************
第一回イベントの後、ユージンの工房。ギルド設立を決めたジン達は、当然その場に居たフレンドプレイヤー達を勧誘した。
しかし彼等は、その勧誘を辞退したのだった……最も、その理由はそれぞれであったのだが。
まず、ユージン。
「勧誘してくれたことは、とても嬉しい。しかし、僕は生産を生業とする職人だからね。生産職が一つのギルドに所属してしまうと、他のギルドの依頼が受けにくくなってしまうんだ。これは職人としては、痛い部分でね。だから、最初からギルドには加入しないと決めていたんだ」
「言われてみれば、それも当然ですね……」
ジンとしては、初めてのフレンドであるユージンが居てくれたら……とも思ったのだが、残念ながらその希望は叶わなかった。
「ま、これまで同様にお得意様として、付き合いは継続して貰いたいね。君達のお陰で、レベリングにもなっているし」
そう言って、これまで通りの付き合いを……と言うユージン。ジン達は当然、それを快諾した。
そして、レーナ達四人。
「誘ってくれて、とても嬉しいの。でも前々から、現実で交流のある人達とギルドを作る事になっていたから……本当にごめんなさい」
本当に申し訳なさそうなレーナ達に、ジン達も申し訳ない気持ちになってしまう。しかし、先約があったのならば仕方の無い事だ。
そんなお通夜ムードを払拭するのは、やはり彼女の役割だった。
「でもでも、フレンドとしてはパーティを組めるです! 袖擦り合うも一緒の縁、です!」
シャインの言葉に、ミリアとルナも表情を明るくする。
「それを言うなら多生の縁よ、シャイン。でもそうね……確かに、パーティとしてなら一緒に冒険とかも出来るわ。私達のギルドメンバーになる人達は、社会人が多いから。時間が合わない可能性の方が高いもの」
「そうだね。それでも良いなら、冒険に誘って欲しいな」
雰囲気が明るくなった事で、レーナも表情を明るくする。柔らかく微笑んで、ジン達に視線を戻した。
「これからも、仲の良いフレンドさんで居て欲しいな」
そんなレーナに、ジンが笑顔で頷いた。
「レーナ殿……無論でゴザル!」
何故、ここで忍者ムーブしたし。
そして、ケイン達三人。彼等が勧誘を断るのは意外だったが、それには理由があった。
「目立つからね、俺達は」
和装集団と、中華集団。それが一つに合わさって最強に見える……もとい、更に目立つ集団になるだろう。イロモノギルドとか、コスプレギルドとか言われ兼ねない。
「でも、一つじゃ無くて二つなら?」
「似た様なギルドが複数あれば、少しは緩和されるでしょ?」
この発想に至ったのは、ケイン達が大人だから。そして、ジン達はシオン以外が少年少女だからだ。
つまりギルドを二つに分ける事で、周囲のプレイヤーの好奇の視線を分けてしまおうという事だ。それはきっと、ジン達がゲームを楽しむ為に必要になる。
実は三人は、それを事前に相談していた。中華風の装備を作って貰うと、決めた時にだ。ケインの持ちかけたその話に、他の二人も即決で頷いた。そうするだけの価値が、この五人にはあるのだと。
「という事で、俺も俺でギルドを設立するつもりだ。君達のギルドとは、同盟ギルドという感じで協力関係を結びたい……これまで同様に、ね」
そんな大人の配慮に気付いたのは、同じく大人のシオンだ。
「お嬢様、ヒイロ様。ケイン様達のお話を受けるのが宜しいかと」
サッとアドバイスして、スッと下がる。このメイド、デキる。
「一緒のギルドじゃないのは残念ですが、そういう事なら。これからもどうぞ、宜しくお願いします」
「あぁ、こちらこそ」
そう言って、ヒイロとケインが握手を交わした。
そんなわけでメンバー勧誘は失敗したものの、新たな二つのギルドが設立する事が確定した。
それでは次に考える事は? それを、ユージンがレクチャーする。
「この手の情報収集はお手の物でね。ギルド設立には、まずクエストを完了させなければならないんだ。殆ど、お使いクエストだけどね。条件はギルドマスターのレベルが25に達している事。ヒイロ君、ケイン君のレベルは、今はいくつだい?」
「俺は、レベル27になったかな」
「えーと……あ、丁度レベル25ですね」
ケインはレベル27、ヒイロもレベル25。クエストを進めるのに、支障は無い。
「それは重畳。では次にやる事は、まぁ難しくない。必要な素材を持って、始まりの町みたいな拠点となる町にある騎士団の詰め所に赴き、ギルド設立を申し入れるのさ。それでギルドが設立できる」
設定として、ギルド設立には騎士団の認可が必要……という事らしい。その辺り、プレイヤーはあまり頓着していないが。
「町でのお使いクエストは後に回して、先に素材を集めたらどうだい? その方がギルド設立クエストは早く終わるし、目立たない」
そんなユージンのアドバイスは、最もだった。自分達は今、非常に目立っているプレイヤー集団なのだ。
「ユージンさんのアドバイス通り、先に素材収集を済ませよう。その後、手分けしてお使いクエストを済ませる方向でどうかな?」
ヒイロの方針に、意義を申し立てる者は皆無だった。
……
そうこうしている内に、PACも無事に設定を完了。ユージンが用意した衣装や、ヒメノが保管していた衣装も装備済みだ。
「くノ一……イイ……」
うっとりとリンを見るゼクスに、女性陣の視線が氷点下まで下がった。しかしユージンの衣装は見事なもので、男性陣としては気持ちは解らなくもない。
「執事さんは男前ですね」
「和服執事ってどうかと思ったけど、結構アリかも!」
イリスはレーナ達と打ち解けており、キャッキャ言いながら話に花を咲かせる。
「本当にヒメノさんの妹みたいだな……」
「かーわーいーいー!!」
ニコニコしながら並ぶヒメノとヒナは、もう姉妹にしか見えない。これは全員に好評だった。
「そうしたら、後は……他の報酬だね」
「あ、ガチャがありましたね」
そう、ゴールドチケットとシルバーチケット……それに、プラチナチケットだ。
「どうする? もう回す?」
ウキウキ気味のイリスだが、それに難色を示したのはシオンだ。
「もう良い時間です、そろそろレンお嬢様とヒメノ様はログアウトした方がよろしいかと」
保護者としての責務が、物欲を上回るのだった。これには、イリス達もノーとは言えない。
「それじゃあ、また一緒にログイン出来る時にするかい?」
にっこりと笑って、ケインがそんな事を言う。そんな台詞に、ジン達は慌てた。
「いや、皆さんは回しても良いんですよ?」
そんな至極当然の事を言うヒイロだが、ケインは人差し指を一本立てる。
「このメンバーなら、俺は信頼しているよ。トレードなんかも捗るんじゃないかな?」
「あ、そうですね!」
ケインの意図を察して、レーナも同意する。
「それにプラチナチケットでゲットしたい物について、相談も出来るんじゃないかな?」
次に意見を出したのは、イリスだ。
「私達はまだアイテムやスキルに精通していないし、熟練のプレイヤーに相談に乗って貰えるのは助かるかしら」
成程、と頷くミリア。このメンツならば、相談するのには持って来いだと考えている。
「それじゃ、次に揃ってログイン出来る時にここにおいで。内緒の話をするには、持って来いだろう?」
ユージンまでも、場所を提供すると言い出した。ここまで言われては、固辞するのも申し訳ない。
結局は三日後……皆で集まる事が決まったのだった。
************************************************************
時間は現在に戻り、始まりの町から南へ向かった森林地帯を目指すジン達。
「この先の、[ビアンカ密林]……そこで、ギルドの象徴である≪ギルドクレスト≫を作る材料が手に入るみたいだ」
尚、同じ様にギルド設立を目指すケイン達は一緒では無いのか? と思うかもしれない。無論、ケイン達はケイン達で動いているのだ。今、彼等は北の[ダイモス山]へ向かっている。
「ギルド二つ分の材料を集めなければなりません。少し本気でやっても良いかもしれませんね」
ここの所、前向きに提案やアドバイスをする様になったレン。随分と、ゲームを楽しんでいる様だ。
そして、ギルド二つ分という言葉……つまりジン達とケイン達は、分担して材料集めをするつもりなのだ。
提携ギルドという関係にあるのだから、これくらいの協力は当然。満場一致でその提案は可決された。尚、それを提案したのはイリスだ。
「さ、それじゃあ始めよう!! 標的は【ギガントトレント】、目標は≪木人の芯木≫を五十個だ!!」
ここから、八人は二手に分散する。ここで、どう分かれるかが問題……でも無かった。
まずPACは主人が連れて行く。プレイヤーが許可したフレンドならば、同行する事は可能なのだが……三人は自分のPACを育成すべく、しばらくは貸し出ししない方針だ。
そして、シオン。彼女がレンから離れる事は無い。これで、レン・シオン・ロータスが一組だ。そうなるとジンとリン、ヒメノとヒナが二人ずつ。余るヒイロ、ギルマスなのに。
こうなると、組み分けは一瞬だ。
「じゃあジン、後で!」
「うむ、何かあれば連絡するでゴザル!」
ジン・ヒメノ・リン・ヒナチーム。
ヒイロ・レン・シオン・ロータスチーム。
この二つに分かれる事になるのだ。
「それじゃあロータス、まずは【弓矢の心得】のレベルを上げる事にしますよ」
「はい、お嬢様」
「シオンさん、頼りにしてますね」
「お任せを、ヒイロ様。お二人とロータスには、指一本触れさせません」
「リンはまず、回避を続けるでゴザル。攻撃はヒメノ殿がいる故」
「かしこまりました、主様。ヒメ様、宜しくお願い致します」
「なんか、ヒメ様って呼ばれるとお姫様みたいですね」
「お姉ちゃんがお姫様? ピッタリだと思います!」
忍者コンビと姉妹の温度差よ。
……
この[ビアンカ密林]には、ギガントトレント以外にもモンスターが居る。むしろ、ギガントトレントは少ない。
虫系モンスターが居るし、普通のトレントも居る。状態異常攻撃を持つキノコ型モンスター……【マッシュ】も居るし、獣系モンスターだっている。
そんなモンスター達が、今まさに狩り尽くされようとしていた。
「雷鳴の如く!! 【狐雷】!!」
「【ワイドショット】!!」
「流石です、主様」
「お姉ちゃん、凄いです!!」
「【幽鬼】!! 【一閃】!!」
「【展鬼】、【一閃】!!」
「【風陣】……【ウィンドボール】」
「お三方共、お見事に御座います」
何が起こっているのか? もう彼等の台詞だけで十分な気がする。
第一回イベントで猛威を振るった、和装集団。その力を今、この密林で発揮していた。
モンスターの大群を相手にして、拮抗どころか圧倒していた面々である。通常マップのモンスター? ヤツらに比べたら温い温い!! そんなレベルであった。
そのお陰で、凄まじい勢いでモンスターが倒されて行くのだ。
もしここに他のプレイヤーが居れば、ジン達ももう少し自重したかもしれない。しかしながら、多くのプレイヤーは始まりの町付近に居るのだ。
理由は簡単で、イベントランカーに接触したいと考えているからだ。始まりの町近辺に居れば、誰かしらに会える……そんな打算から、始まりの町近辺をうろついているのであった。
……
一時間後、合流したジン達は苦笑いしていた。というのも、特殊な条件をまたも達成してしまったのだ。
『我が眷属を倒した人間共よ、覚悟は良いか……』
巨大な樹のモンスター……【エルダートレント】が、ジン達を見下ろしていた。しかも、喋っていた。
「人語を話すモンスター……これ、多分ボスクラスじゃないですか?」
「間違い無いでしょう、もしかしてエクストラクエストでしょうか?」
ヒメノの疑問に、レンが頷いてみせた。最前線で活躍していた彼女でも、喋るモンスターなど見た事も聞いた事も無い。
そう……これはフィールドに居るモンスターを規定数討伐し、更にフィールドボスと呼ばれるモンスターを規定数討伐する事で発動する、エクストラクエスト。
ちなみに、このマップのフィールドボスはギガントトレントだ。
これまで誰も見付けられなかったのは何故か? 例えば≪ギルドクレスト≫目当てのプレイヤーが、ギガントトレントを倒して素材が集まれば? 即座に回れ右して、次のクエストへ行く。
第一回イベント後のハイテンションと、始まりの町に戻るとプレイヤーに囲まれるので時間稼ぎがしたかった……そして、PACのレベリングがしたい。そんな偶然が齎した、新しいエクストラクエストの発見である。
『エクストラクエスト【密林の主】を受けられます。クエストを受けますか?』
システム・ウィンドウが自動でポップアップし、これが久々のエクストラクエストなのだと報せて来る。
「どうするでゴザル?」
「どうしましょうか?」
「どうします?」
「どう致しましょう?」
仲間達が、揃ってヒイロに判断を委ねる。
「ま、当然……やるよね?」
そう言うと、プレイヤー組の四人は笑顔を浮かべて頷いた。随分と、好戦的である。PAC三人は、主人の意向に従う方針らしい。
五人揃って、システム・ウィンドウに表示されるOKボタンをタップする。尚、PACのシステム・ウィンドウは契約したプレイヤーが操作するのが仕様の為、リン達は契約プレイヤーがOKを押す事で自動的に参加となる。
『エクストラクエストを受領しました』
ジン達がクエストを受領した事で、エルダートレントが一歩進んだ。
『我の怒りを思い知るが良い……!!』
エルダートレントが歩く度に、地面が揺れる。しかし、それで委縮する面々ではない。
「思い知るのは、そっちかもね」
ヒイロは刀を鞘から抜いて、その切っ先をエルダートレントへ向ける。その横に立つジンが、小太刀を両手に構えて嘯く。
「拙者達は、お主の樹液ほど甘くないでゴザル!!」
エクストラクエスト遭遇率トップ。
ケイン達とレーナ達は、残念ながら別のギルド。
でも、ジン達のギルドは新加入メンバーの予定があります。
どうぞお楽しみに!
次回投稿予定日:2020/7/23