03-17 イベントが終了しました
西門の応援に駆け付けたジン達は、白虎の素早さに翻弄された。そんなジン達の前に現れたのは、黒衣の男・ユアンだった。
「中々に素早いみたいだね。それならそれで、やりようはあるけど」
そう言うと、ユアンはレンに視線を向けた。
「レン君。他の魔法職と協力して、ウォール系の魔法を発動してくれるかな。ヤツの退路を断つんだ」
ユアンの言葉に、レンはハッとした。白虎はあからさまに魔法を避けた。やってみる価値は、あるはずだ。
レンが後ろに下がり、魔法職に声を掛けに行く。先程の攻撃で、白虎のヘイトはユアンに向いている。レンも安心して、後方に下がれるのだ。
白虎が唸り声を上げ、ユアンを威嚇する様に牙を剥き出しにして睨む。
「おやおや、でかい猫ちゃん? 散歩にでも行きたいのか? それとも、じゃれたいのか?」
全く萎縮した様子の無いユアン。単身で白虎を前にしているとは思えない、余裕のある様子だ。
「さぁ、躾の時間だ」
ユアンの言葉と同時、白虎が一足飛びに襲い掛かって来た。
「【一閃】」
白虎の攻撃に合わせ、ユアンが【一閃】を発動。白虎の爪と、ユアンの黒刀がぶつかりあう。すると、衝突面が激しい光を放った。
「今のは……!?」
「武技の光……じゃなかったな」
ジンとヒイロが驚いていると、ユアンは口元を歪めた。
「もう一発」
左手に握ったもう一振りの刀が、白虎の右肩を斬り付ける。白虎はその衝撃を受けて、再び地面に降りてしまう。
狙い澄ました攻撃で、白虎を翻弄するユアン。まるで、一流の剣豪の様でもあった。
その直後、白虎の周りに炎の壁が発生する。レンと、彼女の指示を受けた魔法職達によるものだ。
「うん、ナイスタイミング」
フッと笑ったユアンが、刀を構えて炎の壁に囲まれた白虎に飛び掛かる。
「古来より、獣は火を恐れるものだな」
接近するユアンに気付いた白虎が、爪を振り上げる。しかし、ユアンからしてみれば恐れるものでは無かった。
「【スラッシュ】」
白虎の攻撃に、またも合わせた一撃。再び爪と刀の衝突面で激しい光が発生すると、白虎は攻撃を止めてしまう。しかし、ユアンは止まらなかった。
「ほら、こっちもだ」
ユアンが振るう右手の黒刀が、白虎を激しく斬り付けた。
しかし、ユアンの攻撃はここからが本番である。
「【デュアルスラッシュ】」
左右併せての、四連撃。ジンの小太刀と同様、ユアンの双刀も二本一組の武器。一つの武技を、両手でそれぞれ発動出来るのだ。
「【一閃】」
それはジンも得意とする、【チェインアーツ】だ。しかしジンのそれとは、受ける印象が違う。
「【ラウンドスラッシュ】」
ジンの【チェインアーツ】は、速さ故の緩急がある。素早い攻撃、一拍おいて再び素早い攻撃……といった具合にだ。
「【一閃】」
しかし、ユアンのそれは緩急が無かった。全てが同じ速さで、まるで一つの攻撃の様だった。
「【スティングスラッシュ】」
炎に囲まれた中で、白虎を斬り続けるユアン。その動きに淀みは無く、まるで舞いを踊っているかのようであった。
「【一閃】」
また、巧みなのは一つ一つの攻撃に【一閃】を挟んでいる事だ。クールタイムが非常に短い【一閃】を挟む事で、他の武技のクールタイムが終わるまでの繋ぎとしているのが解る。
「【ソニックスラッシュ】」
ユアンの攻撃が続く中、白虎は動きを止めてしまっていた。これは、白虎というボスに定められた仕様だ。
動きが速い分、白虎は攻撃を受けると足を止めてしまう。周囲を炎で囲まれていなければ、攻撃を受けた直後に地面を転がる様にして離脱。そこから再び、攻めへ転じるのだ。
しかし炎の壁で逃げ場はなく、一人のプレイヤーによる武技の連発をただただ喰らうのみ……ユアンの攻撃が続く限り、白虎は斬られ続ける事となる。そして、ユアンの攻撃に終わりは中々見えない。
……
炎の壁が消える頃、白虎はダメージの蓄積によりダウン状態に陥った。
「じゃ、後はよろしく!!」
ユアンはそう言って、動きを完全に止めた……【チェインアーツ】の弊害、後からまとまって襲って来る技後硬直だ。
しかしユアンの常識外れの連続攻撃に、他のプレイヤーどころかトッププレイヤー達……ジン達も、動きを完全に停止させていた。
「……おーい、ジン君やーい!」
それを現実に引き戻したのは、混乱を招いたユアン自身の声だった。無理もないだろう、そのまま攻撃してくれないと、ユアンが真っ先に白虎に攻撃されてしまうのだ。
「ハッ!? こ、心得た!! ヒイロ!!」
「お、おう!! 行こう、総攻撃だ!!」
ジンとヒイロが動き出した事で、他の面々も攻撃に転じる。
速さがウリの白虎は回避性能が高い分、撃たれ弱い。一度目のダウンで、みるみる内にHPが減って行ってしまう。
そして……。
『プレイヤーの皆様に報告します!! 西門にて、ボスモンスターの討伐を確認!! 西門、防衛成功です!!』
運営アナウンスが、西門の戦いの終わりを報せた。
「よしっ!!」
「やったな!!」
所々で歓喜の声が湧き上がるが、南門でのそれよりも少ない。どよめきの方が多かったのだ。
理由はやはり、ユアンの【チェインアーツ】だった。
「何だったんだ、あれは?」
「武技を、連続で発動していたぞ?」
「【チェインアーツ】……にしても、あれは……」
「何チェインしたんだ……?」
「何かのチートじゃないか?」
そんな奇異の視線が、ユアンに殺到する。
しかし当のユアンは、そんな視線や声を一顧だにしていない様子だ。
「さーて、行くかな。面白いモノが観れそうだし」
技後硬直から解放され、一つ伸びをするユアン。緑の魔法陣の方へ向かい、ジンと擦れ違おうとした時。
「ほい」
ユアンが、右手を掲げる。
「……はい!」
ユアンの意図を察し、ジンが右手でハイタッチ。異様な迫力を感じさせる戦闘時とは違い、何故だろうか親しみを感じさせる。
「お疲れ様、ジン君。僕は気になるプレイヤーが居るから、北へ行くよ」
そう言うと、黒いコートの裾をはためかせて歩き去って行く。彼が緑の魔法陣に乗るまで、誰も一言たりとも発しない。
魔法陣に乗ったユアンが、西門に居るプレイヤー達へ届くようにと、声を掛けた。
「それじゃあ、諸君!! また会おう!!」
そう言い残して、ユアンは光の中へと消えて行った。
……
北門の中に現れたユアンは、サッと駆け出した。行き先は、生産職や商人が露天を広げる区画の少し手前。始まりの町、中心から外れたとある工房だ。
「あとは観戦で良いだろうし、着替えよう」
システム・ウィンドウを操作して、ユアンは装備を変更していく。
「あと一回は、名前を変えないといけないかな」
ユアンという名は偽名で、普段使用しているプレイヤーネームではない。
名前を変更する事が出来る有料アイテムがある……彼はそれを使い、本来のプレイヤーネームを隠している。ランキングで、名前が表示されるタイミングを見計らって。
つまり彼は今、本来のプレイヤーネームに設定しているのだった。
彼が何故、そんな事をするのか? その理由は、彼にしか解らない。
余談だが、普通にプレイしているとプレイヤーの頭上にカラーカーソルが表示される。そのカラーカーソルを一定時間凝視する事で、プレイヤーネームがポップアップするのがAWOの仕様である。
ただし、これは設定を弄っていない場合の話。システム・ウィンドウの設定画面で、プレイヤーネームがポップアップしない様に設定する事が可能となっている。
制限は勿論あり、一度でもカラーカーソルが軽犯罪カーソルや、犯罪カーソルになったプレイヤーは、この設定は使用出来なくなる。
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一方、西門での戦いを終えたジン達は、協議の末に北門へと転移した。ユアンの動向が気になるのと、知り合いが集中しているからである。ケイン達のパーティと、レーナ達のパーティだ。
転移してすぐに、ジン達は門壁の上へと向かった。これはレンの提案で、参戦前に戦況を確認すべきだという考えからだ。
「おぉ、亀だ」
「尻尾が蛇ですね。大蛇よりも、細いですけど」
呑気な感想を口にするジンとヒメノに、周囲が苦笑する。そんな中、一人のプレイヤーが歩み寄って来た。
「こんにちはレンさん、シオンさん。お久し振り」
黒いローブを纏った、いかにもな魔法職のプレイヤー。大人の魅力を感じさせる女性で、切れ長の目がデキる女! という印象を与えている。
実際のフレイヤさんは、アラサー腐女子で掲示板の民なのだが。
「お久し振りです、フレイヤさん」
「ご無沙汰しております。お元気そうで何より」
レンとシオンが、女性……フレイヤに挨拶をする。
「仲間をご紹介したい所ですが、まずは防衛でしょうか。戦況は如何ですか?」
レンの言葉に、フレイヤも頷く。
「見ての通りね。硬いのなんので、時間が掛かっているんだけど……」
玄武なだけあり、相当に硬いのだろう。しかし、それにしてはフレイヤに焦った様子は見受けられない。
その理由は、彼女の口から語られた。
「ちょっと、変わった武器を持ったプレイヤーが居てね」
……
戦闘の最前線で、一人の女性プレイヤーが周囲の注目を浴びていた。響き渡るのは、銃声だ。
放たれた弾丸が、まるで吸い込まれるかのように玄武の頭部へと飛び、命中する。
剣と魔法の世界を描くこのゲームにおいて、異端の武器である銃。その性能は、レアなアイテムだけあって特徴があった。
それは、固定ダメージだ。
通常ならばダメージの計算は、攻撃力と防御力を元にした複雑な計算式の上で成り立っている。相性による補正等も計算されており、それを検証するプレイヤーも多い……が、それすらも正解か解らない。それくらい、複雑な概念なのだ。
しかし銃というアイテムは、その計算を無視する性能を有する。当たれば、決まったダメージを与えられるのだ。
銃弾が保つ限り、決まったダメージを与えられる。しかもその射速は速く、弓と違って攻撃までのタイムラグもない。拳銃ならば取り回しも良い。
そんな反則級の武器を、両手に持った女性プレイヤー……その名を、レーナという。
銃弾を撃ち尽くしたレーナは、動きを止めて玄武の攻撃を誘う。玄武が攻撃の予備動作をする際に、空になったマガジンを抜いてみせる。
玄武が攻撃に転じた瞬間。
「【クイックステップ】」
武技を発動し、攻撃を回避。その間にシステム・ウィンドウを開き、空きマガジンを収納する。同時に新しいマガジンを取り出し、銃に装填。
無駄のない動きで、リロードを済ませてみせた。
……
「あの通り、彼女のお陰でかなり削れたのよね。もう、残りのHPは一割くらい……終わりが見えて来たわ」
成程、とジンは納得すると、レーナに視線を向ける。すると、その付近にいる面々に気付いた。
ミリア、シャイン。それに、ケインとゼクスもいる。
イリスとルナは何処か? と思って視線を巡らせれば、少し後方で魔法支援をしているらしい。
「どうせなら、貴方達も参戦してくれないかしら? 流石に、そろそろポーションも心許ないし……彼女にばかり頼るのもね」
フレイヤのその言葉を想定していたレンは、ヒイロに視線を向ける。
「如何ですか、ヒイロさん?」
「当然、応援に来たからにはやろう」
そんなやり取りを交わす二人に、フレイヤは内心で「おや?」と気付く。彼女の知るレンは、他人に判断を委ねるタイプでは無かったからだ。
これは、もしかしてどことなく甘酸っぱい春の兆しかしらん? という思考に行き着いて、なんとなく視線をシオンに向けてみる。
――面白いでしょう?
シオンさん、視線でフレイヤさんに語り掛けていた。正確にその意図が伝わった。目は口ほどにモノを言う。もしくはメイドの嗜みですね、解ります。
――成程、これは良いものですね。
フレイヤも、視線で返答した。シオンはその視線を受けて、小さく……しかし確かに頷いた。こちらも正確に意図が伝わった模様。もしかして、腐女子の嗜みなのだろうか?
ともあれ、ジン達は北門の戦闘に参入する事となった。ならば、まずはどうするか? 愚問だ、彼等の初動は決まっている。
「ジン、君に決めた!!」
「ピカー!!」
ビシッと玄武を指差すヒイロ、どこぞの電気ネズミの鳴き声を真似て駆け出すジン。お前、狐だろう。
「【ハイジャンプ】!!」
門の上から跳び上がったジンは、一気に玄武へと近付いていく。
「うわぁ……何、あのジャンプ力……バッタのスキルでもあるの? ライジングするホッパーなの?」
フレイヤさん、ジンを見て改めて驚愕。しかし内心では、良い掲示板のネタになるな、とも思う。
ちなみに電気ネズミと飛び上がライズさん、色合いが似ている。
いつも通りにジンがタゲを引き始めると、他の面々も行動を開始する。
「ヒメ、レン。いつも通りでよろしく」
「お嬢様、ヒメノ様。それでは行って参ります」
「はい、行ってらっしゃいです! やりましょう、レンさん!」
「お二人も、お気を付けて。頑張りましょうね、ヒメノさん」
ほのぼのしながら持ち場に向かう四人に、フレイヤは呆然としてしまう。とても、仲が宜しいのですね? と言いたい。
「フレイヤさん、魔法職のプレイヤーを集めましょう。私に、秘策があります」
「え、えぇ。解ったわ、レンさん」
……
レンの秘策を聞いたフレイヤは、マジで? と思った。しかし、ここまで上手く行くとは思っていなかった。
というのも、玄武さん……現在、ひっくり返って身動きが取れません。
「皆、腹の上なら攻撃来ないでゴザルー!!」
ジタバタしている玄武さんの腹の上で、悠々と刀を刺す忍者。汚いなさすが忍者きたない。
しかし安全圏内でバンバン攻撃できるとあれば、それに越した事は無い。プレイヤー達がこぞって玄武の腹の上に跳び乗ったり、よじ登ったりしていく。
何故、こんな事になったのか? それは、レン様の秘策のお陰である。曰く……。
「亀は引っ繰り返ったら弱い、というのが定番でしょう。【グランドピラー】で持ち上げて、そのまま転がしてしまいましょう」
発想があまりにもあんまりなのだが、レンは魔法職プレイヤー達とそれを実現させてしまった。
玄武の巨体を持ち上げる為、魔法職全員で放った【グランドピラー】。それを身体の前寄りに集中的に放たれ、玄武は持ち上がった。そのまま放たれる、魔法攻撃。玄武は背中から引っ繰り返り、うごうごと足や首を動かす。
こうして腹の上に登れば安置という、残念ボスの完成である。やっぱり玄武、百人乗っても大丈夫。
こうなってしまうと、もう勝負にならない。引っ繰り返って五分が経過した所で、玄武はその役目を終えた。
『プレイヤーの皆様に報告します!! 北門にて、ボスモンスターの討伐を確認!! 北門、防衛成功です!!』
ようやく、三体目のボス討伐だ。次は東……と思いきや、アナウンスがそのまま続く。
『加えてプレイヤーの皆様に報告します!! 東門にて、ボスモンスターの討伐を確認!! 東門、防衛成功です!! これで、全てのボスモンスターが討伐されました!! 始まりの町、防衛完了です!!』
「おぉ……終わったか!!」
「よっしゃぁ!!」
「やったー!!」
「ひゃっふー!!」
運営アナウンスを聞いたプレイヤー達が歓声を上げ、武器や拳を突き上げた。
『それでは皆様お待ちかね!! 貢献度総合ランキング、最終集計結果をお伝え致します!!』
かなりの人数の運営メンバーが、リアルタイムで集計していたらしい。イベント終了と同時に結果発表を公開するとは、この運営出来る。
『貢献度ランキングの上位の皆様には、豪華な報酬が出ます! 五十位から上はシルバーチケット一枚! 四十位からは更にゴールドチケット一枚です!』
ガチャチケットは、高額な有料アイテムだ。プレイヤー的には、是が非でも欲しいアイテムである。
『三十位からは、なんとプラチナチケット! プラチナチケットは報酬リストに記載されている物を、どれでも好きなものを一つ選んでゲット出来てしまいます! リストにはレアアイテムや、レアスキルもありますよ! 二十位からは更にもう一枚、十位からは更に一枚の贈呈です!』
現状、課金しても購入出来ない豪華報酬。その存在を聞いて、プレイヤー達から歓声が沸き上がった。
『上位三名には特別報酬がございますが、内容は公開されません。ですがご心配には及びません! 後日実装される要素を、上位三名が先行してゲット出来るというものです! ただしイベント上位入賞者に向けた特典ですので、限定仕様となります!』
その説明に、プレイヤー達はざわめく。上位三名に渡される特別報酬……それは、一体何なのだろうか? と。
『それではお待たせしました! 貢献度総合ランキング、結果発表でーす!!』
それぞれのシステム・ウィンドウ……そして、各門の真上に表示される貢献度総合ランキング。今回は、上位五十名が一斉に表示されていた。
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【総合ランキング】
1位 【ジン】
2位 【レン】
3位 【ヒメノ】
4位 【シオン】
5位 【ユアン】
6位 【アーク】
7位 【ヒイロ】
8位 【レーナ】
9位 【ダイス】
10位【フレイヤ】
11位【ケイン】
12位【クロード】
13位【リリィ】
14位【イリス】
15位【ベイル】
16位【アーサー】
17位【ギルバート】
18位【シルフィ】
19位【レイチェル】
20位【ゼクス】
21位【ゲイル】
22位【ミリア】
23位【シャイン】
24位【ライデン】
25位【ハル】
26位【ジェミー】
27位【アイテル】
28位【オリガ】
29位【ルナ】
30位【クルス】
31位【ラグナ】
32位【マリウス】
33位【ドラグ】
34位【アリステラ】
35位【ルシア】
36位【セバスチャン】
37位【ナイル】
38位【シンラ】
39位【ダリル】
40位【シア】
41位【タイチ】
42位【カイセンイクラドン】
43位【シン】
44位【フォウ】
45位【ギア】
46位【トロロゴハン】
47位【ランラン】
48位【ルー】
49位【バーラ】
50位【ライカ】
―――――――――――――――――――――――――――――――
「おいおいおい!?」
「マジか……」
「レン様が一位を譲るだと……!?」
「それより、アークの順位だ!! 何だアレ!?」
「上位の奴ら、知らない名前多いんだけど……」
ランキングを凝視して、口々に話すプレイヤー達。
そんな様子を見て、ジンは思った。隠れ身の術が欲しい、今。切実に。
そこへ、ヒイロがやって来る。
「ジン……騒ぎになるのは嫌だろうし、イベントももう終わりだろう? どっかに隠れないか?」
「超賛成!!」
何処が良いか? 思い付く場所は一つだった。
二人はシステム・ウィンドウを操作し、メッセージを送っていく。
いよいよイベントが終了。
ランキングも考えに考えて、こういう結果となりました。
ジンが1位になったのにも、実はしっかりと理由があります!
次回投稿予定日:2020/7/18